2次ニューロン性腰痛症の発見

はじめに

私は「どんな治療薬、どんな神経ブロックを用いても治らない腰痛(疼痛)患者」を真剣に治療することを開始してまだ1年半しか経過していない。あらゆる麻酔科・ペインクリニック科の医師たちの高度なブロック注射に「全く反応しない痛み」を持つ患者たちは、全員が心療内科に送られていた。ここでいう「全く反応しない」とは、100%効果を発揮するであろう神経根ブロックを行ってさえも、全く痛みが変化しないという状況を意味する。つまり、神経を引き抜いたとしても「痛みが変わらない」ことを意味するわけで、そうした患者たちは身体具現性障害、うつ、などの病名をつけられ心療内科に自動的に送られることになる。その影響で本人も自分が精神的におかしいと思い込むようになる。


彼らは脳外科・麻酔科・精神科・内科…とあらゆる科をたらいまわしにされた挙句、最終的に精神科におさまり、大量の経口薬を処方される。私はそうした「現医学が見放した」腰痛患者たちを、「どこかに器質的な痛みの原因がある」と考え、本気で治療しようとして1年半が経過したわけである。


最初はてさぐりで行っていたブロック治療だが、奇蹟は起こった。なんと、あり得ないことに、胸部硬膜外ブロック(T3レベル)で腰痛、足底痛、しびれ、違和感が改善されるのである。つまり末梢神経が関与していない痛みやしびれ、不快感があることが推測されたのだ。


胸椎レベルには腰痛を起こす知覚神経(脊髄視床路)の軸索しか存在せず、神経細胞体は存在しない。よって知覚神経の2次または3次ニューロンの軸索が損傷されることによる幻の痛みがあることを発見したといってもよいだろう。腰痛や足の裏の痛みの原因が、腰よりもはるか上部の胸椎レベルにその原因があることなど、誰が想像するだろう。腰痛や足裏の痛みやしびれを訴える患者に対し、T3付近にブロックをする医師がどこにいるだろう。


しかし、私は脊髄視床路が損傷を受けて幻の(末梢神経が一切関与しない)疼痛を作り出すシステムがあることを臨床的に断定した。推定ではない。断定である。私の断定が医学的に通用するとは思わないが、「治らない疼痛」に悩む多くの患者たちの一筋の光となることを祈り、ここに記載する。他人任せではあるが、誰かが大学で真剣に研究すれば、この病態がすぐに解き明かされると思われる。そのきっかけになればと思っている。本文は「難治性腰痛症BICBの新治療概念」の続編である。


さて、そんなことは「あなたが言わなくてもアメリカの線維筋痛症学会でとっくに研究されている」と言うのであればそう言っていただいてかまわない。重要なことは治せるかどうか?である。治せるのならその理論はとっくに世界の常識となっている。


二次ニューロン性の腰痛の3例

私は3例のほぼ全く同じ症状を持つ患者を経験した。

  1. MRIなどで痛みやしびれに一致する所見がない。
  2. 神経根ブロックや硬膜外ブロックなどのあらゆるブロック注射で全く改善しない
  3. だるく不快な腰痛があり足底に痛みとシビレがあることが多い
  4. 腰ではなく胸部の硬膜外ブロックでのみ症状が改善する

※上に挙げた例はMRIで明らかな異常がない患者を対象としたので3例と少数になったが、MRIで多少の異常がある、腰部硬膜外ブロックが少しは効果があるというような例を合わせると、この1年半で同様な症例を10例以上経験している。


末梢神経が全く関与しない幻痛

本幻痛は幻肢痛とは異なる。足を切断したにもかかわらず、足の痛みを感じるという幻肢痛があるが、これは神経根がひきぬかれているわけではないので、神経根が炎症を起こせば、幻肢痛が出現するのは当然。これは神経根という末梢神経が関与している痛みである。よって幻肢痛は神経根ブロックで完全に消失させることができる。しかし、私が述べる二次ニューロン性の疼痛はシステムが全く異なる。脊髄視床路の主に旧脊髄視床路の軸索が損傷を受け、その損傷部位とは全く異なる遠方に幻の痛みを作りだすシステムである。末梢神経が関与しないわけであるから、胸腰椎移行部から末梢の神経をどれほど的確にブロックしたとしてもその痛みは全く消えない。


的確な神経根ブロックを行っても、全く痛みが軽くならない様子を見て、ブロックを行った医師は「原因は脳にある」と誤診することが確定する。末梢に原因がないのだから原因は中枢にあると考えるのは医師として当然である。しかし、それをいきなり「脳」のせいにするのは科学者ではない。脳と末梢の中間には脊髄視床路(2次・または3次ニューロン)が存在することを全く考えていないからである。


緩やかな脊髄損傷性腰痛

私は長年の研究の末、脊髄・脊椎不適合症候群の概念を確立させた(終糸症候群や平山病と概念が似ている)。その延長上に今回の二次ニューロン性腰痛の存在がある。つまり脊髄が尾側に引っ張られることによる張力と、胸椎の後弯カーブで後方の硬膜に圧挫されることによる物理的なストレスで胸髄のT3~4付近のニューロンが障害されて炎症を起こすことが原因であると考えられる。つまり緩やかな脊髄損傷である。


脊髄の損傷は走行距離が長いニューロンから障害されていくと推測する。つまり足裏や仙骨周囲に至る神経の二次ニューロンほど損傷されやすいと考える。さらに物理的に前索よりも側索や後索が選択的に損傷されやすいと思われる。それは胸椎の後弯から見て、前索はインコース、側索・後索はアウトコースを走行するからである。脊髄損傷であるならば、下肢の脱力や腱反射亢進も起こるはずだと思われるだろうが、まさに私の外来に来る患者はそうした症状も伴っている者が実際に多い(他医には原因は身体具現性障害と言われている)。そして、原因不明の四肢脱力の本格的な治療を行っている国内唯一の施設が私の診療所である。私の元に来院する原因不明の腰痛患者たちは、実際に腰痛以外にも脱力、心窩部痛、下痢、食欲不振、冷えなど様々な症状を訴える。それはまさに脊髄損傷が由来しているように思える。


脊髄視床路損傷について

脊髄視床路は外側(新)と内側(旧)があり、内側はC線維の痛みを伝えると言われる。患者の多くは鋭い痛みよりも鈍い痛みを訴えるが、基本的に幻の痛みであるのでどちらもあり得る。ただし、痛みが鋭いから外側、痛みが鈍いから内側と単純に考えてはいけない。基本的に脊髄視床路が損傷すれば、電気信号が伝わらないわけであるから、損傷=痛みというあまりにも単純すぎる思考をしてはいけない。信号が伝わらない場合は、別の神経を使って痛みを作りだすわけであって、その場合、痛みは鋭い・鈍い、どちらもありうると考える。その細かなシステムについては、未だに解明されていないが、「全てわかっているような顔をする神経生理学者」が、今後、システムを解明してくれることだろう(私は彼らを信じていない。なぜなら彼らは私のような臨床医を信じていないからである)。


脊髄視床路損傷のブロック治療

私は既に脊髄視床路だけではなく、錐体路障害についてもブロック治療を行っている。ALS様の脱力を来す患者に対し、ブロックを行うことで筋力を回復させてきた。同様に脊髄視床路についてもブロックで軽快させることができると信じ、「あらゆるブロックを行っても軽快しない腰痛患者」に対し、果敢に胸部硬膜外ブロックを行い、そして痛みを軽快させてきた。そう言っても学者たちは私の功績を信じないことは知っている。ある神経生理学者には「先生がハンサムだったらそれだけで痛みは治りますからね」と言われ、バカにされた経験があるくらいである。ここまで臨床医がバカ扱いされているわけだから、医学は進歩しない。


ではなぜ硬膜外ブロックで治るのだろう? その理由はストレス部位の血行が回復するからだろうと推測する。硬膜外ブロックにより脊髄動脈とその末梢が拡張し、血流が増加して阻血部分が回復するのだと考えている。よって、実際には硬膜外ブロックよりも胸部交感神経節ブロックのほうが効果が高い可能性もある。しかし、脊髄動脈の流入は個人個人で異なるため硬膜外ブロックの方が確実である。


二次ニューロン性上肢帯痛症

当然ながら、二次ニューロンの損傷による上肢の痛み、しびれが存在する。学会はそれを認めなければならないが、おそらく無理であろう。頸髄の場合、C1~2付近の緩やかな脊髄損傷で発症する。これもまた私の提唱する脊髄・脊椎不適合症候群の一つの派生形である。


二次ニューロン性の上肢帯痛・しびれはあらゆるブロックが効かないはずである。神経根ブロックを行ってさえも全く効果がないであろうから、患者は必ず心因性と断定される。もし、そうした患者にMRIで多少の椎間板の膨隆があれば不幸を招く。頸椎椎間板ヘルニアが原因の痛みやしびれ、と誤診されて手術され、治らないどころか悪化することになるからである。


腰痛・下肢痛に二次ニューロン性の痛みが存在するのなら、上肢痛・しびれにも二次ニューロン性のものが必ず存在する。その存在を認識せずに外科医たちが手術をしている現状は恐ろしい。基本的に二次ニューロン性の上肢痛は「上頚神経節ブロック」が最適であると思われる。しかし、その普及には難がある。私のような臨床医がこうした病態を提言しても、誰も耳を傾けないからである。


二次ニューロン性と感じたらまず治療を受けてみる

二次ニューロンは痛みの発生場所から相当離れている。よって、「足の裏が痛い」と主張する患者の背中に胸部硬膜外ブロックを行うことは、まるでキ○ガイじみている。よって、患者も私を信じないし、患者の家族はなおさら私を信じない。よって治療法を提示できたとしてもそれを受け入れないことが予想される(実際にそういう患者が存在した。患者の兄が整形外科医だったのでなおさら)。だが、まず、受けて見ないことにはわからない。もしも、これまでどんなブロックを行っても全く無効という症状があるのなら、一度は受けてみた方がよいだろう。


二次ニューロン性疼痛は少なくない

実際に、現在、身体具現性障害と診断され、精神科に入退院を繰り返す患者の中に、二次ニューロン性の疼痛患者が相当数存在すると思われる。彼らはあまりの苦痛のために、意識が薄れるほどの経口薬を要求する。それを与えられるのは精神科のみだからである。これらの患者にブロック注射を行うことは、医学界の蜂の巣をつつくことになる。それは、医師たちが今まで大誤診をし続けてきたことを認めることになるからである。世界の医師たちの権威を失墜させるだけの蜂の巣である。よって蜂の巣は誰もつつかない、つつけない。私も敢えて蜂の巣をつつこうと思っていない。だからひっそり、こうしてブログに書き留めるに終わっている。私は二次ニューロン性の痛みがあることを断定したが、他の世界の医師たちがこれを受け入れるにはまだあと50年はかかりそうである。


胸部硬膜外ブロックの治療効果

これまでどんなブロックを行っても軽快しなかった症状が、本ブロックで初めて軽快したという実感があるが、これが半永久的な治療へと実を結ぶかは今後の症例を検討していくしかない。胸髄に破損と炎症が起こっていたとして、本ブロックがその部位の組織再生にどの程度効果を発揮するのかは未知数である。脊髄脊椎不適合という物理的な障害をブロックでは取り除くことができないため、一次的に血液の循環を改善しても、すぐに血行不良に陥ると思われる。どの頻度でブロックを行えば、軽快するのかは、症例ごとの重症度にもよる。今後の研究成果を待つしかない。ただ、二次(上位)ニューロン性の痛みや運動障害(麻痺)に対する治療を行っている施設は、日本ではおそらく私のところ以外にはないと思われる。よって、これに該当すると思われる症状がある方は、ぜひ一度私のところに来院していただきたい。

 

ケナコルト(ステロイド)のリスクと効果

はじめに

ケナコルトをはじめとするデポメドロール、リンデロン懸濁液などの固形粉末ステロイドは炎症抑制の持続効果が極めて強く、絶大な効果を発揮することは知られています。しかし一方で副作用(腱断裂、関節破壊など)が懸念され、たやすく使用することのできない使い勝手が難しい薬剤です。その適切な使い方が普及していないために「一線を超えてしまう」ことがしばしば起こり、医療過誤となることも多いようです。ここでは、ケナコルトの適切な使用方法を研究している私が、使ってよい、使ってはいけない、の境界線について述べて行きたいと思います。ケナコルトを基準に話を進めますが、ケナコルト以外のステロイド、そして生物学的製剤などの免疫抑制剤なども同様です。


ステロイドの悪しき作用

最近用いられるようになったレミケードなどの強力な免疫抑制系の薬剤は「肺線維症」の副作用が警戒されます。肺の間質の細胞が膠原繊維に置き換わっていくために肺が固くなり呼吸機能が衰える疾患です。

免疫を抑制すると、死んだ細胞を処理する(免疫)作業が停滞しますので、細胞の死骸が蓄積されていきます。細胞の死骸は処理不可能なためゴミとしてその場に捨て置かれるしかありません。その際に死骸に細胞適応が生じて膠原繊維などになります。よって細胞が大量に急激に壊死する状態に免疫抑制剤を使うと、膠原繊維が体内に蓄積し、これが不可逆な血行阻害の要素となり周囲の壊死を進めるでしょう。

ステロイドが悪者扱いされるのは、このような壊死細胞のゴミ化を助長し、血行阻害がさらに進み、結果的に組織破壊がささらに進む恐れがあるからだと言えます。


ケナコルト(ステロイド)の善と悪の境界

ケナコルト(ステロイド)は適量を使用すれば、ほとんどが絶大なる効果を発揮して「善」となります。しかし、使い方をわきまえなければ「悪」に転じます。その境界がどこにあるかを知っておかなければなりません。

  1. ケナコルト(ステロイド)の善 浮腫軽減→局所の血行増進→死んだ細胞の処理が進む→組織が修復される
  2. ケナコルト(ステロイド)の悪 免疫抑制→死んだ細胞の処理が停滞→死細胞が細胞適応を起こし膠原線維などに置き換わる→無血管野ができる→慢性の機能不全→組織破壊が進展

この二つの善と悪がどちらに転じるかでケナコルト(ステロイド)の影響が変わると考えてよいでしょう。その境界は死んだ細胞の「処理が進むか停滞するか?」にかかっていることがお分かりいただけると思います。ケナコルト(ステロイド)が死細胞の処理にどう影響するか?が全てであり、ここを見極めない限り「ケナコルト(ステロイド)を使用する資格なし」となります。ステロイド使用資格は、運動器から、膠原病、耳鼻科、眼科、婦人科などすべての領域で同様であり、すべての科の医師がこの「ステロイドの善悪」について勉強しておかなければなりません。


ケナコルトの異物作用

ケナコルトは固形であり、その存在自体が組織内では異物となり周囲組織を傷つける存在であり、アレルゲンとなりうる物質であり、そして血行を阻害しかねない存在です(固形だからです)。よって、注入量が多いとそれだけで組織破壊を進めてしまいます。しかも、ケナコルトは解けて吸収されるのに数週間かかりますから、それらの悪しき作用も数週間持続すると考えます。よって第一に、ケナコルトは「可能な限り少量使用」としなければなりません。しかし、少量過ぎると効き目がなくなります。ですから、まずは「効果を発揮する最少量」を研究しなければなりません。最少量の研究結果はこのHP上にも記載しています。が、大雑把に言うと「1回量が数ミリグラム」です。これほどわずかな量で効果が出る理由はDDS(ドラッグデリバリーシステム)です。拡散せずに局所に留まり続けるからです。1箇所に1度に10mg以上となるようでは「多すぎ」ですのでご注意ください。ケナコルト1瓶は40mgまたは50mgですから、これらがいかに多すぎる量なのかがわかります。異物作用で局所に炎症が起こり、皮下にくぼみが出来てしまう例があります。たかが腱鞘内注射でさえ、ケナコルトの量が多いと異物反応が起こり後遺症を残すことを考えておかなければなりません。


患者の日常生活に分かれ目がある

ケナコルトやレミケードなど免疫を抑制する系の薬剤は「悪として働くか? 善として働くか?」は患者にも医師にとっても大変興味のあることですが、この境目は実は患者の日常生活にあるのです。その意味を以下に示します。

免疫抑制系の薬剤は基本的に「組織破壊が極めて激しい部位には使用してはいけない」という原則があります。この原則は知られているようで知られておらず、例えば能書きには「動揺関節には禁忌」と書かれています。動揺関節かそうでないかを判断できる医師はこの世にはいないに等しく、判断基準もなきに等しく、これを正しく理解すると「組織破壊が極めて激しい部位には使用してはいけない」と私は解釈します。

また、「感染箇所には禁忌」と書かれていますが、感染も物理的な破壊も、細胞にとっては破壊という異味では同じです。両者の違いは、感染の場合、細胞の破壊スピードが菌によってことなることと、物理的な破壊よりも感染の場合は二次関数的に破壊が広がる点です。

何が言いたいかと申しますと、緩やかな感染であれば「組織破壊が極めて激しい部位」の定義にはあてはまらないので使ってよいということです。


逆に、一見、動揺関節ではない関節でも、急速に炎症が進む場合は「組織破壊が極めて激しい部位となる」ことです。

組織破壊が極めて激しい部位では細胞がたくさん死にます。死んだ細胞(体内のゴミ)を食して回収する免疫系統をステロイドが抑制してしまい、組織の中に死んだ細胞の山を築いてしまいます。よって組織破壊の激しい部位では、「破壊をやめさせる」ことが治療の第一選択にしなければなりません。この第一選択をしていない状態でステロイド(ケナコルトなど)を使用すると次のようなことが起こります。


組織破壊が激しい部位ではプロスタグランジンなどの疼痛物質が盛んに作られますが、ステロイドはそれを抑制し「痛みを軽くさせて」しまいます。痛みを軽くさせることが患者の行動範囲を広げてしまい、結局組織破壊行為を推し進めてしまうことになります。

ケナコルトを使用すると、その消炎鎮痛作用も極めて強力かつ長期間持続します。よって患者が自ら行う組織破壊行為に歯止めが効かなくなり、結果、ケナコルトが「悪として働く」側に回ります。「痛くないことが害になる」ことの意味を知らなければ、ステロイドを使用するべきではありません。


ケナコルトが善になるか悪になるかの境界は、組織破壊のスピードに極めて依存していると私は考えており、その考えの元にケナコルトを使用した際は患者の日常生活指導を徹底するのです。急激な細胞破壊が起きている場所かそうでないかの見極めが、すべてのステロイド使用者に必要であり、その見極めはきわめて難しく、医学書にも書いておらず、よって見極めができないうちは気軽にステロイドを使用するべきではないと考えます。私はそれらを見極めるために、自らステロイドを研究してきました、では、実際の「善と悪の境界線」見極め方について述べます。


ケナコルト使用ガイドライン

私は、関節も靭帯も滑液包も腱鞘内も、全てケナコルトの使用量は一律にしています。1回1箇所1週毎にケナコルト2.5mgです。この週1回のケナコルト2.5mg投与を痛みが軽快するまで毎週行います。痛みが軽快した時点で隔週~月1回と投与間隔を開けて行きます。多くの患者は1回のケナコルト注射で痛みのほとんどが消失しますので、毎週連続投与になる患者はマレです。連続投与となる患者は自ら高度の破壊行為を行っていることが推定されます。


毎週ケナコルト投与しているにもかかわらず、痛みがとれない患者の場合、自ら行っている組織破壊行為が過剰と判断します。つまり、痛みを組織破壊の基準としています。ケナコルトは非常に強力に炎症を抑えますのでこれを4~8回連続投与で痛みがとれていないことは「極めて異常な破壊を行っている証拠」とします。このとき、ケナコルトが強力に痛みを抑制しているせいで患者が破壊行為を無理なく行えています。


この時、初めて、患者に対して「すべての行動を制限するように」命じます。そしてケナコルトの使用を中止し、わざと痛みを感じさせ、いかに自分の行っている日常生活が関節を破壊させているかを体験させます。この4~8回連続投与が一つの境界線であり、さらにケナコルトを続行すると、おそらく関節破壊は急激に進行します。つまりこの時点がケナコルト(ステロイド)が「悪」に変貌するポイントです。このポイントを無視してケナコルトを使用する世界の整形外科医たちが、患者に後遺症を残すのです。そしてケナコルト(ステロイド)が使用禁止とされてしまいます。


もし、この時点で患者が行動制限を守り、ステロイド抜きの注射で痛みを軽快させた場合、私は再びケナコルトの使用を考えます。それはケナコルト使用が「善」となるエリアに患者が戻ったからです。このような「善か悪かの境界線」は流動的です。疾患によっても異なります。そこで疾患ごとに境界線を研究していかなければなりません。


疾患ごとのケナコルト使用の境界線

アキレス腱治療の境界線:痛みが1ヶ月以内に再燃する時点が境界線、これを半年(6回)以上繰り返すとその後1年以内にアキレス腱断裂となる可能性が極めて高い。1ヶ月以内の再燃を数回以上繰り返す場合、ケナコルトが断裂までの期間を短縮させてしまう。


腱鞘炎治療の境界線:ばね指、ドゥケルバン、各伸筋・屈筋腱炎、腱鞘炎を1週間毎に再燃させることを6回以上繰り返すと断裂の可能性が高まる。ただし、リウマチやその他の膠原病体質があり、腱鞘炎を起こしやすい例ではケナコルトを使用しない状態でも断裂する。また、1週間以内に再燃することを4回以上繰り返す場合は要注意。


肩関節周囲炎:これまで肩関節周囲炎の腱板炎に肩峰下滑液包内へのケナコルト使用の例では毎週使用(1回に2.5mg)でも私の場合は腱板断裂を経験したことがない。腱板は断裂の可能性が低いと思われるが、易損性は高まると推測される。易損性が高まると転倒して肩を打撲した際に断裂の可能性が高まるので、一応、ケナコルトの毎週使用には3か月を限度とすることが望ましい。


変形性膝関節症:1回1関節にケナコルト2.5mgを毎週連続投与で4~8回が境界線。つまり治療を開始して1~2か月で痛みがほとんど軽快していない場合はケナコルトの使用を中止する。日常生活で厳重に安静を保つことを指導し、指導を無視するようなら一切の治療を中止することを辞さない強硬姿勢を患者に示さなければならない。その時点でヒアルロン酸注射に変更し、痛みが強くならない程度に運動量に自制をかけることを患者に約束させる。患者が約束を守り、痛みを軽快させた場合はケナコルトを隔週投与から開始する。


以上が整形外科領域のケナコルト使用ガイドラインです。しかし、実際はステロイドの使用ガイドラインが全ての科に必要であり、それを作成していない現医療体制ではステロイドの使用が「悪」に変わる例を防止することが難しい状態です。以下に、各科で検討していただきたいステロイドの境界線の例を示します。


ステロイドの境界線

ここではステロイドが体の組織にとって「悪」に変わるポイント(境界線)についていくつかの例を挙げて考察します。「悪」に変わるポイント=「ステロイド使用禁忌」を意味しますが、この「禁忌」と変わる点がどこにあるかを認識することは現医学界ではなされておらず、そのため、今も尚、ステロイド(レミケードなども含む)投与が病状を悪化させ、致死的な状態になる事故が水面下にたくさんあると思われます。これからの医学の進歩のためにステロイドをはじめとする免疫抑制系のターニングポイントを研究していく必要があると思われます。私は「組織破壊が極めて激しい場合」にステロイド使用を禁忌とすべきであるという原則を提唱し、おそらく世界で初めて、各科においてそのポイントを研究するガイドラインが必要であることを述べます。


内科系

末期癌

癌が組織の破壊を急激に進展させた場合、ステロイドの使用は悪液質をさらに悪化させると思われます。末期癌では悪液質を改善させるためにステロイド使用が望ましいとされますが、組織破壊が大量となり、悪液質が極めて進行するとステロイド使用で患者の容態が急激に悪化することがあると思われます。このターニングポイントはホスピスを担当する医師の研究で解明されていくでしょう。そして、末期がん患者のステロイドターニングポイントの研究は、ステロイドのターニングポイントは医師たちが想像しているよりも深い場所にあることを教えてくれるでしょう。

 

膠原病

膠原病とその周辺病(潰瘍性大腸炎など)ではステロイドだけではなく、免疫抑制剤の全てのターニングポイントを研究する必要があります。致死的なのは間質性肺炎(肺線維症)です。免疫抑制剤が肺線維症を増加させるポイントがターニングポイントであり、XPを用いて経過を観察するのではなく、その前に手を打つためのガイドラインが必要です。CPRやサイトカインなどを指標として、ターニングポイントの値を知る研究をすることが急務と思われます。

 

腎臓

ネフローゼ、IgA腎症など ステロイドを日常的に治療薬としている科では「組織破壊が急激な場合にステロイドが逆に組織を破壊する要因になる」ことを認識している医師はほとんどいないと思われます。ステロイド治療しても症状が改善されない場合はターニングポイントの可能性があり、ステロイド使用禁忌となる場合があることを研究していかなければなりません。

 

感染症

感染症の場合、ステロイドが禁忌と世界中の医師たちが考えていますが、この誤りをいち早く正さなければなりません。つまり、感染症の場合、ターニングポイントがゼロ地点にあると思われていることが極めて愚かな誤りなのです。

感染症の場合、たとえば、風邪をひいたとき、ステロイドの投与は劇的に症状を改善させ、完治までの期間を何倍にも短縮できます。つまり、感染症にもステロイドのターニングポイントが存在し、そのポイントよりも手前であれば、ステロイド治療は極めて優れた治療法となります。感染症にステロイド禁忌という愚かな定義を一刻も早くなくし、感染症でのターニングポイントを正しく研究する方向に医学が進むことを切に望みます。

肺結核でさえも、ステロイドが特効薬になることを認識しなければ医学は発達しません。なぜなら、たとえ愚かな医師たちが「結核にステロイドは禁忌」と叫んだところで、体内の副腎皮質では結核がアクティブな時はさかんにステロイドが生産されて分泌されているのですから。


耳鼻科系

突発性難聴では耳鼻科では大量のステロイド投与が常識化しています。しかし、ステロイドで治療しても大半は改善しません。ステロイドしか治療方法がないので原因が不明にもかかわらずステロイド投与している現実を直視しましょう。おそらく内耳神経核に関わる神経細胞の何らかの損傷(血行障害、長時間の悪姿勢による物理的な張力ストレスなど)で難聴が生じると思われます。しかし、神経細胞の損傷が急激である場合、ステロイドが神経組織の破壊をさらに進行させる可能性があると思われます。そうしたターニングポイントを研究せずに、ステロイドの大量投与が行われ、さらに改善率が高くない現状では、悪化したとしてもその原因がステロイドの投与にあると思われないところが問題です。

 

眼科系

視野狭窄や視神経炎、原田病などでは、進行を止めるために大量のステロイドを長期間投与することもしばしばあります。失明すると大変なので医師たちは「どんなリスクを侵してでも」ステロイドを大量に投与しようとします。しかし、そうして投与してもよくならなかった症例の中には、ステロイドの大量投与が原因で悪化したものがあることを真摯に認めて研究しなければなりません。ステロイド投与が失明を進展させるポイントが必ずあります。そのポイントを見極める研究をするには「眼科医たちに自分の首を自分で絞める」覚悟がいるでしょう。


ステロイドの真実

私はステロイドが悪に働くか善に働くかの境界が「組織の破壊量(スピード)」にあるとする新しい理論を提言しました。この提言を受け入れるには、医師たちが今まで「そうとは知らずにステロイドを大量に投与してきた罪を認める」作業となるため、極めて困難であると思われます。逆に、感染症では一律、全てにおいてステロイド禁忌という間違った理論が医学界に蔓延しており、「ステロイドを投与すれば助かったはずの人が肺炎でお亡くなりになる」というパターンが全世界に相当な数として実在すると思われます。感染症にステロイドを使用して人の命を救った英断ある内科医もいると思われますが、そうした内科医は必ず異端児扱いされます。整形外科領域では、私はステロイドの使用ガイドラインを真剣に制作することに取り組みましたが、やはり私は異端児です。

さて、ステロイドは使い方により善にも悪にもなり、そのターニングポイントを研究するという重要課題をこれまで先送りにしてきた医学界の罪を問わなければなりません。ステロイド大量投与の罪が問われていた時代は数十年前に終わりましたが、現在、医師たちにはそうしたステロイド使用のトラウマが残り、ステロイドのターニングポイントを研究するということ自体を禁止している状態が続いています。一刻も早く、この状態を医学界全体が抜け出すことを願っています。


追記:レミケードなどの生物学的製剤が各種開発され、免疫抑制系の薬剤が急激に進歩しました。当然ながらこれほど強力に免疫系を抑制できる薬剤は、ステロイド以上にターニングポイントを考えなければなりません。しかし、その研究は全くなされておらず、その被害者は増えて行くでしょう。残念ながら、現在は投与前に副作用を検討するのではなく、投与後に副作用が検討されている時代です。一刻も早くこのような状態を抜け出さなければなりません。

科学界に衝撃、医学界に激震、リンパ管組織発見

2015年、バージニア大学医学部で「中枢系リンパ管」という全く新しい組織が人間の体内に存在することが発見されました。まずはその詳細を転載します(GIGAMENより)。


新しい発見

医学・科学は目覚しい進歩をとげ、人々は人間の体について隅々まで研究・調査し、もう知らないことなどないと思われていた。だが2015年、米バージニア大学医学部の研究チームは、まったく新しい人間の体内組織を発見したと発表し、医学・科学界に非常に大きな衝撃を与えている。

新しい循環器、中枢系リンパ管

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実際に見たり触れたりすることはできないが、「中枢系リンパ管」と名づけられたこの新しい循環器は、脳から余分・不要なリンパ液を廃液する役目を担っており、神経疾患や免疫性をより良く知る上で重要な組織だ。米バージニア大学医学部の研究チームを率いるAntoine Louveau氏が、繊細な細胞を傷つけることなくマウスの髄膜(脳を覆う軟膜)をスライドにのせる方法を考案したが、その方法を用いて研究を行っていたところ、同研究チームが中枢系リンパ管を発見した。研究チームは驚いた。なんと人間の脳検体からも同じリンパ管が発見されたのだ。ユニコーンに偶然出くわすことに値するほどの大発見。


これまで、リンパ系組織は脳内には存在しないものとされてきており、今回の大発見は科学界では万に一つもない想定外の大発見であった。この組織自体がこれまでに発見されていなかったことはもちろん、その存在は教本上では「ありえないこと」として取り上げられていたのだ。では、この中枢系リンパ管がこれまで見落とされてきた理由とは?ずばり、中枢系リンパ管は深層部に存在するからである。


脳の内部および外部血管から血液を廃液する硬膜静脈洞内に中枢系リンパ管がある。また、主要血管付近にあるため、それら血管の影に潜んでいたというわけだ。医学・科学界における偉大な発見だということに変わりはないが、さらなる研究と調査が必要だと同研究チームは述べている。ただ、多くの人々を悩ませてきた多発性硬化症や、アルツハイマー病、そして自閉症などといった難解な疾患の数々を理解し学んでいく上で今回の発見=中枢系リンパ管の存在が大きな役割を果たしてくれるのは確かだ。


高齢化が進みアルツハイマー病を患う患者数が増え、また人々が自閉症についての理解を深め早い段階で認識することができるようになってきたことから自閉症患者数も増加しており、患者の家族らはこれらの病気にどのように向き合っていけば良いのか日々悩んでいることだろう。患者のためにも、患者の家族のためにも、今回の歴史を揺るがす大発見が今後またさらなる発見へとつながることを期待したい。

参照元;mental_floss


 

脊髄や末梢神経は未知

この偉大な発見は医学書を大幅に塗り替えるほどの影響力がありますが、世界の医学部の教授たちは自分たちの学説がいろいろと塗り替えられるほどの影響力があることに気づいていないか知らぬ顔をしているようです。なぜならそのことに気づいているのなら、日本の医学界にも激震が走っているはずなのに、皆平静だからです。まるで他人事のようです。この発見では、脳のリンパ系が発見されたのみであり、脊髄や末梢神経のリンパ系は未知のままです。しかし、10年以内にはそれらも判明するでしょう。リンパ系の発見が既知の医学学説に対して大きな影響力がないと思っているのでしょう。しかしそれは違います。


リンパ系は動脈と同列

末梢の細胞をミクロレベルで観察すると動脈から血漿成分が血管外に流れ出て、その液体が酸素や二酸化炭素の受け渡しを行い、ブドウ糖などのエネルギー源の受け渡しを行います。それらの液体がリンパ液となって排水されて静脈に戻るということで生体内の細胞は生き続けることができます。もしもリンパ系が詰まって、狭窄してうっ滞すれば、液体は停滞し、細胞は酸欠に陥り機能しなくなります。そういう意味でリンパ系は細胞の命の源であり、動脈と同列の重要な組織です。


中枢神経系にリンパ系が発見されたということは、脊髄や末梢神経にもリンパ系が発見されるのはもはや秒読み段階でしょう。これまで原因不明とされていた神経疾患が、リンパ系の炎症によるうっ滞が原因で神経細胞が壊死していく原理などが解明される可能性があります。そして既知の理論が間違っている可能性も暴露されていくきっかけとなるでしょう。


ブロック注射の副作用の怖さ

神経系にリンパ管が存在することがわかれば、神経ブロックの怖さ・副作用の怖さが現実味を帯びます。それは神経リンパ管に薬剤が入り、逆流して脊髄液内に薬剤が拡散する恐れです。恐らく、10年以内に髄液の排水経路として新たに中枢リンパ系が発見されるでしょう。その中枢リンパ系にブロックの薬剤が注入されれば、末梢から脊髄内へ薬剤が入り「脊髄麻酔」となってしまうでしょう。これが医療事故につながりやすいことは明白であり、中枢系リンパの発見は、「神経ブロックが危険な治療」であることを暴露することになりそうです。危険なのはブロック自体ではなく、気軽に行うブロックで脊髄麻酔がかかってしまうことを世界中の医師の誰一人として認識していないことが危険なのです。


造影剤で死に至ることを考える

整形外科ではおおよそ4年に1度、脊髄にウログラフィンなどの造影剤を入れてしまい、業務上過失致死となる事件が発生します。ウログラフィンには「脊髄禁」と表示されていますが、薬剤を吸うのは看護師であることが多く、医師も確認せず使用して事故が起こる場合があります。血管造影に用いられるイオパミロンも脊髄禁ですが、血管を造影しようとし、誤って中枢系リンパ管に造影剤を注入してしまうことが考えられます。その場合、造影剤は脊髄に流れてしまい医療事故となります。恐らく、そうして死に至った患者は世界中に少なくないでしょう。しかし、これまでの医学では中枢系リンパなど知られていなかったわけですから、脊髄に流入して痙攣をおこして死亡したとしても、その原因は単なる「アナフィラキシーショック」として扱われていたと思われます。血管造影で死に至った患者の中には、こうしたケースがあったはずであり、この推定的事実を考えると、本当はこのニュースがもっと大騒ぎにならなければならないほどの衝撃的な発見のはずです。なぜなら、血管造影は日常茶飯事に大病院で毎日行われているからです。


星状神経節ブロックで呼吸停止

私の知り合いの整形外科医から聞いた実話です。彼の家系は医者一家で、叔父が麻酔科医で星状神経節ブロックを得意としていました。彼の母は肩こりがひどく、叔父の麻酔科医が星状神経節ブロックをして差し上げました。すると、意識不明、自発呼吸停止のDOAとなり、すぐさま気管支切開をして呼吸を確保して命をとりとめたそうです。現医学では星状神経節ブロックで意識不明・呼吸停止となることを誰も想定していないと思われます。もしかするとその原因は中枢系リンパではないかと推測します。リンパ管に麻酔剤が流入し、脳幹の神経組織を麻痺させたのでしょう。こうした推測は中枢系リンパの発見があってこそできることであり、今までは「原因不明」とされていました。星状神経節ブロック後に意識消失する例はリンパ管を通して髄液内に薬剤が逆流した可能性を考えます。リンパ管に針が刺さることは確率的にはかなり低いので無視される可能性が高いですが、そうしたリスクの可能性を知らないことの方がリスキーです。無知ほど怖いものはありません。


ブロックでは不可解な副反応がしばしば起こる

私の経験上、ほぼ20人に1人に必ず起こる「仙骨部硬膜外ブロック時に耳が遠くなる」という現象があります。もちろん、現医学ではその理由はわかりません。仙骨裂孔付近の硬膜には静脈叢があり、それを指すと薬剤が静脈内に流入する可能性があります。しかし、明らかに静脈を指していないにもかかわらず、上記の現症は起こります。その理由はおそらくリンパ系への流入で麻酔剤(キシロカイン)が全身に回ったためと思われます。


また、私は腰部硬膜外ブロック後1時間の時間差で麻痺が起こることも経験しました。通常、硬膜外ブロックでは1時間程度で表面麻酔剤の効果が切れてきますが、本ケースでは1時間後に突然麻痺が出現して立てなくなりました。1時間後に脊髄麻酔がかかってしまったことは私の中では「摩訶不思議な事件」として心に残りましたが、その理由は硬膜外に注入した薬剤がうまく拡散せず、何らかの動作をきっかけに中枢系リンパに流入したと推測します。その他にも硬膜外ブロック後、時間差で麻痺が起こることを多数経験しており、これまでは謎でしたが、リンパ系の発見でつじつまが合うような気がします。


ブロックで半身不随になる事件

当HPへの投稿で、神経破壊薬を用いた腰部交感神経節ブロック後に半身不随の後遺症が残ったという事件があったことを知りました。施術者は「原因不明」の一点張りだったそうです。しかし、リンパ系が発見されれば、その理由はリンパ管経由で脊髄に神経破壊薬が流入したと推測します。神経破壊薬で脊髄損傷となったと思われます。それはめったに起こらない極めて悲惨な事故ですが、事故に遭った方の口惜しさを考えるとこういう事件を二度とおこしてはならないと思います。リンパ系が発見された現在、この類の事件がリンパ管を経由して起こるのだとすれば、うかつにボツリヌス毒素や神経破壊薬を用いてブロックをしてはいけないことになります。世界で行われている破壊的なブロックは、極めてリスキーなこととして扱われるべきであるかもしれません。リンパ系の発見はそれほど医学界に衝撃を与えるべきことです。


リンパ系から脊髄への逆流→事故を防ぐ

では、どうすれば麻酔薬がリンパ系から脊髄に流入して脊髄麻酔となってしまうことを防ぐことができるでしょうか? はっきり言いますが防ぐことができません。現在、治療後にふらつきやめまい、意識もうろうなどの現症が起こっている中に、リンパ系から脊髄に逆流したのが原因と思われるケースがおそらくかなりの件数あるでしょう。注入薬の全量が流入するわけではないと思われますが、一部が入ったという可能性を考えると、ブロックした人の2~3割にそういう現象が起こっている可能性も考えます。すると、流入を防ぐことは不可能なので、流入しても大丈夫なように安全性を高めた手技にすることが望まれます。そのための心がけをのべます。


ブロックの安全確立のために

  1. 頚部のブロックはトリガーポイント注射であっても慎重に行う
  2. 頚部へのブロックは可能な限り少量にする。具体的には1箇所2cc以下。
  3. 頚部へのブロックは高濃度の薬剤は使わない
  4. 可能な限りゆっくり(5分以上かけて)注入し、患者を観察する
  5. 可能な限り注入圧を低くする(逆流しにくくなる)

 

これらを守らなければ事故にしばしば遭遇するでしょう。よってブロックをする医師は安全確立を義務化する必要があります。しかし、中枢リンパ系が発見されてまだ間もないことから、こうした面倒な作業は麻酔科では敬遠されると思われ、世界各地でブロック事故はまだまだ起こるでしょう。


