VASを用いない治療概念

VAS(ビジュアルアナログスケーリング)を用いない治療概念

点でも線でもなく面で治療効果をとらえることの必要性を感じている臨床医は多いはずです。たとえば患者に「今の痛みは最も痛かった時を10とするといくらですか?」という質問をした時に、的確に答えられない患者が多いようです。なぜなら、今の痛みは10だったとしても、1日のうちに痛みが3のときもあれば7のときもあり、痛みは10でも痛みの続く時間が短かったり長かったりと様々なパターンがあるわけで、患者自身がVAS(正確にはものさしで痛さのスケールを計る)で回答することに「理にかなっていない」と感じているからです。 現在の痛みが10であっても持続時間が半分であれば全体としての痛みは5割減少したと考えるのが論理的であって、VASがいくらか?は臨床的な意味がないことは医者でなくとも素人が考えてもわかることです。
本来はVASを用いて痛みの24時間の折れ線グラフを作ってもらい、その線グラフを積分して面積を求めたものを痛みのスコアとするべきです。痛みの面積で治療効果を測らなければ臨床的な意味はありません。 限られた診察時間では、痛みの面積を出すことは不可能ですが、私たち医師は患者の「朝のうちは痛いけれど、昼間は痛みがほとんどなく、夕方にまた痛くなってきた」などの言葉から、その痛み面積のおおよそを判断し治療の指標としていきます。
簡単な計算方法として、痛みの平均持続時間と、痛みの強さ平均を掛け合わせたものから疼痛面積を求めるとよいでしょう。そうして出した痛み面積では、治療効果が非常によくわかります。 この考え方を導入することで痛み治療がこれまでのものとは一変します。これまでは痛みをゼロにすることが完治という考え方ありましたが、今後は痛み面積を30%削減させることを治療目標に置いたり、50%削減のままこれを10年間維持目標に置いたりし、高齢でも働ける体力を維持する療法などを確立していきます。 高齢社会で完治を目指すことは意味がありませんし、手術をしなくとも50%痛み面積削減×10年間は保存的療法で十分可能です。痛み治療の概念を痛み面積削減の概念へと変革させていかなければなりません。

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