更年期症状はブロックでほぼ治る

2017年治療成績

はじめに

更年期症状は女性が閉経後に女性ホルモンの低下によって引き起こす様々な不定愁訴を総称したものですが、実際は女性ホルモンの低下が原因ではなく、延髄の自律神経核の不具合で生じていることがほとんどであると推測します。その理由は、私は更年期症を上頚神経節ブロックで、そのほとんどを根治させることができるからです。これまで更年期症状を思わせる症状を上頚神経節ブックで数十名治療していますが、例外なく軽快していますのでこれらは全て延髄由来であったと思われます。よって厳密には、更年期症と診断されている患者に「真の更年期症」は数%も存在せず、ほとんどが自律神経失調症であると推測します。つまり真の更年期症では女性ホルモンの補充療法で奏効するでしょうから、ホルモン補充で改善しない更年期症状は、ほとんどが更年期症ではないと推測します。上頚神経節ブロックが世界に普及すれば、そうした新事実が医学の教科書に掲載されるようになるでしょう。ここでは上頚神経節ブロックで根治した更年期女性の不定愁訴の治療例を報告します。


 

 症例1 79歳女性

  •  主訴:一日中暑いが体温は正常 発汗過多 腰下肢痛

 

数カ月前から1日中暑い、発汗が多いという症状が出現。私の外来には腰下肢痛を主訴に、神経根ブロックを行うためにほぼ毎週通院している。しかし、私が整形外科医であるのでこれらの症状を私に告げなかった。ある日「クーラーをかけても何をしても暑くて仕方ないんですよ。でも体温計で計っても正常なんです。」と愚痴をこぼすように告白。「それは自律神経失調症の可能性があるので良ければブロックで治してさしあげましょうか?」とブロックを勧める。


 

  •  治療:左右上頚神経節に1%キシロカイン1ccずつ行う
  • 結果:一度の注射で完治 以降、発汗も暑いという症状も全く出現なし

 


 

症例2 82歳 女性

  • 主訴:ふらつき 両膝痛、腰痛

私の外来では両膝痛と腰痛に対し、注射治療を行うためにほぼ週1回通院している。1カ月前から歩いていると突然ふらっとして転びそうになるという症状が出現。実際に4日前に自宅でふらつきのために転倒している。ふらつきの原因は血圧の不安定(自律神経失調)であると説明し、ブロック注射を受けることを勧める。


  • 治療:左右上頚神経節に1%キシロカイン1ccずつ行う
  • 結果:一度の注射で完治、以降全くふらつき症状なし


症例3 52歳 女性

  • 主訴:肩こり、顔面紅潮、発汗過多

肩こりを主訴に私の外来を初診。「突然顔がほてったり、汗をどっとかくようなことはありませんか? 耳鳴りやめまいはありませんか?」という問診により、上記の顔面紅潮、発汗過多があることが判明。近医、産婦人科では更年期症状と診断されているが8年前からあるこの症状は全く軽快しない。私は自律神経失調症を完治させる実績が多数あることを説明し、ブロックを勧めた。

  •  現症:日中、常に1時間に1回以上の顔面紅潮が起こり、寝汗がひどく、就眠中に必ず2度下着を変えなければならない。こういう状態が8年続いている。
  • 治療:左右上頚神経節に1%キシロカイン1ccずつ行う
  • 結果:一度目の治療で顔面紅潮の回数が半減、下着の取り換え回数が1回となった
  • その後:毎週1回本ブロックを行っており現在進行形、ブロック4回目で顔面紅潮の出現回数が1日数回以下となり、顔が赤く暑くなる自覚症状もかなり軽くなり、発症しても気にならない程度に症状が弱まった。

 


 

自律神経失調症は上頚神経節ブロックで治る

私は整形外科医であるため、患者は更年期症状様の症状があっても私に申告しません。私の方から質問し判明するケースがほとんどです。しかも、患者はすでに他の医師に更年期症状と診断を受けている場合が多く、どんな治療を施しても治らないことを認識しています。よって、私がブロックを勧め、「ブロックで更年期症状を治せますよ」と説明しても、ほとんどの場合、患者は私のことを信じてくれず、ブロックを受けません。