現実的に安全なブロックは難しい

ブロック手技には高度な技術が必要で、かつ時間がかかります。その上で上記のような安全ガイドラインを守るとなれば、現在の設定されている手技料では採算が合わなくなります。倍の時間をかけて行うことを義務付けるには、手技料金を倍にしなければ採算がとれないということを意味します。医療費で困窮する世界の国々が、そうしたことに賛同するとは思えませんから、上記の安全ガイドラインは無視される運命にあります。

無視されたとしても、事故の件数はどの道以前と同じであり、急上昇することはありません。ただただ、「急いで行うブロック注射は極めてリスキー」であることが判明しただけです。

中枢リンパ系の発見で、私は今後、さらに安全性に気を配りながら手技を行いますが、私と同じような考え方をしてくれる医師が、世間にどれほどいるのか?が疑問です。なにせ、リンパ系の発見がテレビニュースにもなっていないくらいですから。誰か、親切な方が、この意見を広めてくださることを願うのみです。

 

 

 

 

原因不明の「声が出ない(かすれ)病」の治療法

はじめに

声帯の炎症や腫瘍などが原因ではない「声のかすれ」「声が出にくい」症状があります。迷走神経の枝である反回神経が麻痺し声帯がきちんと閉じないことが原因と推測されますが、なぜ反回神経が麻痺を起こすのかが不明な例が少なくありません。これらは「突発性反回神経麻痺」といわれ「心因性」「ストレスから来るもの」という間違った診断がなされることが多いようです。自然に治ることもありますが、数年から数十年治らない場合もあります。私はこのような原因不明の声のかすれに対し上頚交感神経節ブロックを用い軽快させることができます。ここでは治療成功例を挙げ、声のかすれの病態を考察したいと思います。


症例1 62歳 男性

主訴:両上肢の激痛、両上下肢の脱力、左手の筋萎縮、嚥下困難、声のかすれ

 現病歴

1年半前から両上肢の痛みと両上下肢の脱力が出現、リリカ、トラムセットなど大量に服薬しても全く無効。「仰臥位になると腕がひきちぎられそうになる」ことからソファーで座りながら眠るということを1年以上続けている。半年前から声がハスキーになり、1週間前から唾を飲み込みにくい、冷たい水がのどを通らない、声がかすれてほとんど出ないという症状が出現したため上頚交感神経節ブロックで治療を開始した。

治療

1%キシロカインを上頚交感神経節に2cc×2(両側)を注射。これを1週間に3回行った。初回以降唾が飲み込めるようになり、3回目で声が出るようになった。


症例2 49歳 女性

主訴:上下肢の脱力、左半身しびれ、首肩背の強い痛み、そして数年前から声がかすれて出にくい

 現病歴

25年前に原因不明の体調不良に襲われ、それ以来首肩背腰の痛み(特に首肩が酷くこっている)、頭の締め付け、慢性疲労、無気力、動悸、立ちくらみ、これらが毎日ある。時々呼吸が浅く苦しくなる。これまで整形外科にかかっても何の効果もなく東洋西洋医学等、良くなると言われるありとあらゆる治療を試すが無効。首の牽引、ウォーターベッドのマッサージ、低周波の電気治療、ボツリヌス注射、整体、針灸などすべてが無効のため現在は心療内科処方の薬を服用。数年前から声がかすれ、しゃべると疲れて声が出なくなるという症状が出現した。どうせ医者には治せないだろうと思い、医師には診察を受けていない。

治療

1%キシロカインを上頚交感神経節に注射。その数分後にはしっかり声が出るようになった(完全ではない)。さらに胸部硬膜外ブロックを行い、上下肢の脱力が回復傾向となる。嗄声はまだ完治していないが、今後治療を重ねる予定。


症例3 73歳 女性

主訴:むせる、のみこみにくい、かすれ声

 現病歴

数年前から声がかすれるようになり、1年3か月前より液体を飲み込む際にむせやすくなった。体調が悪い時は時々食べ物をのみこみにくいという症状がある。今回1ヶ月前よりむせやすい状態が悪化してきたため私に相談。私は上頚交感神経節ブロックをすることを提案した。

 治療

上頚交感神経節ブロックを1度行うことで「むせやすさ」の症状は完全に消失した。かすれ声は「多少声が出しやすくなった」と述べるが一度の治療では少ししか改善していない。


かすれ声の病態生理

上頚交感神経節ブロックは人の交感神経節の中で最も頭側に位置する神経節です。内頸動脈をはじめ椎骨動脈、脳底動脈など脳・脳幹・延髄を栄養する動脈の平滑筋の支配神経である交感神経を麻痺させることにより、栄養動脈を拡張させて血流量を上げることができます。最も頭側の交感神経節であるからして、血管拡張作用は星状神経節ブロックよりも効力が高いであろうことが予想されます。私が上頚交感神経節ブロックを行うことでかすれ声を改善させることができる結果から逆に考察しますと、そもそも突発性のかすれ声の原因は脳幹(特に迷走神経核)の血流障害にあると思われました。ではなぜそもそも脳幹の血流障害が起こるのか?の原因は、私がこのHPで再三再四述べている「脊髄・脊椎不適合症候群」にあると思われます。すなわち、姿勢により脊柱管の全長が長くなり、脊髄の全長がその変化に追い付かず全長以上に引っ張られことにより強く緊張することが原因であると考えます。その結果、脊髄に続く延髄と脳幹が下方に引っ張られ、横断面積が縮小し、動脈の横断面積も縮小して血流障害が起こると推測します。


突発性反回神経麻痺の治療

突発性とはいうものの、上頚交換神経節ブロックで改善するのであるから、もはや突発性というネーミングは正しくないでしょう。突然に発生したかすれ声に上頚交感神経節ブロックが効果的なのですからもはやこの疾患は難治性の原因不明の疾患ではでしょう。脳幹の血流障害に起因していると思われます。


かすれ声治療の今後

声帯に異常のないかすれ声の治療には上頚交感神経節ブロックが第一選択であるべきと思われます。もちろん、このブロックでも治癒しない例が今後現れるかもしれませんが、今のところ私の症例では完治とまではいかないが「やや、効果あり」も含めれば100%効果があります。ブロックの回数と回復までの期間は迷走神経の損傷(虚血性の壊死)の度合いに依存すると思われ、慢性的に長期間経過している症状には、治療を繰り返さなければ効果が得られにくいと予測されます。また、根気よく治療を繰り返せば大抵のかすれ声を治せると考えます。かすれ声の治療は、まだ始めたばかりなので治療成績がまとまれば再び報告します。ひとまず、治療例を増やすために(患者を募集するために)時期尚早でするがこのような未熟な形で掲載させていただきました。


上頚交感神経節ブロックの安全性について

本ブロックは私が開発したブロックです。詳細は「上頚交感神経節ブロック」の項目に記載してあります。安全性に関しては「私が行う場合」に限ってですが後遺症を残すような事例は、開始6年以上経過していますが0です。出血による血腫、感染、刺入部の痛みなども0です。神経損傷もありません。長期(1年以上)毎週の治療でも合併症はありません。


注射後にめまい、むせる、顔面神経の一時的な麻痺、嗄声は時に見られることがありますが数十分以内に回復します。注射後動悸が約1時間続いたという経験が1例ありました。よって心疾患がある場合は注意したほうがよいかもしれません。注射翌日にリバウンドとみられる後頭部痛の例が三叉神経痛の患者にあるなど、多少の副反応が見られましたがどれも大きな症状ではありません。抗血小板、抗凝固系の薬を服用している場合は脳出血などに留意しなければならないと思われますが、出血例は0です。ブロック後の体調不良も0です。私はほぼ毎週、自分の首に上頚交感神経節ブロックを行い、安全性の確認を続けています。


本ブロックでは既製品では最も細い27G針を用い、そして組織を損傷させないように極めてゆっくり安全性を確認しながら針を進め、そして液体の抵抗のないところで圧をかけずに注射しています。よって注射の痛みはほとんどなく、注射後の違和感も出血もほとんどありません。自分の首に注射しながら安全性を日々研究していますので。


星状神経節ブロックと上頚交感神経節ブロックの違い

星状神経節ブロックも上頚交感神経節ブロックも頸部交感神経節ブロックという意味で同じようなものです。しかし上頚神経節ブロックは通常の星状神経節ブロックとは異なり、両サイドに行います。両サイドに行ったことで呼吸困難が起こったなどの事例は0です。星状神経節ブロック後のようなのど周辺の違和感なども起こりません。星状神経節ブロックでは胸部の血流も上昇させますが、上頚交感神経節ブロックでは頭・頸部のみの血流を増加させます。そのため、血流が胸部に盗まれることがない分、頭部の血流増加の効果が高いと思われます。さらに、星状神経節ブロックは左右のどちらかの血流増加を行いますが、上頚交感神経節ブロックでは両側の血流増加が期待できる分、星状神経節ブロックよりも効果が高いと思われます。


今後、かすれ声、声が出ないなどの症状がある方は、ここに投稿していただきますと幸いです。症例が集まれば、本治療法はゆるぎないものとなるのですから。

頭部を切断して別人の体に移植する頭移植手術(脊髄性筋委縮症)


 

はじめに

脊髄性筋委縮症(SMA)は私が主にブロック治療をしているALS様疾患とは病態生理が異なり、その病気の主体が脊髄の前角細胞にあるとされていますがALS同様運動ニューロンの障害が原因です。そして第5染色体に病因遺伝子を持つ劣性遺伝病であり(遺伝子以上がない場合もある)、およそ先天病です。SMAでは遺伝的に神経細胞のアポトーシスを抑制する能力が低いことが考えられています。しかし、基本的に「どんな組織も血流が多ければ修復されやすい(アポトーシスが起こりにくい)という原則が適用されると思いますので、私は脊髄性筋萎縮症でさえ、ブロックにより前脊椎動脈の血流量を増加させてあげれば、前角細胞の壊死することを食い止めることが可能であり、場合によっては進行を停止、または改善させることができると考えています。その矢先に「頭を移植する」というニュースが世界で話題となったので医の倫理や、今後の運動ニューロン障害系の疾患の将来の展望について触れることにしました。


頭の移植ニュースの詳細

頭を切り離して別人の体にくっつけるという頭移植手術プロジェクト、コードネーム「HEAVEN/GEMINI」を現実のものとしようとしているのは、イタリア・トリノにあるアドバンストニューロモデュレーショングループの研究者セルジオ・カナベーロ博士。セルジオ博士は、2013年に発表した研究論文の中で頭移植手術についての概要と実現可能性を説明していました。(出典:コモンポストhttp://commonpost.info/?p=70998)


この頭部移植手術を受けるのは、ロシア人男性ヴァレリー・スピリドノフ氏(30歳)。第5染色体に病因遺伝子を持つ劣性遺伝性疾患である神経原性の筋萎縮症「ウェルドニッヒ・ホフマン病」を患っているスピリドノフ氏は、1歳のころに診断を受けてから全身の筋肉が動かなくなりました。さらに筋肉が骨格を補助しないため、成長とともに骨格が大きく歪んでしまいました。


スピリドノフ氏は、体をほとんど制御することはできず、介護がなければ生活することはできません。通常、ウェルドニッヒ・ホフマン病の患者は20歳まで生きることができず、スピリドノフ氏は常に死と隣り合わせの状態です。そのためスピリドノフ氏は、今後も生き続けるために頭部移植のチャンスに賭けたいといいます。

スピリドノフ氏は、セルジオ博士の頭部移植手術に関する記事を読み、2年前にトリノ大学を経由してセルジオ博士に連絡をしたとのこと。その後は電子メールを介して情報交換を行い、手術の計画を立ててきました。


「怖いかだって?もちろん」と語るスピリドノフ氏。「でも怖いだけじゃなくても興味深いものでもある。私には多くの選択肢がないことを分かってください。私がこの頭部移植手術のチャンスを逃せば、今後の私の運命は悲惨なものとなるでしょう。私の病状は刻一刻と悪化しているんです」と述べました。


セルジオ博士によると、1970年代にアカゲザルを用いた動物実験で世界初の頭移植は成功しているといいます。しかし当時の技術力では、背骨を脊髄を上手くつなぐことができず完全に成功したとは言えませんでした。そしてアカゲザルは、8日間を生き延びたものの合併症によって死んでしまいました。


ところが現代においては、体を低体温状態にする技術を用いて頭を切断して体に血管を縫合する時間を確保し、「シーラント」と呼ばれる特殊な膜融合物質を用いることで、脊髄をつなぎ合わせて頭と体を合体させることができると説明しています。


手術中、体の頭は”眠った状態”となり、頭は12℃~15℃という低温保存されます。また、首の切断にはメスを使います。手術の手順は、まず体と頭が低酸素状態で生存できるように、45分間かけて体温を18℃にまで下げて患者を低体温にします。次に、頭の提供者と体の提供者の首を同時に切断します。このとき、血管などの首の組織を丁寧に切り離し、最後に最小限の損傷となるように慎重に脊髄を切り離します。頭部と体が完全に分離されれば、異なる頭部と体を結合。この際、脊髄には組織の修復を助ける「シーラント」と呼ばれる膜融合物質のポリエチレングリコールが塗られます。そして最後に、接合部分の血管と皮膚と縫合します。


患者は脊髄が繋がるのにかかる3週間~4週間の期間、絶対に体が動かないように固定され、昏睡状態を保ち続けます。この期間、脊髄の接合を促すため電気刺激が与えられ、頭と体の拒絶反応を防ぐために薬物が投与されます。セルジオ博士によると、治療後、患者はリハビリをすることで言葉を話し、1年以内に歩行することができるようになるといいます。


この手術を行えば、体が全く動かせない筋ジストロフィー患者などが自由な体を手に入れられることはもちろん、遺伝子疾患者、ガン患者、治療法が見つかっていない疾患を患う患者など、臓器移植で助からないような容態でも体の交換によって健康を取り戻すことができます。また体を提供するドナーは、脳死状態となっている患者を用いるといいます。セルジオ博士によると、この処置には100人以上の医者が関わり、全ての処置に36時間を超える大手術になるとのこと。治療費は、850万ポンド(約12億5000万円)を要するといいます。


セルジオ博士は、このプロジェクトを実現するためにアメリカ・メリーランド州で行われた神経学と整形外科の学会で計画を発表し、賛同者を募集しました。もちろん、多くの医者から非難の声が上がり、技術的にも倫理的にも大きな論争を巻き起こしました。多くの非難を集めるセルジオ博士ですが「非難する専門家たちは35年間にわたって身体麻痺の治療に失敗し続けてきた」「彼らこそ”危険な科学者”だと確信している」としており、批判の声に全く動じてはいません。


頭部移植だというアイデアだけ聞くと、突拍子もなく非倫理的な手術だと考えてしまいますが、具体的にスピリドノフ氏の状況を知れば頭部移植に否定的な人でも一理あることを認めざるを得ませんね。頭部移植という野心的プロジェクトを「心臓移植や腎臓移植と同じで倫理的なもの」「300通りの失敗を超えて301通り目の挑戦で宇宙空間に飛び出した世界初の宇宙飛行士と同じ」と語るセルジオ博士。単なる移植手術というだけではなく、人間というものの存在の根底とこれからの人間の在り方を見極めるうえでも、今後も頭部移植手術には注目です。


治療は成功している、見ていないだけ

セルジオ博士は「非難する専門家たちは35年間にわたって身体麻痺の治療に失敗し続けてきた」「彼らこそ”危険な科学者”だと確信している」」と述べていますが、私は少なくとも四肢脱力(身体麻痺)の患者たちと関わり、ブロックを行って麻痺を改善させることが出来ています(詳しくは「ALS様症例の1年間の治療成績」をご覧ください)。私に言わせれば「身体麻痺の治療に失敗し続けてきた」という発言は「井の中の蛙」であり、成功者がいたとしても信じないのはセルジオ氏の方でしょうと言いたくなります。自分が12億5000万円もかけて手術をしようと考えている時に、ブロック一つで身体麻痺が治る可能性があることを他の医師が忠告したところで、聞く耳を持つはずがありません。しかし、自分が同じ病気にかかったとしたら、「ブロックで改善する可能性」「ブロックで延命できる可能性」を知ったらどうでしょう?


新たなからだに脳を攻撃される

現代医学はまだまだ発展していません。脳神経細胞が再生することも最近になって言われ始めているくらいです。それほど私たち人間はまだまだ無知です。脊髄性筋委縮症は遺伝子が関与していると言われていますが、明らかな遺伝子異常がない場合もあります。遺伝子異常があったとして、アポトーシス抑制がうまく作動しないとして…それでなぜ「前角細胞だけが壊死していくのか?」も説明できていません。そのくらい無知だということです。無知であるということを知れば、脊髄性筋委縮症3型(軽症型)に第5染色体異常がどの程度関与し、何が原因で軽症となるのか?さえもわかっていないことを認めるべきでしょう。


それほど「何もわかっていない」状況であれば「頭部移植をすれば、前角細胞のアポトーシスの問題が解決する」という思考があまりにも浅はかでしょう。確かに、頭を移植すれば下肢を動かす神経の前角細胞は全て他人の細胞となるので下肢機能はアポトーシスを起こさないでしょう。しかし、例えば首の切断をC5/6で行えば、前角細胞のおよそC1からC7は本人のものとなりますから上肢のアポトーシスは抑制できません。上肢筋を支配する前角細胞のアポトーシスを防ぐには延髄付近で切断しなければならず、それでは脊髄を接合する縫い代が足らなくなるでしょう。


また、拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を投与し続けなければなりませんが、その場合、宿主は肉体の方で、脳が異物とみなされます。その理由は造血する骨髄のほとんどが身体側にあるからです。つまり、生体肝移植などとは明らかに拒絶反応の現れ方は異なり、免疫によって攻撃されるのは、「脳である」という歴然とした事実が立ちはだかります。免疫抑制剤は肝臓や腎臓など、体の一部を移植した際に、大量に投与されますが、その標的は「たかが腎臓、たかが肝臓」です。しかし、頭の移植では、全身の血液が「脳」を攻撃するわけですから、想像を絶する地獄のような苦しみを味わう可能性があります。この手術が成功するかしないかにかかわらず、術後の患者の苦しみは地獄となる可能性を予想します。


急激なアポトーシスの進行

遺伝子に異常があるのであれば、神経細胞のアポトーシスは普通の人よりも過敏であることが予想されます。脊髄性筋委縮症は「前角細胞に特有」とされていますが、アポトーシスになりやすい状況は、前角細胞だけにとどまらず、上位ニューロンも普通の人と比べればアポトーシスをおこしやすいと考えてよいでしょう。そういう体質を持つ患者に、身体を移植すると、血液が頭部の神経細胞を攻撃しやすくなるので、アポトーシスに拍車がかかる可能性があります。つまり、手術が成功したとしても、新たな上位ニューロンのアポトーシスが起こる可能性が高まると考えます。セルジオ博士は頭を移植して自分が歴史に名を残すことしか考えていないでしょう。だから、患者の病的な体質に関しては全く気にも留めていないと思われます。


患者を選出する際に「移植を承諾してくれる患者であれば誰でもよい」わけであって、患者の病的な体質は全く考慮にいれていないと思われます。なぜなら、この患者がわずかに1週間生き延びただけでも、歴史に名を残せるわけであり、この患者が免疫に「脳細胞が攻撃される」ことや「攻撃された際に他の一般の人よりも神経細胞が死滅しやすい」ことなど想像していないと思います。人として幸せを感じて生き延びることなどどうでもよいことであり、ただ単にセルジオ博士にとっては「頭と体を接続して数週間生き延びた」だけでいいわけです。


患者はアカゲザルではない

セルジオ博士はアカゲザルで頭を移植し、1週間生存させたことで一躍有名になったわけですが、アカゲザルは健康な頭と健康な身体の接合です。しかし、脊髄性筋委縮症の患者の場合、健康な身体と遺伝的に不健全な脳(神経細胞)との接合であり、移植された後に脳が障害を起こしやすいということを計算に入れてないと思います。


ナチスドイツを彷彿させる

戦争中は医学が発達すると言われます。捕虜を用いて様々な人体実験が可能だからです。倫理的に許されない手術や実験が平気で行われ、そのおかげでこれまで不明だったブラックボックスが解明されて医学が大きく進歩すると言われます。私たちは「治すために治療」するのであれば、倫理的に問題はないと思われます。しかし、今回の手術は「実験するための手術」と言われても否定できません。それはステップを踏んでいないからです。


「どの血管とどの血管を吻合させるべきか?」「手術の手順の優先順位はどれがベストか?」「人工心肺などを用いるタイミングやどことどこを人工心肺につなげるか?」「低体温でどこまで耐えられるか?」などなど、一つ一つの安全性確認があまりにもない状況で手術をするわけですから、それは治療ではなく「実験」なのです。さらに、患者は遺伝子異常のために、普通の人よりも脳細胞が死にやすいはずです。そうしたことをセルジオ博士は考えておられないでしょう。まさに、彼は実験したくてうずうずしており、その昂揚感でいっぱいで、「患者の幸せ」など考えている様子はないのではないでしょうか。


自殺願望と実験願望

医師は患者が承諾しなければ治療することができません。余命があまりない、からだが動かない、治すための選択肢がないという状況では一か八かのかけを考えるでしょう。しかし患者がこの手術を受けることは、今の医学レベルでは「自殺願望」とみなされ、セルジオ博士にとっては治療ではなく「実験願望」とみなされます。互いに「命を軽んじていること」という意味で共通しています。人の痛みがわかる医師に、このような手術はできません。


治療と呼ぶにはステップを踏まなければなりません。最低限、安全性に関するステップを踏むのが治療なのです。手術自体を非難しているのではなく、現医学水準では安全を確保することが不可能という時代にこの手術をすることに無謀さを感じます。


今ではアメリカ合衆国がアポロで月に着陸したことは、国家戦略的な嘘であったことは衆知のようですが…。もしも本当にあの時代にアポロで月に向かったら、どうなっていたでしょう? まずは月に向かう前に放射能汚染された宇宙帯を通らなければならず、飛行士は大量に被曝しておそらく死亡したでしょう。また、月の引力は地球の6分の1ですが、それでも、月に着陸してしまうと、月の引力からは脱出できない(脱出するほどの燃料を積むことができない)ので地球に帰ることは不可能だったでしょう。それ以前に、着陸の衝撃を耐えるだけの逆噴射できる燃料もなかったでしょう。つまりあのころの科学は月に行けるほどの水準ではなかったのです。


今回の頭の移植手術も同様です。100年後には行えるようになっているかもしれませんが、今はまだ医学の水準が頭の移植手術ができるほどに発展していません。


身体麻痺はブロックで

私はいまだ進行する前の軽症の段階での身体麻痺に対し、ブロック治療でそれなりの成果を挙げています。しかしながら、進行しきって筋電図や髄液検査、MRIなどで異常を認めて確定診断がつくところまでに達した患者の身体麻痺を治せるかどうかはわかりません。できるなら、身体麻痺は進行する前に早期加療を目指すべきだと思います。そして早期加療としてブロックが有効であることを世界に知らせて行かなければならないと痛感しました。

医学で米国より先に進む方法

はじめに

第二次世界大戦前、医学の最先端を行く国はドイツであった。その最先端技術を取り入れるために世界はドイツ語を学んだ。だから医学用語にはいまだにドイツ語が残っており、例えば酸度をあらわすphは「ペーハー」と呼ぶ。第二次世界大戦後、アメリカ合衆国が医学の最先端を行くようになったため医学用語には英語が用いられるようになった。米国の最先端医療技術が日本で実用化されるまでには種々の理由があって10年はかかる。つまり日本は米国より10年以上遅れた医療を展開することになる。しかし、米国には致命的な理由があってどう逆立ちしても日本よりも先に越せない分野がある。つまり日本が米国より医療技術で先に行ける方法がある。ここではその方法について述べる。


日本の医学はT大官僚制

日本の医学制度を牛耳るのはT大であることは衆知だろう。どこの医大も学長はT大卒が多く、学長ではない普通の教授もT大卒の割合が多い。その理由はT大が官僚とのつながりが強いためT大卒の教授ほうが行政を動かす(資金繰りや法制の網の目を抜ける)ことに都合がよいからである。T大の縦のつながり、横のつながりは想像以上に日本に強く根付いており、日本の医療制度を動かすためにはT大卒の教授をトップにしておくほうが都合がよい。そして最大の都市である東京都、公的な病院を牛耳るのもT大である。よって医学部の教授になるためには実績よりもT大卒であることが優先されやすいという実情がある。東京近郊の私立医大もT大卒の教授が多いので教授の選出投票ではT大卒の方が勝ちやすい。まさに「教授を目指すのであればT大」という図式が日本では出来上がっている。日本の医学界で出世したいのであればT大医学部に入学が必要条件であり、入学するためには幼少の頃から勤勉である必要がある。言い換えると医学界での出世はすでに幼少期に決定すると言える。


医学官僚制は資本主義からかけ離れる

日本の保険法制では、資本主義の自由原理が働きにくい。日本では保険制度は共産主義が貫かれており、生活保護受給者でさえ日本で最高の権威のある病院で最高の技術を用いた極めて高価な手術をほぼ無料で受けることができる。大企業の大金持ちと生活保護の患者が全く同じ医療」を受けるのが日本という国の習慣である。これは弱者優先とも言える共産制度であり、生活保護者・高齢者。児童の方がお金を稼ぐ労働者たちよりも手厚い医療を受けることになる。その理由は彼らが「何曜日でも病院に通うことができる」からである。そしてお金は保険がほぼ全額支払うので病院側としては「もっとも金払いのいいお客様」になるからである。医療費が高額になってもそのほぼ全額を保険側が負担するので患者は「お金の浪費感が皆無」となるため、「高額な医療を受ければ受けるほど得」という原理が患者と病院側双方に働くようになる。生活保護者・高齢者・児童は病院と蜜月の関係にある。よって日本ではお金持ちよりもお金を全く生み出せない患者の方が手厚い医療を受けられる状態となっている。これは極めて資本主義からかけ離れており、極めて善意の共産主義(弱者にこそ最高のお金を掛ける)となっており、そこには競争原理が働きにくい状況が発生している。


競争原理とは「よい医療を行うと病院側の利益が上がる」という原理を意味する。資本主義では「素早く完治させることのできる優れた医療技術ほど高価」であることが当然である。しかし共産主義では「治さない治療で延々と通院させる医療技術ほど高価」となる。しかも、混合治療が許されていない現在、金持ちがいくらお金を積んだところで「同じ医療」しか受けることができない。お金を積んで贅沢が許されているのは日本の法制では「差額ベッド代」のみであり、「豪華なホテル級個室で医療が受けられる」というだけのことになっている。肝心な医療技術となるとどんなお金持ちであっても身分が高くても「生活保護受給者」と変わりない内容になる。


「日本という国に生まれたことを感謝しなさい」と私はよく「後期高齢者」に説教している。なぜなら、高額な医療を受けることに「もうしわけない感」さえ持っていない患者が多いからである。自分のふところが痛まないからと言って、湯水のごとく高額な医療を受けようとする彼らの態度に怒りを感じてしまうことがある。


ここに挙げた例はほんの一例にすぎない。日本の医療制度は弱者を利用して国からお金を吸い上げるシステムとなっていると言われても反論ができない。事実、弱者ほど病院にとっては「おいしい患者」となる。その制度を作っているのは官僚でありT大卒者たちである。なぜそうした共産主義の医療制度を彼らが作り上げたのか? その理由をここでは追求しないが、共産主義はそのシステムを牛耳る者が民衆を完全支配できる。支配者側だけが特権を得られるのが共産主義国家の特徴である。こうした特権システムと密接につながりがあると思われる。つまりT大卒が民衆を「健康、つまり命を媒体として」支配でき、官僚(支配者側)が特権階級者となれることを意味する。資本主義ではお金を媒体に競争原理が働くため「安定は崩れ競争が激化」する。そうなるとT大を頂点とした支配体制が崩れてしまう。その辺が関係あるのではないかと私は推測する。


保険制度は治さないほど儲かる

共産主義医療体制の短所として、「患者を治さない、弱者を囲う」ことが医療従事者に最大の利益をもたらすというものがある。それが日本の医療制である。日本の医療制度を悪いとは言っていない。そのおかげでどんなに貧しい人でも最高水準の医療が受けられる。それはそれは慈悲深い国であり神様仏様の国と言っていい。しかし、高齢者の病気はほぼ治らないので、まさに高齢者を手厚く接待することで病院は国からお金をいくらでも頂戴できてしまう。しかも高齢者は職がないので毎日でも病院に通うことができる。まさに高齢者は病院に富をもたらす。超高齢化社会の日本では、弱者である後期高齢者の人口割合があまりにも増えた為、後期高齢者を利用して国からお金を引き出す商売が生まれてしまったのである。官僚たちもそこまで予期できなかった。


さて、単純に考えてほしい。あなたが開業医の立場であったとして…来院した高齢者を初診で1回の治療で完治させてしまったとする。これでは経営が成り立たない。「治さないで何日も通院させる」ことが儲ける方法である。この経済原理が働いているうちは「即効で完治させる治療法を開発しよう」という意志が生まれない。つまり、現在の保険制度では「開業医から新しい治療法が開発される」という状況にならない。これが日本に世界最先端の医療技術が生まれない理由となっている。競争原理が働かないからである。一方アメリカでは国家の保険制度がとっくの昔に破綻しており、代わって民間の保険会社が医療費を支払うシステムになっている。つまり「よい医療を行えば、儲けが増える」という資本主義になっている。お金をかければかけるほど最先端の技術、そして最高の技術を持った医師に即刻診てもらえる。そして最高の治療技術を持った医師は大金を稼ぐことができる。よって医師は「患者を早く治す最先端技術」を身に着けようと切磋琢磨する。だから米国の医療技術は世界の頂点を走ることにつながる。


高い技術が全く評価されない日本

日本の医師は自分の治療技術をどれほど極めても「給料は一緒」という不遇が待ち構えている。そしてさらに、「どれほど高い治療技術を身に着けても出世は不可能」という不遇も待ち構えている。この二つの不遇を医師の立場で言い換えると「高い技術と知恵を身に着けるほど自分の技術の単価が安くなる」→「高い技術と知恵を身に着けるほどプライドが傷つく」ことになる。よって日本の医師が真に高い治療技術を身に着けようと思えば「早期にプライドを捨て去る」という精神修行が必要になる。つまり自己犠牲である。日本人医師の技術力は自己犠牲なしでは高まらないという宿命を帯びている。まさにサムライ日本である。私はサムライの医師たちを知っている。自己犠牲の極地に立つ医師たちを知っている。そしてほとんどのサムライ医師はT大卒ではない。T大卒の医師に「早期にプライドを捨て去る」ということは不可能だからであろう。よって最高の治療技術を持つ医師はほぼ必ずT大卒以外となると思われる。陛下の心臓手術を行った医師のことが記憶に新しい。この法則が正しいかどうかは、実際に世間を見渡せばわかることである。もちろん、T大卒の医師は優秀であることは認識している。しかし、官僚体質が邪魔してしまいサムライが育ちにくいのではないかと分析する。


官僚制度が医師の成長を妨害

私はおそらく注射技術では日本でトップクラスであることを自覚している。それは他の有名な医師たちの治療で治らなかった患者たちを注射1本で次々と改善させていくことで実感しているだけであり、コンクールに出て優勝したからではない。あしからず。さて、トップクラスに昇るのは「それほど苦労がなかった」ことも実感している。私がこのHPに書き溜めた論文の数々は、最近8年間で作成したものである。たった8年で誰の手も借りずにトップクラスに昇ることができるわけだから「それほど苦労がなかった」と言える。スポーツ・芸能界や芸術界と比較すると、極めて少ない労力でここまで来ることができた。


最初に断っておくが自慢話をしているわけではない。私は日本という国で自分の医療技術の自慢をしても「一切得にならない」ことを熟知している。自慢ではなく、事実、自己犠牲を承知で治療技術を研究した結果、あまりにもあっけなくトップにたどりついてしまうことに対して、違和感を抱いた。


なぜなら、医学界は頭脳労働の頂点を極め、勉強に研究に精を出しつくした者たちの集まりであり、それほど頭脳競争が激しい場所で、こんなに簡単にトップに行くのは「何かおかしいのでは?」と感じた。その疑問が今解けたのである。「官僚制度が医師の成長を妨害している」ことに明解に気づいた。


日本の医療は共産制となっている(これは開業して初めて気づいた)。医療技術の全てが保険請求手技の中から選ぶしかないという状況なので、「この病気にはこの治療を何回まで」と決められている。つまり病名が決まれば治療法も回数も決められていて、全国どんな医師が治療しても、その治療法は一律「同じもの」となる。医師が教授であれ日本医師会の会長であれ、一般開業医であれ、「病名と治療法」が明確に決められていて「保険制度が決めている医療行為以外のことを行えば厳罰に処す」という構えになっている。だから新しい医療技術を開発する余地がなく、どんな名医であったとしても決められた治療しかできない国となっている。共産制なので医療技術が均一化されており、「出る杭は打たれる」ことになっている。「出過ぎた杭は厳罰に処す」体制でもある。


つまり医師たちは自分の技能を磨くことを国の法律で禁じられているに等しいわけである。もちろん、保険制度に逆らい、全て自費で行うと言うのであれば医師は法律の枠の外に出られて自由である。しかし、自費診療では患者が来なくなるのでまさに「自殺行為、自己犠牲」の極みである。私の言いたいことがわかっただろうか。私が「自己犠牲を武器」に医療技術を磨いてきたが、それほど苦労なくトップに立てた理由が、他の医師たちは「成長を止められている」からだった。それに今やっと気づくことができた(何と気づくのが遅い!)。


日本は教授天国

日本の保険制度は共産主義であることは前述した。共産主義は民衆、特に貧困層にアメを与えて支持を得て、支配者階級が絶対的支配権を得るために存在することは今では常識となっている。言い換えればT大卒が絶対的支配権を得るために保険医療制度が共産主義のまま維持されていることは有利と考えていいだろう。


さて、医学部の教授はその絶対的支配権の象徴である。一般の企業では絶対に許されていない「医局員を自由にクビにできる権力」「博士号をニンジンにして自分の利益になる研究だけをさせていく権力」の絶対的権力が与えられ、それは労働基準法の法外に置かれている。よって医局員は全員がイエスマンとなる。医師というエリートたちを自分の奴隷のように扱ってよい権限は、男のロマンであろう。おそらく県知事になるよりも快感が大きいのではないだろうか。


そして教授にのみ「新しい治療法開発」の権限が与えられていると言っていい。大学内は治外法権。つまり保険制度が厳格には適用されない。倫理に反しない限りほぼ何をやっても許される場所である。正確には保険制度が適用されていないわけではなく、保険の監査が甘くなるように仕組まれている。大学は保険の監査から逃れられる聖地(安全地帯)である。よっていくらでもごまかせるという意味である。だから新しい治療法を研究し、医局員の力を借りて論文を立派なものに仕上げることができ、それを有名雑誌に発表して名誉を上げて行くことができる。


そして、日本での最大の恩恵は…他の医師たちが去勢されているということ。教授以外の医師たちは自分の意志で保険外の治療を行うことは非常に困難な状況である。だから新しい治療法を開発することはなかなか難しい。大学でのみ新しい治療法が開発される。よって教授は少ない労力(競争力)で日本トップの権威と業績を得ることが出来てしまうという仕組みがある。T大卒であればそうした特権へのレールが敷かれている。そして保険制度を牛耳るのもT大卒である。まさにT大が他の医師の成長を妨害し、T大卒の医師が教授になりやすい母体を作っていると言えるかもしれない。それを強固にしているのが保険の共産主義制度と言えるだろう。


何もそれが悪いと言っているわけではない。そのおかげで日本は慈悲深い国となっていることは素晴らしい美徳である。だがそれは日本に潤沢な国家予算があることで初めて可能なことであることを認めなければならない。日本は莫大な赤字を抱えている状況であり、このままでは保険制度によって国が食われて倒れてしまう。よって保険の共産主義は終焉に近づいていると思われる。


混合診療は妨害される

国は混合診療解禁に向けて動き出している。が、それが阻止される理由は明白である。T大を頂点とした医療の支配体制が崩れるからであろう。混合診療が解禁になれば、お金を持った者がよい医療に高額な治療費を支払うようになる。そうなれば医療技術の高い医師が有利になり、T大卒の医師が有利な世界が消滅する。医師であれば誰もが医療技術の向上を目指して治療法を競って開発する時代となってしまう。治療法開発はこれまで教授の専売特許であったのに、それが民営化されるに等しい。T大卒であれば教授になれた時代が終わる。医療の自由競争が始まる。官僚の解体である。当然ながら混合診療の法案は妨害される。しかしその妨害も財政赤字には勝てないかもしれない。


サムライ医師にしかできないこと

保険制度が根強く息づいている現在において自己犠牲を武器に医療技術を磨くことは「真のサムライ」にしかできない。そう、天皇陛下の心臓手術をされた天野先生のようなお方がサムライであると思う。サムライ医師が全国の各地に少数だが存在することも知っている。彼らは自分の命を削って腕を磨き普通の医師にはできないような高度な技術で患者を治療する。だが、彼らはその「あり得ない程優秀な技術」を持っているにもかかわらず、あまりにも不遇な人生を歩んでいる。命をすり減らしているのに給料は普通の医師と一緒。そして権威も何もない。まさに不遇であるが、彼らは不遇を武器にしている。


こうした不遇を武器に自己犠牲で技術を磨いていくことは米国の医師たちの精神では無理である。米国の医師たちは資本主義に毒されており、不遇。不経済を極めてストレスに感じる国民性を持っている。技術があれば認められる世界に生きていると、技術を磨いても全く評価されないことに耐えることができない。よって日本のサムライ医師は米国の医師には逆立ちしてもできないようなことができる。サムライスピリッツがないと治療できないものがある。その分野では日本が米国を抜いて世界の頂点に立てる。その一つのヒントが信頼である。


日本のサムライ医師は神である

お金儲けを考えず、相手の身分も関係なく、ただ目の前の患者を全身全霊で治療する医師の姿は患者の心を打つ。そこには米国の医師と患者にはあり得ないような信頼関係が生まれる。サムライ医師は自分のことを神とは絶対に思わない(プライドを捨て去っているから)が、逆にその姿勢が「神」である。一方米国ではお金を媒体として医師の治療が存在する。つまりビジネスである。どんなに優れた医師でも「神」ではなく商売人に落ちてしまう。そして医療ミスを起こせば即刻訴訟される。米国医師はお金に関してハイリスクハイリターンである。


ところが日本ではサムライ医師は患者との心の信頼関係を築くことができる。そのため患者は理屈抜きでお金抜きで意志を信頼し、自分の体を実験体として差し出す傾向がある。


例えば「私は認知症をブロック注射で軽くさせる技術を持っていますが、やってみますか?」と患者に問いかけたとする。米国なら「ブロック注射が認知症に効果があるわけないでしょう。エビデンスはあるのですか?」と返答されるところを、日本では「先生が治療して下さるならぜひお願いします」となりやすい。これが信頼関係である。私はそうした信頼関係から、様々な治療法をあみだすことになる。認知症・脳梗塞治療から耳鳴り・ALSの治療まで…難治性のものを軽快させることができるようになったきっかけは信頼関係である。信頼関係がなければそもそも新しい治療を患者は受けてくれない。


米国の医療技術は日本の10年先を走っているが、おそらく私の医療技術は米国の10年先を走っている。それは自己犠牲からしか生まれない治療法があるからである。米国の医師に自己犠牲は難しい。


米国線維筋痛症学会は斬新な発想を次々と提唱し、痛みの原理を解明しようと頑張っているが、私はすでに「解明ではなく治療」に駒を進めている。彼らが治せない線維筋痛症の症状も、一歩進んで治しにかかっている。一歩先に治療の駒を進められるのは患者との信頼があるからである。私も「自分を信頼してくれる患者を責任を持って治療しよう」とするのできちんと研究せざるを得ない。だから米国にはないような調査・研究を米国にさきがけて行える。サムライ国家日本ならではの最先端医療技術が、おそらく全国各地のサムライ医師の元にあると信じている。ただし、それらの技術は共産主義の保険制度、それを支える学会の圧力で表には出ない仕組みになっている。私はそうしたサムライ技術をなんとかして抽出し、発表していきたいと思っている。


