日常損傷病学

日常損傷病学(はじめに)
全ての先進国はこれまで経験したことない未曾有の人口高齢化問題をかかえています。この問題の一因はここ100年における医療の急激な進歩であることはいうまでもないでしょう。しかしながら世界にとって未体験の高齢化問題は医学史にとっても未体験です。
これまで高齢は「病気とは考えない」ことが医学の暗黙の了解事項だったわけですが、高齢者がこれだけ増えるとそういう立場に留まっていることはできません。
医学は今、歳をとって体内の恒常性が破綻して起こる様々な症状を「病気」と考えて治療しなければならなくなったという未体験ゾーンに突入したということです。


この未体験ゾーンの治療のために、新たなる病気の概念が必要となります。
例えば、糖分を控えるためにタンパク質を多く摂取する場合これを数十年続けると何らかの問題が起こらないだろうか? 骨粗鬆症によいとされているエストロゲン製剤は数年では問題が起こりませんが数十年服薬し続けると体に悪影響がでないか? 脊柱側弯症は100年生きるとどんな障害が起こるか? 体によいとされる煎餅布団を長年続けると背骨にどんな影響が出るか?など、これまで考察することのなかった超長期経過を研究する必要があります。


薬の服用も規則正しく同じものを数十年続けると何らかの悪影響を及ぼすものですが、そうした超長期観察での薬物摂取の障害はこれまでの医学にはなかった概念です。日常の食事、日常の生活、日常の治療薬で生じる障害は人類が長生きするようになったからこそ発生した問題です。
このように社会の高齢化にともない、研究しなければならなくなった全世界の課題として日常損傷病学があるのです。


日常損傷病学 総論

日常損傷病学は極めて難しい
 高血圧、高コレステロール、姿勢の悪さ、骨格の異常などは人間の寿命が50年であるなら重篤な障害を起こしませんが100年生きるから初めて障害と認識されるようになります。そうした長く生きることで生じる不具合を病気として扱うのが日常損傷病学です。→続きを読む
日常損傷学と達観点
 基本的に「なぜ不可解な症状が起こるのか?」の空想は達観した大きな視野で人間を観察する能力が必要であり一般的な医学教育を受けているだけの医師には(教授も含めて)正しい空想をすることはなかなか困難なことです。なぜ困難かというと、欲が達観することを邪魔するからです。→続きを読む
偏りと時間の概念その1、数十年単位
 患者が「これは健康に良い」と思って数十年継続していることが原因で発症するのが日常損傷病です。→続きを読む
偏りと時間の概念その2、数時間単位
 日常の普通の姿勢でさえ同じ姿勢を数十分とっていると同一箇所に力がかかるために組織が損傷を起こします。例えば肘は90度以上の角度で数十分曲げたままでいると尺骨神経が肘部管で炎症を起こすことはよく知られています。→続きを読む
偏りと時間の概念その3、反復×長時間
 数秒の圧迫や摩擦など、通常は組織を損傷しないような小さな物理的刺激も、それを絶え間なく繰り返していると組織が炎症を起こします。これに該当する症状の代表は腰部脊柱管狭窄症における間欠性跛行でしょう。→続きを読む
器質的な異常があっても症状がないことの認識
 外出しない高齢者にとって間欠性跛行は病気として成り立っていない場合がほとんどです。高度の狭窄症であっても手術を受けずに一生を送れる理由は、「器質的異常があっても機能的な異常になっていない」からです。→続きを読む
症状のない異常所見と症状のある正常所見
 走るときにだけ痛い膝は走ることをしない高齢者にとっては症状ではなく、スポーツ選手にとっては人生をかけた大きな障害であり極めて重大な症状です。→続きを読む
生体脆弱性と遺伝