ただし、腰下肢痛などで私のブロックを受けた経験のある患者は、私のブロックの技術の高さを理解しているので、上頚神経節ブロックに対してもハードルが低く、気軽に受けていただけます。そしてブロックを行った患者はこれまでほぼ100%の改善率であり、1人の例外もなく不定愁訴が改善しています。効果が出なかった症例が1例としてありません。その理由は私の腕がよいというよりも、診断能力、患者の観察能力が高く、適切に診断ができているからだと思っています。


ただし、自律神経失調症はその根本原因が日常生活での不摂生にあることが多く、日常生活を改善しないと、ブロックをいくら行ってもなかなか治り難いという現実があります。ブロックで治すとしても、一度では治らない場合が多々あり、通院の問題から「治療を十分にできない」こともあります。そういった問題点を克服していかなければ完治へと導くことは難しいでしょう。


上頚神経節ブロックは他にも難治・不治とされる様々な不定愁訴にも効果があり、その実績は「最新トピックス」に多数掲載してありますのでご覧ください。実際に上頚神経節ブロックが世界に普及すれば、数多くの世界中の人々の不定愁訴を完治させられ、人生の質を向上させることができます。ぜひ一刻も早く広めていきたいです。上頚神経節ブロックの安全性について気になる方は「上頚神経節ブロックの作用・副作用」をご覧ください。

更年期症状はブロックでほぼ治る」への12件のフィードバック

  1. 初めまして。
    1年間、線維筋痛症不完全型の症状で、退職し、
    東京から福岡の歯科医の先生のところへ通院しましたが
    ここ2ヶ月症状が悪化しています。

    先生の病院はどちらで、また新患は受け付けていらっしゃいますか?

    • 歯のかみ合わせを矯正すれば線維筋痛症が治るとか、生理食塩水を筋膜に注射すれば治るとか…そういう夢物語を吹聴しているやからが少なからずいることに残念な気持ちでなりません。もちろん、絶対に治らないとはいいませんが・・・私は以前、線維筋痛症の患者を治療しようとして、治療させてもらえなかったことがあります。患者が医者不信に陥っており、自分の判断で治療の是非を決めてしまうからです。患者の持つ不信感はあまりに強大で話し合いさえまともに進みませんでした。あなたもそうかもしれないという不安があり、私も線維筋痛症患者不信に陥っています。ですので、もっと誠意を持っていきさつをここに書き込んでいただきたいという思いがあります。

  2. 40代女性です。かなり不安な気持ちです。
    現在複視です。
    ことの始まりは、腹痛、下痢から始まりました。クリニックにて点滴、抗生物質を処方していただき、2日後から全身蕁麻疹。
    下痢と蕁麻疹と3日ほど続き、下痢がおさまり視覚障害が出ました。
    翌日、全身蕁麻疹と複視となり眼科へ。ドライアイと診断され、蕁麻疹は一部(腕のみ、脚のみ)へ減少。
    脳神経クリニックでMRI検査をし異常なし。複視以外、問題がなかったため食事も普通にとっていました。家事をゆっくりなペースでこなし生活をしていたところ、頭痛と吐気と目が眩しくなり目が開かなくなり救急車にて脳外科へ。
    ストレスと言われ点滴後帰宅。
    頭痛が続き目がほとんど開かなくなり眼科へ。視神経障害を疑い、翌日大学病院眼科を受診。MR検査にて視神経異常なしと診断。 その日、エストロゲン補充テープを貼ったところ目が開くように。
    エストロゲン補充テープは腹痛になる1W前から2日に一枚貼っていました。下痢と全身蕁麻疹の症状が出てから、薬剤師の指示で停止していました。

    エストロゲン補充テープと首マッサージ、メルスモン皮下注射後、下がっていた瞼が開くようになりましたが、複視は治らず。
    その後、調節痙攣と診断され、ボトックス治療を内直筋にうち、複視の回復を願うも回復せず。

    仕事もパートですが一ヶ月休んで回復を願ってます。

    更年期障害は関与していると思いますが、それだけでは?と疑問。治るのでしょうか?