サムライ医師が出世できる時代

サムライが不遇である時代をどうにかして打開しなければと思っている。自己犠牲はさすがに悲惨である。寿命も短縮する。それを可能にするのが混合診療解禁であると思われる。そして若い医師たちはたった今からサムライを目指して修行してほしいと願っている。サムライが世界に出る時代を作り、日本が医療界で世界のトップに立つ世の中を見てみたい。私が生きているうちにかなうかどうかはわからないが、サムライ医師にはそのくらいのパワーが秘められていると信じている。

捻挫後に長引く腫れへの対処法(自己免疫性関節炎)

外傷後自己免疫性関節炎(新しい病気の概念)

 はじめに

手や足・指などを捻挫した後に腫れや痛みが数ヶ月経過しても引かないということが経験上、全捻挫受傷者の約1割前後に存在すると思われます。加えて捻挫した箇所の周囲にまで腫れが拡大し、腱鞘炎やコンパートメント症候群様のしびれなども出現することがあります。症状が軽快しないどころか、炎症が広がっていく1割前後の捻挫患者では、意外にも見た目には軽度から中等度の腫れや出血の捻挫であり、重症に見えないという特徴があります。よって担当医には「たいしたことがない」と思われ、患者は不安を募らせて他の病院にセカンドオピニオンを訊きにまわるようになり、医者不信になるようです。このような外傷後の炎症の拡大にはおそらく患者の自己免疫に問題があると思われます。つまり自己免疫に過敏性のある例に発症しやすいと推測します。全く新しい概念です。しかしながらリウマチやSLEなどの検査では陽性となることがほとんどなく、採血データでは診断がつきません。そこでこれらの病態を外傷後自己免疫性関節炎と名付けその仕組みを推測し、治療法について述べたいと思います。


外傷後自己免疫性関節炎の概念

捻挫や打撲などの外傷後、外傷部位を中心として関節炎、腱鞘炎、滑膜炎、などを起こし数ヶ月以上腫れや痛みが引かない状態。かつ痛風結節が否定的で明らかな原因がない場合本疾患を考えます。CRP陽性や補体価が上昇することもありますが膠原病に特有な抗体は陰性のことが多い。自己免疫の過敏性の原因として金属アレルギー、シックハウス症候群、病巣感染などの後天的な要素も考えられますが、多くは先天的な自己抗体の過剰反応に起因していると思われます。


診断基準

  • ・捻挫後6週間以上経過しているのに腫れや痛みが全く治まらない
  • ・外傷の箇所の周囲や対側にまで不可解な炎症(滑膜炎など)が広がる
  • ・関節腫脹がある
  • ・コンパートメント症候群を合併することがある
  • ・「透き通るような白い皮膚」の外観がある(自己免疫過敏性により皮膚のターンオーバーが早くなっているため)。
  • ・朝のこわばりの経験がある
  • ・腱鞘炎の既往がある
  • ・痛風や感染症が除外できる
  • ・腫れや出血などの見た目による重症度が軽度から中等度

病態生理

過敏な自己抗体(膠原病体質)があり、外傷をきっかけに自己抗体が活性化され、局所の滑膜・腱鞘などに強い炎症を引き起こすと思われます。過敏な自己抗体は先天的なものと後天的なものがあると思われます。先天的なものを私は膠原病体質と呼びますが、現在の医学水準ではその体質を診断できるツールがありませんので「膠原病」とは診断不可能です。世の中にはこのように「自己免疫の過敏性を持ちながら各種膠原病とは診断されない」膠原病体質の人が膠原病の診断がついた人の何十倍もおられると思われますが、現医学水準ではそれを病気として診断できないことが悔やまれます。異常はあっても診断がつかない過敏な自己抗体を持つ人がたくさん存在することを広く認識していく必要があると思います。おそらく補体価などがわずかに上昇していると思われます。


自己抗体が過敏であると細胞のターンオーバーが全体的に速くなります。そのため目に見える皮膚細胞は「透き通るような白い皮膚」であることが多いでしょう(ターンオーバーが早ければ若い細胞の割合が増えるからです)。よって自己抗体過敏体質の人は肌の見た目年齢が若く、青白い皮膚をしている傾向があります。この特徴により、見た目である程度わかります。


後天的には金属アレルギーやシックハウス症候群、病巣感染など、アレルゲンが原因で自己抗体が過敏になっている場合を考慮します。過敏な自己抗体が捻挫をきっかけに損傷した細胞に過剰な貪食活動を開始すると同様な病態になると思われます。後天的な自己抗体異常ですが、実際の診察室で捻挫後に痛みと腫れが遷延している患者を診て、アレルゲンが原因だと推測する整形外科医は世界を探しても皆無と思われますので、本疾患は決して見つからない(診断されない)と思われ、自己抗体の過敏性を証明することは現医学水準では不可能でしょう。ですが、実際には少なくないと思われます。


自己抗体が過敏であると損傷した組織周囲に過度の炎症反応が起こり、その炎症が関節、または関節周囲に波及します。症状は腱鞘炎、滑膜炎、関節炎、コンパートメント症候群などを複合します。そしてこれらの炎症が摩擦を上昇させ、炎症が引きにくい状態となって慢性化します。また、痛みは交感神経を興奮させ、血管を収縮させるために阻血状態となりやすく、筋・腱・骨組織が萎縮します(必発ではありません)。


外傷後自己免疫性関節炎の治療法

関節内ステロイド注射(ケナコルトなど)が著効し、一度の注射で腫れが速やかに劇的に消退します。基本的には腫れと痛みの強い箇所+関節内注射を行います。ステロイドの軟膏も有効でしょう。本症と診断されない場合でも、捻挫の痛みが遷延する場合、ステロイドの関節内注射は早期回復に極めて有効ですから捻挫後4週経過しても痛みと腫れが引かない場合、8週間待ってから注射治療する必要はなく、4週経過の時点で関節内注射などを行えばよいでしょう。鑑別すべきは感染症、痛風などですが、感染症の場合は熱感と発赤が強く出ますので、それがないようならステロイドを用いてもよいでしょう。


外傷後自己免疫性関節炎の問題点

捻挫などの外傷後に関節周囲が腫れていたとしてもそれを自己免疫の過敏反応であると診断する医師は皆無です。よって本症の発見は常に後手に回ると言えます。つまり腫れている理由がわからないまま長期間放置され、痛み反射が交感神経を刺激して血行不良を起こし、筋萎縮・骨萎縮などをきたします。早期にステロイド(ケナコルト2.5mg~5mgなど)を関節内・腱鞘内注射すれば萎縮せずに済んだものを、放置させて萎縮させることになるのが通常でしょう。そうした被害者を一刻も早くなくしていくことを目的として、本疾患の存在をここに発表しました。そして本症は日常難病を多く診察している私の勘から発見した病態ですから社会的な信憑性が低いことが問題点です。これを読んだ医師たちの投稿を寄せ集めることで科学的な証明となりますので、医師・患者様の投稿をお待ちしております。


捻挫後長期腫脹・疼痛の方々へ

捻挫などの外傷にステロイドを用いて早期に治療するという考え方が現医学にありません。しかし、痛みと腫れが強いままで放置すると関節周囲の組織が萎縮し、回復が大幅に遅れます。よってステロイドを使用できる医師を探し出すことが早期治療の条件となります。本症と類似の病状をお持ちの方はぜひ私にご一報をいただけると幸いです。私に治療させてください。ご連絡お待ちしています。

スポーツ外傷救済のステロイド治療

はじめに

スポーツは心・技・体を極めることで一流となることができますが、健康力が最終的に選手生命を握ります。故障との戦いです。そこでプロスポーツ選手の多くは整形外科医と関わり合いを持つことになります。しかし現医学は病気を治すことで発展した学問ですから「普通に生活する分には問題がなく、激しく体を動かす時のみに症状が出る」というものを治すのには適しません。最近では選手がそのことに気づき、整形外科医のアドバイスから離れ、西洋医学以外の治療法を選ぶようになってきています。ここではさらに西洋医学から外れ、西洋医学ではタブーとも言われるステロイド療法を紹介します。ステロイドは「諸刃の剣」的な治療法であり、効果は高いのですが副作用も強く、そのさじ加減が難しいため使い勝手が悪い薬です。しかし、効果のみを発現させ副作用を厳密に管理して抑制していけば、スポーツ選手にとって救世主になります。


スポーツ病理を考える

スポーツなどにより肉体を損傷させる時、組織は摩擦・圧力・牽引力などの物理的な力によって破壊されます。破壊された部分では小さな出血が起こり、炎症メディエーターが分泌されて組織が浮腫を起こします。この浮腫のおかげで周辺組織の圧が高まり出血が止まるという良いことが起こります。しかしながら浮腫のおかげで炎症メディエーターが局所に滞在するということが起こり、痛みがなかなか引かなくなります。


さて、怪我をしてもはじめはそれほど痛みが強くありませんので、我慢をしながら動かすことができます。しかし浮腫を起こした付近は内圧が高くなっていますので少しの動きで強い摩擦が起こります。この摩擦がさらに組織を損傷させ、痛みがさらに強くなり、無理をしていると結果的に動けなくなるところに行きつきます。よって基本的に「動かして治す」という方法は現医学にはありません。動かした方が治ることもありますが、それは後で述べます。


関節の痛みの仕組み

関節内はかなりデリケートな作りになっており、わずかな凸凹でも関節が崩壊していくきっかけとなります。これはおおげさな話ではありません。例えば、自転車のサドルに小粒の石ころを一粒置き、その上にお尻を乗せて運転してみるとその意味がわかります。たかが小さな粒ですが、臀部や坐骨に粒が食い込み、5分として運転を続けられません。もしもそれを我慢して1時間ほど運転すれば、臀部は出血し、当分の間自転車に乗ることができなくなるでしょう。


ここでイイタイコトは、スポーツによる組織の小さな傷は、サドルの上に置いた小さな粒と同じ意味であり、この粒は医学的には「問題にならない」程度のものですが、スポーツ選手には致命傷になるということです。関節内ではわずかな傷がわずかな隆起を生み、それが原因で1点に強い圧力がかかるようになるでしょう。筋や腱でのわずかな傷は1点に強い摩擦を生むでしょう。これが基本的なスポーツ外傷の病理と推測します。軟骨、滑膜、半月板、線維軟骨などが損傷し、そこにわずかな起伏ができれば軟骨と骨の一部に強い圧力がかかるようになります。この圧力が強い痛みの原因となると考えます。したがってスポーツ外傷の治療は「いかに早急に圧力や摩擦をとりのぞくことができるか」に集約されます。筋肉を鍛える前に、小さな粒を除去しなければなりません。


微小な傷が大きな凹凸となる原理

先ほど述べた「サドルの上の粒」では医学的には画像にも何も映らないレベルでしょう。粒の大きさが1ミリ程度であれば、痛みをこらえて自転車を運転し続けることができます。しかし、人の体内では1ミリのままでは終わりません。粒が成長します。それは粒が周囲を傷つけるせいで粒の周囲に出血や炎症性の浮腫、不良な肉芽を作るからです。粒の周囲が腫れると、少しの振動でも少しの摩擦でも強い摩擦力・強い圧力が生じるようになります。こうして雪だるま式に炎症範囲が広がり、微小な傷が組織全体の大きな傷となっていきます。大きな傷はさらにその近隣組織との摩擦を高めますので近隣組織にも炎症を引き起こします。それでも試合中は運動をやめることなどできません。


スポーツ外傷の治療原則

1:早く治すことが最大の目的

整形外科医の多くが理解していないのがこの原則です。選手がスポーツをやめ、長期間かければ誰でもほぼ自然治癒します。手術の必要もありません。時間をかけて治すのなら医学は不要です。つまり、スポーツ医学は早く治すことを目的としています。しかし西洋医学では「早く治す方法」は研究されていません。だからスポーツ選手は西洋医学離れをします。外傷の基本は安静(Rest)、冷却 (Ice)、圧迫(Compression)、拳上(Elevation)ですが、この考え方では早く治すことは不可能です。

2:最優先は腫れを引かせる

外傷は痛みを伴います。そして除痛することが治療の原則のように考えがちです。しかし、最終戦は腫れ・浮腫をひかせることです。痛みは結果であり、全ての原因は腫れにあるからです。スポーツ外傷を治すには全力で腫れを引かせる治療をすることです。後で述べますが、腫れを引かせるための体内の物質は副腎皮質ホルモン(ステロイド)です。よってステロイドを用いた治療が最速でスポーツ選手を治せる手段となります。しかし、ステロイドは副作用が多く使い方が難しいので、その治療法研究に蓋をしてしまっているのが現西洋医学です。蓋をしてはいけません。しっかり研究すべきです。

3:痛みに逆らってはいけない

痛みを除去することに必死になることは極めて愚かなことです。痛みこそが「早く治すための指針」であり、痛みが来ないように運動することが極めて重要だからです。痛みは健康のためのコーチであり先生です。逆らうことは最も愚かであると肝に銘ずるべきです。逆らうのではなく痛みが来ないように動くのです。そういう意味で治療としての「安静」はあまり意味がありません。痛みが来ないのであれば安静にしている必要がないからです。痛みが来ないのなら動かしもよいですし、むしろ動かすことで血行が良くなり早く治ります。痛みは嫌うものではなく、ありがたい治療指針です。

4:痛みの種類を区別すること

痛みが局所の炎症で起こっている場合と、神経系が損傷して痛みが誇張されている場合を区別しなければなりません。整形外科医にはほとんどそれができません。もちろん選手本人もわかりません。画像にも検査にも出ません。痛みが神経系から来ている場合、その痛みは誇張されており、局所を安静にしても意味がほとんどありません。もちろん手術しても治りません。選手や医師が誤解してしまうケースが非常に多いと言えます。肘・膝・肩などの痛みが、脊椎が悪いために誇張されている場合、治すのは肘・膝・肩ではなく脊椎なのですから。神経由来の痛みの場合、局所の皮膚の色や張りに健常側の皮膚とは異なる様子がうかがえます。温度も低下します。そこには交感神経の異常が加わっています。こうした複雑な痛みを区別して治療しない限り、早期に治癒することは不可能です。

5:あせりとリスクは表裏一体

整形外科医は外科医ですからしばしば手術治療を勧めます。最も早く結果と答えが出せるからです。しかし、手術などの侵襲的な治療はリスクに飛び込んでいることになることを自覚しておくべきでしょう。原則1で「早く治すことが最も重要」と述べましたが、あせって治療すると悪化するリスクも考えておかなければならいません。筋トレをして治すという方法がありますが、これもあせり心のあらわれであることを自覚しておいてください。やってはいけないというわけではありませんが、早く結果が出るものはそれなりにリスクがつきものです。そこから目をそらさないでください。


 スポーツ外傷のステロイド治療理論

 

ステロイドと自己免疫のバランス論

ここで重要なことは「ステロイドは怖いものではなく、体から生産されている必要不可欠なホルモン」であるということです。外傷部分では自己免疫の活動が活発過ぎる傾向があり、この「過ぎる」部分をステロイドで抑えてあげると傷がスムーズに治ります。しかし、無闇にステロイドを使用すると正常な免疫活動(壊れた細胞を食する活動)までもが抑えられてしまい組織内に線維化などのゴミがたまるようになり機能が低下します。このバランスを考えたステロイド投与は、治療経験のない医師には難しく、よって「ステロイドは怖い」という誤った概念を作るに至っています。


人の体内では常に外傷が起こっています。物理的に化学的に寿命的に外傷が起こっています。自己免疫は外傷によって壊れた細胞を殺して排除します。排除する際に炎症メディエーターを出現させ、その周囲に浮腫や疼痛過敏を作り出します。排除する量が少なければ私たちはそれを感じることはありませんが、排除量が多い場合は腫れや痛みを感じます。そしてステロイドは副腎で生産され、これらの自己免疫の活動を抑制します。もしもステロイドが副腎で生産されなくなったら、自己免疫は体中で暴走し、様々な炎症と痛みをあちこちに起こします。もちろん組織も不必要に殺されてしまいます。外傷の際には一挙に細胞が壊れますので自己免疫の活動が非常に活発になり過剰な腫れや痛みを出します。当然ながら外傷の際は副腎でステロイドが多量に生産され、過剰な腫れや痛みを抑制にかかります。このように人の体は自己免疫とステロイドのバランスで成り立っています。


出血と血流増加のバランス

スポーツに限らず外傷ではその外傷部分に浮腫が必ず起こります。浮腫は出血を止めるために役立っています。外傷に引き続き浮腫が起こる理由はそもそも止血にあると思われます。しかし、止血は「諸刃の剣」です。血が止まる=血流が激しく減少 を意味し、壊れた組織の修復ができなくなるからです。外傷時のRICE(安静(Rest)、冷却 (Ice)、圧迫(Compression)、拳上(Elevation))はまさに出血を防止するための方法であり、血が止まってからも行えば、それは傷の治療にマイナスになるという新たな考え方が必要です。つまり血が止まっているのにRICEを行うことは傷ついた組織にマイナスにしかならないということです。組織内の出血が止まるまでの間のみRICEをすればよいわけで、出血が止まるまでの時間を考慮することがスポーツ外傷に必要です。外傷後、何時間で内出血がとまるか?です。止血までの時間は傷の大きさ、安静度、気温などで変化しますが「腫れが止まった」時点で止血完了と考えます。腫れが止まった後にRICEをすることは、組織の修復を妨害するでしょう。ここからは血流を増加させる方向に治療することが望ましいわけですが、これまで「腫れには冷やす」と教科書で教わっているだけに、血流増加のために患部を温めるのには勇気がいります。しかし、スポーツ選手をいち早く回復させていくためには、迷信にとらわれず、腫れが止まった直後からすみやかに血流増加に治療方針を転換させる機転が必要です。


腫れを除去することが最優先

さて、ここで一般的に流布している理論の間違いを正さなければなりません。「筋肉を鍛えれば外傷は早く治る」という誤認です。傷を早く治すものは常に血流であり、筋肉の増強ではありません。増強させようとして筋肉を動かすことで局所の血流が増えることで傷が早く治ると考えられます。しかし、傷のある部分を痛みをがまんして動かすことは、出血と腫れを増やすリスクが高く、血流が増えるというメリットがあるとしても、マイナス部分が大きく、そんな賭けに一流選手の生命を賭けさせることには反対です。スポーツトレーナーはリスクとメリットのボーダーラインを認識しているのかもしれません。しかしその認識が誤っていれば選手は故障します。「動かして治す」は「動かすことで損傷させる」ことと「動かすことで血流が増加して修復が進む」のバランスが問題になります。このバランスがマイナスに傾くことは「やってはいけない」こととなります。ステロイドにより腫れを引かせる場合は組織の損傷のリスクがほぼ0で血流改善のみの効果を得られます。これほど優れた腫れ改善治療法は他にありません。


外傷が治ったかどうかを調べるには、どんな計器もテストも無用です。腫れ具合を見ればわかります。具体的には皮膚のしわ。左右を見比べ、皮膚のしわが左右同じであれば腫れが引いています。わずかな腫れも皮膚のしわを比べることで誰にでも判別がつきます。そしてスポーツ選手が故障している箇所の皮膚のしわを観察すれば、必ず腫れていることがわかります。この腫れを除去しない限り血流改善が計れません。腱がきれていても、関節が破けていても、軟骨に凹凸ができていても、それらを修復できるのは常に血流のみです。整形外科ではそれらを物理的に手術的に修復しようとしますが、手術をするしないにかかわらず、最終的に修復するのは血流です。外傷を早く治すためには、血流の増加を最終戦の治療目標に置かなければなりません。


腫れを引かせると「動かして治す療法」がプラスに傾く

先ほど述べましたが、腫れがひどいうちに「動かして治す療法」を行うと、血流増加よりも組織損傷のマイナスの方が大きくなりますからさらに悪化させます。しかしながらステロイド治療により腫れを引かすことができると「動かして治す療法」がメリットの極めて大きい治療法に変化します。腫れが引くので動かした時の組織の摩擦がぐんと減るからです。よって、動かすことで血流増加のメリットが際立つようになります。実はこれがステロイド治療の最大の長所です。動かすことで治りを早めることができるのであれば、スポーツをしながら外傷を治すことができます。したがってスポーツトレーナーがついているプロスポーツ選手はいち早くステロイド治療を行って腫れを引かせるべきであり、試合を休むことなく治すことができます。こうした魔法が使えるのはステロイド治療のみです。


骨・関節の変形を防がなければならない

オスグッド病・ゴルフ肘・テニス肘・ジャンパー膝・野球肘などでは骨や関節が変形していきます。変形は力学的な弱さを招くのでプロスポーツ選手、またはプロをめざす選手にとっては致命傷となります。この変形を防ぐためにはスポーツ整形外科では「安静しかない」と述べております。しかし、安静期間は数か月に及びますから、それはスポーツをやめることに等しいものです。そして骨変形が止まっても、スポーツを再開すると再び変形が始まり…再び休養…を繰り返し、結局スポーツをあきらめることになります。変形を抑止しながらスポーツを続けるにはどうすればよいでしょう。それを考える前に「なぜ変形するのか?」について考察しなければなりません。そこには骨の破壊と形成のバランスが存在します。変形を起こす場合、そこには必ず破壊と形成の過程があります。破壊を進めるのは力学的な圧力とすぐに思いつきますが、実はもっと重要なものがあります。それは血流です。血流が少なくなることが破骨細胞を活性化させると思われます。それが証拠に交感神経の反射で血流不全に陥った骨は破骨細胞が活性化し、骨梁が破壊されていき、X線写真で観察すると骨がスカスカになるからです。破骨細胞を活性化させる原因として血流低下が重要であるなら、血流を増加させることは骨破壊を防ぐことにつながるでしょう。


次に歓迎されない骨形成を抑制しなければなりません。骨が形成される仕組みの詳細は未だ不明ですが、骨や骨膜がストレスを受けると骨形成が促進されますからなるべく「望まないベクトルのストレスを与えないこと」が重要になるでしょう。骨は折れた場所のインコースに多く増生され、アウトコースでは骨吸収が進みデモデリングされることがわかっています。インコースでは物理的な圧力が高まる他、顕微鏡的な出血や局所の炎症も起こり、局所的な血行不良も存在しています。すなわちこの「局所的な血行不良」が望まない骨形成のきっかけとなっていると私は推測しています。ステロイド治療により局所の血行不良を改善させることが出来れば、これらの望まない骨破壊と望まない余計な骨形成を抑止できると考えます。膝・肘などは望まない骨形成の多発地点であり、そうした箇所に早期にステロイド注射を適切に投与すれば関節や骨の変形を抑止できると考えています。


血流増加と免疫抑制のバランス

しかしながら、これもバランスなのです。外傷部分の組織は浮腫により必ず血行不良が起こっています。血行不良もまた新陳代謝を妨害する最大の原因となります。ステロイドにより浮腫を軽減させると、血行不良が改善されて新陳代謝が活発になります。ステロイドによる新陳代謝停滞よりもステロイドによる血行改善による新陳代謝増加作用が上回れば、結論としてステロイドを使う方が組織修復が早くなります。つまり、自己免疫を過剰に抑制せず、浮腫をそこそこ軽減できるバランスの取れたステロイド量を使うことが得策なのです。その量を研究しないからスポーツ整形外科医がステロイドを上手に使えないでいます。私はステロイドを長年研究し、バランスの取れたステロイド使用量のガイドラインを独自に編み出しています。


追記: 水虫が酷くなるとそこから感染を引き起こし蜂窩織炎になって足がぱんぱんになることは多くの医師たちが知っているでしょう。これを白癬二次感染と呼びます。この治療にステロイドを使うか使わないか?で議論を読んでいますが、賢明な皮膚科医はステロイドを用います。その理由は、ぱんぱんになったむくみを除去することが血流改善を促し、結果的にその血流で細菌を退治できるからです。抗生剤の効果も抜群に上がります。一方、白癬にはステロイド使用は「禁忌」とされていることも多くの医師が知っています。ステロイドが免疫を低下させるため、白癬が増殖するという理論です。しかし、臨床現場では後者が正しくない場合が多く、ステロイドで軽快する例が大多数を占めることを現場の皮膚科医は良く知っています。ステロイドで浮腫を軽快させる方が、放置しておくよりも圧倒的に治療効果が高いのです。白癬にステロイド禁忌と言われているため、白癬二次感染にステロイドを用いることは勇気がいります。ですが、大多数の臨床結果としてステロイドを用いた方が圧倒的にすみやかに治ります。


ステロイドによる浮腫改善→血流増加→免疫力増強→新陳代謝を促進、とステロイドによる免疫抑制→死滅細胞の排除の遅れ→新陳代謝阻害、のどちらが勝つのか?について、多くの医師は後者が勝つと信じています。しかし、その根拠のない確信は間違いであることが次のような例から推測されます。


ステロイドの浮腫軽減作用は自己免疫活動を抑制する作用を意味します。免疫は傷ついた組織・細胞を食し新しい細胞に置き換える、つまり新陳代謝の役割を担います。ステロイドはこの新陳代謝を抑制しますので壊れた組織・細胞がその場に多く滞在することになります。壊れた細胞は関節内ではムチンなどに変化(細胞適応)し、邪魔にならないように画策します。しかしそれでも壊れる細胞が増え続け、それを処理できない状態が積み重なると、局所は細胞のゴミ(死骸)であふれかえることになります。


これが新陳代謝を妨害しますから、組織強度が低下し、靭帯損傷・筋断裂・骨軟骨破壊につながるでしょう。ステロイドの最大の効果であり最大の弱点がこの「自己免疫抑制・新陳代謝妨害」にあります。ステロイドを用いると「腱などが断裂する」と言われる理由はこの新陳代謝妨害が深く関わっていると思われます。整形外科医が外傷にステロイドを使用することを極めて嫌がる理由がこの新陳代謝妨害です。そして過剰にステロイドを怖がっているためスポーツ選手の外傷におもいきって使わない傾向があります。ステロイドに対して知識を正しく持たない者はステロイドを怖がる…これは悪いことではなく、良いことだと思います。


DDS(ドラッグデリバリーシステム)理論

通常、多くの整形外科医はDDSを重視しませんので、水溶性ステロイドも固形ステロイドも効果に大差ないと思っていると推測します。しかし、実際は同じステロイドなのに効果は月とスッポンと言えるでしょう。これまでステロイドが腫れに極めて有効であることを述べましたが、それには最大の問題があります。障害を起こしている部分にだけステロイドがある状態にし、全身にはステロイドが拡散しないという離れ技をしなければならないところです。局所の腫れを引かせながら、全身には影響しないステロイド…という条件を満たすには、水溶性のステロイドは不適切です。水溶性ではステロイドが数時間以内に拡散してしまいます。そこで、固形のステロイドの局所注射という方法がとられます。固形ステロイドは局所にとどまり、最高で約3週間、局所に留まった固形体から微量のステロイドが溶け出し、24時間絶えず局所のステロイド濃度を高めます。よって一度注射をするだけで2~3週間連続で治療し続けるのと同じ意味になります。よってDDSの観点からすると固形ステロイドは外傷の治療において「これ以上の効果を示す薬は他にはない!」と断言できるほど秀逸な薬剤となります。


固形(懸濁)ステロイドが引き起こした事件

約5年前、ケナコルトの注射後に関節が腫れて痛みが出るという報告が世界各地から上がりました。実際、私の患者でも10人に1人の割合で関節腫脹と疼痛が起こり、1時期生産中止なりました。明らかな原因をメーカーは発表することなく生産が再開されましたが、それ以降、関節腫脹が発生する件数は千人に1人以下となりました(私の経験上の数値)。ただし、関節腫脹は数日以内に治まり、それ以降は関節の動きが調子よくなることを確認していますので、後遺症は残らないようです。


おそらく原因は固形粒子の大きさの不揃いと推測し、大きな粒子が関節面を傷つけるためではないでしょうか。最近ではめったに関節腫脹を起こす方はいませんが、スポーツマンの関節内に注射する場合は、一応万一に備え、関節腫脹が数日間起こり得る可能性があることを考えておきます。これが固形ステロイドの弱点(短所)です。しかし、5年前のケナコルト事件も、今では忘れている医師が多くなりました。よってケナコルト注射後に関節が腫れても、原因をケナコルトのせいであるとピンとくる医師が少ないと思われます。


 

使用量をわきまえる

ステロイドは体内から分泌されるホルモンであり、「悪者扱い」してはいけません。悪いのは過去の医師たちが「使用量を研究もせずに濫用したために」副作用が出てしまったことであり、使用量をわきまえれば安全であるという認識です。再度申し上げますが、ステロイドは体内で分泌されているものですから副作用うんぬん以前に、人体に必要不可欠な物質であるということを忘れないでいただきたいのです。


ケナコルトの副作用欄には毎年数個の使用注意の病名が新たに追記されていきますが、それらは使用量をわきまえない医師たちが作り出した悪しき記録であることを念頭におかなければなりません。ただし、適切な使用量を研究した論文は世界にほとんどありません。強いて言えば私の論文くらいでしょう(このHPに掲載しています)。よって適切な量がどの程度の量なのか?が他の医師たちに認識されていません。よって、適切な量を研究していない医師にはスポーツマンにケナコルトを使用する資格がないと思われます。よってケナコルトを使用できる医師がほとんどいないという現状です。それでよいと思います。


ちなみに私は1関節の1回量を2.5mgとしています。これは1バイアルの20分の1という少量です。ただし、この使用量でも毎週注射すると副腎機能が低下する場合があり、1回使用量だけを管理すればよいという単純なものではありません。


スポーツマンの関節にケナコルトを使用する短所

  1. ドーピング検査

ケナコルトは副腎皮質ホルモンであり、量にもよりますが、その効果が数週間は続きます。したがって薬物検査の2か月前には使用を中止すべきです。薬物検査がない大会、レベルであれば問題はありません。また、使用の際にはチームドクターに申請書を提出しなければなりません。治療のためとはいえ、チームドクターは使用を許可しないと思われますのでドーピング検査以前の問題となるでしょう。しかし、選手生命がかかっている場合、そうした一般常識に従っていては復帰が難しくなります。ご自身の決断が必要な場合があるでしょう。

ドーピングホットラインによると以下のように回答しています。

「医療記録(カルテ、様式任意)を必ず保存して下さい。 医療機関における糖質コルチコイドの局所注射(局所使用)は禁止されていませんので、TUEは不要です。 競技会のドーピング検査の結果、糖質コルチコイドが検出された場合には、 (1) JADAが、アスリートに使用状況を問い合わせる (2) アスリートは、上記の医療記録をJADAに提出し、局所使用であることを証明する (3) JADAが、検出結果がその医療記録と矛盾しないか確認し、局所注射使用かどうかを判断する (4) JADAが局所注射使用であると確認した場合、アスリートは違反なしと判断される 上記(2)において必要となりますので、アスリートは、病院での医療行為を受けた際には、必ず医療記録を残しておきましょう。」

つまりケナコルトの使用は申告すれば問題ないようです。

 

2、ケナコルトを注射しても痛みが続く場合

ケナコルトは強力に関節内や腱鞘内の腫れを引かせますので摩擦が小さくなり、激しい運動にも関節や靭帯が耐えうるようになります。摩擦が小さくなれば損傷して死んでゆく細胞数も減りますから、死滅細胞を食する免疫系細胞がケナコルトにより抑制されても問題は起こりません。ところが、ケナコルトを注射しても痛みが持続する場合、摩擦が十分に除去しきれていないことを意味しますから、損傷して死滅する細胞が減っていきません。この状況ではケナコルトは悪化のサイクルを回します。すなわち、免疫を抑制する作用のせいで、死滅細胞を食する免疫系がしっかり働いてくれないので、関節内や腱鞘内には死滅細胞のゴミがたまっていきます。そしてこのゴミがさらに細胞内の新陳代謝を妨害するので関節や靭帯は崩壊する方に向かいます。


ケナコルト使用量を知らない医師はこの改善と改悪のボーダーラインを知らないため、治療が改悪の方に傾いていてもケナコルトの使用をやめないために関節壊死や腱断裂にまで至らしめてしまいます。ボーダーラインは「痛み」にヒントがあります。痛みはケナコルト使用量と使用頻度との関係で変化しますから、ボーダーラインを認識するにはそれなりの研究と経験が必要になります(私のHPの中にそのヒントが隠されています。というよりも、隠していませんが…)。

 

3、関節内腫脹

前述したように、ケナコルトの粒子が関節面を傷つけることがごくまれにあります。その際は約24時間、関節を動かさずに待機していれば腫脹が消退し問題ありません。最近は生産者の管理が行き届いているせいか、関節腫脹が起こることがほとんどありません。私の場合2年間で1例のみです。腱鞘内注射では問題がありません。

 

4、社会的問題

ケナコルトを正しく使用できる医師はおそらく皆無に近いのでアスリートが軽率にケナコルト注射を受けにスポーツ整形外科医に通院することをあまりお勧めしません。ましてや、ドーピングの問題もあり、プロスポーツ選手であれば、チームドクターもいるでしょうから、そういう医師に相談すれば必ず否定されます。スポーツドクターのプライドにかけて反対するでしょうから治療の際には自己責任で担当医に内緒にしなければならないでしょう。それは道義的に難しいことかもしれません。ただし、「手術をしなければならないほど悪化」しているのであれば、ケナコルト治療は手術と比較すれば何十倍も安全ですから、軽率に「早く復帰したいから」といって手術を選択されないことです。手術の前にはまず注射を選択すべきでしょう。いきなり手術を勧める方が社会問題だと感じます。


捻挫・肉離れ・骨折の腫れを瞬時に治すステロイド療法

これまでステロイドの注射治療を紹介しましたが、実は注射よりも安全で普通の消炎鎮痛剤の何倍も腫れを軽減させることのできる治療法があります。その方法はステロイド軟こうを捻挫や肉離れを起こしたところに塗るというただそれだけのことです。肉離れや捻挫は、程度にもよりますが、およそ3週間は腫れや痛みが消退しません。しかしながらステロイド軟こうを塗れば、その多くが数日で驚くほど腫れと痛みが消退します。腫れが引くと血行が促進し、修復速度が急激に増しますから、治るまでの期間が大幅に短縮されます。患者たちには「魔法の治療」と呼ばれています(笑)。


経皮的に吸収されるステロイドの副作用は、飲み薬や注射に比べて少なく、ほとんど問題になりません。よって私は腱鞘炎や捻挫、肉離れ、へバーデン結節などにもステロイド軟こうを処方します。1日数回局所にぬるだけで済みます。外傷にステロイド軟こうを処方するのは恐らく私くらいなものですから、ステロイドが外傷にどれほど驚くべき威力で効果を発するか?を知る方はいらっしゃらないと思います。経皮吸収される量は短期間であれば問題視されない量ですので、学童にも使用可能です。使用すれば短期間で腫れが引きますので、ずっと使用する必要もありません。アスリートであれば、秘術として知っておいても損がないかと思われます。


ステロイドで腱が切れやすくなるという情報

この情報はこのHPでも紹介しています。特にケナコルトは腱断裂の危険ありという情報が能書きに記されています。その情報をどこまでしっかり認識するかしないかで、考え方が変わります。私はそうした情報を嘘だと述べているわけではなく、情報がうわべだけの浅い理論なのでもう少し深く病態生理を考察した方がよいと述べるのみです。心配の方は「ステロイドの薬効・薬害」のところをお読みください。ここでは深く述べません。


アスリートがこのHPにたどり着くか?

アスリートがプロとして生きて行くには、必ず通らなければならないのが故障の壁です。全ての選手が自分の身体能力のMaxをかけて技能を競い合うのでわずかな油断で肉体が大きく損傷します。それはナイフの上を歩いているに等しく、集中力を欠いたら即転落です。そうした中、故障した場合、「早く復帰したい」というあせりにおいて、選手はもっとも身近なチームドクターに相談します。チームドクターは「早い・安い・うまい」ですから。よって、選手生命がまだしっかりしているうちは、自ら身の危険を感じて「名医を探そう」とはしないでしょう。そんな暇があるわけありません。よって私のHPにたどり着くこともないでしょう。


ところが、実際にアスリート生命が絶たれ、限界を超えてしまった人はようやく「自らの力で名医を探そう」とHPの検索を開始するでしょう。しかし、その際は手遅れである可能性も高いでしょう。破壊されつくした運動器で私のところに来られても、私は魔法使いではありません。軽症のうちに私のところにやって来られれば、最高のパフォーマンスを出せるのですが…それはおそらく難しいでしょう(社会的に)。


私は注射専門の整形外科医ですが、やはり関節内注射や腱鞘内注射の技術は普通の整形外科医よりもかなり高いと言えるでしょう。注射の技術はケナコルトを使用するかしないか以前の問題です。狙った場所に薬を正確に届け、かつ周囲の組織を損傷させない技術です。この技術が高くなければ、よい効果を発揮しません。よってケナコルトを使う使わない以前に、注射でアスリートを治せる技術は医師によって大差がつきます。

驚愕の星状神経節ブロックの効能・効果


 

<はじめに>

星状神経節ブロックがどんな病気に効果があるのか?は案外、医師にも世間の人々にも知られていません。さらに安全性についても不明であり、「得体のしれないブロック」であることに薄気味悪さを覚えるものです。この薄気味悪さは副作用やリスクをしっかり公示しないことにあると思われ、ペインクリニック科の医師でさえ、リスクや副作用についてしっかり認識していると思えず、その結果、本ブロックの信頼性(信用)が極めて低迷していると思われます。そうした悪しき状況、誤解を解かなければ、ブロック治療に未来がないでしょう。ここでは星状神経節ブロックがなぜ一般に普及しないか?について、その原因を探りつつ、本ブロックのリスクについて語ろうと思います。まずは、節操がないほど数多くの効能効果をご覧ください。

星状神経節ブロック療法の適応

(「ペインクリニック診断・治療ガイド」第2版より)

全身 風邪とその予防、自律神経失調症、本能性高・低血圧症、甲状腺機能低亢進・低下症、拒食症、過食症、起立性調節障害、乗り物酔い、立ちくらみ、パニック障害、不眠症、過眠症、脳卒中後痛、脳卒中後片麻痺、関節リウマチ、術後合併症、多発性硬化症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、重症筋無力症、痛風、伝染性単核球症、慢性疲労症候群、反射性交感神経性萎縮症、カウザルギー、幻肢痛、断端痛、癌、糖尿病、冷え性、肥満症、低体温症、再生不良性貧血、骨粗鬆症、吃逆、化学物質過敏症
皮膚科 全身多汗症、掌蹠多汗症、乏汗症、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、全身性白癬症、足白癬、爪白癬、皮膚掻痒症、脂漏性皮膚炎、掌蹠膿胞症、帯状疱疹、単純疱疹、天疱疹、ケロイド、脱毛症、凍傷、爪甲剥離症、爪甲軟化症、爪甲縦裂症、爪囲炎、腋臭症、進行性指掌角化症、あかぎれ
頭部 片頭痛、緊張型頭痛、頚性頭痛、群発頭痛、側頭動脈炎、脳血管攣縮、脳血栓、脳梗塞
眼科 網膜血管閉塞症、網膜色素変性症、中心性網膜症、ぶどう膜炎、類嚢胞黄班浮腫、角膜ヘルペス、角膜潰瘍、緑内障、アレルギー性結膜炎、瞳孔緊張症、飛蚊症、眼精疲労、ドライアイ、VDT症候群、屈折異常
耳鼻科 アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、鼻茸症、慢性副鼻腔炎、急性副鼻腔炎、術後性上顎嚢胞、突発性難聴、浸出性中耳炎、メニエール病、良性発作性頭位眩暈、鼻閉、扁桃炎、耳鳴、咽喉頭異常感症、嗅覚障害、いびき、睡眠時無呼吸症候群
口腔 抜糸後痛、舌痛症、口内炎、舌炎、歯肉炎、口唇炎、歯ぎしり、口内乾燥症
頚肩上肢 上肢血行障害(レイノー病、レイノー症候群、急性動脈閉塞症、バージャー病)、肩手症候群、頚肩腕症候群、椎間板ヘルニア、外傷性頚部症候群、胸郭出口症候群、肩関節周囲炎、乳房切断後症候群、テニス肘、腱鞘炎、頚椎炎、ガングリオン、腕神経ニューロパチー(外傷性、術後)、関節炎、肩こり、ヘベルデン結節痛
循環器 心筋梗塞、狭心症、洞性頻脈、神経循環無力症
呼吸器 慢性気管支炎、肺栓塞、肺水腫、肺気腫、過換気症候群、気管支喘息、自然気胸
消化器 過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、胃炎、肝炎、クローン病、消化性潰瘍、逆流性食道炎、胆道ジスキネジー、便秘、下痢、腹部緊満症、ダンピング症候群、痔核、裂肛
産婦人科 月経異常、月経前緊張症、月経困難症、子宮内膜症、更年期障害、子宮摘出後自律神経失調症、尿失禁、膀胱炎、女性不妊、妊娠悪阻、膣痙
泌尿器科 神経性頻尿、インポテンス、尿失禁、夜尿症、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、IgA腎症、嚢胞腎、遊走腎、前立腺肥大症、前立腺症、男性不妊
腰下肢 腰下肢痛、膝関節痛、肢端紅痛症、肢端紫藍症、鶏眼、下肢静脈瘤、こむら返り、バージャー病、閉塞性動脈硬化症

ご覧のように、ほぼ全ての科、全ての疾患に「効果がある」と書かれています。中には重症筋無力症などの超ド級の難病も含まれており、この効能・効果が真実であるならば、世の中から難病が消えてしまいます。これが真実なら難病をわずらった多くの患者がペインクリニック科に殺到し、そして世界中の他科の医師たちも必死になって星状神経節ブロックを学び、習い、研究することでしょう。しかし、そうした現象は世界に起こっていませんし、星状神経節ブロック自体が世に広まっていません。それはなぜでしょう?