 フェラーリを運転し、時速150kmで走っても全く故障が起こりませんが、軽自動車で同じスピードで長時間走行していると様々な故障が起こります。両者には器質的な異常はありませんが、軽自動車は高速仕様に作られていないため高速で走っていると故障します。
同様に人体の性能にも生まれつき備わっているものが個々にあり、病気の発症に対する閾値が異なります。→続きを読む
発病=脆弱性×偏り×暴露時間
 発病=脆弱性×偏り×暴露時間という全く新たな考え方をしなければなりません。そこに器質的な異常を認める必要性はありません。→続きを読む
器質的異常のない症状
 体温が普段35.5度の人が36.8度になることは発熱ですが現診断学では発熱と診断しません。同様に尿酸値、コレステロール値、血圧など個々に考えて治療するという概念も現代医学にはありません。器質的な異常がないのに症状を訴えると「精神異常」とされるのが現医学の悪しき習わしです。→続きを読む
器質的異常のある無症状
 高齢者のXP写真を撮影しますと、あらゆる関節に変形が存在し、器質的異常だらけで一体何が症状の原因になっているのか理解できないほどです。
しかしながら多くの高齢者が無症状で暮らしていることを考えると、器質的異常は治療開始の是非を考える材料に成り得ないことがわかります。→続きを読む
器質的異常のない症状の研究は進まない
 器質的な異常を全く認めないにもかかわらず強い痛みを訴える患者が外来に多数来院します。小児の場合、それを成長痛とひとくくりにして言うことも多く、成人の場合は心因性とされることが多いという現状があります。→続きを読む
器質的異常のない症状は日常損傷学の守備範囲
 私はすでに、不眠症をブロック注射で根本的に治す治療法を、さらに眼精疲労、急激な視力低下、嗅覚障害、三叉神経痛、片頭痛、顔面神経麻痺、味覚障害、めまい、耳鳴り、呂律のまわりが悪い、自律神経失調症、手足のしびれ、冷え症、月経困難症こむら返り、過活動性膀胱などの「器質的異常を認めない症状」の治療法を現在進行形で確立させています。これらがまさにが日常損傷学の守備範囲であり治療対象です。→続きを読む
器質的な異常のない症状への積極治療の難しさ
 異常所見のない患者への治療の場合、治療の副作用や不具合は全て医師個人が責任を負いますので、その重責を背負うことへの抵抗から、「器質的な異常のない患者には背局的に治療しない」という姿勢をとるものです。→続きを読む
症状とは?
 患者視点で日常生活において困っているものを症状とし、困っていないものは症状としないというものです。例えば、左手にしびれが継続しているが、それほど気にもならないし日常に支障がないというのであればこれを症状と考えず、治療の対象としません。
逆にプロゴルファーが左手のわずかなしびれが気になってスコアが伸びないというのなら、これは症状ととらえます。→続きを読む
考え方を変えざるを得ない外傷学
「外傷に積極的治療」という考え方はこれまでの医学に皆無でした。積極的に治療をすると社会復帰までの期間が半減したり、リハビリにかかる時間が半減したりします。私はそうした実例をこれまで孤独に作ってまいりました。→続きを読む
積極的治療は困り度がリスクよりも高い時に行う
 私はこむら返りや過活動性膀胱を硬膜外ブロックで根治させる治療法を確立しましたが、一般の医師たちに私と同じことを行えるかどうかは難しいところです。それは硬膜外ブロックにリスクがあるからです。リスクを低くできる技術があってこそ成り立つ治療法が存在します。→続きを読む
日常治療と依存形成
 患者の視点からすると、ブロック注射が「気軽なカジュアル注射」へと変わったことをになります。このブロックのカジュアル化が招いた悪しき出来事…それは患者がブロックに依存してしまうことです。→続きを読む

新たな治療概念「現状維持」の必要性

