ターンオーバーの生物学

ターンオーバーの生物学

すべての体細胞は仕組まれた寿命があり、寿命が短い組織は常に新しい細胞に満ち、寿命が長い組織では比較的古い細胞が多いという物理があります。人の体に起こる病気の全てをターンオーバーの異常という観点でとらえると、今まで判明してこなかった病理が見えてきます。すなわちターンオーバーの概念を学ぶことでこれまで解明されていなかったいろいろな病気のシステムが見えてきます。
例)皮膚細胞の寿命は2週間から4週間ですがこれは皮膚細胞の全てが生まれて2~4週の新しい組織で構成されていることを意味します。古くなった皮膚は角質となって体表に残り、皮膚表面を守り、やがて外に剥がれ落ちます。炎症を起こした皮膚は寿命が来る前に自己抗体に見つけられ、マクロファージなどによって始末され速やかに皮膚が不十分な角化をし、落屑(らくせつ)します。つまり皮膚に炎症が起こると皮膚細胞の寿命が短くなりターンオーバーが速くなります。速く落屑した皮膚は角質化が不十分なので物理的に弱いという性質があります。
新しい細胞は古い細胞よりもなめらかできめが細かいため、なめらかな皮膚を得たいのであればターンオーバーを速くするために皮膚角質層のピーリングなどを行ない、わざと皮膚炎を作ります。これはスキンケアの常識です。 ターンオーバーが速い皮膚は見た目がなめらかで美しいため、進化的に遺伝子的に女性は美しく見せるために男性よりも皮膚のターンオーバーが速いという性差があります。女性という生き物は肌の強さを得るよりも、肌の美しさを得る方が子孫を残していくうえで有利であったため男性よりも肌が美しくなるように進化したと考えられます。ひいては女性ホルモンが皮膚のターンオーバーの速さを調整する役割の一端を担っていると思われます。
おそらく女性の場合、ターンオーバーの速さは肌だけに影響しているのではなく、骨細胞のターンオーバーも女性では速いと思われます。骨細胞のターンオーバーが速いと骨密度が低下します。というようにターンオーバーの速さと強度は反比例する関係にあると思われます。 次にターンオーバーの基本を述べます。

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