星状神経節ブロックの効能・効果

街行く人に「星状神経節ブロックの効果を知っていますか?」尋ねても、恐らく100%に近い方々が上に挙げた効能・効果を答えられないでしょう。百歩譲って、医師免許を持つ先生方に同じ質問を投げかけたとしても、恐らく100%に近い先生方が10項目以上を言うことができないでしょう。さらに千歩譲って、星状神経節ブロックを毎日行っているペインクリニックの医師に尋ねても、50項目以上を言える医師はまずいないでしょう。さらに1万歩譲って、重症筋無力症・シェーグレン・伝染性単核球症・爪白癬などを治療する目的でペインクリニックに通院している患者は皆無に近いでしょう。そうであるならば、このガイドラインは「西洋医学を愚弄しているのか!」ということになってしまいます。そしてこのガイドラインを自分の病院の治療効果を宣伝するために、ホームページなどに掲載している病院などがあれば、それは歓迎できません。


保険適応のない星状神経節ブロック

例えば、水虫を治療するために「星状神経節ブロック」を行っても、そういう治療は国が認めていませんので保険が使えません。星状神経節ブロックは水虫に保険適応がないからです。上に挙げた効能・効果のほとんどが保険適応になっておらず、科学的に効能・効果が証明されていません。再度申し上げますが、効能・効果が証明されているのであれば、他科の医師も必死になって星状神経節ブロックを身に着けようとします。しかし、そうした傾向は見られません。


他科の医師がペイン科を紹介しない理由

上記の効能・効果が保証されているのであれば、他科の医師はペイン科に紹介状を書き、「星状神経節ブロックをよろしくお願いします」と申し出るでしょう。眼科医は眼精疲労の患者をペイン科に紹介し、神経内科の医師は重症筋無力症の患者をペイン科に紹介し、脳外科は脳梗塞患者をペイン科に紹介し、循環器の医師は心筋梗塞の患者を紹介し…ということが日本に限らず世界中のどこの国においても行われていません。その理由を考えなければなりません。


一つは他の科の医師がペイン科の医師の論文を「信用するに値しない」と考えていることが浮き彫りになります。一つは患者を紹介することが患者にとって幸せではないと考えていると思われます。では何が「幸せでない」ことなのか?それはブロックのリスクです。のど元の奥深くに針を刺し、注射をすることのリスクが高すぎるため、実用性がないと判断されているということです。十二指腸潰瘍の治療で胃切することを軽はずみに勧めないのと同じ原理です。ブロックの効果が数字ではじき出されていないこと、リスクが起こる確率もはっきりしていないことなどから上記の表は信用に値しません。ペイン科がこの表を示して自分の科を宣伝すれば、ペイン科の治療行為が信用されなくなる危険性があります。


リスクも効果もはっきりしていないものを患者に用いる倫理

星状神経節ブロックの使用には倫理的な問題があります。漠然と「治療は1回5cc×2を毎週×30回行います」と言われても、30回も行えばリスクに遭遇する確率がかなり高まります。針先で迷走神経を傷つけたり、薬液の圧や出血の圧力で周辺の神経に炎症を起こしたりなどの可能性が高まってしまうということです。


さらに、30回通院させる労力は患者にかなりの負担になります。注射の痛みも軽視できません。そして30回行えば水虫が治る、心筋梗塞が改善するなどのエビデンスもないわけですから、水虫や心筋梗塞の治療として星状神経節ブロックを行うことは医の倫理に反します。星状神経節ブロックの適応はかなり限定されるものです。よって上記の表は星状神経節ブロックの信頼性やペイン科の威信を失墜させるものとなります。


上頚神経節ブロックのエビデンス発表

星状神経節ブロックではなく、私が行っているそれよりも上位に行うブロックの治療成績(エビデンス)です。ブロックのエビデンスを出すことは実は極めて難しいことです。症状の改善を客観的に数値化することが不可能に近いからです。

幸運にも私のクリニックには突発性難聴の症例が多く訪れ、上頚神経節ブロックが「頭蓋内の神経細胞疾患にどれほど効果があるのか」を聴力(デシベル)という数値で具体的に示すことができました。2年間かけて作った貴重なデータです。こちらをご覧ください。

 


医者に腰痛と肩こりを治せない

私は以前のブログで「医者に腰痛は治せない」と書きました。この意味を要約すると「腰痛や肩こりはブロック注射で治すことができますが、注射の痛さが強烈で、リスクも少なくないことから、軽度の腰痛、日常の肩こりをブロックで治すということは医の倫理的に不可能」と述べました。実際に世間を見渡すと、肩こりや軽い腰痛の人がいきなりペイン科に行ってブロックを希望することは皆無です(一度経験している人はブロックを希望することがあります)。薬でもマッサージでも接骨院でも改善しない痛みをわずらって初めてペイン科にかかることを考えるのが普通です。そして実際にブロックのリスクや副作用は軽視できないのですが、私個人の意見としてペイン科の医師はこれらを軽視する傾向が高いと感じます。リスクや副作用を軽視すれば、腰痛も肩こりもどんどんブロックで治すことが正当化されるでしょう。そしてブロックによる事故の被害者も増えるでしょう。


リスクを低くできなければブロックをしてはいけない

私は注射器を過度に怖がる神経症の患者にも、子宮内膜症に苦しむ小学生(高学年)にも、ブロックを行いますが、それは万に一つも合併症を起こさないという実績があり、強い痛みを感じさせることなくブロックをすることができるという二つの技術を身に着けているからです。つまり安全性を何よりも重視し、ひとりひとりの患者に時間をかけて愛護的にブロックをすることを徹底しているからです。さらに患者の背骨がどんなに強い変形があろうとも、どんなに肥満であろうとも、奇形があっても、必ず狙った箇所に針を到達させることのできる技術を身に着けたからです。1万回ブロックしても1万回合併症を起こさないからこそ症状が軽い人や小学生や高度変形の高齢者、極度の肥満者などにもブロックを勧めることができるようになったわけです。そうでなければ「強い痛みに苦しんでいない患者」に対してブロックを勧めることは医の倫理に反します。


文頭に記した様々な適応病名には「強い痛みを伴わない病気」がたくさんあります。例えば眼精疲労・不眠・高血圧などです。これらの症状を治すためにペイン科を訪ねる患者は皆無ですし、これらの症状を持つ患者をペイン科に紹介する医師も皆無です。ならば、上記の表はペイン科の威信を失墜させます。医師たちがペイン科の医師を信用しなくなります。


認知症・脳梗塞後遺症などの治療にブロックが適応されるか?

私はこのホームページ上に上頚交感神経節ブロックを用いて認知症や脳梗塞後遺症の患者を改善させることが可能であることを執筆しました。しかし、これらの病気は「強い痛みを伴わない疾患」であり、患者が進んでブロック治療を受けることはまずありません。改善には個人差があり、絶対に治るとは限らないからです。このような「痛みを伴わない疾患」でブロックを行うためには、最低でも「痛みを感じさせないブロック注射」の技術を持たなければなりません。そして、治療には数十回~数百回と通院しなければならないこともあるのでリスクや合併症を「何度治療を行っても絶対に起こさない」と言えるほどの腕が必要になります。さらに、毎週同じ場所に注射するので、注射部分に炎症や出血を起こさない特別な技術も必要になります。それらができる技術があって初めて認知症や脳梗塞後遺症患者にブロック治療を勧めることができます。ですから、私がこうした「痛みを伴わない疾患」にブロック治療を開始したのはごく最近です。技術が未熟なうちは、カジュアルにブロックを勧めることはできませんでした。


そうであるなら、上記のような疾患に「星状神経節ブロックが効果がある」と証明するためには、極めて高い技術がある医師のみがデータを収集できます。極めて高い技術がある医師は極めて少ないですから、結局きちんとしたデータ収集ができません。ですから、上記の適応表はきちんとしたデータではない可能性が高いのです。


そして「どうせきちんとした証拠もなく、効能効果を適当に書いているのだろう」と他の科の医師たちに思われています。私のホームページに記載してある内容もおそらく上記の表と同様に信用性のないものと思われるわけですからかなり迷惑なことです。この迷惑のおかげで、医師たちは私の様々な論文を信じないでしょう。信じてくれなければ私の治療法を全国の医師たちに広めることができません。だから本当に迷惑しています。


「ついで治療効果」について

ついで治療効果とは、私が上記の表を皮肉ったものです。上肢帯の激しい痛みや三叉神経痛の激しい痛みのためにペイン科に毎週通院せざるを得ない患者が、ブロックを続けていると偶然、めまいが改善したり、血圧が正常化したり、不眠症が治ったり…という「痛みを治しているついでに他の病気にも効果が出た」という効果のことを言います。上記の表にある病名は世界中の「ついで効果」を単に並べたてたものであると私は推測します。


「ついで効果」と「治療効果」は月とスッポンの差があります。治療効果とするためにはエビデンスが必用で、エビデンスがあれば保険適応となり、国家がその治療法を認めます。「ついでに効果」は証拠がなく、治療法として確立できません。にもかかわらず、ペイン科の医師たちが自分のクリニックを宣伝するために、これらの「ついで効果的疾患」を大上段に構えて宣伝することを私はたいへん遺憾に思います。ペイン科が「きわもの」だと思われてしまうからです。


ペイン科はリスクや合併症を開示せよ

ペインクリニック科でもっとも問題になるのはブロックのリスクや合併症です。組織に針を刺す治療ですから、毎回必ず針を刺すことによる損傷という合併症を必ず起こします。硬膜外ブロックを行えば、脊髄麻酔になってしまう合併症もたびたびあります。キシロカインによる中毒症状は血管内に薬が入ってしまうと起こることがあります。針を刺した箇所がずっと痛かったり、注射後に麻痺が起こることもしばしばあります。しかし、こうしたリスクや合併症をほとんどのペインクリニックが開示していません。これは非常に嘆かわしいことです。


なぜ耳鼻科の医師がめまいの患者をペイン科に紹介しないか、なぜ眼科の医師が眼精疲労の患者をペイン科に紹介しないか?考えてください。それはリスクが効果を上回る可能性が高いからです。他科の医師としては、ちょっとした合併症が100人に1人でもあれば、めまいや眼精疲労の治療にペイン科のブロックを紹介したくないものです(紹介した側にも責任があるため)。ならば、ペイン科は「治療できる!」ことを説明するよりも、リスクや合併症がどの程度であるか?を説明する方が重要です。ただし、問題はペイン科の医師が「ブロック後に声帯が麻痺して咳が出やすくなる」「硬膜外ブロック後に2時間くらい脊髄麻酔がかかって動けなくなる」などをリスクとして考えないことです。


ブロック後に2時間も力が入らなくなることは患者にとっては苦痛です。苦痛はリスクなのです。注射が痛いのもリスクです。これらのリスクをリスクとして考えないうちは「痛みを伴わない疾患にブロック治療をする」ことは無理でしょう。


ブロック注射後に1時間以上寝ていただく意味

私が以前ペイン科の病院に勤務していた時、そこでは硬膜外ブロックを行った患者は1時間半もベッドに寝させていました。なぜ1時間半も寝かせるのか?には理由があります。注射ミスをカムフラージュするためです。硬膜外ブロックではしばしば薬液が深く入りすぎて半脊髄麻酔状態になります。そうなると1時間以上動けなくなります。しかしブロック後の休憩時間を一律1時間半にしておけば、その頃には麻酔が切れて動けるようになるのでミスにならなくなります。患者は「ブロックとはこんなものか!」と思うのみです。


私の担当患者で、ペイン科の医師と私と両者にかかっていた患者がいたのですが、その患者は「ペイン科の先生のブロックの時は毎回1~2時間動けなくなるのに、先生の時は動けるのはどうしてなんですか?」と質問されたことがあります。それはペイン科の先生のブロックミスで毎回薬液が深く入りすぎているからですとはさすがに言えませんでした。それほどブロックミスは普通に起こることだということです。というよりも、それをミスと考えていない医師たちの姿勢を嘆きます。こうしたデリカシーの欠如が患者に不評を買っていることは言うまでもありません。


最後に

星状神経節ブロックの効能・効果があまりにも常識を逸脱していることについて述べました。ペインクリニック科のガイドラインにこうした多量のエビデンスのない効能・効果が書かれているおかげで、普通にブロックを行う私のような医師の信用が落ちてしまいます。そして私が現在進行形でブロックのエビデンスを作ろうとしている作業そのものが、こうした節操のないガイドラインと同類と思われているだろうことが想像でき、たいへん困っています。どうか、このようなガイドラインを発表することはやめていただきたいと医師の一人として思う次第です。本当に困っています。


もちろん、こうした病気を治せる可能性がないわけではないことはよく知っています。それにしてもこの表は医師として科学者として恥ずかしいです。

 

神経脆弱状態での神経損傷について

はじめに

神経ブロックをキシロカインなどの局所麻酔薬を用いて行った場合、もっとも頻繁に起こり、かつ問題となるのは神経損傷でしょう。神経損傷の原因の基礎は、実は多岐に渡る(神経の走行異常、血行不良、圧挫、交感神経性、自己免疫性、代謝異常など)のですが、それを思い浮かべることのできる医師はほとんどいないと思われます。私は神経ブロック後に一過性の麻痺が起こり、それが長時間回復しなかった例を経験しました。この麻痺は再現性があったため、本人の体質が原因であると判断しました。麻痺が起こりやすい体質(状態)というものがあるのなら、神経損傷の概念は変わらざるを得ません。なぜ人によって麻痺の時間に差があるのでしょう。


症例 62歳 男性 主訴:両上肢(左>右)のしびれと痛み

数年前から上記主訴に悩んでいたが近くの整形外科では薬の処方と物療のみであった。H27.2.私の外来を初診。左右の第7頚神経に傍神経根ブロックを行った。注射直後から左上肢に麻痺が出現、全く力が入らなくなる。本人には「薬が狙ったところに入った証拠です」と説明し帰宅していただく。しかし、帰宅後も麻痺は回復せず(知覚低下は数時間で戻る)翌朝も同様に麻痺していた。その後徐々に麻痺は回復したが、完全に麻痺が回復するまでに約3週間を要した。


経過

2度目の治療を行う。前回の麻痺を踏まえ、今回は神経をダイレクトに狙うことはせず、神経根から10mm以上距離を置いた箇所に1%キシロカインを1.5cc×2(左右の第7頚神経根近傍)を注射する。ブロックの際、神経を刺した時のような電撃痛はなく、今回はほぼまちがいなく神経をわざと外した。


結果

今回はブロック後両上肢に8時間麻痺が出現した。後遺症はない。この患者は「しびれと痛みは緩和されたが怖いのでもうやりたくない」と述べた。


考察

1%キシロカインは神経根ブロックに用いると、1時間~数時間の麻酔作用を発現します。しかしながら8時間の麻痺はキシロカインの作用以外の要素を考えなければなりません。いったいどのような作用とどのような体質がこういった麻痺時間の延長の原因となるのでしょう? 2度目のブロックは神経を損傷しないように愛護的に行い、注入圧(水圧)もかけないように行いました。よって水圧や手技で麻痺時間の延長が起こったとは考えにくいのです。今回は2度目の麻痺ですので再現性もあり、しかも左右両上肢に同じような麻痺が現れていますから、原因として患者の体質を考慮しなければなりません。


麻痺時間遅延の原因考察

  1. 局所癒着のため麻酔薬が拡散しない
  2. 無血管野が広がっていて麻酔薬が吸収されにくい
  3. 神経虚血のため浸潤した麻酔薬がwash outされにくい
  4. 麻酔薬への耐性が極めて弱い
  5. 神経が圧に対して極めて弱い

 


などが挙げられます。1~4と5は明らかに原理が異なります。1~4はキシロカインによる作用であり、正確にはneurapraxiaではありません。5は注入圧によりneurapraxiaが発症したと考えます。しかし、臨床的にはneurapraxiaとキシロカインの作用が混在していると思われます。


※neurapraxia: 神経伝導に一部障害を認めるが、器質的には全く異常がないか、あるいは髄鞘の一部にごく軽度の異常を認める状態で、軸索には異常がない。神経回復には損傷部からの再生神経の伸長を必要としないため、麻痺筋は解剖学的位置とは関係なくほぼ同時に完全に回復するが、回復に要する時間は髄鞘の損傷の程度により、数分から数週である。


病的nuerapraxiaの存在

今回の麻痺遅延にキシロカインがどのように影響したとしても、注入液圧がどのように神経を圧迫してしまったとしても、神経がそのストレスに対してneurapraxiaを起こした状況は病的です。神経がストレスに対してかなり脆弱な状態であるといえるでしょう。このような「神経がストレスに対して病的に弱い状態」が存在することは現医学では認識されていません。神経の脆弱な状態は、些細な刺激であらゆる病気に発展する恐れがあり、しかも脆弱な状態はMRIなどで一切描出されないので臨床現場では不可解なトラブルを起こすことがたやすく想像できます。


神経の脆弱な状態では、ささいなストレスではneurapraxiaが発生し、これは可逆ですが、中等度のストレスでaxonotmesis(軸索断裂)を起こしてしまう可能性も考慮しなければなりません。脆弱な状態では「これくらいのストレスでは損傷しない」と思われるようなストレスで軸索断裂が起こる可能性があります。例えばむち打ち損傷や居眠りでの屈曲姿勢などです。軸索断裂が起こってしまうと、回復までに数か月から1年を要することから、患者も医師も回復不可能と誤解してしまう可能性があります。


また、医師の行う注射、針灸での処置などで局所に出血を起こし、血腫が神経を圧迫してaxonotmesis(軸索断裂)が起これば、医療過誤で後遺症が出現したと誤解されるでしょう。よって神経の脆弱な状態は社会であらゆるトラブルを起こす原因になります。少し背中を押しただけなのに、その後に半身不随が出現したというような事件に発展する可能性を秘めています。これまで、神経の脆弱な状態に言及した論文は世界になく、私が初めて提唱しています。しっかり認識されれば、民事訴訟の判例も変わってくる可能性があります。


神経の脆弱な状態

私は脊髄・脊椎不適合症候群が神経の脆弱な状態であると考えています。脊椎のカーブ(軸)が先天的・および後天的に悪く、ちょっとした動作や姿勢で脊髄が尾側にひっぱられてしまい、延髄や脳幹まで下方に引っ張られ、過度な緊張が発生しやすい状態を言います。神経が緊張している状態=脆弱な状態、と推測しています。神経の緊張は現医学にはない(最近になって言及されはじめてきた)病態生理であり、医師の多くが理解していません。


脳神経の脆弱な状態

私は現在、少し立っているだけで、歩いているだけで、椅子に腰かけているだけで、パソコンをしているだけで…めまい・脱力・呼吸困難・耳鳴りなどが発症する患者を6~7名抱えています。これらは脳神経が脆弱な状態に陥っていると推測します。診断名はつきませんので心因性とされ、精神科受診することが一般的です。脆弱な状態にあると、日常の動作で神経が損傷・炎症を起こし様々な症状を起こします。


神経の脆弱な状態の治療法

脆弱な状態に陥る理由は、必ず血行不良が存在しています。原因が骨の変形・自己免疫・腫瘍・代謝異常であったとしても、最後に血行不良を起こして脆弱な状態へと移行していくと思われます。よって治療法は脆弱な状態に陥っている箇所の血行再開です。交感神経節ブロックが最大の効果を発揮すると思われます。


治療リスク

神経の脆弱な状態を改善させる目的で行ったブロックの薬液注入圧で容易に神経が損傷すると思われます。つまりブロック治療の恩が仇になる可能性が高いでしょう。正義感と良心に満ち、勇気を出してブロックした医師の治療が原因で症状が悪化するわけで、そうなると医師の心は激しく傷つき、上司にも「ブロックをするな!」と警告され、「もう二度とブロックをするまい」と思うでしょう。数週間後に患者の症状が回復したとしても、医師の心のトラウマは消えません。私は、そうした正義感にあふれた医師がブロックを行わなくなることに心を傷めます。今回、神経の脆弱な状態に言及したのは、それが医療過誤ではなく、患者の状態でなっているという場合があることを知っていただきたかったからです。


ただし、被害者にこのような内容を説明しても、理解することはなく、憤ることでしょう。医師と患者、あるいわ被害者と加害者は理解しあえることはなくトラブルを避けられないでしょう。セカンドオピニオンを他の医師に求めると、こうした内容を理解できる医師はいないと思われますので、さらに事態が悪化するでしょう。


まとめ

神経の脆弱な状態では病的neurapraxiaや、最悪の場合病的なaxonotmesisがたやすく発生すると思われます。そのきっかけが医療行為であれば医療過誤とされ、きっかけが第3者行為であれば傷害罪が適応されることがあります。しかし、現実的にはそこに神経が脆弱な状態があり、日常の行為で損傷する可能性を考えなければならない状態があるかもしれません。神経の脆弱な状態はこれまでの医学の概念にはなく、今後も訴訟トラブルメーカーとなることが推定されます。その時に、本症例のような事例があることを思い出していただければ幸いです。

古典的片頭痛に特効のブロック

はじめに

私は20歳の時から始まった古典的片頭痛の持病があります。古典的片頭痛は通常の片頭痛とは違い、閃輝暗点や視野狭窄、言語障害、感覚障害などが一過性に30分から1時間起こるという特徴があります。寝不足や過労が続き、緊張状態で長時間作業をしていると起こります。上記のような神経症状のあと、1~2日続く頭痛と吐き気に悩まされるということを、20歳の頃から何度も繰り返しています(年に数回くらいの頻度です)。今回も数日前に片頭痛の発作を起こしましたが、その際に自分自身に上頚交感神経節ブロック(1%キシロカイン3cc)を行い、劇的な効果があったので報告します。


古典的片頭痛とは

古典的な片頭痛発作は、視覚現象(しばしばジグザクの光や光のフラッシュが片側に 10~ 30 分で展開される)の後、片側性で拍動性の激しい頭痛が生じ、悪心、嘔吐や光過敏など の症状を伴う。一方、普通片頭痛は両側の頭痛のみを生じる。片頭痛の有病率人口の 15~ 20%でありその半数が女性である。一般的に、片頭痛の多くは緊張やストレス、気圧によ って引き起こされる。また頭痛の家族歴や乗り物酔いの既往があることが多い。片頭痛の 亜系としては、頭痛を伴わない視覚現象のみを呈する場合がある。
病態  片頭痛は 2500 年以上前のギリシャ文明時代から知られているものの、いまだそのメカニ ズムについては解明されていない。しかし神経伝達物質であるセロトニンの異常が片頭痛を引き起こすと考えている。セロトニンは神経細胞間でメッセージを伝達する伝達化学物質である。片頭痛発作時はこの化学物質の変化が脳の局所的な機能低下を引き起こし、血管壁の変化が攣縮性の収縮を引き起こす。血管の狭小化すると、酸素供給が減少することによる脳機能の低下がみられる。(北米、神経眼科学会誌より)


脳血管の血管平滑筋の痙攣

古典的片頭痛の原因ははっきりしていませんが、脳内の血管平滑筋が痙攣するという作用機序があります。もし、血管平滑筋の痙攣を解除できる方法があれば、古典的片頭痛をその場で治療できます。


血管平滑筋を支配するのは交感神経ですから、交感神経をブロックできれば脳血管の痙攣が解除されるのではないかと考え、鏡を見ながら自分の頸部に交感神経節ブロックを行いました。恐ろしいと思われるかもしれませんが、私は普段から上頚交感神経節ブロックの副作用を調べるために、自らの体に試し打ちしていますから全く平気です。


結果

ブロックを行うと10分以内に速やかに閃輝暗点が消失しました。視野狭窄(盲点の拡大)もおさまり、字が読めるようになりました。これほど即効だとは思いませんでした。しかも、いつもは閃輝暗点が消失した後に拍動性の頭痛と吐き気が必ず出現するのに、それが全くありませんでした。


ところがさらに2時間後、再び閃輝暗点が出現し始めます。閃輝暗点が出現し始めた時点で休養をとらないことが原因です。ブロック後も仕事を続けた為、再燃してしまいました。そこで私は再び自分の頸部に上頚交感神経節ブロックを行いました。すると今回も同様に10分程度で閃輝暗点がすみやかに消失。


この時点で若干呂律のまわりが悪かったのですが、薬時間後に呂律が回復、そして驚いたことに、頭痛と吐き気が全くありませんでした。通常はこの後、1~2日拍動性の頭痛と吐き気が続くのですが、頭痛なしです。


古典的片頭痛は頭痛がないものもありますが、私の場合、頭痛は必発で、閃輝暗点が見える状態が数十分続けば、その後に頭痛なしではいられません。にもかかわらず、ブロックが奏効し、今夏は頭痛を予防することが出来ました。


古典的片頭痛へのブロックの機序

ブロックは交感神経を麻痺させ、血管平滑筋の痙攣を解除したと考えます。その後に生じる頭痛は、血管が痙攣していた時間が長ければ長いほど強くなることを私は20年以上も前から体感し、経験しています。すなわち、可能な限り短時間で血管の痙攣を解除できれば、脳のダメージも頭痛も最小限に抑えられると思われます。


治療上の問題点

古典的片頭痛が発生して数十分以内にブロック注射を受けることができるかという時間制限があります。上頚交感神経節ブロックがどの医師にもカジュアルにできるようになればこの問題は解決します。私はそれをめざし、多くの医師たちにブロックの手技を伝えていく所存です。

 

延髄性呼吸困難症(新概念)

はじめに

あらゆる呼吸機能検査、採血検査、心機能検査などで異常がないにもかかわらず呼吸困難感が出現する患者は全国に多数存在すると思われますが、そうした患者は例外なく心因性と診断されることになっています。しかしながら、呼吸困難感が出現する状況として臥床時、高い枕、首の前屈長時間時、長時間座位での仕事時など姿勢が関与していると思われるケースが非常に多いこと、頸部交感神経節ブックで速やかに呼吸困難感が消失する例が多いことから、私はこれらの呼吸困難感の原因を心因性と診断することに極めて強い違和感を覚えています。


こうした呼吸困難感の原因は呼吸調整の受容体→延髄→脳への電気信号伝達の異常であると私は判断しています。つまり、脊椎のアライメント異常が根本に存在し、それが原因となって脊髄が尾側に引っ張られ→延髄・脳幹が緊張→延髄・脳幹の血行不良→舌咽神経・迷走神経・延髄の異常→呼吸困難感の出現、という機序を提唱すると共に、延髄性の呼吸困難感は頸部交感神経節ブロックで軽快させることができることを述べたいと思います。


延髄性呼吸困難感の仕組み

原因不明の呼吸困難感は呼吸調整を行う受容体(酸素・二酸化炭素分圧)からの信号が脳に伝わるまでの経路で間違った修飾を受けることで発生すると思われます。つまり動脈血の酸素分圧が低下(二酸化炭素分圧が上昇)していないにもかかわらず、そうであると脳に誤った信号が伝えられるということです。


この誤作動は生理的に健康な人でも起こります。例えば痛みを感じている時、不安や恐怖を感じた時などに、動脈血の酸素分圧が低下していないにもかかわらず呼吸困難感が発生し、呼吸回数が増えます。このように、健常な人でも精神的に呼吸困難感が起こり得ることから、「原因不明の呼吸困難感=心因性」と判断されるに至っています。


確かに、精神状態が呼吸困難感を作り出すことは理解できますが、これがすなわち、呼吸調整受容体―延髄―脳の経路に異常がないと断言する理由にはなっていません。現医学ではこれらを無理矢理「心因性」と判断しており大変残念に思います。


呼吸の受容体

  1. 頸動脈小体(内・外頸動脈の分岐部に位置)は舌咽神経を介して、大動脈小体(大動脈弓に位置)は迷走神経を介して、延髄の弧束核にPaO2低下とPaCO2上昇を感知(主にO2)した信号を送る。そこから吻側延髄外腹側野の外側旁巨大細胞核(呼吸中枢)に感知した情報が伝えられる。
  2. 延髄腹外側には髄液のph低下(CO2上昇)を感知する中枢受容体があり、ここでは完治した情報を吻側延髄外腹側野の外側旁巨大細胞核(呼吸中枢)に伝える。

 


呼吸困難感は呼吸中枢(外側旁巨大細胞核)に過剰な信号が送られると発症すると思われます。感情とも連動するので交感神経とも密接なつながりがあると思われますが、交感神経から呼吸中枢に至る経路は解明されていません。結論として呼吸困難感は延髄の弧束核、そして外側旁巨大細胞核の虚血や損傷で起こる可能性が高いと私は考えます。延髄の損傷を起こす原因の多くjが脊髄の過伸展であると推測します。


延髄損傷で呼吸困難感が発生する

むちうち損傷で延髄が瞬間的に強く引き伸ばされる、高い枕や側臥位での横枕で延髄に長時間の虚血ストレスがかかる、前傾(前屈)姿勢で長時間作業し延髄にストレスがかかる、頸椎の手術で術中の体位が悪く延髄を長時間過伸展してしまう、延髄の呼吸中枢に微小な血栓ができる、などの延髄損傷がきっかけとなり、過剰な信号がここに入力されることで呼吸困難感が出現すると考えます。


呼吸困難感の随伴症状

延髄が過伸展される場合、呼吸中枢のみが単独で損傷する(虚血状態になる)ことは考えられず、延髄の前後に存在する脳神経核の異常がほぼかならず併発すると思われます。


1、嗅覚異常(においに過敏・においがしない)2、眼精疲労・視野狭窄・かすみ目、3、眼球がひくひく動く、複視、4、三叉神経痛(目の奥、こめかみの痛み)5、味がしない、口がゆがむ、6、めまい、難聴、耳鳴り、7、舌のしびれ、口内の異常、8、肩こり、のどのしめつけ、9、動悸・発汗・頻脈、体温が低い、などです。不眠もほぼ必発と思われます。また、錐体路症状が発生してもおかしくありませんので、上下肢の脱力、首に力が入らないなどを伴っても何の不思議もありません。むしろ、呼吸困難だけが単独で起こる方がめずらしいでしょう。


延髄過伸展による症状は現医学では全く不明

延髄が過伸展されて様々な脳神経症状が発症するという発想は現医学では皆無ですから、これらは全て心因性と判断されます。よって患者がどれほど強く症状を医師に訴えたところで、医師の誰も相手にしてくれません(精神科医のみが熱心に話を聞いてくれるでしょう)。そしてうつ病、ヒステリー、不安神経症などといろいろな病名をつけてもらえます。


精神科以外の全ての科で呼吸困難感は「否定的」にとらえられるので、患者は仕事にもつけず、傷病手当金ももらえず、路頭に迷いますので、病名をつけていただける精神科医と依存関係に陥ります。精神科医の処方通りに薬を服薬すれば、各種保証(生活保護など)を受けられるので患者には疾病利得があります。よって精神科病名を受け入れるようになり、患者自身も自己暗示がかかり「呼吸困難は心因性」と刷り込む傾向があることが理解できます。


こうした現状が延髄性の呼吸困難感を医師が誰も研究しない土壌となっていることを激しく遺憾に思います。


延髄性呼吸困難感の治療法

 

頚部交感神経節ブロック

頸部交感神経節(もっとも有名なのは星状神経節ブロック)を行い、延髄の慢性虚血を解除することが最大の効果を発揮すると思われます。私はむちうち患者で呼吸困難感を訴えている患者に本ブロックを行いますと即座に呼吸が楽になるという臨床経験を何度もしていますのでブロックが即効性のあることを実経験しております。


心理カウンセリング

呼吸中枢を刺激してしまう要因として感情(交感神経)があります。よって感情をコントロールすることができれば、ある程度、呼吸中枢への入力信号数を減らすことができます。呼吸苦が出現した際に、自己催眠をかけ、眠くなるように暗示をかけてあらゆる刺激信号を遮断するように修行すれば、それだけでも呼吸苦をやり過ごせるようになるでしょう。また、不安が呼吸苦に連動するので、周囲の不安要素を考えないようにカウンセリングしてもらうことも重要です。ただ、これは原因を治療しているわけではありません。延髄に異常があることは変わらないと思われます。よってカウンセリングに傾き過ぎることは身の破滅を招きます。


寝具やイス、仕事環境を改善する

延髄へのストレスは脊椎を前屈させることで強まります。よって高い枕は絶対に禁忌です。また布団のマットレスに要注意です。薄く平らなものがよいという間違ったうわさが世間に流布していますが、平らな布団は脊椎を数か所で支えることを意味し、宙に浮いている脊椎部分には必ず重力のストレスがかかります。よって平らな薄い布団は禁忌です。理想は脊椎のカーブに沿うようにマットレスが凹凸してくれるものです。脊椎の全体で重力を均等に受けることが重力のストレスを最小限にします。よって寝具の調整は非常に大切です。


また、職場では机が低い位置にあると、長時間前屈を強制させられるので、作業場は高い位置に変えるように工夫します。そしてモニターなども目線の高さに置き、可能な限りした目線にならないようにします。これが呼吸困難予防の最低の環境整備です。呼吸苦が出現した場合は姿勢を変え、可能な限り冤罪の姿勢をとらないようにします。


カイロプラクティク

姿勢矯正も重要で、頸髄・延髄にストレスのかからない脊椎の位置を体に覚えこませる必要があります。それにはカイロプラクターに矯正していただくことが望ましいでしょう。ただし、効果的な治療ほどそのリバウンドには注意しなければなりません。以下にリバウンドの注意点を述べます。


リバウンド

極めて効果的な治療を行い、その治療が原因にヒットした場合、症状は著しく改善するでしょう。私は頸部交感神経節ブロックでその効果が非常に高いことを経験しています。しかし、原因箇所の血流改善を行うことで以下の二種類のリバウンドが起こる可能性があります。


 

  1. 神経細胞が元気を取り戻し、不快な信号をさらに伝えてしまう場合
  2. 一度血流が改善されて、回復に向かうが、薬が切れた頃に再び虚血が出現する場合

1と2は単独で起こるのではなく両方同時にからみあって起こると考えます。つまり、神経細胞が元気になった後に虚血が起こると、その症状は以前よりも強く感じることになるという理屈です。


リバウンドは効果的な治療を受けたほど起こり得る可能性が高く、多くの患者は治療を受けたせいで症状が酷くなったと誤解するでしょう。この時点で患者と医師の信頼関係は崩れ、治療が前に進まなくなります。


リバウンド経験例

私は頸部交感神経節ブロックを自分に注射してリバウンドを研究しています。リバウンドは薬の濃度を上げたり、量を増やしたりした際に起こりやすく、布団に入ってうとうとした頃に突然の呼吸困難が発生し目が覚めます。私の場合30秒程度で収まりますが、人によっては数時間、呼吸困難が出現することもあると患者から報告を受けています。患者はこのようにして起こるリバウンドをブロック注射のせいであると誤解しやすく、現場ではしばしばトラブルが起こります。誤解を解くのは極めて難しいと感じます。


また、実際にはブロック注射が呼吸中枢に悪影響を及ぼしている可能性は0ではないので、私としてはブロックが副作用として呼吸困難を発生させる可能性について常に注意しながら治療法を考えています。

こうしたリバウンドはカイロプラクティクの施術後にも起こる可能性があります。


他の薬剤治療法

血流を改善させる薬を用いるべきです。経口薬ではメリスロン、オパルモン、静脈注射ならリプルやパルクス、そして補助的にプラセンタなどを用いることを提唱します。基本的には延髄の損傷(炎症)が原因と思われますので、炎症を極めて強く抑制できるレミケードなども最後の手段としてありうると思われます(保険適応外です)。

脊髄緊張性頭痛の存在を発見

はじめに

私は他の医師にかかっても治らない、原因不明、よって心因性と診断された慢性の疼痛患者を専門に診療してきました。その結果として、現時点で不可解な頭痛・ふらつき・呼吸困難感などを訴える患者を4例抱えています。4例の患者には全例に、脳幹の血流量を上げる目的で上頚交感神経節ブロックを行いましたが、その全例で注射後に必ずリバウンドが起こりました。リバウンドとは一時的に症状が悪化する現象です。恐らくリバウンドは一過性に虚血に陥った箇所に血流が再開されることで生じると推測され、これは古典的片頭痛と原理的には同じではないかと考えます。私の抱える4例は一過性の虚血が三叉神経(脳幹)や後頭神経(C2,C3)に生じているのではないかと思われるのです。そして血流が再開したときに頭痛やはきけ、ふらつき、呼吸困難感などが起こるのではないかと思われます。この推測は、偶然にも私が寒い診察室で徹夜し、コートを着たまま診察台の上で仮眠をとった際に、4症例と同様な症状を私が体験したことがきっかけです。頸髄が緊張する姿勢で就眠すると、延髄や脳幹が尾側に引っ張られ、一過性に脳幹や延髄に血行不良が起こるという病態を考えます。難治性の4例は姿勢や寝具、椅子などを改善させていけば治癒する可能性があり、カイロプラクターと共同で研究を進めれば、完治させていける可能性があると考えました。


頭痛と呼吸困難・吐き気を感じた一夜

私は自分の診療所で作業を行い、終電をのがしたため診察台の上で寝ることを試みます。寒いので分厚いコートを着たまま高さ7cmの診察枕で仰向けで寝ます。30分もすると酷い肩こりが起こり目が覚めます。そこで起き上がり、診察台の上で正座して軽く伸びをします。するとうなじに血流が再開したような感覚と同時に拍動性の頭痛がこめかみと後頭部に起こり胸鎖乳突筋が痛くなりました。私は古典的片頭痛の持病があり、血流が再開した時の拍動性の頭痛をよく知っていますので、「この痛みはまさに血流再開の際の痛みだ」とピンときます。


今度は横向きに寝ます。7cmの枕は横向きであると低すぎるので頸椎に負荷がかかります。すると10分程度で再び肩こりが起こります。この肩こりを治すために、横向きのまま伸びをします。すると前回と同様、血流が再開する感覚と同時に拍動性の頭痛が起こります。それでも無理をして横向きのまま寝ることにします。するとその10分後には呼吸困難と吐き気が出現し、息苦しさのために起き上がります。起き上がって軽く運動をすると呼吸困難はすぐにおさまりました。


次にコートを脱ぎ、これを掛布団のようにかけて寝ます。すると肩こりはあまり起こらず(多少は起こるが)数時間寝ることが出来ました。このエピソードはコートを着たまま寝るということが脊椎のカーブを悪化させ、その結果脊髄が引っ張られて一過性に脳幹や延髄が虚血に陥ったためであると推測しました。その後に起こるこめかみと後頭部の頭痛は、血流が再開した時の血管拡張性頭痛と考えます。この推測は「再現性があること」「姿勢をよくすると即座に軽快すること」からある程度信用性があるものと考えます。


めまい・難聴・耳鳴りも脊髄緊張由来である

今回、私はこめかみの痛み、後頭部・胸鎖乳突筋の痛み、呼吸困難、吐き気という症状が現れましたが、脊髄が緊張し脳幹・延髄が虚血状態となり生じる症状は人によってまちまちです。ある人は耳鳴りが起こり、ある人は難聴が起こり、ある人はクラクラします。呼吸困難だけが起こる人もいるでしょう。よって一連の脊髄緊張が原因と思われる症状は一定しません。また、脊椎がもともと変形・ずれ・弯曲などを起こしてしまっている人は、普段の姿勢で(悪い姿勢をとっていなくても)こうした脊髄緊張症状が出る可能性があります。


脊髄軸異常は難治性

私のように、分厚いコートを着たまま寝るというように物理的に脊椎の軸を変えることで症状が発症する場合、そういうことをやめれば症状は改善します。しかし、もともと軸が歪んできている人の場合、それを治すことはとても難しいことです。よって脊椎軸異常の人は難治性となります。しかし、難治性とは言っても、高齢になれば誰もが椎間板がつぶれて身長が低くなり、脊髄がだぶついてきますので緊張しにくくなります。よって、難治性の人も高齢になると自然治癒すると思われます。


 

カイロプラクターと寝具会社との共同研究は必須

脊椎の軸異常に起因する脊髄緊張は、現医学では全く知られていない病態です。しかし、実際には数多くの脊髄緊張性の症状をお持ちの方がいると思われ、できるだけ早く研究を進めなければなりません。そのためにはカイロプラクターによる脊椎軸の矯正のガイドラインを作っていく必要があるでしょう。そして実際にX線写真を撮りつつ、徒手整復手技で軸がどのように変わるのか?を示していかなければならないでしょう。そして寝具が実は極めて重要であり、寝具開発を共同で行ってくれる寝具会社の方々の協力が必要です。どなたか名乗りを上げていただければ助かるのですが…

難病治療専門医について

難病とは何か?