これまでの医学は治癒しないものに対して積極的な治療は行うべきではないという理念がありました。しかし、これらの理念は現代の高齢化社会にそぐいません。高齢はもともと治癒しないものだからです。治癒を目的とするのではなくQOLを向上させるための積極的治療が現代社会に求められています。→続きを読む
治療と損傷の4つのフェーズ
損傷 炎症 修復(破壊と新生、機能回復) 不可逆変性(組織の後遺症)の4つのフェーズがあります。
1、損傷
呼吸をする、重力に抗する、気圧に対抗するだけでも組織は損傷します。体内の一部の細胞を除いてほとんどの細胞が常に生まれ変わり入れ替わるのは生きていることが細胞を破壊していくことであることを意味しています。→続きを読む
2、炎症
 炎症は常に誇張されるという特徴があります。誇張された分の炎症は抑えた方が生体にとって有利です。ただし炎症を抑え過ぎると不具合が生じます。よって炎症抑制は医学的にとても難しい問題です。ただ、現在は痛みをごまかし、炎症しているのにそれを薬を使って無視しようという方向に薬が開発されていることを嘆きます。→続きを読む
3、修復
 人間の修復スピードは我々が想像している以上に速く驚異的です。しかしながら歳をとるごとに修復スピードは遅くなります。高齢になるにつれ取り除けない炎症の燃えカスが蓄積し修復活動の障害となること、ホルモンの不活性化により新陳代謝スピードが落ちるからなどの理由からです。ここで重要な考え方として「治療とは外的に修復速度を速める手段」であるということです。
この考え方を適応させると以下のようになります。
1、生体は敢えて治療しなくてもほとんどの場合症状が自然治癒する
2、安静や摂取制限など日常生活を正すことで完治に近い状態にできる
3、治療時間を長引かせると活性酸素などの燃えカスが多く蓄積し不可逆となる、
4、慢性症状とは炎症(組織損傷)の広がる速度と修復速度がつりあった状態である
5、慢性症状の急性増悪とは劇的に損傷速度が上昇した状態である
6、回復期に適切に治療をすれば修復速度が劇的に増し即効治癒する
7、急性増悪期に治療をしても損傷速度を落とすだけで症状増悪が止まることがない
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変性と適応と劣化
 老化という不可逆変性は不可逆なのではなく、変性した細胞、瘢痕化した細胞が、細胞適応を起こした細胞が組織の新陳代謝を阻害し、その結果、組織壊死のスピードを上げ…の悪循環のために組織新生が追い付かなくなった状態ととらえることができます。→続きを読む


日常損傷病学 各論

修復速度を上げる治療へ駒を進める

打撲、捻挫、骨折、腱鞘炎、関節炎、肩関節周囲炎、椎間板ヘルニア…
この中で積極的に注射などの治療をしてもよいのはどれですか?と尋ねると、一般的な教育を受けた医師は例外なく「打撲、捻挫、骨折などの外傷には注射はしない」と答えます。しかしながらこの答えには論拠がありません。→続きを読む
炎症の自然消退
 炎症が消退しない場合、その理由はどこにあるのかを考えることです。患者はその理由を「薬が弱いからだ」と言いますがそれは違うでしょう。患者が「損傷を起こすような行為をやめないから」なのです。→続きを読む
自然消退期はプラセボで十分治る
 自然消退の時期にさしかかった患者はプラセボの薬を投薬しても治ってしまいます。たまたまその時に医師がトリガーポイント注射を行って改善したとしたら、医師のほとんどがトリガーポイント注射で患者が治ったものとみなします。それはなんと愚かで滑稽なことでしょうか。→続きを読む
急性期は治療が症状を助長させる
 急性期の症状では治療効果が上がっているにもかかわらず症状は悪化することがしばしばあります。これは船の走行に例えられます。船が全速前進しているときにギアをバックに入れて逆行しようとしても、実際に逆行するまでには時間がかかり、その間船は前進を続けます。→続きを読む
症状とはなんぞ?
