器質的異常のある無症状

器質的異常のある無症状

高齢者のXP写真を撮影しますと、あらゆる関節に変形が存在し、器質的異常だらけで一体何が症状の原因になっているのか理解できないほどです。しかしながら多くの高齢者が無症状で暮らしていることを考えると、器質的異常は治療開始の是非を考える材料に成り得ないことがわかります。
先日、私に通院している変形性膝関節症の患者が「大学病院で変形が進んでいるので手術しないといけませんよ」と言われたことをぼやいていました。「痛くないのに手術しろってうるさいんです」と(82歳女性)。 まさに器質的異常のある無症状の症例です。外科医たちの言い分は「どうせ悪化して歩けなくなるのだから、元気なうちに手術しなさい」です。しかしながらこれは現実にそぐわないことが私の調査研究で判明しています。私は保存的に治療している高度な膝変形の患者を2年から5年間フォローし、痛みや変形の進行度を比較していますが、私が治療している限りでは、XP上変形はほとんど進まず、症状もほとんど悪化しません。ただし「私が治療している限りでは」と限定しておきます。フォローの方法は関節内注射ですが、注射液の内容の選択、注射技術の上手い下手で成績が変わってしまうためです。実際に他の医師と私の治療を比較した調査では、明らかに私の膝治療の方が変形を抑止できていました。耐用年数で3~4倍の差がつきます。詳しくはこちら
つまり、私の研究では器質的な異常は「正しい継続治療を施している限り」ほとんど進行せず、手術を行わなくても生活に支障なく一生を送れるというものです。 同様に採血データや血圧データも異常値であるのに無症状であることが多々あります。採血データと症状の因果関係は内科医たちが考えているよりも実は相当複雑であり、そのほとんどが現医学で解明されていないと考えるべきでしょう。 医学は血液のラボデータと症状を関連付ける分野で、まだまだ未発達です。その未発達の事実を認識できている医師はそれほど多くないでしょう。医学書を敬い、神のごとく過去の教授の研究を讃え、その内容に疑問を持たないことをしつけられているからでしょう。 私たちは医学書から学びますが、そもそも医学書が未完成の未発達の書物であることを認識し、医師たちにこれまでの診断基準をうのみにせずに研究を進めてほしいものです。

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