難病とは何か? それは医師が現医学のガイドラインに沿った治療を行ってもたやすく改善しない症状・病気の総称です。筋萎縮性側索硬化症や原発性胆汁性肝硬変など、国が指定している難病だけを指すわけではありません。そういう意味で肩こり・めまい・耳鳴り・汗かき・アトピー性皮膚炎などは立派な難病です。私はそうした「日常的に経験する難病」を改善させることを専門に診療を行ってきました。


 

どうすれば難病専門医になれる?

難病専門医とは言っても、外来に「難病専門外来」と貼り紙をしているわけではありませんし、難病の患者が全国から集まってくるわけでもありません。しかし、実際には私の外来は難病の患者ばかりが集まります。なぜだと思いますか? それは、軽症の患者を1~数回の診療ですばやく治してしまい、外来通院させないからなのです。おそらく、私のような診療スタイルをとる医師は探しても見当たらないと思います。なぜならば、初診の患者にいきなりブロックをして初回で完治させてしまうと病院が赤字経営になるからです。まずは薬とシップで様子を見て、数ヶ月通院しても症状の改善が見られないなら「奥の手として注射」するのが普通の開業医です。さらに、注射はリスクがあるため、信頼関係が結べていない初診の患者に注射をして逆に痛みを作ってしまえば、悪評を立てられ、場合によっては訴えられることもあります。トラブルが多ければ解雇されます。ですから、初回で完治させる治療を行うことは、医師にとっては社会的に大きなリスクを背負います。よって全国を探しても、そういう医師にお目にかかることはまずありません。


しかしながら、私はすでに10年以上前から一度で完治させる診療を常にこころがけていました。理由は簡単です。外来が混雑しすぎるからです。治さなければ外来が患者であふれかえってしまい、仕事ができないほどになってしまうからです。ブロック注射は精神力と集中力がかなり要りますが、その集中力を欠いてしまうほど、患者の数が膨れ上がります。よってそならないように、常に一度で治すようにしてきました。すると、一度では治らない難治性の患者のみが外来を占領するようになります。こうすることで難病患者の割合が少しずつ増えていきます。ただし、これだけでは難病専門にはなれません。一度で完治するような軽症な患者は、どうでもよいのですが、数回~数十回治療が必要な中等傷の患者を来院させないようにしなければなりません。そのためには、診断の適切さが最重要になります。肩が痛いと訴える患者は、本当に肩関節が痛いのか、肩周囲の腱が痛いのか、肩へ行く神経が炎症を起こしているのか?の診断をつける能力が必要になります。通常、これらを正しく診断するには、肩の専門医を数十年やっている必要がありますが、私は実際にブロックをし、その場で治すことで診断をつけてしまいます。まずは腱、次に神経、そして最後に関節・・・というように、痛みがゼロになるまで治療を重ね、そして治ったところで治療終了。このように、一度に多重治療を行うことで、数回~数十回治療を要する患者を、一度で完治させて来院させなくします。もちろん、完治させても再燃しますから、患者は再び来院しますが、治療技術が向上するにつれて、再来院までの期間が長くなります。こういう治療を繰り返すことで、真に難病をかかえている患者が増えていきます。また、難病を治療することで、治療技術が日進月歩でぐんぐん向上していきます。すると、程度の軽い患者はどんどん外来からいなくなります。私はこうして難病専門医になっていきました。


 

ドクターショッピング患者について

慢性の症状を持ち、それを治してくれる有名な医師を探して何軒もクリニックを転々とすることをドクターショッピングと言い、その行為を医師は最も嫌います。理由は簡単です。保健医療はガイドラインが決められており、特殊な治療をすることを保険診療は許可していません。つまり、医師の技術に多少の差はあったとしても、治療法が大きく異なることはなく、全国どこの病院へ行ったとしても「建て前上、同じ」だからです。保険で医療を行っている限り、どこへ行っても同じ治療なのに、ドクターショッピングをするということは、「患者のわがまま、ないものねだり、大人として成熟していない」ということを意味します。よってドクターショッピングする患者は医師に大変嫌われ、まともに診療してもらえなくなります。


 

ドクターショッピングをする患者は間違いなく難病であり(私の難病の定義にしっかりあてはまる)、「他(前)の医師たちが治せなかった」ことが確定します。前の医師の中には大学病院の教授が含まれることがしばしばあります。難病に苦しむ患者はまず有名な病院、著明な専門化医師のところを訪れるからです。そうした名誉ある著名な医師たちが「治せなかった症状」を「名もない普通の医師」が治せるはずがありません。よって、ドクターショッピングしている患者を医師が始めて診察するとき「どうして俺のところにやってくるんだ!」と怒りが沸き起こるものなのです。名誉ある教授が治せなかった症状を治すということは、教授の顔に泥を塗ることにも等しく、縦社会で生きている一般的な医師にとっては反社会的な行為になるのです。これらの状況から考えて初めてドクターショッピングが医師に忌み嫌われる理由が見えてきます。私は実はドクターショッピングする患者を治すことを趣味にしてきました。私は「他の医師が治せなかった症状・患者」にしか興味がありません。他の医師が治せる患者であれば、他の医師にかかればよいのです。逆に、そういう患者には来院してほしくありません。他の著明な医師(教授たち)が治せなかった患者を治してこそ医の醍醐味であることを知り、難病患者にしか興味を示しません。そういう姿勢で治療を続けていたのでドクターショッピングの患者が来院するととてもわくわくした気分になります。そして、儲けを考えることなく全力を尽くしてあらゆる治療を試みます。それが楽しくて楽しくて医師をやっているわけです。全力を尽くせば、難病でさえも多少よくなるので、ドクターショッピングの患者は私のところから他の病院には移りません。よって難病患者がストックされていきます。こうして難病専門医が誕生します。


難病治療=反社会性

私は己の技術を磨くことを趣味として生きてきました。医療だけでなく、心理学、脳科学、音楽、コンピューターグラフィックなど、人が面倒で嫌がる困難を趣味としてきました。以前は教授と呼ばれる医師たちの権威に反感を持ち、その権威に逆らうつもりで医療をとことん研究しましたが、様々な難病を治す技術が身についてきた現在、権威に逆らおうとする精神は消えてなくなってしまいました。出世にもお金にも興味が薄れてしまいました。今はこの技術を多くの医師たちに伝えなければ・・・という気持ちです。


しかし、ここに立ちはだかるのが保健医療です。医師業務は建て前上、「儲けるためのものではなく、人々を救うための事業であり、そのために公的機関が金銭を援助する」となっていて、ガイドラインを無視した医療行為は公的機関が認めないことになっているからです。公的(世界的)に治療効果が認められるまで、保険診療で新しい治療をやってはならないことになっています。ところが、新しく効果の高い治療は常に、既存の権威ある教授の理論を打ち破るため、教授の権威があるうちは公的には認められにくいというからくりがあります。私が教授という地位にすでについているのであれば問題はありませんが、そうでない一般的な医師が新しい治療を打ち出しても、些細なミスのあげあしをとられてしまい、社会的に葬り去られやすいでしょう。よって「他の医師が治せないものを治す」=「反社会性の路線」 であることは間違いのない事実なのです。出る杭は打たれてしまうことをよく知っていますので、出すぎた杭になるまで私は何も公表もせず、こうして水面下で論文をせっせと書き溜めてきたわけです。このサイトは、様々な圧力に耐えうるだろうと思われるほどに証拠を集めた上での発表です。論文としては未熟なものばかりですが、私の治療の是非が問われた場合に、私を救ってくれる唯一の証拠となります。私の理論が「無茶苦茶」だと指摘する学者が次々と出てくることも想定内です。ですが、最終的には「治せない者が治せる者の口を塞いではいけない」という正義が勝つと信じています。私は「治せた者」の意見のみを受け入れます。もともと権威にはおじけづくことがないことを前提としなければ、難病治療は不可能です。


難病治療医の虚しさ

難病治療は保険が認めていない治療です。保険が認めていない=保険がお金を支払ってくれない、ことを意味します。全て自費で行えばよいのですが、難病治療は繰り返し行わなければならないものが多いので自費で行えば破産しますので続きません。続かなければ治せませんので難病治療は成立しません。よって難病治療を行うためには「極めて高い技術を叩き売り」しなければなりません。また、めまいを治すにしても、肩こりを治しているうちに偶然にもめまいが治ってしまったというような体裁にしなければなりません。実際に肩こりを治して差し上げているので違法ではありませんが、めまい治療としてお金を請求できません。また、わが国ではブロック注射は1日に1箇所分しか支払わないという規定ですから、数箇所同時治療ができません。よって、2箇所目からはサービスしなければならないこともしばしばあります。つまり、高い技術を無料で提供するわけで、さすがに虚しさにさいなまれます。自分の高い技術を安い料金(または無料)で売ることは医師として非常にプライドが傷つくことですが、難病治療は教科書的な治療ではありませんのでやむを得ません。現医療体制はきちんとしたガイドラインにのっとっている治療にのみ高い報酬を与えるわけですから、新しい工夫した治療を行えば「報酬を与えない」というペナルティがあることと同じです。こうしたペナルティのおかげで新しい治療は開発されにくいという土壌があります。大学病院では保険審査が甘くなっているのは、こうしたペナルティをやわらげるためです。ペナルティが厳しいと医療の進歩が停滞します。よって、新しい治療はほとんどが大学病院でのみ生まれ、一般開業医のところから生まれることがほとんどないのです。


心因性という難病

心の病は「何でもあり」です。教科書に載っていない奇妙な症状は全て「心因性」と言われる決まりになっています。私は当然ながら「教科書に載っていない奇妙な症状」を専門に治療しています。突然両手が動かなくなる、におい・味がわからなくなる・眼球がひくひく動く…など教科書にのっていない症状です。これらを「心因性」とみなすことは治療を放棄していることであり、著明な教授先生にも治すことができません。そして治す気もありません。実はこういう状況は私にとってもっとも好都合なのです。世界の誰も研究しない症状ですから、それを治療できればすぐに世界の頂点に立てるということを意味しています。「世界の頂点」などどうでもよいことですが、これは探検家が前人未到の地底洞窟を探検するのと同じ気分です。私はその気分を心因性と言われる難病奇病を治してしまうことで得られるわけです。先ほど述べたように、新しい治療は大学病院でしかなかなか研究できません。しかし、心因性の症状は著明な教授先生たちが「近づきたくもない症状」ですから、新たな治療が生まれません。逆に言うと「心因性」と呼ばれる奇妙な症状は、小さな開業医でしか研究ができないのです。私にとっては「心因性」は宝の山にしか見えません。そして実際に「心因性」と呼ばれる症状をブロックで改善させ、心因性ではなく原因があり治療法も存在することを証明して見せています。それはなんと楽しいことでしょうか。


難病ガイドラインを作成

しかし、私一人がこうした難病を次々と解決できたとしても、多くの人々を救うことはできません。難病治療の実績データをきちんと公表し、それが世界で認められ、厚生労働省のガイドラインに掲載されるようにならなければ一般の医師が治療できるようになりません。前途多難ですが、それを実行しなければ社会貢献できません。認められるためには、多くの協力者も必要となります。そのためなら学会を作ることも視野に入れなければなりません。このサイトの名前がなぜ「日常損傷病学」なのか? なぜnanbyo-study.jpなのか? それは私が協力者を募り、学会を作る姿勢を示すためです。これに賛同してくれる教授先生たちが現れることを祈っています。

 

 

 

 

 

 

ALSは身近にある2(突然の脱力)

「ALSは身近にある」のパート1(ブログ参)で、32歳の男性の例を紹介しました。彼は現在、J医大に入院し精密検査を受けています。今回は同様に突然全身の脱力が起こった56歳女性の例を紹介し、こういった不可解な脱力を示す症例は心因性とされてしまう残念な現状について報告します。


56歳女性の突然の脱力

この女性はナルコレプシーの治療報告(ブログ参)で紹介した女性と同一人物です。この患者は1.5年前から耳鳴りを治療する目的で週に1回の上頚神経節ブロックを行っていました。しかし、2014.9.昼間、電話している最中に突然眠ってしまうという発作が起こります。


既往歴として髄膜腫で2001,2013にN医大の脳外科でOpeを行っています。私はナルコレプシーと診断し、治療目的で週1回上頚神経節ブロック(1%キシロカイン2cc×2)を開始しました。ブロックを行うと、5~6日間は入眠発作はなく、これで改善するかと思われましたが、徐々にその効果期間が短くなり、数日で発作が再び出現するようになったため、ブロックを週に2回行うことにしました。しかしながらナルコレプシー(入眠発作)は改善せず、ブロックを行うと数日は発作が起こりにくいという状況を繰り返すのみでした。


ところが2014.12.17.夕方、突然上肢と下肢の脱力が起こり自宅で倒れます(意識清明)。翌日近くの内科医に行くが原因がわからないと言われ精神安定剤だけをもらい帰宅。その後当院に来院。幸いにもこのエピソード以来、睡眠発作が起こらなくなり、ナルコレプシーは完治しました。これには少々驚いています。しかし今度は上下肢の脱力という問題に直面します。


現症

以前からの耳鳴りが急激に悪化、めまい、吐き気、上下肢共に脱力、視力障害(目がかすむ)、動悸、ホットフラッシュ、階段が昇れない、嚥下困難(飲み込めない)、発作性の呼吸困難(1日数回、10分続く)、両眼周囲痛(三叉神経痛)、目玉が動く(動眼筋群の線維束攣縮)、音で頭痛(三叉神経痛)。


採血データ:電解質異常なし、CK:113異常なし、ALP:426↑、BUN:23↑、中性脂肪:652↑、血糖:145↑、以外に異常なし。


腱反射:下顎反射(+)、上肢腱反射亢進(+)、下肢腱反射亢進(-)、病的反射なし。


下顎反射(+)、上肢腱反射亢進(+)、嚥下困難(球麻痺)、線維束攣縮などより脊髄由来の錐体路障害の可能性を考えました。つまりALSの初期症状の可能性を考えました。上記の多彩な症状は「線維筋痛症・ALS・闘病日誌」で紹介した患者と極めて類似しており(ほとんど全ての症状が重複している)、脳幹部の血流障害(錐体路を含む)が原因ではないかと推測しました。


治療

当初、低カリウム血症も考慮し維持輸液の点滴を行い、脊髄の血行改善目的に上頚神経節ブロックとT4/5レベルに胸部硬膜外ブロックを行いました(採血データでは低Kなし)。その結果、ブロック後数十分後から脱力感が解消し、嚥下困難、呼吸困難も消失し独歩で帰宅されました。


経過

ALSに症状が極めて類似していることから、N医大の脳外科医に紹介状を送りました(N医大で脳の手術を受けているため)。しかしながら「心因性」と診断されてしまいました。これらの症状を精神疾患であると捨て置かれてしまいましたので、今後の治療は私が行うと決意しました。


感想

脊髄・脳幹系の初期症状は強く出る時と出ない時と、症状が固定していないため、診断がつけられないのだなあと思いました。これだけバラエティに富んだ脳神経症状があり、上記のブロックで即座に脱力や諸症状が軽快したことを考えると心因性ではないと思われますが、現医学で教科書に掲載されていない特殊な症状です。理解不能な症状は、全て「心因性」と捨て置かれることを改めて理解させられました。ブロックをして即座に軽快したことを「暗示にかかっただけ(プラセボ効果)」と解釈する方もおられるでしょう。しかし、暗示で治るのであればすでに内科にかかった時点で治りますので、私の行ったブロックの効果は「暗示効果ではない」と思われます。


このような不可解な脳神経症状を呈した場合、患者は精神科を紹介され、まともな治療は受けられないようです。もちろん、原因が判明したとしても、治療法はありません。現医学水準の低さにため息が出ます。もちろん、ALSと診断がつくはずがないことは最初からわかっています。なぜならば、ALSの確定診断がつけば、5年以内に90%が死亡することが決定するからです。そんな重症な状態には、現時点でなっているはずがありません。よって診断はつかない、いやつけさせません。それでもN医大に患者を紹介した理由は、万一、本当にALSであったとしたら、その患者を私が治療し、それでも甲斐なく症状が進行してしまった場合、「早期にみつけられなかったからこうなった」と言われたくないために紹介しました。N医大で心因性と言われて捨て置かれた状況(つまり現医学では初期脊髄疾患は診断できない状況)を知っていただくためです。現医学を批判しているのではなく、現医学は脳や脊髄について未熟であることを確認したまでです。彼女の治療はこれから本腰をあげなければなりません。


その後の続報

週に2回、腰部または胸部硬膜外ブロックと、上頚神経節ブロック、頸部傍神経根ブロックを行い続けました。この治療を3か月間続けたところ、頸椎から咽喉にかけての痛みが消失し、めまいや頭痛が全く起こらなくなり、上肢の脱力が全く起こらなくなりました。つまり上半身の症状はほぼ完治。下肢の脱力感はほとんど起こらなくなりましたが、階段を上るときに出現するのみとなり、少々の歩行は普通にできるようになりました。現在、歩行時に強烈な腰痛が出現するという症状と耳鳴り症状が残存していますが、他の症状は軽快し、順調です。しかし、残存する症状を治療する目的で、腰部硬膜外ブロックまたは胸部硬膜外ブロックを週1回、上頚神経節ブロックを週1回行うことを続けています。


その後の続報2

ALS様症状としては上半身の症状はほぼ完治させることが出来ました。しかし、階段歩行時に脱力となるという症状は残存。これはブロックで数日は改善するものの、完全に治癒させることはできませんでした。この患者は片道2時間近くかけて週に2回遠方から来院するためおそらく通院にかなりストレスを感じていたと思われます。そして他にも眼科、脳外科、内科、精神科と多数通院をし、その通院のせいで病状が悪化していると思われたため、「他の病院に通院する回数を減らしなさい」と命じました。その命令におそらく彼女のプライドが傷つき、それ以来来院しなくなりました。現在の状況はわかりませんが、まあ、上半身の症状を改善させただけでも快挙ですので、それでよしとしました。


ALS様症状の治療実績

最近のALS様症状の治療実績10例分をまとめて掲載します。治療実績はこちら


 

上頚神経節ブロックによるふらつき治療報告

はじめに

耳鼻科外来・脳外科外来などには「ふらつき」を訴える高齢者が毎日大勢訪れます。しかしながら耳石性めまい、良性頭位性めまいなどと診断されるだけで根本的な治療法がない状態です。私は耳鼻科医に「耳石性めまい、良性頭位性めまい」と診断されたふらつきを主訴とする高齢者に対し、これまで上頚神経節ブロックを行い、毎回、ほぼ100%の確率で完治させることができました(正確ではありませんが数十人、しかしながら、その後に各種ふらつき症状の方々を治療するようになり100%とはいかないことを知ります)。再発は多少あるものの、多くは一回のブロック治療でほぼ治ることから、私は「耳石性めまい、良性頭位性めまい」の診断に懐疑的です。また、ふらつきの中には(小刻み歩行などで)足が思うように動かないためにふらついて転倒しやすくなる病態も含まれていますが、それはおそらくパーキンソン症候群に由来するものと思われます。こうしたふらつきにも上頚神経節ブロックが著効することがわかりました(パーキンソン症候群治療の続報で述べたいと思います)。ここでは主に一度の治療で完治し、自律神経失調由来と推測したふらつきについて述べていきます。


ふらつきは大変危険な状態

ここで述べるふらつきは普通に考えるような「目が回るめまい」ではなく、貧血の際に起こる「意識が薄らぐような浮動感を伴う」ものです。ふらつきが起こると高齢者は転倒するリスクが高くなります。高齢者が転倒すれば腰椎や大腿骨に骨折が起こりやすく、転倒してこれらの場所を骨折すると5年以内に80%が何らかの理由でお亡くなりになると言われており(寿命によるとも言われていますが)、高齢者の転倒は寿命を短縮させると思われます(癌よりも予後が悪い)。よってふらつきという症状を長く継続させることは寿命を短縮させると言う意味で非常に危険な状態であると言えます。そして転倒すると恐ろしいという自覚を本人もしており、そのため外出をしないで家にとじこもるようになります。よってふらつきは一刻も早く治療しなければなりません。が、耳鼻科や脳外科では脳幹の血流をよくする内服薬を処方するのみで根本的な治療法がありません(しかし内服薬ではほとんど治りません)。


上頚交感神経節ブロックの威力

私の場合、私が開発した上頚神経節ブロックを行い、脳幹の血流量を強制的に増加させ、三半規管や内耳神経核、延髄の自律神経核の血流を改善させることができます。このブロックを行うことで、ふらつきで来院された方はブロック後、数十分で劇的にふらつきが改善し、そのまま帰宅されます。そしてほとんどの場合、その1回のブロックでふらつきは完治します(ただし、重症な方は完治には至りません)。症状の強い方は数週間後に再発される場合もありますが、繰り返しブロックを行うことでふらつきは改善します。ただし、上頚神経節ブロックは現在、私にしかできないブロック注射であり(今後、医師たちに伝授していこうと思いますが)、多くの医師はそれの代用である星状神経節ブロックを行います。星状神経節は上頚神経節から離れており、改善効果が少ないと思われますが、このブロックでもふらつきは多少なりとも改善すると思われます。この結果、耳石性めまいは耳石のせいではないことが確定します。なぜならブロックを行うことで瞬間的に耳石が消失することなどあり得ないからです。私のところに来院したふらつきの患者たちは、ほとんどが耳鼻科で耳石性めまいと診断されていましたが、それは正しくない可能性が高いと言えます。


ふらつきを治すのに何科が良いか?

ふらつきは頸部の交感神経節ブロックをすれば大抵症状が改善します。しかし、頸部交感神経節ブロックを行うことができるのは現在のところペインクリニックのみです。整形外科医の一部の医師がこのブロックを行えますが、「ふらつき」という症状を訴えても治療してくれませんので、結局のところペイン科のみでしょう。しかし、ふらつきやめまいに星状神経節ブロックが保険適応と認定されていないという現状があります。つまり、現医学で星状神経節ブロックがふらつきを治せるということが知られていないことを意味します。ペイン科でも一部の医師のみが交感神経節ブロックがめまいやふらつきに効果があることを知っているだけであり、通常行われている治療ではありません。「保険適応になっていない」とはそういうことを意味しています。よって、ペイン科に行くときは「ふらつきと肩こりがあります」というように伝え、症状が「ふらつきのみ」と言わない方がよいでしょう。星状神経節ブロックは肩こりには保険適応がありますが、ふらつきには適応がないからです。


一応、めまいやふらつきの原因として脳腫瘍の可能性もありますので、それを否定するために一度は脳外科や耳鼻科を受診することをお勧めしますが、きちんと治したいのであればペイン科に行き、「星状神経節ブロックをしてほしい」と指名したほうがよいかもしれません。何度も言うように「ふらつき」に交感神経(星状神経)節ブロックが効くことは、一般的には医師たちに知られていないことだからです。


ふらつきの原因

ふらつきが起こり、耳鼻科へ行くと、「耳石性めまい」と診断されてしまうということは、それほど「ふらつきの原因」が現医学ではっきりわかっていないことを意味します。逆に私の行う上頚神経節ブロックなど(別名:頸部交感神経節ブロック(星状神経節もその一つ))で治るということから、脳幹や延髄の血行不良が原因であることが推測されます。中でもふらつきは動作時に起こるという特徴から、血圧調整と密接な関係があると思われ、私は自律神経を含めた延髄の血行不良が原因であると推定しています。自律神経を根本的に治療できる薬はなく、頸部交感神経節ブロックが唯一の治療法であると思われます。


ふらつきはブロックで治る

ふらつき症状を治療せずにひきずることは高齢者にとって大変危険です。ですが、ブロックを行うことでほとんど治ります。よって、勇気を持ってペイン科に行くことをお勧めします。耳鼻科や脳外科へ行き、治らない経口薬を処方され続けているだけでは意味がありません。


急激な視力低下はブロックで治す

交通事故のむち打ち症後に急激な視力低下を訴える方がわずかにおられます。また、交通事故でなくても、急に視力が著しく低下、眼がかすむ、ぼやけるなどの症状が起こる場合があります。こうした症状は眼科でも治すことができず、原因もわからないままとなりますが、私はすでに、こうした症状も上頚神経節ブロックで治しています。症例数が少ないので発表するまでには至っていませんが、実際に治せます。


治せるという事実から逆算し、急激な視力低下の原因は脳幹の血流障害による視神経や動眼神経の調節機能の低下と推測できます。交通事故後に視力低下となる例は少なくはありませんが、どこの医者にも治すことができませんので、もし、視力低下でお悩みの方は、一度私の治療を受けることをお勧めします。


さて、同様に、老眼(近いものに焦点を合わせることができない)も、上頚神経節ブロックである程度ですが改善します。改善させた経験を持ちます。一般的には老眼は水晶体の硬化と毛様体筋の筋力低下によると言われていますが、上頚神経節ブロックで即効で近いものが見えやすくなる事実は、それだけが理由ではないと言う証拠です。水晶体の硬化は上頚神経節ブロックでは治せません。毛様体筋の筋力も上頚神経節ブロックでは即効で治すことはできません。となると、上頚神経節ブロックで治る理由は毛様体筋を支配する神経の異常が改善されるからであると推測されるわけです。毛様体筋は副交感神経支配と言われており毛様体神経節、または迷走神経核の血行障害で視力調節機能が失われてしまうと思われます。


つまり、老眼といえども、脳幹の血行不良が原因のものがあり、そういった類の視力低下は上頚神経節ブロックで治せるということになります。


急に起こった視力低下は調節機能低下症

特に「急に悪化した」視力低下の場合、水晶体の硬化が原因であることはほとんどありえないわけですから、原因は毛様体筋の調整力障害、つまり毛様体筋神経(節)、または迷走神経(核)にあると思われます。むちうち症などでは延髄(迷走神経核がある場所)が急激に下方に引っ張られるということが起こりますから、神経損傷を起こして炎症→血行不良となるために急激な視力障碍が出ると思われます。証拠はありませんが、上頚神経節ブロックで即効で視力が回復することが、最大の証拠になりうるでしょう。


当然ながら、こうした視力障害を眼科で治すことは不可能です。唯一治せるとすればペイン科の星状神経節ブロックのみですが、おそらく私の行う上頚神経節ブロックよりは効果が低いと思われるので、どこまで治せるか?は不明です。


星状神経節ブロックや上頚神経節ブロックなどの交感神経節ブロックで、脳幹の血流量を増加させてあげると、視力も速やかに回復する例が多々あると思われますが、残念ながらこの事実を知る医師はほとんどいませんし、保険適応になっていないことからも、教科書的には知られていない事実であると言えます。よって、むち打ち後の急激な視力低下などを回復させたい、老眼を回復させたいなどの希望がある方は、視力低下のことは内緒にして、「肩こり」を理由としてペイン科で星状神経節ブロックを受けることをお勧めします。レーシックなど「問題のある」治療法に挑む前に、一度はブロックをお受けになることを勧めます。

うつ病・神経症への画期的なブロック治療

はじめに

H24度の生活保護受給者が入・通院する病名は精神疾患が43%と圧倒的なトップとなっています。精神疾患を完治させることができれば、生活保護の受給者が激減することは明らかですが、現精神医学では「薬漬けで精神的ストレスを感じにくくさせる」という手法がメインの治療法であり、「完治させて受給しなくてもよい状態にさせる」という状態には程遠いようです。しかしながら、私は精神疾患を根本的に治療してしまう可能性を秘めた治療法を開発しましたので報告させていただきます。本治療法は精神的なストレスとなる脳神経の過敏状態をブロックで改善させる療法です。この治療法を確立させることが出来れば精神科の教科書は大きく変化せざるを得ないでしょう。そしてカウンセリング大国のアメリカ合衆国の精神科医・学会の権威を大きく失墜させてしまえるでしょう。それほど本報告は社会に対して影響力が強すぎるものです。よって本報告が社会に広まるとは思えませんので、本気で自分の精神症状を治したい方のみ一読ください。


精神疾患は身体的疾患と区別できない

まず、明確にしておかなければならないことを述べておきます。私はこれまで数々の「他の医師たちが治せなかった症状」を専門に治療してきた経緯があります。が、それらの患者のほとんどが「医学の教科書にない症状、ありえない症状」と医師に言われ、精神科を受診することを強制されていました。正体不明の症状は「精神が病んでいるせい。精神的なストレスのせい。」と断定され抗うつ薬や向精神薬を処方されていました。しかしながら、私は不可解な症状をブロック注射で完治または改善させ、「精神が原因でないこと」を証明してきました。ブロック注射で治るのであれば、それは精神由来の症状ではないことが判明します。しかし、治して初めて「精神由来ではない」ことがわかるわけであって、治らない患者の場合は、原因が身体的なものであったとしても、「精神のせい」にされてしまうという不条理な出来事が起こります。


恐らく、多くの精神疾患は、精神に加わるストレスを除去してしまえば、イライラや不安、幻聴・幻覚なども改善すると思われます。精神に加わるストレスの多くは「身体的なもの(自律神経失調、痛み)」由来ですから、それを取り除けば精神疾患が発病しません。にもかかわらず、これらを混同させて精神疾患と断定する現医学の体勢を見ると、「精神疾患は身体的疾患と区別できていない」ことが判明します。まず、このことをしっかりと認識しなければなりません。


身体的疾患を治してしまえば精神疾患が発病しないのなら、原因は身体的疾患であり、精神疾患は一種の過敏反応でしかないわけです。しかしながら、「医学の教科書にない身体疾患」を治せる医師がいないため、これらは全て精神疾患として混同されることになります。私は「医学の教科書にない身体疾患」を実際に治してきた医師であるため、精神疾患の患者の中に、身体的疾患がメインのものが多々あることを認識できているだけのことです。つまり、「治せる医師」にしか、この医学の現状を認識できないわけで、「医学の教科書にないような症状を持つ患者を治せる医師」を増やしていかない限り、精神疾患による生活保護受給者の数は減らせないことがわかります。


呼吸困難で来院した52歳の男性の例

「空気が吸えない、呼吸が苦しい」という症状で2014.10に私の外来に来られました。肺梗塞の可能性もありますが、私は延髄由来の球麻痺ではないかと直感します。なぜなら、私の外来にはこの患者のように呼吸困難を訴える患者が他に5名も存在し現在通院中だからです。精神科疾患(うつ、神経症)で生活保護を受給されていますので精神疾患によるヒステリー性の呼吸困難の鑑別も必要です。というよりも、医師ならば精神科疾患によるものと断定するのがセオリーです。しかし、私は呼吸困難(息苦しい)と訴える患者に頸部交感神経節ブロックを行うと即座に呼吸困難が解消するという治療を現時点で行っているため、この52歳の男性も、恐らく同様に延髄性の軽い球麻痺症状であると判断し、同様に頸部交感神経節ブロックが効果があるのではないかと推測します。頚部交感神経節ブロックは延髄の血管を拡張させ、延髄の血流不足を即時に解消します。これで呼吸困難が治るのであれば、延髄の血行不良による球麻痺の症状であると推測できるのです。


さて、問題は神経症のある患者が「呼吸困難」という症状に対して、頸部交感神経節ブロックをさせてくれるか?です。神経症の患者は過度に注射に恐怖感を持ち、その恐怖の感情をセーブできないのが普通だからです。恐怖症があるからこそ生活保護を受給できているわけですから、注射嫌いも極めて病的です。


しかし、彼は注射を受けることを承諾します。なぜなら、この患者と私は初対面ではなく、以前に肩関節注射と頸部神経根ブロックで痛みを改善させたことがあるからです。彼は私のこと(注射の腕)を信用しています。そこで上頚神経節に1%キシロカインを2㏄を両サイドに注射します。その数分後には呼吸困難が完全に治癒します。「空気が吸えるようになりました」とのこと。治癒と述べたのは、その後に同様に呼吸困難が起きていないからです。私は「実は、この注射はうつ病や神経症にも効果があるんですよ」とだけ述べて帰宅させます。


患者の既往歴

  • 5年前に腰痛と尿閉で入院し、その時以来生活保護を受ける。その頃より、対人恐怖、外出恐怖、うつなどの症状が発症し、不眠となる。
  • 3年前、睡眠薬の大量摂取により意識もうろうとなり、精神病院に入院する。
  • 半年前、再び大量の睡眠薬で意識もうろうとなり精神病院に緊急入院となる。入院中に起きていることがわからないほど、よだれが口から常に零れ落ちるほどに薬漬けにされ、担当医に薬を変更してほしいと訴えたが希望通りにはならず、退院後、薬漬け体験が恐怖となり、薬を止めることを決意する。しかし、薬を止めるとイライラと不安、不眠が重なり、どうしようかと悩んでいた時に私と出会い、ブロック治療を開始する。

隣人の騒音が気にならなくなる

呼吸困難の治療後3週経過し来院します。「先生、実はこの3週間、全くイライラしなくなったんです」と驚きの第1声でした。「隣の部屋と2回の部屋の人の騒音でいつもイライラしていたのに、それが全然しなくなったんです。だから薬ものんでいません。のまなくてもイライラせずにいられるんです。」とのこと。また、「外出恐怖や広場恐怖があって、普段は家に閉じこもっていますが、注射して1週間はどこにでも外出できました。」と。私は「だから言ったでしょう。この前の注射はうつ病や神経症にも効果がありますと。」


「で、今日はどうされます? 注射して行かれますか?」「まだ、イライラはしませんが、注射をぜひお願いします」と注射恐怖症の患者から注射のリクエストを受けました。この「薬を服用しなくても3週間イライラせず、1週間は外出恐怖もなく過ごせた」という現象を医学的にどのように解釈するか?で世界の精神医学界に論争を巻き起こすでしょう。以下にこの患者との実際のやり取りを紹介します。


精神医学を揺るがす論争点

  1. 精神病の診断が下されている精神疾患患者はその診断が正しくない可能性
  2. 精神疾患で薬漬けにされて治らない患者を治せる可能性
  3. 精神病と身体的な病気の境界線が実は不明瞭という衝撃的な事実

 


論争に決着がつけば、精神科医たちがこれまで行ってきた医療行為に大反省しなければならないかもしれません。そして、生活保護を受給している多くの精神疾患患者は、適切に治療すれば治り、そして社会に復帰できる可能性があることを示しています。まさに、医療界だけでなく、政治界、産業界にも影響を及ぼす大事件となるわけです。私の治療は精神医学における非常に画期的な治療ですが、それを細々と控えめにブログで公表する理由は、「大事件」にしたくないからです。


精神疾患の誤診と問題点

まず、うつや神経症の症状がなぜ頸部交感神経節ブロックで改善するのか?を考えます。私は「治癒させた経験」から逆算して原因を探るという考察方法をとります。この患者は外出恐怖症がありますが、注射後1週間はどこまででも外出できたと言います。イライラやうつが改善するだけでなく、恐怖症までもが軽快しています。


私の行った頸部交感神経節ブロックは大脳・脳幹・小脳・延髄などの血流を増加させます。血流の増加を一時的に改善させただけで1週間、うつや神経症をほぼ克服できていることを考えると、うつや神経症が、脳や脳幹の血行障害によって発症している可能性を考えなければなりません。器質的な原因があり精神構造による障害ではないと推定します。


また、脳幹や延髄の血行障害では自律神経が不調となり、感情の起伏で内臓機能が激変します。感情と共に内臓機能が病的変化を示すことを精神科ではヒステリーという病名をつけていますが、これも精神構造が異常なわけではなく、脳幹や延髄の血行障害を改善させ、自律神経を正常化させれば、感情が動いても身体に影響が出なくなるでしょう。そう考えると、ヒステリーという診断そのものの存在を根底から考え直さなければならなくなります。血行障害という器質的な証拠があるのであれば、それを精神病とするのはそもそも間違いであり、こうした私の考察は、精神医学そのものの根底をゆるがすものになります。


私は、三叉神経痛、めまい、ふらつき、動悸、発汗、赤面、呼吸困難など、多岐に渡る脳神経症状をブロック治療で改善させる実績を持ちますが、これらの症状が酷くなると、精神に異常を来していない人でさえ、正常な精神ではいられなくなります。それは脳への全ての入力信号が不快なものとなるため、精神警戒状態が24時間解除されなくなり、普通の人でも幻覚や幻聴なども出現するようになって当然だからです。この場合、脳神経症状を完治させれば幻聴や幻覚も消失しますので、これを精神病と診断することを根底から見直さなければなりません。あくまで病名は原因疾患を基礎として考えなければなりません。症状で決めるべきではないということです。原因が脳幹の血行不良による脳幹神経炎であり、それを治癒させれば精神症状が出現しなくなるのであれば、これを精神病とするのは誤診であると言えます。


この私の考え方はフロイト以来の精神医学の根底を揺るがす恐れがあります。精神病がブロックで治るとは、それほど奇天烈な出来事であるということです。が、それは現実に私の目の前で普通に起こっています。


私のブロック治療は普及してはならない?