1)生体の脆弱性、2)損傷細胞処理の鋭敏さ(抗体)、3)炎症反応の鋭敏さ(補体の活動、神経末端からのプロスタグランジンやサイトカインなどの放出)、4)炎症抑制物質の停滞(副腎皮質ホルモンなど)の4つが密接に関わっています。
これらの全てが掛け合わさり、炎症が一定量を超えると初めて症状と人は認識します。
現医学では器質的証拠がない症状は心因性とし、精神病者扱いする慣例がありますが、そうした悪しき医学の慣例を打破するために、疾患として成立しないものを疾患として考えるためのガイドラインを以下に示します。→続きを読む
1、生体脆弱性
 生まれた時点で生体脆弱性につて考え、どのようなことに注意して生きていけばよいかを小児期から指導していこうというのが日常損傷病学の立場です。→続きを読む
2、損傷細胞処理の鋭敏さ
そもそも体細胞の新旧を入れ替えさせるために自己抗体があります。バクテリアやウイルスを食する仕事はむしろサブでありメインではありません。その自己抗体が必要以上に多量に生産されると、まだ死滅していない体細胞にまでオプソニン作用を示す可能性があります。これがここでいう「損傷細胞処理の鋭敏さ」の問題です。→続きを読む
リウマチ因子は悪者ではない
 リウマチ因子は誰にでもあり、健常者にもあります。つまりリウマチ因子は決して悪者ではありません。リウマチ患者と健常者で異なるのはそのリウマチ因子の数やリウマチ因子がほぼ正常な細胞まで食してしまうという損傷細胞処理の鋭敏さです。→続きを読む
3、炎症反応の鋭敏さ
 炎症を引き起こす最大の役者は補体です。ですが、未だ現医学で解明されきれていない補体の活動性を全て調べることは難しく、炎症の個人差・個体差について議論できない現状なのです ここでは補体の引き起こす炎症の鋭敏さについて考察するのではなく、自己抗体の性能に個体差があるように、補体の性能にも個体差があり、その個体差が症状をひき出すというイメージを述べています。→続きを読む
新陳代謝速度とホルモンの関係
 免疫システムに性ホルモンが密接に関連していることは疑う余地のないことで、それはすなわち自己抗体の調整に関連していることを意味します。
多くの膠原病(自己免疫疾患)が女性に多いことは既知の事実ですが、それは体組織のターンオーバーと密接な関係があることを推測させます。→続きを読む
4、炎症抑制物質の停滞
体内で炎症(免疫)抑制を行う唯一判明している物質が副腎皮質ホルモンです。前述しましたが、免疫の抑制がうまく作動しなければ、抗体や補体は自分の体細胞を手あたり次第に攻撃していきます。だから免疫システムは体にとっては危険な存在なのです。危険だからこそ、免疫抑制システムも強力に働いているはずです。
しかしながら現医学は大変遅れていて、免疫を抑制するシステムは副腎皮質ホルモンくらいしか判明していません。
副腎皮質ホルモン(ステロイド)は一時、爆発的に世界で使用されました。しかしながらステロイドの使用量や使用期間も十分に研究されないまま使用されたため、トラブルが相次ぎ、現在では医師たちにステロイド使用が忌み嫌われるまでになりました.→続きを読む
感染症にステロイドを使うことは禁忌という非常識
 インフルエンザに罹患した際に異常な高熱が出る場合がありますが、我々の体内においてはその際、副腎皮質からコルチゾール(ステロイド)が多く分泌されます。体中で発生している過剰な炎症を消退させるためです。全身で炎症が発生すると40度以上の高熱が出現することもあり、コルチゾールの分泌が不十分であると熱がさらに上昇し熱性けいれんなどに発展する恐れがあります。→続きを読む
ステロイド抑性が不十分な高コレステロール血症
 私はケナコルトを使用した患者のACTHを計測するようになりました。
その結果、ACTH低下の患者には共通点がありました。それは高コレステロール血症の患者で優位にACTHが低いことでした。→続きを読む
新しい病気概念、相対的膠原病