    • 眼瞼下垂=交感神経 複視=動眼神経 頭痛・まぶしい=三叉神経 と考えれば、全てが脳幹レベルで起こっている症状であり、これを更年期としてしまうと、どんな病気も全て更年期とひとくくりにされてしまいます。エストロゲンを中止したことによるリバウンドと体調不良が重なって、脳幹レベルに血行不良や炎症が起こっていると推測します(あくまで推測です)。ただし、私の推測が正しいとしても、それを治療できる医師がいません。実際のところ名のある鍼灸師などに治療をお願いするのがベストかもしれません。

      • 早速のご返信ありがとうございます。

        確かに更年期障害とひとくくりは難しいですよね。わかります。
        運悪く、いろいろなことが重なっての事。
        今は仕事も辞め、焦らないで生活しようと思います。といっても子供もまだ小学生。
        家事も2倍時間がかかるので、のんびりとはいきませんが。
        この状態以降、不眠になっているので、そこから改善したいと思います。ありがとうございました。

  3. 2015.9.9交通事後にあいその日は近くの整形外科でレントゲンとり頚椎捻挫、腰痛捻挫、両膝打撲との診断でしたが翌朝全身痛で特に足首痛と右手に力が入らずMRIのある整形外科に行った所中心性脊髄損傷疑いで即入院となりステロイド点滴をしました。一週間入院予定が次の日には違う医師が酷くないかと退院です。それから一ヶ月リハビリしましたが体幹を鍛えるという事とメチコパール処方ロキソニン、リリカは1日飲みましたがめまいが凄くてやめました。
    脊髄の事を言われ頭痛と手の痺れ改善の兆しがみえず転院しました。こちらはトリガー注射と静脈注射が基本の治療ですが、2ヶ月経過しましたが余り変わらず注射部位によっては微熱や吐き気全身痛などになります。医師は私が注射過敏体質だと言いますが、説明が余りなされないので困ります。看護師はこのような症状で頭がおかしくなる人もいるとの事、辛い症状があり将来的に改善するのか?このブログを見て是非ご意見をお聞かせいただきたく投稿しました。

    • 正直なところトリガーポイント注射は軽症の方になら効果がありますが、根本的な原因が脊髄にある場合は中枢感作という状態になっているので、トリガーポイント注射は無効です。治療は脊髄に行うべきですが、脊髄はとても長く、「どこが症状の発信源」なのかが、現医学のレベルでは判明しないのです。詳しくは「二次ニューロン性腰痛症」のところに説明してあります。全身を痛がる患者は、医師にとってはお手上げ状態なので、医師に嫌われます。また、全身痛では原因箇所が不明となるので、リスクのある治療はしないでおこうという保守的な考え方になるのが普通です。よって積極的なブロックは一般的な病因では受けられません。よってペインクリニックのある病院に入院し、献身的なペインの医師にブロックをしてもらうことが最善です。ペインの医師は献身的であることが多いのですが、いい医師と巡り合うためには運が必要かもしれません。現医学のレベルを超えて治療をしようとする献身的な医師以外には現在の症状を改善させることはなかなか難しいと言えるでしょう。医師に嫌われないでまともに治療をしてもらうためには、「もっとも痛い場所」を限定して医師に伝え、治療に優先順位をつけることです。そうすれば医師は「限定された箇所なら発信源がわかる!」となり治療意欲を燃やしてくれるかもしれません。まずは「医師探し」をすることです。がんばってください。