このように、精神科疾患は、自律神経系の身体的なストレスを解消させると治ってしまう可能性を秘めています。が、この治療法が普及することは、精神科医の地位と名誉(過去の偉大な名医も含む)を著しく傷つけるでしょう。よって、こうした医学的議論は前に進まないものです。医学史を愚弄することになるからです。そして私も、声を大にして「私の治療法を普及させよう」とは思っていません。そんなことをすれば私にも危害が及ぶでしょう。蛇足ですが、精神治療の一端として頸部交感神経節ブロック治療を普及させるにしても、それを行うのは私の名義ではなく、他の著名な教授にお手柄を譲り渡した方がよさそうです。


ここでは、精神疾患に悩む方々に、ブロックで治癒させることができる可能性があることを控えめに報告しておきます。そして、国を救う気力のある政治家の方がこれを読んでいれば、もしかすると社会福祉予算(生活保護費)をかなり減らせるかもしれないので、議論していただければと存じます。精神疾患をブロックで治すというのは、それほど大事件だと言うことです。


 

精神疾患をブロックで治療させる実例を収集中

現在(H27.10時点)で20代からうつ病と診断されて生活保護を受給中の37歳の男性をブロック治療継続中です。週1回の上頚神経節ブロックを6回行いました。経過としては不眠・頭のもやもや・イライラ・不安感の全てが改善され、起床時の不安感・焦り・過度の緊張が起こらなくなりました。本人とその家族は「奇蹟的だ」と言って感激されています。来院時の怯えがなくなり、普通に会話ができるようになりました。こうした症例がまとまり次第、発表していきたいと思います。治せない精神疾患が治せる精神疾患となるのも、本ブロックが普及すれば時間の問題でしょう。

しかし、問題は、精神疾患の人が自ら来院することはほとんど不可能だということです。不安感や不信感が強く、大抵は「治せる治療」があることを信じませんし、本人は神経症を持っているために電車などを利用して私のところまで来院できません。よって家族の協力がなければ治療はほとんど不可能ですが、家族は「精神疾患を治せる治療」があることをさらに信じません。

私のところに来院された患者は、すでに「今まで他の医者が治せなかった症状・病気を治して差し上げた方」の親族を無理やり説得して連れてきたものです。つまり、私と家族が絶大な信頼関係にあるからこそ、親族の方を連れてこられたわけです。そういった信頼関係がない限り私がいくら「精神疾患が治せる」と吹聴しても、誰も信じません。また、精神疾患であると思い込んでいる患者が、ネット検索をして治療法を探そうと思うことはなく、よってこのような治療例を発表しても、患者自らがそれを探し当てることはできないようです。よってまとまった治療実績を作り上げるにはまだまだ時間がかかりそうです。

ALSは身近にある

はじめに

氷バケツチャレンジで世界にその名を広めた「筋委縮性側索硬化症(以下ALSとする)」ですが、この難病を「自分とは無関係」と大部分の人は思っていることでしょう。しかし、実際はあなたの体にその予兆が身近に起こっているかもしれません。この病気は「確定診断」がついてしまえば、5年以内に90%が死に至るという壮絶な病気です。が、おそらく、多くの人は予兆があったとしても、確定診断がつくまで症状が進行せず、自然軽快してしまうと私は推測しています。つまり、ALSの初期症状を患いながらもそれが確定診断がつく前に自然軽快しているケースが多々あり、そのような症状が出現しているにもかかわらず、無理をして仕事を続け、病気を進行させてしまうのではないかと思うのです。ならば、ALSの予兆があれば、的確に治療と生活指導をすれば、発症を事前に防止できるのではと考えます。ここではそうした予兆にどのようなケースがあるかを、つい先日来院した32歳の男性を例に紹介します。

症例 32歳男性

現病歴

2週間前から両大腿の内股の痛みと腰痛出現。特に内股に力が入りにくいことを訴え、近くの整形外科を受診する。「坐骨神経痛」との診断で消炎鎮痛薬を処方される。数日前より膝と股関節に力が入りにくくなり起床時には下肢がぶるぶるふるえてしまう。普通に歩くことができず、下肢が開脚してしまうため「セカンドオピニオン」を求め私の外来を訪れる。

現症

来院時、非常に何度も咳き込む。理由をたずねると「2年前から咳き込みやすく、さらにえづく」ことが判明。さらに「つばが飲み込みにくいなどの症状がありますか?」と質問すると「はい、あります」とのこと。腱反射は上肢はほぼ左右対称で正常でしたが、両下肢では膝蓋腱反射のみが非常に亢進していました。さらに下顎反射(+)でした。

重要なキーワード

両下肢に力が入らない(特に四頭筋と内転筋)、えづく咳、呑み込みが悪い、両膝蓋腱反射亢進、下顎反射(+)

ALSの初期症状疑い

本症例の場合、ALSの初期症状と思われるのは「えづく咳」です。2年前から発症していますが、その当時のこの症状だけでALSと診断する医師は皆無です。恐らく世界中を探してもえづく咳からALSを発想する医師は0でしょう。私は「えづく咳」は球麻痺症状の一つと推測しています。それに連動して嚥下困難もあるからです。

ALSと診断した根拠

四頭筋・内転筋の筋力低下と膝蓋腱反射亢進は「上位運導ニューロン」、おそらく錐体路症状です。それにALSに特徴的とされる球麻痺と下顎反射が加われば、MRIで錐体路の脱髄所見がなくともALSの初期症状と診断します。現時点で本症例は確定診断が不可能です。万一確定診断がついてしまえば、5年以内に90%以上が死に至ることが確定するわけであり、死刑宣告に近いものがあります。逆に言えば「確定診断がつく前に治癒させないといけない疾患」であり、確定診断は「医師が負けを宣言する」ことと等しいわけです。「確定診断は現時点でつかない」のではなく「確定診断させてはいけない」疾患であるということです。

ALS様患者が私に集まる理由

私は単なる整形外科医であり「ALSを治療します」と宣言したことがありません。しかしながら、ALSの初期症状に一致する症状を持っておられる患者が、現在5名います。ALSは極めて稀な疾患であり、それが5人も集まるのは単なる偶然と言ってよいのか?ということを考えなければなりません。実はこれが偶然ではなく必然的な理由があります。私は「他の医師が治せない症状・疾患を治す」ことを信条として医業に従事しています。珍病・奇病に悩む患者はどの病院に行っても理解してもらえず、多くの病院を回ることになります。その際に私に出会った患者は「ブロック治療により症状が軽快」するので私の元を去って行かないという現象が起こります。もちろん、去る患者もいますが、他の病院では症状が軽快しないので再び私の外来に戻ってきます。つまり、珍病・奇病に悩む患者は私の外来にストックされ、他の科、他の病院に移動しません。よって、ALSの初期症状のような「どの医者にかかっても理解されない症状」を持つ患者が必然的に私の元でストックされていくと思われます。医学の教科書にはない珍病・奇病は、当初、私でさえ診断と治療に苦慮しましたが、ストックされていく患者たちの症状が、とても類似していることに近年気づききます。そして、類似性をたどると脳幹・延髄・脊髄の疾患であると結論付けられるようになったのです。

難治性脊髄疾患の初期症状

ALSは錐体路を主要症状としますが、錐体路以外の難治性脊髄疾患も私の守備範囲です。ALSも他の脊髄疾患も、非常に多くの共通点を持ち、専門医でさえそれらを区別することが難しいことが常に言われています。よって、私はALSのことを名指しで解説しているのではなく、脊髄疾患全般の治療についてここで語っていると思ってください。「えづく咳」など、どんな医者にかかっても判明しない奇妙な症状は難治性脊髄疾患の初期症状である可能性があります。また、MRIで異常がないのに急に力が抜けることがある、などの理解不能な症状もそうです。考えてみると、このような奇妙な症状を訴える患者は全国に五万といらっしゃるわけです。その方々は難治性脊髄疾患の初期の可能性が極めて高いと私は推測します。しかし多くは初期のうちに自然軽快するために診断がつかないまま「変な症状ですね。教科書にない症状です。」と言われて放置されているようです。放置されても多くは自然軽快するので問題は起こりません。ただ、一部の人だけが症状を進行させてしまい、確定診断がつくところまで行きついてしまうと、「医者が治せない」手遅れの状態になると推測します。

生活保護受給と密な関係

本症例のような症状が起こると仕事をすることが不可能であり、社会人として不適合となります。当然ながら会社を解雇され、再就職もできませんので生活保護を受けることになります。したがって、現在生活保護をお受けになっている方々には本症例のような症状が存在していたという方が大勢おられると予想します。現医学で治せないからこそ生活保護を受給するわけです。つまり、生活保護受給者はまさに、現医学では理解できない珍病・奇病の集団と言い換えることができます。彼らに正確に症状を聴取すれば、本症例のような症状があふれていることがわかるでしょう。

生活保護を受けないで病気と闘うと…

珍病・奇病で症状が出ても、退社せずにがんばる方もおられます。そういうがんばりやさんは症状を進行させてしまい、ALSやその他の難病脊髄病の確定診断が出るところまで仕事を続けるでしょう。つまり、ALSなどの難病は、こういう症状がでているにもかかわらず、無理をして仕事を続けた人に起こりやすいと推測します。初期に適切な処置を受ければ、救えたかもしれません。

 

ALS初期は精神病と誤診される

教科書に掲載されていない症状を訴える患者の多くは「精神疾患」を疑われます。ALSの初期症状はまさに精神疾患と誤診される運命にあると言っても過言ではありません。私が受け持つ5名のALS様症状の患者は、私が初診時から診ている患者1名を除き、4名が精神科を兼科しています。これは本人が進んで精神科を受診したわけではなく、担当医師より受診を命じられています。このようにALS初期症状患者は精神疾患を「ほぼ必ず誤診」されます。そして不要な精神科薬で薬漬けにされる傾向があります。

原因不明の脱力の原因

病院で精密検査を受けても、その原因が不明の脱力が存在します。しかし、その際に腱反射亢進のサインがあれば脊髄が原因の可能性が高まります。しかし、腱反射亢進が判明するためには、「明らかな大差」がなければ病的と判断されません。つまり、ごくわずかに腱反射が亢進している場合は判明しませんし。そこに末梢神経障害による反射低下が重なっていると判明しません。さらに、腱反射は普段の反射状態と比較してこそ判明するものですから、普段の腱反射がわからない時点で正しい判断ができないことがわかります。つまり、病気が末期になり、明らかにおかしい状態にならなければ、腱反射異常となかなか診断できないという現状があり、結局、原因不明の脱力の原因が病初期に判明することは難しいことです。ですが、私が短期間にこれだけ多くの「原因不明の脱力」を起こす患者たちと出会うわけですから、原因不明の脱力は、実際にはしばしば起こり得ることであり、脊髄病の初期の初期である可能性も考えなければならないと思います。多くは一過性に自然治癒するので問題にはなりませんが、過去の症状経験を思い起こせば、不可解な脱力を経験したことがある人は決して少なくないのではと思います。

原因不明の脱力の治療

私は原因不明の脱力の治療には、主に交感神経節ブロックを用いています。脊髄・脳幹の血管を拡張させて血流量を増加させるためです。効果は高く、ブロック後に筋力が回復します。ただ、再燃しやすいので何度もブロック通院が必要です。よって、私はこの治療法で、多くの脊髄病を進行する前に予防できると考えています。

本症例の治療方針

皮肉な話ですが、ALSの初期症状ではALSと診断されることはありません。したがってこの患者を神経内科医に紹介したところで、診断がつかずに放置されるのみです。そして万一、紹介した神経内科医がこの患者をALSと診断したとすれば、根本的な治療法はなく、5年以内に90%以上の確率で死に至ることが判明するだけのことです。つまり、神経内科医に本患者を紹介することで、患者にとってのメリットは難病認定のみです。ただ、救いがあるのは、多くのこのような症状の持ち主は仕事を休んでいれば自然軽快する可能性が高いということです。私のブロック治療は、軽快するまでの期間を大幅に短縮できるでしょう。よって、この患者が神経内科医に転医することは、恐らく不幸であると推測します。しかし、難病認定のメリットもあるので、ひとまず大学病院の神経内科に紹介させていただきました。願わくば本患者が再び私の元で治療を受けることです。


 

ALS様症状の治療実績

最近のALS様症状の治療実績10例分をまとめて掲載します。治療実績はこちら

 

健康貯金を考えましょう

体の細胞は常に新品

私たちの肉体の細胞の一つ一つは高齢者であっても、生まれたばかりの赤ん坊であっても、両者とも常に新品の細胞で埋め尽くされていることをご存知でしょうか? 90歳のおばあさんの皮膚細胞でさえ、生まれてから1か月しか経過していない細胞で作られているのです。ただし、新品だからと言って「健康な細胞」ではありません。新しい細胞が分裂する際に、十分な栄養が行き届いていないと不健康な傷つきやすい細胞が生まれてしまいます。細胞は新しくても不健康なので、美しい張りや肉厚を作ることができず、強度も弱くなります。よって皮膚は薄くしわくちゃになります。一方、赤ちゃんの細胞は分裂する際に十分な栄養を血管(血液)からもらい受けるので、とてもつややかで健康な細胞が出来あがります。そして健康な細胞から次の細胞が生まれるので、次もその次も健康な細胞が生まれます。しかし、分裂する元の幹細胞が不健康であると、そこから生まれる細胞も不健康となり、次もその次も不健康な細胞で埋め尽くされていきます。不健康な細胞が徐々に多くなっていくことを老化といいます。


細胞は入れ替わる

ここで忘れてはならないことがあります。それは不健康な細胞でさえ、常に「できるならば今よりも健康的な細胞に生まれ変わろう」と努力しながら細胞分裂しているということです。体内にどれほど多くの「健康な細胞」で満たすか?が健康貯金です。不健康で悪質な細胞で満たすことが「負債を抱える」ことを意味します。


悪質な不健康細胞とは

血行が悪いところで、大量に細胞が死滅すると、その死体処理をするマクロファージの手に負えなくなり、マクロファージ自身も死んでしまい、そこには死体の山ができます。死体の山は邪魔にならないように、線維化、粥状硬化、硝子化などと形が変わり、その場所に処理できないゴミとして貯まります。こうした細胞はさらに血行障害を作り出しますから、ゴミの周囲は新しい細胞を作ることができない不毛地帯になります。このように悪質細胞を増やしていってしまうと、時に死に至るような病気を起こし、そして人は死んでいきます。悪質な細胞は健康にとって負債であり、この負債をどうやって返済するかが健康にとってとても重要な概念となります。


医者は貯金、患者は負債

医者は患者の中に健康貯金を作ってあげるためにあらゆる手を出します。悪質細胞を除去し、健康細胞を増やすアドバイスをします。しかし、考えてみてください。この世に生きているだけで負債が増えていきます。これを老化と言います。にもかかわらず、不健康な肉体で、旅行やショッピング、仕事、掃除洗濯炊事を無理に行えば、医者がどれほど努力しようと、健康細胞の数は減り、悪質細胞の数が多くなっていきます。患者が負債を作ることをやめなければ、医者がどれほどお健康の預金を貸してあげたところでそれ以上に消費すれば健康は蝕まれていきます。


薬のほとんどは借金

医者は魔法使いではありません。治療のためにどこかの血行をよくしてさしあげれば、他のどこかの血流量を奪うことになります。治療というものはどこかを健康にした分、一時的にどこかを多少不健康にします。どこかを強力に健康にしようとすれば、どこかが強力に不健康な場所が生まれるものです。つまり、どこかから借金をし、不健康な場所に一時的に健康を補ってあげているだけです。痛みを除去する薬は「痛みという警報」が鳴らないように、警報器の線を切る作業であり、健康細胞に置き換える作業ではないことがわかります。しかし、患者が「痛みがなくなった。健康になった。」と勘違いして、体を酷使してしまえば、実際は悪質細胞が体内に増えて行き、健康貯金を消費していくことになるわけです。


血行をよくする作業=貯金作業

健康細胞で体内を満たすには、血液の流れを良くすることが基本です。なぜなら血行が良好になれば健康な細胞分裂が行われるからです。私はブロック注射を駆使し、不健康細胞が多いと思われる箇所の血管を広げてあげる作業をしてさしあげます。血行さえよくなれば、人の体は健康細胞を作ってくれるので健康細胞貯金が増えます。血行が良くなれば、痛みの警報装置も鳴らなくなり、実際に痛みも消えます。しかし、不健康な細胞が増えた箇所には、ブロックの薬液さえ入りにくく、注射はかなり難しいものとなります。さらに、不健康細胞が多い高齢者では血行を一時的に良くして差し上げても、すぐさま悪化します。必死になって健康細胞の貯金をしても、その貯金が次の日には消えてなくなってしまうのです。


 貯金を何日で使い果たすか?

最近私は患者様に怒りを覚えることが多々あります。健康貯金をふやして差し上げるために他の医者が行わない程(保険の範囲を超えた治療で)手厚くブロック注射をします。保険を超えた分は私が自腹を切ります。そこまでして健康貯金を増やすにもかかわらず、その預金を患者様が数日で使い果たしてしまうからです。次の診察時に、私はさらに多くの預金をしてさしあげようと、さらに多くの自腹を切ります。しかし、いくら多く預金して差し上げても、患者様はその分多く無駄遣いしてしまい「恩を仇で返す」のです。旅行に行ったり、趣味をしたり、買い物に出かけたりして、普段はできないことをめいっぱい楽しみ、そして不健康な体になって次の診察に現れます。私はいったい何のために苦労して保険外のブロックをやってさしあげているのか?わからなくなり虚しくなります。より強力な治療をするほど、より大胆に羽を伸ばし、元の症状に戻るまで、健康消費をやめません。このいたちごっこは「医療」といえるのでしょうか?


おとなしくしていれば貯金は貯まる

私のところに来院された時と変わらない生活をしていただければ、健康貯金が貯まるくらいに、私は患者に全力治療を施します。しかし、患者様は少し良くなれば羽を伸ばし、その預金を全額使い果たしてくれます。酷い場合は借金まで背負ってきます。そして患者様は、毎週毎週私に高額な健康預金をせがみます。すでに保健医療では補えない程の高額な預金をせがみにきます。それでも私は必死に預金額を増額して提供します。もちろん保険外の自腹です。するとその分だけ使い果たしてくれます。これを半年も繰り返していれば、仏さんでも怒るでしょう。


お金の無駄遣いを癖にさせてしまう

私は明らかに他の医者と違い、自腹を切ってまで患者を治して差し上げます。その恩に感謝するのではなく、無駄遣いをエスカレートさせていく不届きものがいます。私は本来、健康の維持方法を患者に指導しなければならない立場ですが、逆に私は患者に「少々体を壊すようなことをしても、注射してもらえれば治る」という観念を植え付けてしまい、結果的に患者を私に依存させてしまっているようなのです。放蕩息子に5万円、10万円、15万円とお小遣いを与え、放蕩息子がお金を大切にせず、平気で無駄遣いする人間に育ててしまうことに等しいのです。


 

私の外来はパンク

すでに私の外来はパンクしています。一人の患者が次から次へと「膝を治して!、足首を治して! 肩こりを治して! めまいを治して! 神経痛を治して!」と私にせがむものだから、1回の診療で5~6箇所の注射をすることがざらであり、そのため、一人当たり最低でも15分要し、その患者が私に毎週かかろうとするものだから、新しい患者が一人も来院できません。私が患者を甘やかすのが悪いのかもしれませんが、このようなずうずうしい患者が私の外来を占有するおかげで、本当に診察して差し上げるべき急患を一人も診察できません。よって、私の外来は全予約制ですが、新患受け入れはゼロ。つまり、まるで完全会員制の病院クラブになっています。そして酷いことに、私の外来を卒業する患者がほとんどいません。なぜなら、治しても治しても、その健康預金を毎週使い果たすものだから、現状維持のままループ来院となるからです。私の外来は予約券の奪い合いが起こっており、見るに耐えられません。


 

優良な患者は早期に卒業

健康管理が自分でできる優良な患者様は、1回から数回の治療で完治するので、私の外来からすぐに卒業します。しかし、これまで健康管理をしたことがない、患者様のみが私の外来に残り、半永久的に私の元をはなれてくれません。なぜなら、私はそうした彼らの身体の一部と同じだからです。私は彼らになくてはならない健康グッズの一つです。


私がいなくなれば寝たきりになる

私は常日頃、患者たちに「私はいつまでもこの病院にはいませんよ。私に頼りすぎると、私がいなくなったときに寝たきりになりますよ」と強い口調で忠告します。しかし、「先生、どこにも行かないでくださいね」と言うだけで、健康管理をしてくれません。そして残念なことに、私が病院を転勤すると、そう忠告した患者は1年以内に本当に寝たきりになります。なぜそれがわかるかといいますと、転勤しても私を追いかけてくる患者様がいますので、その方々から情報を頂けるからです。結局私は患者様に、健康預金を無駄遣いする方法を教えたことになり、無駄遣いをやめない患者様は、私がいなくなったあとに寝たきりになるようです。私が毎週、自腹を切って、どれほど高額な健康預金をさしあげていたかがわかります。そうした必死の治療で寝たきりを防いでいたわけです。だから私がいなくなれば、他の医師にはそんな治療ができるはずもありませんので、寝たきりになります。


治療が仇になる

私はこのような患者様たちに憤りの感情を抱くと共に、「自腹を切ってまで高額な預金を提供し続ける医者としての姿勢」に疑問を持ち始めました。どんなに忠告しても聞き入れない患者様に、それでも必死に自腹を切る治療をすることが、善なのか悪なのか? わからなくなってきました。医療は国のお金で受けられるものであり、有限なもの。そしてハイエナのようにそういった医療にすがる患者に対して、湯水のごとく治療をすることがこの国のためになっているのだろうか?と真剣に考えてしまいます。やはり、外来で患者とけんかしてでも、どんなに患者に嫌われようとも、健康管理を自分で行うように指導すべきなのでしょうか?


腕がいくら上がっても悩みが尽きない

私は年々、治療の技術が上がっています。寝たきりになるべく患者様も寝たきりにさせないで日常生活を送り続けさせることもできるようにもなりました。しかし、そのためには多額の医療費を消費します。多額すぎる分は自腹です。そして他の医者ができないような保険外の卓越した治療をして差し上げても、感謝もされず、当たり前と思われ、そして挙句の果てにその健康を毎週毎週全部使い果たしてくれるのです。人間の欲は限界がなく、特に健康には「預金している」という意識がなく、患者様本人は「健康を浪費している」イメージを持っていません。おそらく、私が腕を上げても上げても、ますます好き勝手に行動範囲を広げ、健康を消費してくれます。それがわかってしまった今、この虚しさをどうすべきか悩んでいます。医療は無限でも無尽蔵でもなく、ぜいたく品です。贅沢をさせれば患者様の自立力を奪ってしまうのです。私のやっている「必死の治療」は患者様から健康への自立力を奪うことになっているわけです。


健康預金の教育

この超高齢化社会を乗り切るには、無尽蔵に医療を患者様に提供するのではなく、健康預金を自分で作る方法を教えていかなければなりません。預金がたまってきた時に、それを遣いたくなる衝動を抑える教育です。人は周囲に迷惑をかけたくないあまり、頑張りすぎて健康預金を使い果たし、結局寝たきりに迷惑をかけます。そうではなく、健康になった時に「さらに預金を積み立てるにはどうすればいいか?」を考える患者様になってもらいたいのです。それを教えていくために、私は患者様の前で悪役を演じなければならないでしょう。不健康なまま生き長らえることは、もはや個人の問題ではなく、周囲の家族に迷惑をかけ、国にも迷惑をかけます。健康預金を使い果たす放蕩高齢者を放置していれば、やがてこの国はつぶれてしまいます。高齢者の健康は個人の問題ではないのです。どうしたらよいのか本当に悩んでいます。

今の医療はおかしいよ!

素朴な感想

本日、日本橋で蕎麦屋を経営している71歳のおやじさんが私の外来にお礼を言いにこられた。「何十年も、テーピングしても電気をあてても、薬を飲んでも全然よくならなかったのに、先生に注射してもらったらすっかりよくなったんですよ。」と非常に驚きの顔をしていた。


私は先日、彼が「これじゃあ仕事が出来ない!」と非常に悩んでおられたので、「もしも、私の言うことを信じることができるのなら、注射を受けてみませんか?」と足関節内への注射を勧めた。


多分患者は信じない

「私は、恐らく、あなたが数十年間悩んでいた足の痛みを、即座に取り去ることができます。しかも、注射は一時的によくするのではなく、治す力があります。半数の人は1度の注射でほとんどが改善します。ただし、問題はあなたが私の言うことを信じられるかどうかです。なにせ、これまであなたを治療したいろいろな整形外科医がいて、その先生方が、あなたの足の痛みを治せなかったわけですから、なのに目の前の私があなたの足を1度の注射で治せると言っても信じられませんよね(笑)」


こういうと蕎麦屋のおやじは「いやあ~、ぜひやってください」と言った。「そうですか・・・」私は逆にこのおやじを疑う。「どうせ治るなんて信じていないだろうなあ」といつものように考える。実は私の兄は変形性股関節症で手術を受けたのだが、私が注射で治せると言っても一切信じなかった。私が「股関節内注射」で手術を避けられるほどに痛みを制圧できると、ここで声を大にして訴えても、これを読んでいる読者でさえ信じないだろう。


私でもミスはある

「ただね、この注射は少々難しいんですよ。足の関節は狭いので、かなりの技術がないとうまく注射が入らないんです。だから普通の整形外科医はやらないんですよ。というよりやれないんですけどね。」と言う。これは、万一、注射が効かなかった場合の予防措置である。そして注射をしたのが2週間前のこと。注射は見事成功し、彼は私の外来に来て、足の痛みが治ったことに感謝を言いに来てくれたわけだ。そして5000円分のQuoカードをいただいた。さすが、蕎麦屋のおやじはきっぷがいい。


他の医者が治せないのはおかしい

彼は言う「でもね、何十年も痛くて痛くて苦しんでいたんですよ。テーピングでも温めも何でもやってきたんですよ。それでも今まで誰も治せなかったんですよ。おかしいじゃないですか?」


彼は感謝というよりも怒りを表していた。「なぜ、もっと昔に、こういう注射をしてくれなかったんだ! 今までどれだけ苦しんできたと思ってるんだ!俺の人生を返せ!」と言いたいことが手に取るようにわかった。「おかしいじゃないですか? 注射1本で治るのなら、どうしてそれを他の医者がやってくれないんですか? 整形外科にも何軒もかかったんですよ。それなのに、先生が治せて、他の医者が治せないというのはおかしいですよ。」答えは簡単である。誰も治ると信じていないからである。それ以上でも以下でもない。


よい治療法が世に広まるわけではない

私は、彼の発言に改めて感じたのだが、やはり「おかしい」のである。私がこのように手品のように治してしまえるとしても、私の治療法は世に広まることはない。その理由は、整形外科の教授のメンツである。教授ができないことを他の野良医師ができること自体が、白い巨塔の世界では許されることではない。よって、どんなに治して実績を積んだとしても、それを認めることは許されない。もしも、私が教授になれば、世に広がる。正しいもの、よいもの、患者を幸せにできるものが広がるのではない。今の医療はそんなに患者中心にはできていない。教授たちの「名前を広めるための治療」が広がるだけのことである。だからおかしいのである。


医療改革をするしかない

ちなみに私は自分の診療技術を後輩医師たちに伝えていくつもりだが、それはすなわち「治せない医師たちの顔に泥を塗る」作業に等しいため、それなりの妨害を受ける覚悟が必要になる。もちろん覚悟はできているのでこういうサイトを立ち上げている。おかしいをおかしいままにしておくのはおかしいのである。

胸部交感神経節ブロックが奇蹟を生んだその治療効果とは?

はじめに

私は難治性疼痛を専門に治療をすることを志すこと約10年、ブロックでも治らない現医学に見放された痛みを治そうと志すこと半年。ペイン科の医師にさえ治せない痛み症状を治すことに挑戦し始めて3か月。「医師に心因性」と診断されて治療を放棄された患者の治療をするようになったのはこのHPのおかげです。本当に「どんな治療を受けても治らずにネットサーフィンしてやっと私のHPを見つけたような病気の強者が集まってきたからです。


それまで、私は「他の医師が治せない疾患を治せる」と少々天狗になっていたのですが、このHPに相談に来る患者たちは「本当にどんなブロックを行っても全く効果がない」人達ばかりでした。そして当然ながら、私もそうした患者をブロックで治せないことを認識し、かなり落ち込みました。ただ、私がペイン科の医師たちと異なるところは、ブロックで治らない患者を「心因性」とは扱わなかったところです。「絶対にどこかに器質的な理由があって症状が出ている」という考えを貫き、治す方法を模索し始めたところです。


私は実際にブロックが全く効果のないしびれや痛みや脱力、不快感と対峙したとき、「これまでの治療法を全て見直そう」と考えました。そして、これまでのブロック治療で「少しでも治りにくい患者(例えばブロック治療を毎週行っているが痛みが少ししか改善しない患者)」がいなかったかどうかを、振り返ったのです。すると、意外にも私の外来に毎週来院している患者の一部にそうした「ブロックがほとんど効果のない患者群」が存在していることに気づきました。「なかなか治らない」患者群は、ブロックですべてが治らないわけではなく、ある症状はブロックで治るが、ある症状はブロックをしても治らないと言います。つまり、これまで「ブロックがある程度効いている」と思っていた患者でさえ、しっかり問診すると「ブロックが無効である症状」を一つくらい抱えていたのです。この事実は知ろうと思えば認識できることであり、知ろうとしていなかった自分があることに気づきました。痛み症状の8割がブロックで治っているので2割が治っていないことを無視してしまっていたのです。


実は「ブロックが無効な痛み・しびれ・不快感などが少なくない」ということに気づいたのは恐らく私が世界で最初であると思われます。これは決して誇張ではありません。例えば、ブロックをすれば腰の痛みも、下肢の痛みも改善するが、足の裏の痛みだけは残っている、と訴える患者がいたとします。これまでの医者は「治りにくい症状もあるのだろう。足の裏もそのうち治る。」と軽く流していたわけですが、私の場合、「腰と下肢の痛みは神経根が原因の痛みであり、足の裏の痛みはそれとは異なる特殊な中枢性の痛み由来」である可能性を考え始めたということです。だから世界初なのです。


そして私は「ブロック無効の症状」の原因を研究するためにある仮説を打ち立てました。それが脊髄炎です。ブロックは主に痛みを感じている領域の神経根を狙うのがこれまでの医学の常識でした。私はその常識を打ち破り、神経根のさらに中枢の「脊髄の後角細胞に原因がある」という仮説を立て、そこに治療をすることにしたのです。「神経根を狙うのではなく、脊髄後角細胞を狙う」治療法です。すると驚いたことに、難治性の症状を訴えていた患者が次々と改善していくのです。それは奇蹟に近いものであり、患者が驚くとともに、私自身もあっけにとられるほどに驚いています。詳細は「難治性腰痛症BICBの新治療概念」に記載していますが、ここでは冷え症に悩んだ女性の1例を挙げます。


症例3 77歳 F

  • 主訴:両臀部・仙骨部・腹筋・前腸骨部痛、右下肢痛・腹部の強い冷え感、腰の強い冷え感、食欲不振、下肢脱力感、不眠、尿意・便意頻回、排便障害(一度便をするとその後に便意が止まらなくなる)

  • 現病歴:右腰部~下肢痛を主訴に3.5年前、脊椎手術で有名なK病院でL5/S1右拡大開窓術を受ける。その後1年間は軽快していたが、上記痛みが2.5年前から出現。続いて腹部の強い冷え感が1.5年前から出現。腰の冷え感が1年前から出現。K病院では「処置の必要なし」と言われ、その後近くの整形外科をドクターショッピングするが、全てで積極的な治療を拒否される。それでも冷え感は耐え難く、千葉在住であるが新宿まで通い漢方薬に頼る。しかしそれでも冷えは治らない。近医には老人性うつであろうと言われ精神科を紹介される。精神科を受診したが異常なしと言われ、最後に偶然に私の外来を訪れた。

  • 治療1回目 L3/4より腰部硬膜外ブロック行う。右下肢の痛みに多少の効果があったが、冷え感や前腸骨の痛みには全く無効だった。これによりBICBとして治療を考える。
  • 治療2回目 L1/2より腰部硬膜外ブロックを行う→前腸骨と腹筋の痛みは軽快した。しかし冷えには無効。両臀部痛にも無効(L1/2という高位に行ったためと思われる)。
  • 治療3回目 両臀部痛を軽減させる目的で再びL3/4高位に腰部硬膜外ブロックを行う。すると冷えには全く無効。両臀部痛には数日有効。
  • 治療4回目 T12/L1に硬膜外ブロックを行う。これにより、今まで無効だったおなかの冷えが2日間消失した。臀部の冷えは左側が軽快したが右側の冷えには無効であった。しかし初めて冷えに効果があったという快挙であった。
  • 治療5回目 T12/L1に硬膜外ブロック。おなかの冷えに3日効果あるが持続しない。
  • 治療6回目 T10高位の交感神経節ブロックを行う。これまでのどの注射よりも最も効果が高く、冷えが軽快してきている(持続性があった)。そして食欲が増進した。腹筋・腸骨の痛みは軽快。ただし、右股関節~大腿外側~下肢後面痛が強くなる。腰痛も再燃。
  • 治療7回目 T10高位・交感神経節ブロック+右L5神経根ブロック おなかの冷えと腰の冷えがほとんど感じられなくなり、夜中にトイレに起きることもなく熟睡が出来るようになる。食欲が完全回復、直腸膀胱障害も消失、2階と1階を行き来する筋力が急に復活した。ほぼ奇蹟と言える圧倒的な改善に、本人はあまりにも驚いていた。なぜならば、つい最近まで養護老人ホームへの入所を希望していたほど体調がすぐれなかったからである。

    考察:今回、2回の胸部交感神経節ブロックを行うことで多彩な症状のほとんどが劇的に(魔法をかけたように)消失しました。消失効果は1週間持続し、次の診察日まで継続。これまで腰部硬膜外ブロックで冷え感には全く無効、かつ腰周辺の痛みにもほとんど無効でしたが、ブロック高位を上げていくうちに全ての症状に効果が現れ始めました。もっとも効果があったのはT10レベルの胸部交感神経節ブロックであり、このブロックがこの高さの脊髄の血行を促進させ、症状が軽快したと思われます。すなわち、本症例も脊髄レベルの疾患である(脊髄炎)と思われました。改善した症状は非常に多彩であり、腹筋・腸骨の痛み、腰回り・下肢の脱力感、冷えであり、さらに食欲が改善し、直腸膀胱障害が消え、熟睡ができるようになったとのことです。この数年間、症状が続き、軽快しないことから養護老人ホームに入所を考えていたほどだっただけに、今回のブロックの効果には、驚きでした。これはブロック史上の快挙と思われます。また、この文章は誇張でもフィクションでもない事実であることを念押ししておきます(2014.10.30.現在)。


難治性脊髄炎に対するブロックの効果

今回の胸部交感神経節ブロックはT10レベルの胸髄の血行促進を狙って行いました。その理由は、こうした多彩な腰・腹部・下肢症状は原因が脊髄炎にあると考えたからです。脊髄炎の主な原因は血行障害であり、高齢者では血栓などで阻血性の脊髄炎が自然発症すると思われます。つまりそこには脊椎の変形や脊柱管狭窄はあってもなくても無関係に起こるということです。T10への交感神経節ブロックが効果を発揮したのは、T10レベルの脊髄を栄養する動脈をブロックで拡張させ、阻血性の炎症を解除したからではないかと考えています。おそらく、MRIで描出不可能なレベルの脊髄炎は高齢者には日常茶飯事に存在している可能性があります。よってブロックを行っても軽快しない症状がある場合、脊髄炎の存在を考慮し、脊髄の血行改善目的で胸部交感神経節ブロックや胸部硬膜外ブロックなどを行ってみる価値がありそうです。


難治性=脊髄炎と決めつけてはいけない

ブロック無効の理由が脊髄炎が原因である可能性論を私は打ち立てましたが、ブロック無効の全てが脊髄炎と考えるのは行きすぎです。物理的な神経根への圧迫が強ければ、ブロックが無効となることもあるでしょう。癒着が原因で血行不良が神経根に起こっている場合もあり、癒着はブロックでは解除されにくいでしょう。つまり、ブロック無効の病態には脊髄炎だけが存在するわけではありません。本症例はあくまでブロック無効であったにも関わらず、胸部交感神経節ブロックが劇的に効いた1例であり、すべてがそのようにうまく行くとは限りません。ただし、ブロックが無効の際は、一度、脊髄炎の存在を考え、脊髄の血行改善の処置(ブロックだけとは限らない)を促すことを強く勧めます。


胸部交感神経節ブロックの注意点

胸部交感神経節ブロックは交感神経節の存在場所を立体的に把握していなければ、気胸のリスクを負います。胸郭には接線方向から刺入するよう胸椎の4~5cm外側から刺入し、椎体を狙っていくイメージになります。少しでも刺入角度が立ってしまうと肺を刺してしまう危険性がありますので注意が必要です。よって、誰もが簡単に行える手技ではありません。


その後

気温が著しく低下した日に来院することができず、再び冷え感(お腹の冷えと脚の冷えの両方)が治療前レベルに戻ってしまいました。同様にブロックをするものの、効果は6日だったものが3日→1.5日と短くなり、結局、ブロックを行っても1.5日しか冷えが改善しない状態になってしまいました。おそらく、ブロックに耐性ができてきたと考えています。ブロックが1.5日しか効果が続かないのなら、リスクを侵してまで行う理由はありませんので、今後は症状が酷くなったとき限定で行うことにしました。こうしたブロックへの耐性問題を解決することが先決です。

ナルコレプシーへのブロック治療例

ナルコレプシーへのブロック治療例

 

症例 56歳 女性

  • 主訴:昼間、電話している最中に突然眠ってしまう 数年前より、昼間に睡魔に襲われて眠ることがよくあったが、2週間前より突然無意識に眠ってしまうということが起こるようになった。
  • 既往歴 髄膜腫で2001,2013にOpe
  • 治療 週1で上頚神経節ブロックを行うと、5~6日間は入眠発作はない。しかし、7日目には入眠発作が出現した。網様体賦活系への血行促進を目的にオパルモンを処方したところ、上頚神経節ブロックが1週間効果を持続できるようになった。

治療経過

 

2014.11.ブロック治療後2か月目、ブロックの効果が数日へと短縮してくる(症状が悪化)。このため11月より週に2回の上記ブロックをすることにし、睡眠発作が起こらないようブロック治療を続ける。2014.12.18.突然上肢と下肢の脱力が起こり自宅で倒れる(意識清明)。近くの内科医に行くが原因がわからないと言われ帰宅。しかし、そのエピソード以来、睡眠発作が起こらなくなる。ナルコレプシーは完治し、治療はこれで終了した。

症例 80歳 女性

  • 主訴:デイサービス中に入眠発作 企図振戦 間欠性跛行
  • 現病歴:夜間不眠で睡眠薬を眠前に1錠、30年前から継続している。私には間欠性跛行の診断で毎週ブロック注射を行っていた。一方、企図振戦が最近出現し始め、当院脳外科医にパーキンソン症候群の診断を受ける。パーキンソン症候群(企図振戦)の治療目的で上頚神経節ブロックを開始したところ、ブロック3回目で企図振戦は改善した。それと同時に上頚神経節ブロックを行うと熟睡できないと訴える。よって上頚神経節ブロックを中止したところ、翌週には企図振戦が悪化すると共に、デイサービスで入眠発作が起こるようになった(以前から入眠発作の傾向があった)。すると本人は上頚神経節ブロックのおかげで、入眠発作が起こらなかったのだと理解し、再び同ブロックを切望する。それ以来毎週同ブロックを行っているが、企図振戦は改善され、入眠発作もない。

 

 

考察

上頚神経節ブロックが不眠症に極めて効果があることは既に多くの患者で実証できています。一度のブロックで数日間は熟睡が得られます。しかし、永続性はないため、ブロックを継続するか否かは患者に選択させています。上頚神経節ブロックは自律神経失調症症状にも効果を発揮しますので、睡眠障害+自律神経発作がある患者には継続使用が望ましいでしょう。


上頚神経節ブロックが睡眠障害に効果的である理由は網様体賦活系の血行を改善するからであろうと思われます。しかし、特筆すべきなのは、ナルコレプシーの患者にはその発作を起こらなくさせる効果があるところです。こうした結果から、ナルコレプシーは網様体賦活系の血行不良が大きな原因の一つになっているという推測が成り立ちます。今のところ、上頚神経節ブロックの効果を永続させることができるかどうかは未知ですが、繰り返しの使用で改善されていくと思われ、本ブロックはナルコレプシーに有効であると思われましたので報告しました。

医師も高齢化、75歳以上が8人に1人の時代

全人口の8分の1以上が健康寿命を超えてしまった

2014.09.15.総務省がまとめた報告によると、75歳以上の人口が総人口の25.9%に達し、8人に1人が75歳以上という時代になりました。しかし、問題は75歳を過ぎてからも日常生活に制限なく健康に過ごすことができるかどうかであり、平均寿命がいかに延びても、健康寿命がそれにともなって延びなければ、国が衰えていくことを意味します。健康寿命とは「日常生活に制限なく健康に過ごすことができる期間」であり、平成22年調査では女性は73.62歳、男性は70.42歳であり、75歳という年齢ではほぼ全員が日常生活に制限が出るレベルの不健康を患っていることになります。つまり、75歳以上は健康寿命を過ぎており、全人口の8分の1が日常生活に支障があり、介護などの医療サービスを受けなければならない状態であることがわかります。健康を維持するためにはとてもお金がかかりますが、そうしたお金のかかる高齢者が全人口の8分の1以上になったということです。このままですと国の経済状況も刻々と悪化し、困窮するでしょう。それはあまりにもたやすく予測できることであり、大至急対策を立てなければなりません。私が日常損傷病学を立ち上げたのはそのためです。国の経済を医療面から支えるためです。健康寿命を平均寿命の延び以上の速度で伸ばしていかなければなりません。

医師も歳をとる

医師とて高齢者になります。高齢になった医師は明らかに若い医師よりも新しい医学知識がなく、30年も40年も前の時代遅れな医学知識で診療していることが少なくありません。しかし、そうであってはならないのです。

本来、医師は歳をとればとるほど、多くの患者を診療してきたことになるため、機転も応用も効き、あらゆる万一の事故に対応できる能力が向上していくはずです。よって、日常生活から職業上の指導、保険の制度の知識や良い病院の紹介先など、全てにおいてアドバイスが優秀であるはずです。ところが実際はそうではなく、適当に手を抜いて診療している高齢者の医師が多いことに、私は同じ医師としてとても恥ずかしい気持ちになります。自分がそうならぬよう努力すると共に、今後、高齢になられる先生方をも指導していく必要があると感じています。なぜならば、医師も高齢化するわけですから、「高齢だから仕方ない」では済まないからです。今後はご高齢の先生方にも現役バリバリで仕事をしていただかないと、日本経済が衰退します。

 外科医は高齢になると内科医になる

外科医は手術を専門に技術を磨きますが、高齢になると視力も体力も低下するため、手術を専門として診療することが不可能になります。また、外科医はチーム医療ですので、大病院から巣だって開業した外科医は、チームを作ることが難しいので外科医としてやっていけません。これらの理由から外科医は高齢になるとほぼ必ず内科医となります。しかし、外科医から内科医になるのと、もともと内科医であるのとでは、内科の知識量が異なるため、もと外科医は診療技量が劣ることが多いようです。

 まじめな医者ほど高齢になると劣化が速い

まじめな医者とは、教科書通りの治療、指導をする型にはまった医者です。大学病院などで長年まじめに勤務してきた優等生です。不真面目な医者は早くから大学を辞職し、一匹狼でがんばってきた医師で、自分なりの治療法を身に着けてきた医者です。

教科書通りの診療をしてきた医師は、教科書に載っていない症状を示す患者を拒否し、患者を型どおりにはめようとします。このまじめさは、大学勤務中は利点となりますが、高齢化すると知識が劣化するため時代遅れの診療になってしまいます。一方、早くから独立した医師は、「患者視点に立った」診療をしなければ生きていけませんから、教科書通りではなく、目の前の患者を治すためのあらゆる工夫をこらします。あらゆる工夫から編み出した治療法は、病気を治すための真実に近いため、時代が進んでも真実は変わらないため、蓄積した医療技術は高齢になっても通用します。よって高齢になってからの診療技術は、早期に大学から独立した医師の方がまじめな医者よりも上に行く傾向が高いと言えます。

 学んだ医者と考えた医者の違い

医者は確かに勉強熱心です。学んで知識を身に着けます。しかし、学んだものは型にはまっており、高齢者にはそのほとんどが通用しません。もともと医学は高齢者向けに構築された学問ではないからです。高齢医学は最近始まったばかりの学問であり、全く医学が現実社会に追いついていません。よって、学ぶのではなく、目の前の患者をどう治すかを必死に考えた医者のみが真に高齢者の病気に対応できるようになります。

医師の世界は「考えること」を悪とされ、「自分の考えで治療する」と破門されてしまう世界です。その中で「考えて治療する」ことはとても勇気のいることです。しかしながら、勇気を出して考え続けて編み出した治療法は、多くの患者を診療すればするほど秀逸な医療技術となっていきますから、その医師が高齢になってからも、ずっと患者の役に立つわけです。学んだ医者は高齢化と共に劣化し、考え続けた医者は高齢になるほど、さらに診療技術が向上していきます。私はこの事実を、現役の若い医師たちに伝えなければならないと思っています。

 血圧の薬を飲み続けて本当にいいのですか?