 高コレステロール血症などによる炎症(免疫)抑制システムの停滞は、当然ながらささいな損傷で大きな炎症が起こるというような免疫システムの暴走をまねきやすいでしょうから、自己抗体が正常範囲である膠原病を発生させると推測させます。これを相対的膠原病と名付けます。
これまでの医学では自己抗体が正常範囲であれば「異常なし」として症状を訴える患者を放置する医療をしてきましたが、炎症システムの停滞という新たな概念を導入することにより、自己抗体価が正常なのに膠原病に類似の症状を訴える患者を診療する糸口が見えてきました。今後は抗体価が正常であるのに補体だけが上昇するような相対的膠原病の概念を提唱します。高コレステロール血症が増えるとともに、中高年の相対的膠原病の発症率が上がると思われます。→続きを読む
免疫抑制剤の将来的使用指針
 炎症抑制系の停滞により、様々なストレスに免疫系が過剰に反応して体細胞破壊を促進するという新たな概念を持たなければなりません。この概念により、これまでの治療方針は一変します。
まず、これまでの自己免疫疾患の概念ががらりと変わり、「自己免疫による疾患は狭義には自己抗体の異常増加」などを意味していましたが、今後は「自己免疫の増加などがなくても、免疫抑制システムの停滞でも起こりうる」との概念となります。→続きを読む
医者の誰もが手を出せなかった高齢者への免疫調整治療
 1930年にステロイドが発見されて以来、そのステロイドの濫用のため、副作用が相次いで報告され、現在ではステロイドの使用が世界中の医師たちによって忌み嫌われるようになってしまいました。よって生体内でもっとも生理的な免疫抑制システムであるステロイドの臨床研究が進まなくなりました。そして現在ではステロイドを使用する医師は破門されたり、保険の報酬審査では使用を見つけ次第カットされたりという習慣までついてしまいました。つまりステロイド使用=外道、的な概念となっている現在、高齢者に免疫抑制剤を使用することに二の足を踏んでしまうのも十分に理解できます。→続きを読む
損傷・再生速度の概念
新たな概念として、日常損傷病学では再生スピードの概念を治療に取り入れます。
例えば、1、急性の炎症は急速に大量の体細胞損傷。2、慢性の炎症は損傷スピードと再生スピードが釣り合った状態。3、変性は再生スピードが極めて遅い組織における体細胞損傷。というような考え方を取り入れるという意味です。→続きを読む
ターンオーバーの生物学
すべての体細胞は仕組まれた寿命があり、寿命が短い組織は常に新しい細胞に満ち、寿命が長い組織では比較的古い細胞が多いという物理があります。人の体に起こる病気の全てをターンオーバーの異常という観点でとらえると、今まで判明してこなかった病理が見えてきます。すなわちターンオーバーの概念を学ぶことでこれまで解明されていなかったいろいろな病気のシステムが見えてきます。→続きを読む
ターンオーバーの基本
1、 ターンオーバーが速いと新しい細胞に満ち。遅いと古い細胞が多くなる。
2、 ターンオーバーが速いと細胞が成熟する前に死去し、遅いと成熟してから死去する。
3、 2より、ターンオーバーが速いと組織全体の強度が弱くなり、遅いと強くなり、遅すぎると劣化する。
4、 ターンオーバーが相対的に遅いこと=死去細胞の除去不良(化石化)を意味し線維化、石灰化、粥状硬化などの原因となる。
その他…続きを読む
細胞適応とターンオーバー
生理的あるいは病的刺激に対し細胞が新しい恒常性を獲得することを細胞適応といいます。細胞適応には
A、成長と分化における適応(過形成、肥大、委縮、化生)
B、細胞内蓄積(正常細胞構成成分(水、炭水化物、脂肪、蛋白)の蓄積、遺伝子異常または代謝異常の結果で内因性物質が蓄積、色素の蓄積)
C、病的石灰化
D、硝子化
E、細胞老化
などがあります。→続きを読む
マクロファージの死骸がもたらす病気
 マクロファージは体内の異物の全てを消化できるわけではありません。どうやっても消化できない異物があるので、消化できない異物を食したマクロファージの死骸はそのまま異物として体内に残るしかありません。なぜならば死んだマクロファージが他のマクロファージに食されたとしても、再び消化不良を起こすからです。
