損傷・再生速度の概念

損傷・再生速度の概念

血液は120日で入れ替わり、皮膚は30日で入れ替わり、毛髪は2~5年で入れ替わり、脳細胞は120年以上生きると言われ入れ替わらないと思われていますが、最近では大人の神経細胞にも神経幹細胞が発見され、神経細胞も再生されて入れ替わる可能性があることが示唆されています。 また軟骨細胞も再生されないと思われていますが、近い将来、軟骨が再生する証拠が発見されると思います。なぜなら、関節内に遊離した軟骨は関節液から栄養を受け、増殖することがわかっているからです。
というように組織は常に古い細胞が新しい細胞に置き換わります。この理由は生体の組織はただ生きているというだけで損傷を起こすからです。生きることは体内でブドウ糖を燃やすことであり、燃やすという化学エネルギーで細胞は損傷を必ず起こすのです。 この概念を治療に組み入れることこそが日常損傷病学です。 そもそもなぜ症状が出たのか?最近の患者は頭でっかちで病院に来るとすぐさま「なぜ痛いんですか?どうしてなんでしょう?」と病気が発生した理由を問いかけてきます。答えは修復速度が低下した、または損傷速度が上昇するようなことが起こったからです。 なぜ速度が変化したか?の理由が患者に理解できるはずもないので日常で損傷する仕組みを説明したところで患者には理解不能でしょう。発病は損傷>修復 という両者のスピードの差が発生の理由ですが、そもそもスピードの概念が人々にないわけですから、説明しても理解してもらえないでしょう。
まず、生きていることがそれだけで損傷になっているという概念が患者にも医師にもありません。よってこの考え方を今後は世間一般教育として教えていく必要があるでしょう(保健体育の授業に取り入れなければならない)。また、個々にある生体脆弱性により、普通に歩いているだけで組織を損傷させることもあります。よって患者がどのような生体脆弱性を持って生まれてきたのか?を教えてあげる診療もしなければなりません。もちろんこれは簡単なことではありません。これまでの医学にほとんどなかった概念ですから。 例えばO脚とX脚でどのような生体脆弱性となるか、研究し患者教育していかなければならないということです。
ここで改めて意識していただきたいことは、再生スピードが各体組織によって異なるということです。再生スピードが速い体組織では再生がたやすく証明されますが、スピードが極めて遅い組織・または再生数が少ない組織では再生が止まっているように見えるため、現在進行形で再生している姿を証明することが難しいでしょう。再生が止まっているように見える組織では「再生はしない」と言われます(例えば軟骨・例えば脳神経・例えば心筋)。
新たな概念として、日常損傷病学では再生スピードの概念を治療に取り入れます。 例えば、
  1. 1、急性の炎症は急速に大量の体細胞損傷。
  2. 慢性の炎症は損傷スピードと再生スピードが釣り合った状態。
  3. 変性は再生スピードが極めて遅い組織における体細胞損傷。
また、日常損傷病学では原因疾患において治療法を細分化するということに疑問符を投げかけます。 例えば、
  1. 感染は細菌やウイルスによる体組織の損傷。
  2. 外傷は物理的なストレスによる体組織の損傷、
  3. 腱鞘炎は摩擦による体組織の損傷。
というような概念を持つことをやめ、結局全てが損傷であると包括的に考えて治療を行うということです。 これまでは3にのみステロイド使用が認められていましたが、実際は1にも2にもステロイド使用が認められるべきと考えます。 例えば、細菌感染に抗生剤…これは正しい選択ですが、感染箇所の過剰な炎症を鎮めるためにはステロイドも使用するという新たな考え方です。

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