型にはまった内科医は「降圧薬は医師に言われた通りに一生飲み続けなさい」と言います。しかし実際は、自律神経失調のある患者に降圧薬を服薬させると、急な血圧の変化に耐えきれず、めまいやふらつきを起こし、失神することがあるのです。こうした事実は教科書には掲載されておらず、型にはまった医者は否定します。型にはまらない医者は「自律神経失調を考慮に入れ、血圧を高めに保つ」ことの方が健康寿命を延ばせることを肌で感じて患者に降圧薬の減量を指示します。もちろん後者の方が真実に近いのですが、そのような機転の利いた診療は「型破りである」と言われ否定される運命にあります。よって、型破りな医者は大学病院や医師会から嫌われ、孤独な思いをします。しかしながら、そうやって「自分で考えた治療法」は高齢になっても劣化しませんから、高齢医師になってから、周囲の住民からの信頼度に大きな影響を与えるのです。「考える医師」は「学ぶ医師」よりも高齢になってから優秀になります。というよりも高齢になるほど優秀になります。なんと素敵な言葉でしょう。「高齢になるほど優秀!」。そう、これが人間が高齢になっても生きる意味ではないでしょうか。そういう医師を多く作りたいからこそ、この日常損傷病学を立ち上げたわけです。

高齢化するほど優秀になる医師を目指す

私は常に考えながらブロック注射の技術を磨いてきました。よって私の行うブロック注射は、医学教科書のメニューにないものがあります。上頚神経節ブロックや傍神経根ブロックなどです。ブロック注射は高齢になってからも行える手技であるため、毎日行っていればその技術は衰えず、数をこなすほどに診療技術は上がっていきます。今は、さらに自己抗体や副腎皮質ステロイドホルモン、高コレステロール、血行障害、神経の張力などを考慮に入れた独自の考え方でブロック場所や回数、使う薬剤、補助の経口薬などを次々と考えだし、日進月歩で患者を真に治す技術が向上して行っています。自分でもその伸びがどこまで続くか予想できない程、日々進歩しています。そして現在ではブロックで睡眠障害、自律神経失調、パーキンソン症候群、認知症、脳梗塞後遺症などを治療するまでに至っています。歳と共に優秀になる医者を目指しています。そしてこれは考えることを止めない限り、死の直前まで続くでしょう。

高齢になるほど競争力のある医師を養成する

まさにブロック技術は高齢になるほど高められる技術であり、どの科の医師にもできることであり、この技術を若い医師たちに伝えていき、「高齢になってからこそ競争力が高くなる医師」を若い時代から養成していくことが私の望みです。私が教えた医師たちは高齢になってからこそ地域の住民に大きな恩恵をもたらすでしょう。そして高齢化社会を先導するはずです。これを読んでいる医師が、今のところゼロであることは認識していますが、千里の道も1歩からです。誰かがやらねば始まらないわけですから、それを私がスタートさせる所存です。いずれ私は賛同する若い医師たちを実力ある医師に育てていきます。

脳の誤作動による慢性疼痛を治す

はじめに

現代医学は痛みについてまだまだ未開拓であり、なぜ痛みが起こるのか?について、その人体トリックを解明するに至っていません。そうした現状の中、医学で解明できないトリッキー痛みは「脳の誤作動による痛み」と診断され、心療内科に回されて薬漬けにされることが一般的になっています。「脳の誤作動」と診断された患者たちの共通点は「あらゆる神経ブロック注射に対して無効、画像上、血液データ上、異常所見を示さない」ところです。しかしながら、どんな治療にも反応しないこれらの患者たちは、ただやみくもに痛みを訴えるわけではなく、ある特定の動さや姿勢でのみ痛みを訴えます。動作と一致したこれらの痛みが「脳の誤作動」であるはずもなく、一刻も早くこの痛みトリックの種明かしをしなければならないと私は思っています。そのためには、まずこれらの痛みを完治させることが必要です。ここでは、ブロック無効の難治性慢性疼痛患者の痛みトリックと治療法について考えていきます。


慢性疼痛患者を脊髄・脊椎不適合と仮定し話を進める

ブロック無効、画像所見なしの慢性疼痛患者の真の原因を脊髄・脊椎不適合症候群であると、一旦仮定して話を進めます(最初にタネを明かして、痛みトリックを逆から考えていきます)。


脊髄・脊椎不適合とは脊髄から神経根に至るまでの距離が「相対的に」脊柱管の全長よりも短いことを言います。「相対的に」というのは、普段は短くないが、ある姿勢をとると脊柱管の全長が伸び、その中を走る脊髄や神経根が強い張力を受けるという意味です。普通に立っている時は脊髄や神経根は緩んでいるのですが、「重力をかけて」丸まった際に脊柱管全長が異様に伸びてしまうという意味です。ここで重要なことは「重力をかけて丸まる」という点です。


健全な人の脊柱管全長は立位から屈曲にポジションを変えた際の脊柱管全長の変化はそれほど大きくありません。しかし、脊柱側弯などが存在する場合、立位から屈曲へとポジションを変えた際に脊柱管全長が大きく伸びてしまう人が存在します。


この理由は、そもそも脊柱側彎が起こると、脊髄は脊柱管の端を通るようになり、カーブのインコースを通過するため、全長が短くて済みます。ところが背骨を屈曲させると、側彎が矯正されてまっすぐになる場合があり、この際、側彎からまっすぐとなることで脊柱管全長が伸び、さらに立位から屈曲になることで脊柱管が伸び、このダブルの効果で、健常な人よりも脊柱管距離が大きく伸びてしまうのです。


最悪の脊柱管距離の伸び

もしも、硬膜外腔やくも膜に癒着があった場合、数千人に1人くらいは確率的に最悪な状況になります。それは側弯症において、そのカーブのアウトコースに硬膜やくも膜が癒着で固定されてしまう場合です。脊柱管内の癒着は慢性の腰痛のある患者では、ほぼ必ず存在します(実際に硬膜外ブロックをすれば、癒着で薬液が入りにくい人がいることが理解できます)。その癒着が、たまたま側彎のアウトコースに脊髄や神経根が固定されることになれば…普段でも神経根が引き伸ばされ(強い緊張がかかり続け)、さらに特定の姿勢をとった時に、神経根や脊髄が想像を絶するほど引き伸ばされる可能性があります。側弯症がある人の脊椎の動きは、健常人とは明らかに異なりますので、その中を通る脊髄や神経根が、ある特定の姿勢で大幅に引き伸ばされることがあるでしょう。これが脊髄・脊椎不適合(仮説)です。しかも、引き伸ばされていることは画像では診断できませんので、所見なしとなります。所見がないのに神経が損傷している状態であり、これは現医学知識では見つけることができません。つまり、画像所見のない神経破壊が完成します。


神経根や脊髄が強く引っ張られるとどうなるか?

神経根は、中枢は脊髄の後角で根糸という形で接合し、末梢はHoffmann靭帯によって椎間孔に接合されています。つまり、脊柱管距離が伸長すると同時にHoffmann靭帯と根糸の綱引きが起こります。もしも、椎間孔付近に癒着がある場合、綱引きは圧倒的にHoffmann靭帯側の勝利となります。つまり、細い根糸が引き抜き損傷を起こす可能性があります。根糸は前根と後根とありますが、強い緊張を受けるのはアウトコースである後根です。よって、綱引きが起こると後根糸の接合部分が破壊される可能性が高いということです。さて、ここで問題です。根糸接合部が損傷を受けると、私たちの体はいったいどうなるのか?というところです。


脊髄後角は鬼のように侵害受容器がある

脊髄後角は根糸と上行神経との接合部で、ここには痛みを発生させるシステムが鬼のように存在します。しかも、脊髄後角の恐ろしいところは、ここに入力されてくるあらゆる種類の電気信号を痛覚回路に切り替えるシステムを持つところです。したがって、触った感覚、気圧の変化、位置感覚、振動感覚などを痛覚に変換させてしまうという芸当(トリック)ができます。


よって、脊髄後角で神経損傷が発生し、炎症が生じると、そこには地獄のような痛み増幅システムが出来上がってしまいます。これを中枢感作と呼んでいます。このようにして出来上がった脊髄後角炎は、人間の尊厳を奪う程に、地獄の疼痛を患者に与え続ける可能性があります。


脊髄後角炎は錯誤的で現医学で解明途上

腰神経根や仙骨神経根は胸椎・腰椎移行部あたりで接合します。よって胸腰椎移行部の高さにある脊髄後角は神経接合部の密集地帯です。例えばこの密集地帯の一部に引き抜き損傷による神経破壊が起こったとしたら、どうなるでしょう? 損傷した部分の神経だけが痛みを感じるかといえばそうではないということです。引き抜き損傷は微小な炎症性浮腫や出血を伴い(MRIでは映らない程度)、その浮腫は周囲の神経根の接合部にまで及ぶでしょう。すると、現医学ではとても解明できない多彩な痛み(刺すような、チリチリした、殴られるようななど)、さらに灼熱感、冷え感などが現れます。しかも、その症状が出る場所は神出鬼没。炎症の広がり方で、ありとあらゆる不可思議な痛みやしびれが出るはずです。


さらにトリッキーなのは、炎症は損傷個所に留まらないところです。神経は電気信号が一方通行であると長い間考えられていましたが、実は軸索輸送という手段を使って、反対方向にも炎症情報を伝えることができるという、まるで手品のトリックのような動きをすることが最近になりわかってきました。つまり、神経の中枢側で炎症が起こった場合、軸索輸送で末梢に情報が伝わり、末梢で炎症を起こすというような極めてトリッキーな手品を披露できるのです。いわば、脊髄後角で炎症が起こっているのに、足の先端に腫れを引き起こせるということです。こうした神経のトリックを知らない医師は世界にまだまだ多く、一般医学知識としては普及していません。


したがって、損傷部位は根糸の接合部であるのに、痛みは腰から足まで全部…というようなことや、膝や足首に腫れを起こすなんて芸当も可能ということです。こうしたトリッキーな痛みに対して痛みの出る場所へのブロック注射は全く無効。神経根ブロックも硬膜外ブロックも、全て無効となり得ます。なぜなら、炎症を起こしているのは、痛い部分とは全く無関係な高さにある脊髄後角だからです。


要するに幻の痛みを作ることができるのが人間の痛みのトリックです。幻の痛みは、たとえ脚を切断したとしても消えません。なぜなら、脊髄の後角で「痛みの電気信号」を作り出し、それを「脚の痛みを伝える回路に流し込むからです。当然ながら、脚へ行く神経根をブロックしてもほとんど効果ありません。なぜなら、トリックが神経根よりも上(中枢)のレベルで起こっているからです。このようなトリックを種明かしできるほど、疼痛学は進んでいませんので、トリッキーな痛みを訴えた患者は「それは幻の痛みである」と診断され「頭がおかしい」「脳の誤作動」と診断されてしまうという悲惨な状況にあります。


さあ、これでお膳立てができました。最初にお話しした「あらゆる神経ブロック注射に対して無効、画像上、血液データ上、異常所見を示さない」という現疼痛学で解明できない症状を、仮説を用いて再現できました。この仮説が正しいかどうかは、私が実際に「脳の誤作動」と言われて心療内科に回された患者を全国から集め、実際に完治させることで証明できるわけですが…問題は完治させることが極めて難しいことです。


側彎をどう治すか?

脊髄・脊椎不適合症候群は、遺伝的な骨格のバランス異常が起因していると思われます。よって、姿勢を治して背骨を矯正しなければ、なかなか治せないでしょう。よって、これを治していくにはカイロプラクターとの関連を密にして研究していかねばなりません。しかしそれは極めて困難な研究になるでしょう。なぜなら、たとえマニピュレーションで側彎を矯正できたとしたら、その際に脊髄や神経根は引き伸ばされてしまいます。これによりさらに症状が悪化することがほぼ決定的です。つまり、もともと脊髄・神経根が相対的に短い状態で成長してしまった人に背骨の矯正をすると、それが原因で脊髄や神経根を破壊してしまうわけです。よって、もしも背骨の矯正をするのであれば、少しずつ神経を引き伸ばし、神経の伸びと同じスピードで矯正を行わなければなりません。しかし、患者はその痛みに耐えられるはずもないので、事実上、マニピュレーションは不可能です。というよりも、脊髄・脊椎不適合のある患者にマニピュレーションは禁忌です。このことをカイロプラクターはもちろん認識していませんから、全世界で背骨矯正で再起不能になる患者がなくなりません。脊髄・脊椎不適合の概念は私の仮説であり、この仮説は全く認識されていませんのであしからず。ただし、重度の脊髄・脊椎不適合を持つ患者はめったにいません。よって、カイロの施術事故件数は、それほど多くないと思われます(ただし、なる人はなる)。


癒着をどうするか?

次に癒着の問題です。癒着は硬膜外腔で起こるもの、くも膜が癒着するもの、そして癒着部から炎症性浮腫が発生してのう胞を形成するものなどがあり、これも一言で述べられるほど単純ではありません。医師の間では「のう胞は無症状」と言う意見が多く、のう胞が癒着から起こっているという発想が今の医学知識にはありません。よって癒着がなぜ悪いのかさえも考えるに至っていません(残念なことに)。少なくともくも膜のう胞ができるということは、その神経根はガッチリその場に固定され、遊びがゼロになります。遊びゼロであると、洗顔の体勢をとっただけで(わずかのギックリで)、神経根の綱引きが起こり脊髄後角に神経損傷が起こるでしょう(ですがこの概念は現医学にありません)。


癒着には根本的に血行不良が必ず関与しています。よって、癒着部の治療には長期に渡り、血行改善を行う必要があります。が、癒着部がどこであるのかを知るすべはありません。小さな癒着はミエログラフィーを行ってもはっきり描出できません。また、たとえ癒着部がわかったとしても、その癒着を改善させるには、一体、何か月間、根気よく血行改善の治療を行い続けなければならないのか? という問題です。


腰痛が主症状であれば、癒着は下位胸椎以下に起こっていると推測されますが、それでもかなりの広範囲です。的が絞り切れません。血行改善の最有力治療法は、腹部(胸部)交感神経節ブロックですが、こうした癒着を改善させるためには一度に4か所以上の交感神経節ブロックを行い、それを週に数回繰り返し行っていく必要があると思われます。それを行う医師にも患者にも、相当な精神力が必要で、お金も暇もかかるでしょう。


現実的な癒着改善の方法としてステロイドやTNFα阻害剤の使用があります。癒着箇所には炎症が大なり小なり起こります。この炎症性浮腫を改善させないと、ミクロの血行が改善しません。しかしながら、これらの薬剤も、一度きりで治るわけでなく、繰り返しの投薬が必要で、副作用を考えると、使用を躊躇します。よって、癒着はある程度の安静で治すことが現実的と言えるかもしれません。


脊髄後角炎を治療する

さて、本題は脊髄後角炎をどうすれば改善できるかということでしょう。そのためには二つのアプローチが必要です。一つ、血行改善、二つ、浮腫・炎症改善、です。血行改善は交感神経節ブロックが最有力で、浮腫・炎症改善はステロイドまたはTNFα阻害剤の点滴または局所投与が効果的と思われます。これらの治療は繰り返し継続的に行わなければ意味がなく、治療は困難を極めます。また、保険適応はありませんから、金銭的にもかなり困難でしょう。また、脊髄後角炎が生じているという証拠がありませんから、証拠がないものにここまでお金がかかり、リスクのある治療を続けられるか?という難題に突き当たります。


痛みの原因は脳の誤作動ではない

痛みの原因は、脊髄・脊椎不適合による脊髄後角炎であると、断定できたとしても、治療には困難を極めます。脳の誤作動である・ないにかかわらず、どちらにしても、ブロック無効の慢性疼痛を治療するには、困難を極めることだけは変わりありません。


困難を極めるのであれば、どのみち精神科薬に頼るより仕方なく、結局のところ「脳の誤作動」であろうがなかろうが結果は診療内科行き…となってしまいます。ですが、私は、その困難に飛び込み、治療に挑戦していきたいと思っています。脊髄後角炎を短期間に沈静化させることができれば、お金の問題もリスクの問題も解決します。難治性慢性疼痛患者が、脊髄・脊椎不適合と決まったわけでもありませんが、とにかく、慢性の疼痛患者を短期治療で治せる手段をあみだしたいと考えています。他の医師が治せない症状を治すことが私の医師としての使命と思い、前進します。ご清聴ありがとうございました。

慢性疼痛患者へのオピオイド使用に警告

はじめに

以前よりがん患者の末期ではその疼痛を和らげるためにモルヒネが使われています。モルヒネはオピオイド神経を興奮させ、下行性に侵害受容器で発生した痛覚の信号を抑制します。近年、トラムセット・ノルスパンテープなど、モルヒネではなくオピオイド受容体に作用する薬が開発され、癌性疼痛以外の疼痛患者にもオピオイドが広く使用されるようになりました。


整形外科領域では腰痛や上下肢の神経痛などに頻繁に処方されるようになっていますが、そこには落とし穴があります。オピオイドは通常、組織や臓器が障害された痛みに用いるべき薬剤であり、神経が障害されて起こっている痛みには効果が低いのです。しかしながら、神経痛にもオピオイドが濫用されはじめた近年、それによる二次的な副作用が出始めていると感じます。ここではオピオイドを神経因性の疼痛に使用した場合の症状悪化について考えていきたいと思います。


オピオイドが効かない痛み

日本ホスピス・在宅ケア研究会ではモルヒネに反応しないケースとして次のようなものを挙げています。

 

  1. 痛みは(組織や臓器ではなく)神経が傷害されて起こっている。 末梢神経が侵されたときは皮節に一致して発生し、中枢性の病変によるときは皮節には一致しない。
  2. 痛みの表現(灼けつくようだ、刺すように痛む)から、神経叢損傷が疑われるが、痛みの部位で感覚が鈍くなっていたり、変化していたりすることで診断できる。
  3. 表在性で灼熱的、あるいはズキズキした不快感のある痛み。
  4. 自発性の刺すような痛み、あるいは放散する痛み。
  5. 深部に併発するうずきが、神経の圧迫と遮断との混在による痛みのときも神経の遮断のときも現れることがある。
  6. 軽く触れたり、軽く叩いたりすると痛みを生じる。したがって肌に着衣が触れると痛みとなり、着衣に耐えれれなくなることがある。
  7. 針を用いた痛覚検査や温室の検査では、感覚低下が認められる。
  8. 時にしびれを伴う。
  9. モルヒネを投与しても効果があがらなかったり、僅かな効果が得られるのみのことが多いため、不眠が続き、患者は疲れきってしまう。
  10. 腕神経叢を巻き込む場合には、上肢に、また骨盤内腫瘍による腰仙骨神経叢の場合には、下肢に典型的な痛みが出る。
  11. アスピリンやモルヒネがあまり効かず、三環系薬がしばしば適応になる
  12. 治療目標は、夜よく眠れること

上に挙げたような場合はオピオイドの使用量を増やしていくことは不適切と思われますが、最近では世界的に「難治性の痛みには何でもかんでもオピオイド」という風潮になってきており、私はそうした疼痛管理に危機感を持っています。あまり効果が出ない痛みに対してもオピオイドを医師が気安く処方しています。オピオイドを処方する医師は痛みの性質と使用薬剤の適応をもう少し真剣に学ぶ必要があると感じます。しかし、オピオイドを販売促進しようとする製薬会社、そして薬学部の研究が、これを阻んでいるような気がします。


 

飲酒後の激痛の例

神経因性疼痛の患者は、その激痛に耐えられず、しばしばお酒を飲んでこれをごまかそうとします。アルコールは脳に対して麻酔作用があり、疼痛をあまり感じなくなります。しかしながら、酔いがさめるとお酒を飲む前よりもさらに強い痛みになっていることがしばしばあります。また、飲酒中は転んで骨折などを受傷したとしても痛みがほとんどありませんが、翌朝、目覚めると激しい痛みになっていることもあります。こうした飲酒後の疼痛増強は、痛みを抑えることによって自由に活動ができるようになり、損傷部位をさらに傷めつけてしまうことが原因と考えられます。


痛みの増強を抑えるために「お酒をさらに飲み続ける」という方法もありますが、これが体に悪いことは誰にでもわかります。オピオイドも同様に、痛みを抑えることにより、損傷部位をさらに傷めつける恐れがあり、服薬が逆効果になることを想定しなければなりません。特に上に挙げた神経破壊によると考えられる疼痛ではオピオイドを使用すべきではないと考えます。


 線維筋痛症患者でのオピオイド使用注意

現医学で理解不能な痛みを総称して線維筋痛症と言われることがあります。線維筋痛症では神経ブロックも無効である場合があり、その場合は「脳で痛みが増幅されている」というような言い方をされ、精神の異常による痛みと定義されてしまうことが多いようです。こうした医者に治せない痛みの場合、プレガバリン・オピオイド・抗うつ剤の併用で薬漬けにするのが近年の常套手段となっていることを非常に残念に思います。


慢性の疼痛に苦しむ患者は、「あまり効果がない」と知っていても、これらの薬を中断すると「酔いがさめた時の激痛」のように痛みが増加するために止められません。よって、神経破壊が起こっている場所には治療がなされず、痛みをごまかすのみとなり、経口薬の悪循環にはまり抜け出せません。もちろん、神経破壊が起こっている場所の同定が、現医学では無理だからこそ、このような悲劇が起こります。


オピオイドによる疼痛増強の可能性

神経破壊が原因で起こる疼痛は通常の求心性痛覚伝達経路とは無関係な経路から起こります。これらがアロデニアや皮節を無視した疼痛領域、異常知覚を作り出します。しかし、そうした臨時痛覚回路の情報をオピオイドで遮断し続けた場合、どういうことが起こるかを想定しなければなりません。


恐らく、臨時痛覚回路は「痛覚情報が十分に脳に送られていない」と判断し、自動的に痛覚回路の増強を計ると思われます。すなわち、オピオイドによる信号遮断をさらに上回る臨時疼痛回路を作り出します。これがどういう結果を招くか、想像すると極めて残酷です。同量のオピオイド使用では痛みに耐えられなくなり、さらにオピオイドを増やさなければならなくなるでしょう。そしてどんなに増やしても、人の体はさらに痛みの回路を増強し、結局、オピオイドを増量してもすぐに効かなくなり、最終的に痛みの回路だけがパワーアップして行き、こうした患者がオピオイドを中止した時に、地獄の猛火に焼かれるがごとく痛みを感じるようになるでしょう。こうした理由から、神経破壊に起因する痛みにはオピオイドは不適切と考えます。


 安静で治る神経因性疼痛であればオピオイド使用は問題なし

神経破壊による痛みであっても、安静にしていれば破壊部の炎症はおさまり、自然治癒するのが人間の痛みの仕組みです。この場合、神経の破壊部分が治癒するまでオピオイドを服薬していれば、何事もなく痛みが自然治癒します。よって、動的なストレスで発生する痛みでは、安静+オピオイドでよいでしょう。この場合は神経因性の疼痛であっても、オピオイド使用が問題ありません。この世に存在する疼痛の99%は「自然治癒する痛み」であるため、オピオイドの使用はほとんどの人に有効です。しかし、残りの1%の特殊な疼痛の患者にオピオイドを使用すれば上記のような、オピオイドによる疼痛回路の強化が起こるでしょう。


 安静でも悪化する痛みがある場合はオピオイド要注意!

ヘルニアも脊柱管狭窄症も神経根症も、安静にしていればそのほとんどが治癒します。物理的に神経が圧迫されていたとしても、圧迫部の浮腫が改善されると、神経が再び炎症を起こす機会が減るでしょう。しかしながら、臥床安静にしていても痛みが消えることがないような痛みの場合、オピオイドは神経破壊を悪化させる可能性が極めて高くなります。


例えば腰椎の数が多いなどの奇形を持つ患者は神経線維の全長が脊椎の全長よりも相対的に短くなると思われます(椎体の数が多い分、神経の長さが長くなければなりませんが、多椎が神経の成長に何らかの悪影響を及ぼす可能性がある)。また、椎間板の数が多いため、前屈させた際に脊柱管全長が長くなる距離が普通の人よりも増えることで、神経線維が引き伸ばされて損傷を起こす可能性が高いでしょう。


このように、脊柱管全長よりも、その中を走る神経線維の長さが足りない場合、神経線維は常に緊張することになり、姿勢が変化することで自動的に神経破壊が起こることがあると推定しています。ある患者は、座位でのみ神経線維が引き伸ばされ、ある患者は仰臥位でのみ神経線維が引き伸ばされ、ある患者は立位のみで引き伸ばされ、神経が破壊されるでしょう。


こうした患者にオピオイドなどの鎮痛薬で、薬漬けにすることは大変危険です。安静にしていても姿勢が悪いのみで神経破壊が起こるでしょう。しかし、その際の痛み信号をオピオイドでブロックするため、知らぬ間に神経破壊が進行し、疼痛回路の増強システムが作動し始めるからです。これに耐えうるためにさらに薬を増やし…疼痛回路はさらに増強…やがて寝たきりの疼痛患者が出来上がってしまいます。


 神経破壊に起因する痛みの治療法

基本的に破壊されている部分には浮腫、血行不良、疼痛メディエーターの貯留が必発です。破壊されている神経が修復され、また、神経線維の緊張が強いのならばその神経線維が多少でも伸びるように成長させるためにも、浮腫の改善、血行改善、疼痛メディエーターの洗い流しが必要と思われます。


これらの治療を神経が破壊されている部分に的確にヒットさせない限り、患者は疼痛地獄から逃れるすべはないと思われます。つまり、神経破壊部の炎症と浮腫、血行不良を改善させるために、ステロイドの大量投与などが必要と思われます。


神経破壊に対し、ステロイド大量投与が有効であることは、すでに癌末期のターミナルケアで証明されており、いまさら私が述べるまでもありません。特に、線維筋痛症などの「神経破損部位が特定できない中枢性疼痛」にはステロイド大量投与が選択されるべきと考えています。部位の特定が難しい場合は全身投与しか方法がないからです。


ターミナルケアではオピオイドが無効の神経破壊性の疼痛患者にステロイドを用いると、とたんにオピオイドが効き始めることが証明されています。しかしながらステロイド大量投与には副作用がつきまとうため、使用が難しいでしょう。


近年、ステロイドに変わる強力な抗炎症薬であるTNFα阻害薬が開発されたため、ステロイドの副作用を起こさせることなく、抗炎症を得られるようになりました。よって原因不明の中枢性疼痛にはTNFα阻害薬の使用を試みるべきと考えます。しかし、この薬剤もまた、強力な副作用があるため、使用が難しいと言えます。


こうした副作用の強い薬剤の使用には、神経破壊部がしっかり同定できていて、炎症が起こっていることが予想されている必要がありますが、以下の理由によってそれが大変困難な状況があります。そして、治療ができない理由があります。


 

難治性慢性疼痛治療の問題点

  1. 血液データに炎症所見が現れない:神経節の部分に炎症起こっていても、CRPやサイトカインなども含め、数値の上昇は一切見られません。それは損傷個所がミクロだからです。炎症が起こっていることを医師に理解してもらえません。
  2. 神経線維の緊張所見をMRIなどから読み取れる医師がいない:神経線維の緊張という考え方が現在の医学には欠落していますので画像で異常所見を読めません。
  3. 神経の破壊部分が推測できない:神経の緊張による神経の破壊場所は最上部では視床、そして延髄・脊髄・神経根・後根神経節…とあまりにも広範囲なため、破壊場所を絞ることができません。
  4. 痛みの場所と原因箇所が離れている:中枢感作が起こっているために、痛みの場所と神経の破壊部位は異なることがあり、通常の医学教育だけでは、その発生場所を推定することは不可能です。
  5. 治療に時間がかかる:神経の緊張が原因なら、神経線維が伸びることを期待して長期の治療が必要になりますが、治る確証がなく、長期の治療は医師・患者ともども根気が続きません。
  6. お金がかかる:保険医療の範囲外の治療となりますからお金がかかります。
  7. 患者は医師を信用しない:これらの考え方は現医学の枠を超えているので、患者は医師を信用することができません。例え治療法を示しても、患者から承諾を得られません。患者はエビデンスを求めますが、現医学レベルではエビデンスを出せません。
  8. リバウンドが来る:オピオイドで長期に疼痛を抑えていたせいで疼痛回路が強化されており、治療過程で激痛が起こること(リバウンド)が予想されますが、これに患者は耐えられず、医師を逆恨みして治療が中断することが予想されます。
  9. 循環系のリスクが高い:薬漬けになっている患者の場合、ブロック時の血圧が不安定になりやすく、少しのミスでも循環不全性ショックを起こすリスクが高くなります。
  10. 副作用に飛び込む勇気が必要:神経破壊箇所が特定できないまま、その箇所の治療を行うにはステロイド,TNFα阻害薬(レミケードなど)の全身投与が必要となりますが、その副作用は決して少なくないため、医師と患者共に治療に勇気と覚悟が必要です。しかし、患者はすでに医師不信に陥っているため、ほとんど同意は得られず、さらに不信感をあらわにする患者に対し治療を行う医師はいません。
  11. 繰り返しの根気治療が必要:ブロックはほぼ無効です(原因場所が特定困難、中枢感作の生じている部分へのブロックで痛みはとれない)が、ブロックを血管拡張のための治療と割り切って何度も繰り返し行う。血管拡張剤を用いるなどあらゆる手段を用いながらのたいへん根気のいる治療が必要と思われます。しかし、そうした精神力もお金もない現実に突き当たります。

 


 難治性になる前に徹底治療

難治性の中枢性疼痛が慢性となった場合、上記のような困難を乗り越えなければ治療が難しく、一般的には、患者は慢性疼痛になるまでに極めて医者不信になっていますので「打つ手なし」となります。患者を救うためには慢性疼痛になる前に、徹底的なブロック治療などで改善させなければなりません。中枢感作の回路を作らせてはいけません。徹底的とは…例えば週に5回、ブロックを行うというような、医師と患者に忍耐の要る治療です。保険医療はそれを認めていませんが、慢性疼痛になる前に引き止めなければ、患者は疼痛の生き地獄にはまり込んでいきます。そこは人間の尊厳のない世界です。そうなる前に手を打つのが医師の使命であると私は思っています。たとえ保険医療が認めていなくても。


しかしながら、近年、オピオイドなる優秀な疼痛治療薬が出現してしまったために、徹底治療をする医師が減り、患者が薬漬けにされ、慢性疼痛の悪循環におちいりやすくなったと感じます。


難治性疼痛の最後の砦、脊髄刺激療法

脊髄刺激療法は硬膜外腔に電極を埋めて微弱電流を流すことで、痛みの電気信号をブロックさせる方法です。疼痛治療の最後の砦的な位置にあります。ただし、電極を埋める位置をどこに決めるのかが問題であり、神経破壊場所(中枢感作が構築されている場所)よりも末梢に入れたのでは効果が低いと思われます。よって万能ではありません。


また、この方法は痛み信号の求心回路を妨害する方法ですから、オピオイドの電気版のようなものです。根本原因を治療しているわけではありません。求心回路の妨害によって、神経破壊部がさらなる疼痛増強回路を作ってしまうことを考えると、オピオイドの薬漬けと同様であり、痛みの解決にならない場合も考えなければなりません。


人間の体は痛み回路に対しては非常に精巧かつ狡猾であり、痛み信号をどれほど遮断しても、根本原因が改善されていない場合はあの手この手を使って神経系は痛みの別回路を作っていきます。よって脊髄刺激療法も、根本原因が判明している場合に行うべきであり、なんとなくの使用では痛み回路の増強を助長するかもしれません。


基本的には脊髄刺激療法でさえ、痛みの根本原因の治療と同時に行うべきでしょう。しかしながら根本治療は困難ですから、原因が不明の難治性慢性疼痛の治療が難しいことは、本法でも例外ではないでしょう。よって、脊髄刺激法もオピオイドと同様、ごく一部の患者には逆効果になる場合もあると考えます。


オピオイドが効かない時

疼痛治療でオピオイドが効かない場合、多くは神経破壊による疼痛であることを想定し、急性期のうちにに手厚いブロック治療を敢行することを勧めます。MRIで調べても、痛みの原因がわからない患者の数は、医師が考えているよりもかなり高い割合で存在しています。つまり、現医学の水準では発見できない神経破壊性の疼痛が想像以上にたくさんあります。しかし、名誉ある医師たちはその事実を決して認めないため、慢性の疼痛患者を生み出し、地獄のような苦しみを味わう患者が存在します。その数はオピオイドが開発されても全く減りません。


オピオイドが効かない時は「なぜ効かないのか?」を現医学水準の枠を超えて考える癖を持つ必要があります。医学書通りの治療では、決して患者を救えません。現医学は疼痛の研究に関して、まだまだ遅れているからです。

更年期症状はブロックでほぼ治る

はじめに

更年期症状は女性が閉経後に女性ホルモンの低下によって引き起こす様々な不定愁訴を総称したものですが、実際は女性ホルモンの低下が原因ではなく、延髄の自律神経核の不具合で生じていることがほとんどであると推測します。その理由は、私は更年期症を上頚神経節ブロックで、そのほとんどを根治させることができるからです。これまで更年期症状を思わせる症状を上頚神経節ブックで数十名治療していますが、例外なく軽快していますのでこれらは全て延髄由来であったと思われます。よって厳密には、更年期症と診断されている患者に「真の更年期症」は数%も存在せず、ほとんどが自律神経失調症であると推測します。つまり真の更年期症では女性ホルモンの補充療法で奏効するでしょうから、ホルモン補充で改善しない更年期症状は、ほとんどが更年期症ではないと推測します。上頚神経節ブロックが世界に普及すれば、そうした新事実が医学の教科書に掲載されるようになるでしょう。ここでは上頚神経節ブロックで根治した更年期女性の不定愁訴の治療例を報告します。


 

 症例1 79歳女性

  •  主訴:一日中暑いが体温は正常 発汗過多 腰下肢痛

 

数カ月前から1日中暑い、発汗が多いという症状が出現。私の外来には腰下肢痛を主訴に、神経根ブロックを行うためにほぼ毎週通院している。しかし、私が整形外科医であるのでこれらの症状を私に告げなかった。ある日「クーラーをかけても何をしても暑くて仕方ないんですよ。でも体温計で計っても正常なんです。」と愚痴をこぼすように告白。「それは自律神経失調症の可能性があるので良ければブロックで治してさしあげましょうか?」とブロックを勧める。


 