  4. 55歳の女性です。
    今年5月末頃より耳閉感、めまい、頭が重い、胸の圧迫感・締め付け、首が重い、息苦しくて我慢出来ない、といったいろいろな症状に苦しめられています。その5月頃にやっと閉経した事より更年期障害と診断され、そこから来た自律神経失調症による症状ではないかと思い、いろいろな病院を受診、漢方薬等も試したり、星状神経節へのレーザー照射も試していますが、一向に改善しません。
    その中で先生のサイトを見付ける事が出来ました。一度伺って相談したいと思います。

    • 「耳閉感、めまい、頭が重い、胸の圧迫感・締め付け、首が重い、息苦しくて我慢出来ない、といったいろいろな症状」をお持ちの患者が、私のところには毎日大勢来院されます。これらの症状は改善させることが可能です。信じられないようなら一度治療を受けてみればわかることです。ただし、問題は、治療効果に持続性がないことです。重症な患者ほど持続性が少ない傾向がはっきりしています。つまり、重症な人は何度も通院する必要があります。しかし、遠方から来院の方の場合、通院がそもそも極めて体力的に難しいために途中で挫折される方もおられます。やはり、遠方にお住まいの方は治療が難航することは確実です。この問題は私が日本各地に弟子を作っていくしか解決方法がないと思います。通院の問題をクリアしなければ、治療は成功しにくいことだけは確かです。

  5. 都内在住の52歳女性です。はじめまして。よろしくお願いします。
    一昨々年に割りと突然にとんでもなく体調が悪くなりました。
    頭痛、吐き気、腰痛、歯痛、食欲不振、不眠、便秘、下痢、動悸、息切れ、のぼせ、体もだるくて、絶対に何か悪い病気だと思い、かかりつけの医者にかけこみました。
    胃カメラ・心電図・レントゲン・MRI・血液検査などなど検査しましたが、どこも悪くないとの事でした。「こうなると、自律神経なんですよね」と言われました。特効薬もなし。大病という事ではなく良かったと言えば良かったですが、本人はいたってつらいです。インターネットで調べまくり、症状がぴったりあてはまったので「眼瞼下垂」の手術を受けました所、かなり症状はよくなりました。が、一番つらい「はきけ→不安→のぼせ」が残りました。1日に結構な数襲ってきます。その際体がつらく動けなくなる事もあります。また、疲れるとめまいも起きます。別の病院でベタヒスチンを処方してもらってますが、なかなか完治せず繰り返します。「眼瞼下垂」を受けた病院の先生は、「眼瞼下垂」は治っているので、他に原因があると思います。とにかくよく睡眠をとるようにとの事でしたので、極力気をつけています。タバコもやめ、コーヒーも良くないと聞きやめました。が、治りません。睡眠不足もそうですが、心的ストレスがかかると、如実に症状が出まくります。いわゆる更年期なのかとは思いましたが、どうにかならないものかと思っていた所、こちらのサイトを拝見しました。受診を希望しています。

    • いろんな薬剤で薬漬けになっていなければ、上頚神経節ブロックで改善する確率が高いと思います。ただし、あなたはおそらく私の治療に半信半疑でしょうから、私のアドバイスに全てしっかり従う心の準備ができていないと思います。あなたの病気を私が治すことができたとしても、それは現医学の現状からすれば偉業です。決してあさめしまえにできることではありません。

       偉業を成すためにはあなた自身が私を信じ切ること、敬意を示すことが必要になります。その理由は「難治性疼痛治療の障害は患者自身」に書いてありますので、一度しっかりお読みになることをお勧めします。覚悟がなければ治せないです。

      • お返事ありがとうございます。指示頂いた箇所を読ませて頂きました。おっしゃる事は全てもっともな話と感じました。
        半信半疑という事はありません。ただ未知の世界に期待と不安が入り混じっています。不安というのは、昔から注射は効く反面針を刺すので怖いですし、通う場合、どの程度のスケジュールなのかなどなど(覚悟がないと言われれば返す言葉もありませんが)。よろしければ一度受診をお願いしたいと思います。

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