何度も述べていますが、コレステロールを食したマクロファージは消化不良を起こし、そのマクロファージの死骸は排除することが出来ずにゴミとなり動脈壁に付着することがわかっています。→続きを読む
ステロイド関節症
ステロイド関節症のメカニズムは「マクロファージによる関節内の死細胞の貧食をステロイドが過剰に抑性してしまう」と私は推測しています。
関節内の死細胞は磨き砂のように関節面を傷つけてゆき、関節破壊が急激に進行すると結論付けます。これを防ぐためにマクロファージの死骸は細胞適応化し、ムチン様になり粘液として関節内を漂うと思われます。ムチン様になれば細胞の死骸が関節面を傷つけなくて済むからです。→続きを読む
ビスフォスフォネート製剤と顎骨壊死
 ビスフォスフォネート製剤(以下BP)は破骨細胞(一種のマクロファージ)を抑制することで骨細胞のターンオーバーを遅らせる薬で、骨粗鬆症治療に多大な貢献をしている薬です。破骨細胞(マクロファージ)の活動を抑制するということはBPも広義には一種の免疫抑制剤ということができます。免疫抑制剤は適時、適所、適量が非常に難しく個人差も激しいため、中には通常量のBP製剤が患者個人に対しては過剰量である場合があります。→続きを読む
マクロファージとターンオーバーと老化
 この三つのバランスは1、人の寿命を決め、2、人のストレス強度を決め、3、人の外見の美しさを決めます。
若い世代の女性の肌はターンオーバーが早く、そのため皮膚組織は若い細胞で満たされて実際に美しいのですが、ターンオーバーを遅くさせるとしわが多くごつごつした男性の皮膚のようになるでしょう。→続きを読む
ターンオーバーの概念応用
現医学ではまだ解明されていないターンオーバーの概念について実例を挙げて解説します。
ターンオーバーが速いという意味を科学的に説明するならば、細胞寿命が来る前に自己抗体やマクロファージにより撤廃処理を受けるという意味になります。よってターンオーバーが速いと組織の細胞は若く未成熟なものが多くなるのでその分強度が低くなるはずです。
1、赤ちゃんの体細胞のターンオーバーは速い。アトピー性皮膚炎が小児期に多く、中高年になると共に穏やかになることと関与。
2、ターンオーバーが速いとは、細胞寿命が来る前に自己抗体やマクロファージにより撤廃処理を受けるという意味。
3、通常ターンオーバーを促進するはずのマクロファージが局所に集族し過ぎると、マクロファージ自体が異物化し、その箇所でのターンオーバーが困難になるという逆説がある(例、コレステロールによる粥状動脈硬化)。つまり、炎症が起こるとターンオーバーが速くなりますが、炎症が過剰であると死骸が増え、マクロファージが作用できない死腔(局所循環不全による)が生まれ局所のターンオーバーが不可能になるという概念。
4、ターンオーバーが遅すぎることは自己抗体の活動が著しく低い状態と同意と考えます。この場合、組織は古い細胞が多くなり、細胞の平均年齢が上昇します。つまり組織内には成熟した細胞が多くなるわけで細胞強度としては若干強くなると考えます(平均年齢上昇が適度な場合)。
5、自己免疫が正常であっても感染や外傷などが原因で細胞適応化した不良細胞が短期に大量に発生すると、もはやマクロファージなどで貪食しきれず、組織内が多量の機能しない細胞で覆いつくされてしまい機能不全に陥る。
6、石灰化は細胞適応が存在している証拠であり、必ず局所に炎症が起こっていて正常なターンオーバーが阻害されている状況と考える。
7、Clockの説を発展させ、本来ならば自己抗体によって抹殺処理を受けるはずの老化した細胞が、自己抗体によって処理されないままでいる→老化現象であるということ。
8、自己抗体が鋭敏すぎる人、自己抗体そのものの数が多い人の場合は、細胞の抹殺処理が激しいことは容易に予想される。
9、ステロイドの分泌が少ない人では、自己抗体の抑制が効きにくく、ターンオーバーが速くなると考えられる。
