外傷後の視力低下をブロックで治す

2017年治療成績

はじめに

むち打ち損傷後に急激に視力が低下する例は全国で多発していますが、その原因は一切不明であり、これを治療できる医師も皆無です。しかし、私は上頚神経節ブロックで視力を改善させることができましたのでそのブロックの効果を報告します。

症例 27歳 女性

  • 2014.7.6.仕事中、階段から滑り落ち、背部・左肘・左股・左膝・左下腿を打撲し、背中と首が激しく痛いという主訴で来院されました。左半身を階段にぶつけていますが、全くぶつけていない首や背中が痛いことを本人は不思議がっていました。
  • 現症 Spurling(-) 知覚異常なし、腱反射正常
  • XP:C4/5にアライメント異常あり(後弯している)、胸腰椎に軽度の脊柱側彎あり、胸椎の後弯は弱くストレート傾向あり

 

治療経過

  • 7月9日 初診時 NSAIDの処方
  • 7月16日 診察2回目 胃痛の訴えあり、NSAIDを中止 この時初めて視力低下が事故以来ずっと続いていることをうちあける。整形外科で訴えることではないと思い、彼女は私に話さなかったが、私が彼女に「目がしょぼしょぼして疲れやすくなっていませんか?」と核心をつくように質問。すると彼女は「実は受傷当日から視力がかなり低下していること(ぼやけて見えること)」を告白した。同日、上頚神経節ブロック 1%キシロカイン1cc×2を行い帰宅。
  • 7月19日 視力がほぼ完全に回復(コンタクトレンズによる矯正視力(右1.0、左1.2))しかしその後は仕事がハードであったためか、数日後から徐々に視界がぼやけはじめ、視力の低下を感じるようになる。
  • 7月24日 視力低下が不安なため眼科を受診。しかし、何の異常もないと言われ原因不明と言われる。
  • 7月30日 再び上頚神経節ブロックを行う。今回のブロックの効果は3日間、視力が回復した。しかし4日目から1メートル以上離れた者がぼやける。そしてたまにピントが合う。というようにまだらな視力低下が続いている。
  • 8月6日 上頚神経節ブロックを行い、「週に2回の治療」を勧める。が、忙しいので来院が難しいとのこと。肩こりが激しいことから強い痛み止めを希望。リリカ(25)を処方する。

<考察>

数日間ではありますが、視力を回復させることができました。しかし、ハードな仕事内容によりすぐに再燃しています。視力低下の原因は不明と言われていますが、上頚神経節ブロックで脳幹への血流量を増加させることにより、速やかに視力が回復したところから考えると、視神経に脳幹部での炎症と血行不良があると思われます。今後、治療を継続することで完治に導く予定です。経過は随時報告します。


本症例のように外傷後に原因不明の視力低下に陥り、そのまま後遺症として視力低下が残る患者が、全国には大勢いらっしゃいます。そうした患者には現在、治療法なしとされていますので、この新たな治療法は希望となると思われます。

 

外傷後の視力低下をブロックで治す」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    困り果てて、ネットを頻繁に探していたら、貴サイトを発見いたしました。
    何かコメントいただけると幸いでございます。東京在住です。

    日本有数の大きな眼科2件で半日以上にわたる精密検査をして、結果「原因不明」と言われました。
    「脳のMRIも、たぶん無駄だが、気休めに受けてもいい」と言われましたが、権威ある眼科医に「まず無駄だけど」と言われたので、すでにそうとうの金額を眼科検査に使ってしまっていたために、脳検査は受けておりません。
    眼鏡で矯正視力が全く出ないため、仕事に支障があり、窮地に陥っております。
    *視力低下の経緯*
    2013年の1月から、原因不明に突然、激しい右の肩甲骨の激痛が始まり、2週間ほど何も食べることもできませんでした。ベッドで仰臥位にしている時だけ、痛みがおさまり、何件の整形外科で検査しても(レントゲン、MRIなど)全く異常が見つかりませんでした。痛みは、右肩甲骨に刀を差されて串刺しになっているかと思うほどの激しい痛みで、よく使われる痛み止めのトップ5くらいを試しましたが、一つもまったく効き目がなく、無理に頼んで打っていただいた筋肉注射の麻酔薬すらまったく歯が立ちませんでした。西洋医学で方法が見つからないため、漢方薬局に相談したところ、「冠元顆粒」を勧められ試したところ、たった2包目で大きな変化を感じ、そのまま続けて飲んでいたら、1週間ほどで痛みが半分になり、3カ月ほどで完治しました。そのころ、メディアで「線維筋痛症」という病気を知り、これがまるで私の症状だったと思いました。どこの整形外科も、この病名は口にしませんでした。
    これが完治した3月ころ、急に入れ替わるように、視力が低下し、近くも遠くも見えにくくなり、直線はぐにゃぐにゃに曲がって見えるようになりました。そこで記述のように大きな眼科で、現代医学でできるすべての検査を行いましたが、3年経った現在ももとに戻りません。視力低下当初の直線が曲がって見える現象は半年ほどで自然に治りました。現在は、測定場所や条件でやや変化しますが、両目とも0.2 – 0.4の視力と、中心暗転が軽くあり、生活に支障ないものの、仕事に大きな支障があって困っております。ちなみに、それ以前は、裸眼で1.0あり、今まで眼鏡をかけたことはありませんでした。
    この繊維筋痛症が「冠元顆粒」という、血流改善の漢方で治ったことと、視力低下が血流と関係あるかもしれないということが懸念されます。ただ、冠元顆粒を飲んでも視力は改善しません。私と同じような症例はまったくなく、どこの医師にも「治せない」と言われ困り果てております。なお、血液検査などの精密検査もまったく異常なしでした。

    • 現医学では視神経よりも中枢で起こる出来事は一切解決ができません。病初期であれば私の行う上頚神経節ブロックで改善させる余地があったかもしれません。しかし、3年も経過しているので私の力が及ぶかどうか?わかりません。ただし、ブロックを行い、何らかの変化を感じたのであれば、改善する可能性はあると思います。東京在住でしたら通院が可能ですのでご連絡差し上げます。

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