10、ターンオーバーが速い状態が炎症であり、炎症を治療するとは亢進したターンオーバー速度を正常に戻すことを意味する。
11、発癌のメカニズムはターンオーバーの際の細胞の複製ミスであると思われ、なぜミスを起こすのかを追究すれば癌の原因が解明され、どうすればミスした腫瘍細胞をマクロファージに食させていけるか?を研究すれば癌を切らずに克服できるようになる。
12、ターンオーバーが遅すぎることは見た目にわかります。細胞の平均寿命が上がって長寿化しますから、皮膚は滑らかさを失い、高齢者の容貌になるからです。
13、自己抗体は組織親和性があり、標的がありターンオーバーを速める標的組織はある程度決まっています。例えばリウマチでは軟骨や滑膜を標的にする自己抗体が増える。
14、従来、ターンオーバーしないと考えられていた脳神経細胞も脳神経幹細胞が成人でも存在することが判明して以来、再生することが判明しつつある。→続きを読む
ターンオーバーのさらなる研究
10項目の推論 →続きを読む
痙攣という病態がもたらす症状の新たな考察
高齢者のこむら返りには筋への直接的な血流や電解質異常よりも支配神経の不調に最大の原因があると推定しています。このことより神経ブロックで異型狭心症や古典的片頭痛を根治させることができる可能性があります.→続きを読む
VAS(ビジュアルアナログスケーリング)を用いない治療概念
 現在の痛みが10cmであっても持続時間が半分であれば全体としての痛みは5割減少したと考えるのが論理的であって、VASがいくらか?は臨床的な意味がないことは医者でなくとも素人が考えてもわかることです。→続きを読む
感情を導入した新たな治療概念
 西洋医学ではもっとも毛嫌いしているのが治療に患者の感情を導入することです。患者の感情で治療方針が振り回されると治療ガイドラインの根底が崩れるからです。 現、西洋医学では、この病気にはこの検査、この手術にはこの検査、この症状にはこの薬…というようなガイドラインが世界共通ですが、患者の感情の多くは「ガイドラインには従いたくない」というところに収束しています。特に不定愁訴に関してはそうでしょう。→続きを読む
満足度と幸福度と依存
 我々が医師として常に持っておきたい信念として満足度と幸福度は異なるという概念です。子供に対して嫌がる注射を行って病気を完治させる場合、子供は満足度がゼロです。しかし幸福度は高いでしょう。逆に痛みに対して毎日マッサージ通院させることは、患者にとって満足度は高いでしょうけれど、そうやって治らない治療に依存させて商売をすることは患者の幸福を願ってのことではなく、むしろ治療に依存させていることは幸福度に対してマイナスです。→続きを読む
重力と気圧を治療概念に導入する
 私たちの肉体は細胞の一つ一つに至るまで、重力と気圧という物理的なストレスに耐えうる構造をしていなければなりません。逆に言うとこの世に生まれた地上の生物は重力と気圧により物理的に破壊されていきます。日常損傷病学で重要なことは、特に体の害になることをしていなくても日常生活で肉体は崩壊していくとする概念を持つことです。→続きを読む
治療学総論
1-A 物理的に不良細胞の除去、構造の再構築・置換、などを行う
1-B 機能の調整(刺激、抑制)
2-A 細胞の再生スピードを上昇させる 血行・代謝・浮腫などの改善
2-B 細胞破壊スピードを低下させる 安静、破壊原因の除去
3、細胞適応化した細胞の除去(外科治療、穿刺、排泄、隔離)
4、老廃細胞の除去(移植、置換術、自己抗体の強化、隔離)ここで最重要事項を再度述べておきます。
「治療とはしわよせ作業以外の何ものでもなく完全無欠の治療は存在しない」
ということです。
1、治療には必ず犠牲を伴うこと(どこかにしわ寄せが行く)
2、一般的に治療効果が大きい治療ほど他に与える犠牲が大きくなること
3、犠牲が大きいにもかかわらず治療効果が不定である治療をこの世から抹殺していく勇気を持つこと
4、犠牲が小さく治療効果が大きいが、過度に犠牲報告が広まっている治療を再研究する勇気を持つこと
5、犠牲は各個人の持病によって大きく変化することを前提に、持病と犠牲の関連を次々と研究していくこと
→続きを読む
マクロ的な治療の見解
治療とはミクロ的に見れば細胞が死に、マクロファージに食されて掃除され、新しい細胞が分裂して生まれるというサイクルの障害となるものを取り除いていくことを意味します。 一方、治療のマクロ的な見解は症状を抑えることです。→続きを読む
治療の目的を考える
今行っている医療行為が姑息的なものか治療になっているのかを考えて実行することが今後の医療に問われています。なぜならば人が医療に対して「ないものねだり」をするようになり、湯水のごとく健康維持にお金をかけるようになり、国の経済が破綻寸前だからです。
→続きを読む
根治療法の定義
 1、医療行為によって一時的に症状が抑えられる治療を姑息療法
2、医療行為によって薬の薬効時間を超えて症状が抑えられている療法を根治療法
治療後数日で症状が再び悪くなったとしても、治療薬の効果時間を超えて症状の改善が続いているのなら、「治したけれども再発させている」のです。症状の再発には2種類あり
1、治療を止めると即再発→姑息的治療→効果時間切れ
2、治療を止めてから少しの期間経ってから再発→根治治療→患者が再発させた
(例外もあります)→続きを読む
治療の種類
1、姑息療法:治療をやめると即座に症状が出現。効果を継続させるためには一生加療し続ける必要がある。ただし加療により症状は即座に軽快する場合が多い。
2、改善シフト療法(回復期):加療により症状が軽快する方向に生体恒常性がシフトする。症状も即座に軽快する。
3、改善シフト療法(停滞期):加療により症状が軽快するが患者本人が日常で悪化させていくため全体を通すと症状の改善が前進しない。
4、改善シフト療法(急性増悪期):加療により症状の加速を止めるが、症状の進行は当分収まらないため全体を通すと症状は悪化して見える。
5、物理改善療法:加療により腫れなどが消退し、物理的な障害が解除されその後半永久的に障害が起こらない。突発的な外傷によって生じたものの多くはこれに当たる。→続きを読む
停滞期改善シフト療法がかかえる問題
リスクがある治療法はある一定確率で実際にリスクが起こります。回数をこなすほどにリスクが実際起こる可能性が高まります。しかしながら停滞期の治療では改善することがありません。改善しない患者に続けているといつか遭遇するリスクを無視してそのまま一生継続してよいものかという問題点です。→続きを読む
停滞期改善シフト療法を受けている患者の立場
 停滞期改善シフト療法では、実際はほぼ寝たきり状態になっていたであろう高齢者を要介護にさせないで暮らさせることができたり、車いす生活者を歩行生活者にシフトさせたり、高齢で会社勤務して労働させたりといった現社会での夢のようなことが実現できるわけです。よって患者たちは施術者に依存し、施術者なしでは質の高い生活ができない状態にあります。→続きを読む
停滞期から回復期への昇格
日常損傷病では日常生活における繰り返しの損傷によって症状が出現しているわけですが、今以上に改善させるためには、日常生活を変える以外に方法がないというところに必ず突き当たります。→続きを読む
停滞期から急性増悪期への降格
 停滞期治療を行っている患者が、日常とは異なることを行動した場合、改善と悪化のバランスは崩れ、悪化の方に病状がシフトします。日常とは異なることは「葬儀、盆正月、お彼岸の墓参り、団体旅行、雪かき、大掃除…」などです。
停滞期改善シフト療法は手術件数を減らす
私の外来には最終的に手術になった患者がほとんどいません。これは手術適応患者を無理やり手術させないのとはわけが違います。私も外科医ですから手術が必要と感じれば手術を進めます。しかし、痛みがなくなるので実際に手術が不要になるのです。
改善させるだけが治療ではない
 改善させるだけが治療ではないということが、今後の医療に求められます。すなわち高齢により放置すれば日々少しずつ悪化していく状態を、悪化させないように現状維持させる療法です。