  •  治療:左右上頚神経節に1%キシロカイン1ccずつ行う
  • 結果:一度の注射で完治 以降、発汗も暑いという症状も全く出現なし

 


 

症例2 82歳 女性

  • 主訴:ふらつき 両膝痛、腰痛

私の外来では両膝痛と腰痛に対し、注射治療を行うためにほぼ週1回通院している。1カ月前から歩いていると突然ふらっとして転びそうになるという症状が出現。実際に4日前に自宅でふらつきのために転倒している。ふらつきの原因は血圧の不安定(自律神経失調)であると説明し、ブロック注射を受けることを勧める。


  • 治療:左右上頚神経節に1%キシロカイン1ccずつ行う
  • 結果:一度の注射で完治、以降全くふらつき症状なし


症例3 52歳 女性

  • 主訴:肩こり、顔面紅潮、発汗過多

肩こりを主訴に私の外来を初診。「突然顔がほてったり、汗をどっとかくようなことはありませんか? 耳鳴りやめまいはありませんか?」という問診により、上記の顔面紅潮、発汗過多があることが判明。近医、産婦人科では更年期症状と診断されているが8年前からあるこの症状は全く軽快しない。私は自律神経失調症を完治させる実績が多数あることを説明し、ブロックを勧めた。

  •  現症:日中、常に1時間に1回以上の顔面紅潮が起こり、寝汗がひどく、就眠中に必ず2度下着を変えなければならない。こういう状態が8年続いている。
  • 治療:左右上頚神経節に1%キシロカイン1ccずつ行う
  • 結果:一度目の治療で顔面紅潮の回数が半減、下着の取り換え回数が1回となった
  • その後:毎週1回本ブロックを行っており現在進行形、ブロック4回目で顔面紅潮の出現回数が1日数回以下となり、顔が赤く暑くなる自覚症状もかなり軽くなり、発症しても気にならない程度に症状が弱まった。

 


 

自律神経失調症は上頚神経節ブロックで治る

私は整形外科医であるため、患者は更年期症状様の症状があっても私に申告しません。私の方から質問し判明するケースがほとんどです。しかも、患者はすでに他の医師に更年期症状と診断を受けている場合が多く、どんな治療を施しても治らないことを認識しています。よって、私がブロックを勧め、「ブロックで更年期症状を治せますよ」と説明しても、ほとんどの場合、患者は私のことを信じてくれず、ブロックを受けません。


ただし、腰下肢痛などで私のブロックを受けた経験のある患者は、私のブロックの技術の高さを理解しているので、上頚神経節ブロックに対してもハードルが低く、気軽に受けていただけます。そしてブロックを行った患者はこれまでほぼ100%の改善率であり、1人の例外もなく不定愁訴が改善しています。効果が出なかった症例が1例としてありません。その理由は私の腕がよいというよりも、診断能力、患者の観察能力が高く、適切に診断ができているからだと思っています。


ただし、自律神経失調症はその根本原因が日常生活での不摂生にあることが多く、日常生活を改善しないと、ブロックをいくら行ってもなかなか治り難いという現実があります。ブロックで治すとしても、一度では治らない場合が多々あり、通院の問題から「治療を十分にできない」こともあります。そういった問題点を克服していかなければ完治へと導くことは難しいでしょう。


上頚神経節ブロックは他にも難治・不治とされる様々な不定愁訴にも効果があり、その実績は「最新トピックス」に多数掲載してありますのでご覧ください。実際に上頚神経節ブロックが世界に普及すれば、数多くの世界中の人々の不定愁訴を完治させられ、人生の質を向上させることができます。ぜひ一刻も早く広めていきたいです。上頚神経節ブロックの安全性について気になる方は「上頚神経節ブロックの作用・副作用」をご覧ください。

高血圧が神経根ブロックで完治する

世界初!上頚神経根ブロックで血圧正常化に成功

朗報です。週に1回の上頚神経節ブロック(頚部交感神経節ブロック)を10回行って血圧を正常化させることに成功しました。高血圧症はそのほとんどが原因不明であり、降圧薬を服用しつづけることでしか血圧を正常に保つことができなかったのがこれまでの医学常識でした。しかし、ブロックを行うことで降圧薬を服用しなくても正常に安定化させることができました。グラフはその血圧の動向です。

血圧変動グラフ

 

最初の1カ月は薬を服薬、次の1カ月は薬をほとんど服薬せず、後半の2カ月はブロック治療を週1回で行っています。

平均血圧グラフ

 

上記のようにブロック後半には経口薬を服薬していた時よりも低い水準になっています。ブロックは、最初の5回までは血圧の低下が見られません。よって、ブロックを行っても、その効果が出現するには時間差があります。最初の数回で「効果がないからあきらめた」ということがないようにしなければなりません。この記事の詳細を知りたい方はこちら

腰椎手術回避するための腰・下肢痛への超連続ブロック療法

はじめに

歩くことも寝ることも不可能なほど強烈な腰痛・神経痛を患った場合、その患者はまさに生き地獄のような毎日を強いられます。激烈な神経痛にはどんな経口薬も効き目がなく、神経ブロックを行ったとしても一時的にしか改善しないこともあり、患者は「どんなことをしてでもこの激しい痛みから逃れたい」と切望するあまり、短気を起こし、手術への道を選ぶものです。しかしながら、神経根が骨性に圧迫されて発症している場合、手術での成功率は低く、術後も症状が軽快しない場合が多々あります。こうした症例が痛みから逃れ、普通の日常生活に戻るためには、手術以外にどんな方法があるのかについて、その成功例である19日間で15回行った「超連続ブロック療法」から考察します。


 症例

78歳 男性 主訴:腰痛・下肢痛

現病歴

2013.12月 突然の腰痛・右下肢痛が出現し、M整形外科病院を受診。神経根ブロックを2週に渡って2度受けるが痛みが改善しないため入院。10日間ベッド上待機(この間無治療)の後、L4/5 PRIFの手術を受ける。しかしながら痛みは軽減しないためインターネットでトリガーポイント注射ができるクリニックを検索し、2014.2.6.私の外来を訪れる。私は彼に「トリガーポイント注射ではまず治らない」ことを説明し、この日、右のL5神経根ブロックを行う。

現症

腰痛・臀部痛・右下肢外側の痛み・右足背のしびれ

XP

L4/5にpedicle screwがある。L5/S1の間隔が極めて狭く左右椎間孔が見えないほどに狭小化しており、神経痛のメインは椎間孔の狭小化であり、手術でそれが解除されていないことを確認した。


治療経過1

  • 2014.2.6 右L5傍神経根ブロックを行い、初めて2日間痛みがない日が訪れた
  • 2014.2.13 ブロック同上、痛みが劇的に軽快したため2月17日に長距離歩行で悪化
  • 2014.2.20 痛みがL5領域ではなくS1(ふくらはぎ)、右S1傍神経根ブロックへ変更
  • 2014.2.27 ふくらはぎ痛は軽快傾向 右足背しびれあり ブロック同上
  • 2014.3.6 腰痛が軽快 ふくらはぎ痛低下 ブロック同上
  • 2014.3.13. 腰痛・ふくらはぎ痛はほぼ完治、右下肢外側に痛み 右L5ブロックへ変更
  • 2014.3.20. 右側臥位で寝ることができるようになった ブロック同上
  • 2014.4.3. ブロック3日後に痛みが増す(リバウンド) ブロック同上
  • 2014.4.24. 全ての症状が軽快 起床時に少し痛みあるのみ ブロック同上
  • 2014.5.1. 数日前より腰痛出現 両下肢痛も強くなる 腰部硬膜外ブロック+左右L5
  • 2014.5.8. 前回の強力な治療で腰痛・右下肢痛軽快、左L5ブロックのみに変更
  • 途中略
  • 2014.6.26. 左右下肢痛は軽くなり、ブロックを離脱していこうという話となる

 

治療経過2

  • ここまで神経根ブロックが奏功し全快へと向かうと思われたがしかし
  • 2014.6.29. 起床時にぎっくり腰 腰痛・両下肢痛、右足に力が入らない。歩行不可 緊急に近医のM整形外科病院受診しブロック注射を受けるが全く無効 再手術を勧められる。しかしこれを拒否し私の外来に来院する。
  • 2014.6.30. 左右L5ブロックを行うが効果は数時間、「痛みが強いならブロックの回数を増やし、治療を重ねるしかない」と説明。この日から彼は息子に車で送ってもらい、土日以外の毎日、私の外来を追いかけて来院するようになる。

現症

寝ても起きても痛い、右下肢は足の背屈が不可(麻痺)、両下肢のふくらはぎと外側に痛みとしびれ、かろうじて左側臥位のみ可能。歩行は杖をついて3~4mなら可。

治療

仙骨部硬膜外ブロックと神経根ブロックの併用を行う。しかし、仙骨部硬膜外ブロックの際に強い痛みを訴えるので中止。以降神経根ブロックのみで対応し、これを土日以外毎日連日で7月18日まで19日間に15回のブロック行った。その後週に1~2回のブロック治療とする。


 

  •  2014.7.24. ブロックが4~5日効果的となり、治療間隔を週に1回とする
  • 2014.7.31. ブロックが1週間効果持続するようになり、歩行は安定。しかし右足の背屈がほとんどできない。
  • 2014.8.7. うつ伏せに寝ることが可能となり、痛みに苦しむことはなくなった。しかし、右足の背屈が弱いのでブロックを継続(週1回)することにする。

 


特殊なブロック治療について

本症例は非常に特殊です。それは「ブロックを行っても効果がない」という極めて悪質な神経痛症状だからです。しかもL4/5の手術を受けているので腰部硬膜外ブロックができない(やろうと思えば上方の腰椎間からできる)こと。加えて仙骨部硬膜外ブロックは注射時に強い痛みが出てしまうという特殊な状態ですから治療法が八方塞がりとなっている点です。


そこで神経根ブロックに期待するしかありませんが、神経根ブロックは週に1回、連続3回くらいが限度と言われており、私のように神経根ブロックを毎日するという治療法は極めて特殊です。


なぜ毎日神経根ブロックを行えるかの理由は、私の行う神経根ブロックは直接神経を刺すことなく、神経根の周囲にキシロカインを浸潤させる方法をとっているからです。私が行う神経根ブロックは、「傍神経根ブロック」というべきものです。しかしながら効果は十分であり、ブロック後1時間はしばしば下肢が麻痺して歩行不能となることから、十分に神経根に薬液が浸透していることがわかります。よって、通常の神経根ブロックのようなリスクがなく、毎日行えるのです。


本症例は腰椎症性神経根症です

本症例はL4/5を固定手術してしまったことが原因で、L5/S1にストレスがかかりやすくなりL5/S1の椎間板が崩壊し、L5/S1で神経根が骨性に押しつぶされて起こった神経根症です。L4/5を固定すればL3/4とL5/S1に急速な変性が起こることはほぼ必須であり、こういうことが術後に起こることは当たり前です。が、現整形外科学会ではそれを認め、反省する動きが少ない状態です(ないとは言いません)。よって手術被害者は全世界に大勢存在します。


腰椎症性神経根症という病名はない

現在、不思議なことですが腰椎(椎間関節)が変形することで椎間孔が狭くなり、神経根が圧迫される病態は「存在しない」扱いになっています。複雑な理由や事情(行政や面子の問題?)があるからでしょう。


手術的に椎間関節を削って椎間孔広くするということは非常に困難かつ、それを行うと腰椎が不安定になって障害を残すとのことで、行われていません。よって、現医学では椎間孔の狭小化に対する画期的な手術法はなく、固定術しかありません(Hブロックという方法もあり?)。


こういう状況のため、腰椎症性神経根症は手術してもなかなか治りにくい極めて悪質な腰椎疾患と言えます。悪質なだけに本疾患は予防して防ぐことを真剣に考えなければなりません。


ところが、MRI上の脊柱管狭窄に視点が奪われ、これを手術的に固定術を用いて治すことでその前後に重度な腰椎症性神経根症を発生させてしまうのです。予防どころではなく、手術こそが本症の原因づくりになっています。


これは脊椎手術を否定しているわけではありません。脊椎の固定術を行う場合は、その前後の椎間が崩壊していくことを予測の上で、腰椎症性神経根症の発症が将来的に予測される場合は、最初から固定範囲を広くとって手術を行うべきであると言いたいのです。もちろん、なぜそのような広範囲をこていしなければならないかは、患者にしっかり説明し、手術後はきっちり運動制限もするべきです。そうした未来予測と指導を行わないからこそ、脊椎の手術被害者が全世界に多く存在すると言えるでしょう。


腰椎症性神経根症はブロックでも十分に治る

本症は骨性に神経根を圧迫し、後根神経節が炎症を起こすことで激しい疼痛が起こります。骨性ですからブロックで狭くなった椎間孔が広がることはありません。よってブロックで症状が完治するとは思えないでしょう。しかしながら本症は常に突然起こります。発症前は痛みが全くありません。すなわち、たとえ椎間孔が狭くなっていたとしても発症前は何事も起こっていません。この事実は痛みが出現するのは後根神経節が炎症して腫れたことにより「常に触る」状態になったからであると思われます。


そうであるなら、後根神経節の腫れをブロックで解消させることができれば、発症前の元通り「椎間孔は狭くても神経根に触らない状態」に戻れます。


何度も何度もブロックをしても、なかなか腫れが解消しない理由は、椎間孔が狭いためにどんな姿勢をとっても神経根に触ってしまい、「触らない状態」を維持できないからと思われます。そこで、ブロックを繰り返し行うことで炎症の改善力を高め、腫れの消退にまで導きます。


基本的に神経根ブロックは局麻剤で痛み伝達信号を断つために行うのではなく、神経根(後根神経節)の栄養血管を拡張させるために行っています。これを連日繰り返し行うことで栄養血管の拡張している時間を少しでも多くさせます。そして炎症による腫れを消退させていくことが真の狙いです。急性期は後根神経節の浮腫が強すぎて、思うような血管拡張作用が得られないと思われます。そこを打開するために連日のブロックを行います。


連日、連続の神経根ブロック療法

連日、放射線を浴びせ、神経根を刺し、造影剤を注入するというような侵襲的処置を行ってはいけません。よって連日・連続で神経根ブロックを行うためには、神経根を損傷せずに愛護的に、X線を用いずにブラインドタッチで狙った場所に注射針を届かせる技術が必要です。しかも注射針は限界まで細いゲージのものを使用しなければなりません。また、連日行う処置ですから、手技が強い痛みを伴うものであってもいけません。それらの条件を満たせるようになるまで技術を磨いてから治療に臨まなければなりませんが、日頃から自分の注射技術を磨こうという精神でブロックに挑めば必ずできるようになります。


通常の神経根ブロックと私の傍神経根ブロックの違い

通常の神経根ブロックは神経周膜の中に針を刺し、薬液を注入します。私のブロックは神経根近傍に浸潤させるのみです。前者はブロック時に飛び上り悲鳴を上げるほどの痛みを伴いますが、私のブロックは局麻薬を浸潤させながら行うためほとんど痛くありません。


私は神経根ブロックの目的を、「神経根への栄養血管を拡張させるため」に行っていますので、神経に直接刺す意味はないと考えています。むしろ通常行われている神経根に直接刺して行うブロックは無意味なだけでなく、神経根を損傷させるためデメリットが大きいと考えます。


本症例の患者は、通常の神経根ブロックと、私の神経根ブロックの両者を体験していますが、私の傍神経根ブロックの方が治療効果が高いと報告しています。しかしながら通常の神経根ブロックは保険点数が3000点と圧倒的に高く、これを行う医師にお金という大きなメリットを落とします。これをどう考えるかについては各個人に判断をゆだねたいと思います。


 

超連続ブロックと医療の現実

超連続ブロックは極めて愛護的にブロックができるという「高等なブロック技術」があることが前提であり、一般的な教育を受けた医師には実行が不可能であるばかりか、リスクがあるため行うべきではありません。また、保険制度が連日のブロックには金銭の支払いを拒否するため、基本的には許されていません。さらに最大のネックとして、連日来院すると担当医はほとんどが憤慨します(ブロックにケチをつけられていることを意味するので医師のプライドを汚してしまう)。私は「他の医師が治せない疾患を治す」ことを専門としている医師ですから、こうした「挑戦的治療」を行えるのですが、普通は連日ブロックする屈辱に耐えられる医師はいません。患者には理解できないと思いますが、連日のブロックは、患者よりも医師の側に強い精神的ストレスが加わります。よって、本治療は、一般的には不可能な治療法であることを御承知下さい。つまり、こうした神経根症の患者は、一般的には地獄のような苦しみから逃れるすべはなく、最終的には精神科に通院し、痛みを感じなくなるまで大量の精神安定剤を服薬し、社会生活を放棄せざるを得ない状況にあります。


 

神経根症は治らなくても手術

上記の事情から、現実的には患者は手術に願いを託します。しかし、腰椎症性神経根症はMRIなどで所見がないことが特徴なので、画像上は異常なしと言われて手術をしてもらえないのが通例です。手術をしても実際に治りにくいのですが、術後に安静を強いられることで、その安静が神経根の炎症を鎮め、安静の副産物として症状が軽快するという事実があります。よって手術はあまり有効ではなくても、結果的に軽快することがあります。さらに、手術を受けることで社会的に脱落者にならずに済みます。手術を受けると言うことで社会的に同情され、生命保険などからも保証金を受けられるからです。実際問題、地獄のような激痛から逃れて、社会的に脱落者にならずに済むのであれば、たとえあまり有効ではない手術であっても受ける価値が十分に高いと言えます。手術は固定することが有効です。なぜなら椎間の不安定性が解消されるので、椎間から出ていく神経根にストレスが加わりにくくなるからです。しかし、固定をすることで必ず、その上下の椎間が不安定になる運命が決まりますから、いずれ固定した箇所の上下に神経根症が出現することが多いでしょう。私は、そのような手術後の再発を治療することを専門としている医師でもあります。これらの不具合を差し引いても、手術をしたほうが社会的には守られると思われます。

パーキンソン症のブロック治療の驚異の効果紹介

はじめに

パーキンソン病、パーキンソン症候群に根治療法のない難病に指定されています。治療薬はなく、対症療法としてL-Dopaがあります。新薬は開発され続けていますが、どれも治す薬ではなく、補うものばかりです。すなわち、現医学では誰にも治すことのできない難病ですが、上頚神経節ブロックでパーキンソン症候群による企図震戦を治癒に向かわせることができましたのでその治療成果を報告します。この治療成果後、4例の高齢者の小刻み歩行、手の震えに対し、積極的に上頚神経節ブロックを開始したところ、ほぼ必ず軽快し歩行能力が上昇することが判明しました。よって小刻み歩行は症状が軽度のうちに治療をすれば、改善の余地があり、歩行時のふらつきや転倒を防止できることができることがわかりました。しかし、症状が進行してからでは本ブロックを行っても容易には反応しないことが予想されますので、パーキンソン症候群の治療は診断がなされる前に小刻み歩行などが見られた時点でいち早く治療を開始していくべきだと思われます。また、現在、完全にパーキンソン病と診断され、その病状が進行してしまっている患者にも本ブロックを行っています。追って成果を報告します。


症例 72歳女性 主訴 四六時中企図震戦(何かをしようと意識すると手が震える)が起こる 既往歴 10年前から糖尿病


現病歴 5年前から両下肢のしびれがあり、近医で「糖尿病性だから仕方がない」と言われていた。当院の整形外科にかかるが、MRIなどの所見に乏しいことから、「しびれは糖尿病性」と判断され、しかも担当医はその診断を納得しない彼女に如実な嫌悪感を表し「私が説明しても糖尿病性であることを信じない患者である」とカルテに記載してあった。 彼女はt両下肢のしびれに大きな不満を持ち、日本で脊椎の手術症例が屈指のK病院に行くが、そこでも「MRIで所見が乏しいため」との理由で放置された。このような既往があるため、カルテにはブラックリストのマークがつけられ、彼女との診療には注意をするようにとのお達しが医療従事者に回ることになる。


H25.7.17、担当医が「しびれが脳由来であることもある」と説明し、脳のMRIをとるが陳旧性の脳梗塞の画像のみであった。


H26.5.27、以前からあった両下肢のしびれと左下肢痛の診療依頼を私が受ける。この日、私の初診時、腰部硬膜外ブロックを行う。その後しびれが軽快しており、多くの医師たちが信じて疑わなかった「糖尿病性のしびれ」ではないことが確定。腰神経根由来のしびれであったことを、私がブロックで治療することで証明して見せた(他の医師のメンツをつぶすことになる)。以降、毎週ブロックを行い、しびれが日ごと軽快してきている。


H26.6.17、最近、何かをしようとすると手が震えてしまうということを同院の脳外科医に相談したところ「それはパーキンソン症候群だから何もすることがない」と言われる。同、脳外科医が脳のMRI検査を行うことを指示するが、彼女はこれを拒否。放置されることになる。


H26.7.1、そろそろ彼女と私の信頼関係が成立していると判断。私は「上頚神経節ブロックで手の震えを治せる可能性がある」ことを説明する。「彼女はぜひやってください」と言うので、この日から上頚神経節ブロックを週に1回の割合で行うことになる。もちろん、腰部硬膜外ブロックを毎週行うついでに上頚神経節ブロックを行う。


 治療経過

7/1 7/8 7/15と3回、上頚神経節ブロックを行うが、全く効果なし。しかし、私は最初に「この治療は効果が出るまでに時間がかかる」ことを説明しておいたので彼女はあきらめず、毎回ブロックを快く受けた。

7/22 彼女は初めて「震えが止まる時がある」と治療効果が出たことを私に報告

7/29 震えがない時間帯が増えてきたと私に報告

8/5 震える回数や時間が激減し、ほとんど震えなくなったと報告

その後の経過は下のビデオをご覧下さい

 


パーキンソン症候群患者のその後

本患者は肺炎をおこし入院し、その後私の外来に4か月以上来院しませんでした。久しぶりに来院した時、彼女の歩行はとてもぎこちなく、さらに両手がかなり震えていました。彼女に再度上頚神経節ブロックを行いましたが全く効果がありませんでした。何度も根気よく通院させるにも、彼女は「一度ブロックしても効果がなかった」ことで治療をあきらめてしまい、その後は来院しなくなりました。誠に残念でなりません。


82歳女性 小刻み歩行の治癒例

膝と腰の治療で遠方(1.5時間かかる)から私の外来に電車通院されている方です。それほど歩行能力が高いのですが、2か月前から小刻み歩行が起こり、椅子に腰かけようとしても椅子を通り越してしまい、座れずに転倒しそうになると私に訴えました。なぜ2か月も経ってから私に相談したかというと「相談しても治せるはずがない」と思っていたからだそうです。ところが私はこの患者の胃部不快を胸部硬膜外ブロックで治して差し上げたところ「この先生になら治らない病気も治せるかもしれない」と思い、ようやく相談することに決めたそうです。

上頚交感神経節ブロックを2回行い、小刻み歩行はすみやかに完治しました。以降3か月以上たちますが、それ以来小刻み歩行は出ていません。


転びそうになる歩行の改善例

小刻み歩行を改善させることで転倒を防ぐことができることを上記の例から学んだ私は、「足がふらつく」と訴える患者は「腰椎由来だけではなく脳由来のものが多々ある」ことを考え始めました。それはパーキンソン症候群とは呼べないもので、診断名がなく、「老化による歩行能力の低下」とひとまとめにくくられているものです。治療法がないどころか、病名も対症療法薬も全くない墓場的な高齢病です。

そこで、腰椎への硬膜外ブロックなどを定期的に行っても歩行能力がなかなか改善しない高齢者を対象に上頚神経節ブロックを4~5名に行いました。すると全例で「歩幅が広がる」「動作が滑らかになる」「歩く速さがアップする」などの具体的な効果が認められました。超高齢社会を支える上で、本治療法は極めて重要な鍵となるでしょう。今後も症例数を積み、その成果を報告していきたいと思います。

外傷後の視力低下をブロックで治す

はじめに

むち打ち損傷後に急激に視力が低下する例は全国で多発していますが、その原因は一切不明であり、これを治療できる医師も皆無です。しかし、私は上頚神経節ブロックで視力を改善させることができましたのでそのブロックの効果を報告します。

症例 27歳 女性

  • 2014.7.6.仕事中、階段から滑り落ち、背部・左肘・左股・左膝・左下腿を打撲し、背中と首が激しく痛いという主訴で来院されました。左半身を階段にぶつけていますが、全くぶつけていない首や背中が痛いことを本人は不思議がっていました。
  • 現症 Spurling(-) 知覚異常なし、腱反射正常
  • XP:C4/5にアライメント異常あり(後弯している)、胸腰椎に軽度の脊柱側彎あり、胸椎の後弯は弱くストレート傾向あり

 

治療経過

  • 7月9日 初診時 NSAIDの処方
  • 7月16日 診察2回目 胃痛の訴えあり、NSAIDを中止 この時初めて視力低下が事故以来ずっと続いていることをうちあける。整形外科で訴えることではないと思い、彼女は私に話さなかったが、私が彼女に「目がしょぼしょぼして疲れやすくなっていませんか?」と核心をつくように質問。すると彼女は「実は受傷当日から視力がかなり低下していること(ぼやけて見えること)」を告白した。同日、上頚神経節ブロック 1%キシロカイン1cc×2を行い帰宅。
  • 7月19日 視力がほぼ完全に回復(コンタクトレンズによる矯正視力(右1.0、左1.2))しかしその後は仕事がハードであったためか、数日後から徐々に視界がぼやけはじめ、視力の低下を感じるようになる。
  • 7月24日 視力低下が不安なため眼科を受診。しかし、何の異常もないと言われ原因不明と言われる。
  • 7月30日 再び上頚神経節ブロックを行う。今回のブロックの効果は3日間、視力が回復した。しかし4日目から1メートル以上離れた者がぼやける。そしてたまにピントが合う。というようにまだらな視力低下が続いている。
  • 8月6日 上頚神経節ブロックを行い、「週に2回の治療」を勧める。が、忙しいので来院が難しいとのこと。肩こりが激しいことから強い痛み止めを希望。リリカ(25)を処方する。

<考察>

数日間ではありますが、視力を回復させることができました。しかし、ハードな仕事内容によりすぐに再燃しています。視力低下の原因は不明と言われていますが、上頚神経節ブロックで脳幹への血流量を増加させることにより、速やかに視力が回復したところから考えると、視神経に脳幹部での炎症と血行不良があると思われます。今後、治療を継続することで完治に導く予定です。経過は随時報告します。


本症例のように外傷後に原因不明の視力低下に陥り、そのまま後遺症として視力低下が残る患者が、全国には大勢いらっしゃいます。そうした患者には現在、治療法なしとされていますので、この新たな治療法は希望となると思われます。

 

突発性難聴を即効で治しました

突発性難聴の治療成績

突発性難聴の上頚神経節ブロック(SCGB)での治療成績を公表します(2017/06/01)こちらです。


突発性難聴の真実をまず知る必要があります。それは「いまだに原因不明」ということと、耳鼻咽喉科学会で「診断基準や治療法が迷走している」ことです。


ここではその「迷走」について軽く触れておきます。


突発性難聴の研究調査では「治療しなくても65%は自然治癒する」という論文や、「ステロイドで61%が改善」という論文や、「ステロイドで治療効果に有意差は認められない」という反論や、「初期に鼓室内ステロイド注射で74%が治癒」という論文、「いかなる治療を行っても3割は全く治らない」という論文まで、様々な意見が交錯しています。どれも信用レベルが低いものとなっています。


私は、およそ1年半をかけて突発性難聴における上頚神経節ブロックの効果について、研究しました。上頚神経節ブロックは、星状神経節ブロックと類似した手技で、人体の最上位にある交感神経節へのブロックです。はじめは、上頚神経節ブロックが他のどんな治療よりも効果が高いという優位性を示そうと研究していたのですが、意外にも、突発性難聴治療が迷走する真の理由を知ることになります。


それは、突発性難聴の患者は「難聴という大きなハンディを背負うことを命がけで回避しようとしている」ことです。そのため、担当医には内緒で鍼灸、レーザー照射、ブロックなど、あらゆる治療を早期から併用します。ところが、耳鼻咽喉科の医師たちは「患者は自分たちの病院でのみ治療を行っている」と思っていますので、「自分たちの治療のみが患者を治している」と完全に誤解して治療成績を発表しています。この茶番はどうやら世界共通のようです。


自然治癒が65%という数字、鼓室内注射が71%という数字などは患者が「ほかの治療を併用していない」ことが条件となっていますが、実際は「聴力が激減している患者は命がけでいろんな治療法を併用している」のです。それを担当医には隠しています。そのことが判明したのは、当院に来院した患者の97%が「担当医に内緒」にしていることを知ったからです。


耳鼻咽喉科の医師たちは、代替医療、鍼灸・ブロックなどが「彼らの治療よりも治療効果が高い可能性がある」ことを知る機会がほとんどありません(世界に共通)。そうした「信用性の低い状態」での研究ですので、彼らの論文は「きわめてエビデンスレベルの低いもの」となっています。


私は今回、上頚神経節ブロックの治療成績を発表しました(文頭にある)。それ以前の61例の症例報告です。以前の症例患者は現在よりも比較的軽症患者が多かったので、結果的に現在よりも治療成績がよいです。


1、私の上頚神経節ブロックを受けにこられる方の多くは1~2週の入通院治療において不変または悪化した(難治性が確定した)患者がほとんど(約80%)であること。つまり自然治癒しないことが確定している重症患者が、発症から長期間経過してから来院します。


2、61例中 完治11.5%、著効31.1%、軽度回復49.2%、無効8.2% この治療成績は一見悪いように見えますが、「1~2週間あらゆる治療を行っても無効」で「発症からかなり時間が経っている」症例たちを「無効8.2%」にまで導くことを考慮すると、きわめて効果的な治療であると結論付けます。おそらく現時点で右に出るものはない治療であると思われます。


3、上頚神経節ブロックを連日行っても、「まったく無効」の患者が8.2%存在し、自分の無力さを感じます。しかしながら、突発性難聴は一般的には「何をやっても治らない症例が3分の1」と言われていおり、、その「治りにくいことが確定している症例を全国から集めたうえでの無効8.2%」は快挙であると思われます。


現在患者様のご厚意により上頚神経節ブロックの体験ブログを書いていただきました。過度に意識的に私の治療を賞賛しないように指示しております。参考にしてみてください。


突発性難聴の1例→こちらをクリック


例耳鳴りの1例→こちらをクリック


本格的に突発性難聴を勉強したい方はこちら→PDF突発性難聴治療の最先端


以下の文章は当時(今から1年半前)の私の未熟な発想から書いた恥ずべき文章です。真実ではありますが、適切ではなかったと反省しています。その戒めのために、文章を削除せずそのまま掲載しておきます。


不適切であると思われる部分は、「唯一の根治治療」の「唯一」の単語です。感音性難聴を治療する方法は、鍼灸や星状神経節ブロックなど、効果的なものが存在することを知りました。しかも、某病院のペイン科の医師は、突発性難聴の治療に朝晩1日2回のブロックを献身的に行っているという話も聞きます。そういう方々に大変失礼な文章になっていました。


また「なりたてのほやほやの突発性難聴の治療は楽勝です」との言い方にも熟慮がありませんでした。ただし、仮説ですが、なりたてのほやほやの突発性難聴であれば、そのほとんどを上頚神経節ブロックで完治に導けると推定しています。

あくまで仮説ですが、私は突発性難聴を「MRIでは映らないレベルのプチ梗塞」であると推測しており、細胞が壊死する前に(仮死状態のときに)治療を開始すれば、壊死の範囲を極限まで縮小できると考えています。「楽勝」という言い方は、大変不適切ですが、本当に、難聴が発症して数時間以内であれば、ほとんどを完治させることができると私は信じています。


残念ながら、完全に壊死してしまっている神経細胞に対して、ブロックで血行改善させたところで、治るはずがありません。


突発性難聴の唯一の根治治療

突発性難聴の治療法として星状神経節ブロックがあります。しかし、その根治率は3割程度と言われています。星状神経節ブロックの意味は内耳神経への血管を表面麻酔剤のブロックで拡張させて血流を多くさせることが目的です。しかし、星状神経節は脳幹へ向かう交感神経節の上から3番目の神経節ですから、患部とかなり離れています。これが3割程度しか回復しない理由かと思われます。


ただし、星状神経節は上位の交感神経節へニューロンを送り、星状神経節の信号はそのまま上位の神経節へ流れていくと言われているので、星状神経節のブロックでも確かに脳幹部への血行促進作用は期待できると思われます。しかし、最上部の上頚神経節へのブロックと比較すれば、その効果は劣るでしょう。

本日、突発性難聴を上頚神経節ブロックでその場で治しました

私の外来に突発性難聴の患者(36歳男性)が訪れました。上頚神経節ブロックを行い、その場で右耳の難聴を治しました。左耳は残念ながら治っていません。上頚神経節ブロックが突発性難聴に即効性(右耳)の治癒力があることを示しました。2014.7.10からブロックを開始し2014.7.31までの4回のブロックで左耳の聴力も回復しました。2014.8.7患者自身より「完治した」との報告を受けました。

突発性難聴症例

この男性は3年前に頚部脊柱管狭窄症の手術を受け、頸椎のC3/4/5が内固定されている患者です。1か月前に左頚部の激痛が出現したため、私が頚部の神経根ブロックを3回行い、完治させた患者です。


彼は3日前から耳栓をしたような難聴が出現しましたが、耳鼻科には行かず、私の診察日を待って、本日私のところへ相談しに来ました。私は整形外科医ですが、彼は私のことを「何でも治せるスーパードクター」だと思っていたそうです。なぜならば彼には、過去に死ぬほど激しい痛みで首の手術をした時と同じ痛みが1カ月前に出現し、それを私がたった3回のブロックで治して差し上げたからです。それで耳鼻科ではなく私のところへ来院したと言います。

上頚神経節ブロックの即効性

その話を聞いて私は笑ってしまいましたが、「わかりました。では治療してみます。今日もブロックしますが、今回は耳の下の少し前方に注射しますね」と言って上頚神経節ブロックを行いました。ブロックして10秒後、「右の耳の詰まった感がなくなりました。治りました。」と彼は言いました。「でも左耳はまだダメです」と。


私は彼に「それはそうでしょう。内耳神経もダメージを受けていると思われるので、改善するには最低でも半日はかかると思いますよ。ただ、今回1回キリの治療では左耳は完治しないかもしれませんね。来週も来てください。」と話しは終わった。


発症して3日しか経っていないので右耳は即効で治ったのでしょう。それにしても上頚神経節ブロックの効果はすさまじい力だなあと私が感心してしまいました。左耳の治療経過は後日報告します。

突発性難聴の症例が集まりません

突発性難聴の患者はまず耳鼻科に行くでしょう。だから私の外来には突発性難聴の患者が集まりません。よって今回の症例が私の治療実績の記念すべき第1号です。ですが、「治らない」と言われて放置されて20年という難聴の患者でさえ、繰り返しの上頚神経節ブロックで治療してさしあげていますから、私にとって突発性難聴の治療は比較的楽勝です。固定化した感音性難聴を治せるのですから、なりたてホヤホヤの突発性難聴は楽勝です。

突発性難聴の原因は硬膜緊張症

突発性難聴は原因不明だからこそ突発性という名がつきますが、既に何人もの難聴や耳鳴りを治療している私にとっては突発性(原因不明)ではありません。病態生理は硬膜管の緊張であると推定しています。そこに免疫学的な要素や感染症、音響外傷、気圧差、睡眠不足などのストレスが加わることで発生しやすくなると考えます。この理論を証明するために、難聴・耳鳴り患者の全員の頸椎を撮影して調査中です。概算ですがおよそ8~9割がストレートネックや側弯症があります。おそらく、難聴のない健康な人の頸椎と比べて、ストレートネックの有病率は明らかに高いと思われます。


根本原因に硬膜管の緊張があり、そのせいで脳幹が下方に引っ張られ、脳幹の断面積が低下→血流低下→難聴発症、と考えています。だからこそ、上頚神経節ブロックで脳幹の血流を上げてしまえば、即効で治ってしまうのです。もちろん血流障害説に異論があることは知っています。血流障害が原因ならば再発・再燃が多いはずだが、突発性難聴にはそれがないという意見があるからです。しかし、私の調査では再燃・再発例が全体の20%に存在していました。このことに関しては今後詳しく調査結果を示していきます。

最後に

突発性難聴の調査研究の論文を現在進行形で書いています。近日中に公開します。

 

パーキンソン・難聴・無味症・夜間頻尿・火照り・呼吸困難・ふらつき根治療法

常識を超えた数の病気の訴えの例

H26.06.16 86歳男性が次のような主訴で他の患者の紹介で私の元を来院した。①小刻み歩行・②難聴・③無味症・④夜間頻尿・⑤体の火照り・⑥呼吸困難(息苦しい)・⑦ふらついてしまう(後ろ向きに転倒)・⑧血圧不安定・⑨両膝痛・⑩右母指から手首にかけての痛み・⑪食欲不振・⑫お酒が飲めなくなった・⑬腰痛・⑭臭いがわからない。私の標榜科は整形外科である。この主訴の中で整形外科で診療するのは⑨と⑩と⑬だけである。しかし⑩は三〇記念病院の整形外科でずっと診てもらっているが治ったことがない。既往歴として8年前に腰部脊柱管狭窄症で手術を受けている。

医療現場での奇蹟を起こす

さて、私は「他の医師が治せないものを治す」ことを専門にしている。つまり奇蹟を普通に起こすことを得意とする。果たしてこれだけの病気の数々を本当に治療できるのか?と誰もが考える。普通の医師は上記の主訴に対して「治そう」と考える者はいない。治すことはまさに奇蹟であるからだ。だが私は奇蹟を普通に起こしてきた。そのやり方はいたって単純明解。他の医師たちがやらないことをする。それだけだ。やらないことをすれば、案外奇蹟は普通に起きる。やらないこととは・・・まず、これらの主訴をまともに治してみようという発想である。私は整形外科医である。パーキンソン症候群、無味症など、全く関係がない科である。その私がなぜ治そうとするのか?それはこれまで少しずつ奇蹟を起こし、その積み重ねをしてきたからである。いきなり奇蹟は起きない。積み重ねで奇蹟が起きる。

治療経過

初回(6/16)

⑨にキシロカインの両膝関節内注射、②③⑤⑥⑦⑧に上頚神経節ブロック(キシロカイン)を行う。①の小刻み歩行は三〇記念病院でパーキンソン症候群と診断がつけられ、無治療であるが、おそらく腰部脊柱管狭窄症の悪化も含まれているはずである。だが、初日ということであまり多くの治療は行わなかった。彼は初診であり、私との信頼関係ができていないからだ。

2回目(6/23)

診察:「少し楽になった気がする」というのみ。ほとんど何の改善も見られない。奇蹟を起こすにはあきらめないことが最重要となる。私はあきらめない心を持っているが患者の心は弱い、かつ患者は医師不信である(今までの彼と関わった医師が誰一人治せないのだから)。今回は初回の治療に仙骨硬膜外ブロックを加えた。これは①と④と⑬の改善目的である。小刻み歩行は脳が原因であるが、そこに腰部脊柱管狭窄症が加わることで症状をさらに悪化させる。よって腰部脊柱管狭窄症にもアプローチが必要である。さらに④の夜間頻尿は仙骨硬膜外ブロックで私は完治させた経験を多数持つ。だからブロックを付け加えた。

3回目(6/25)

診察:⑤体のほてり→いくらかいい、⑥呼吸困難→完治、膝痛→軽くなる、腰痛→軽くなる、まず二つの奇蹟を起こした。⑤と⑥が2回の上神経節ブロックで改善されたことである。だが、まだまだ遠い。この日は保険請求上の問題もあるので上頚神経節ブロックのみを行う。

4回目(6/30)

診察:⑤⑥の軽快以外ほとんど変化なし、しかし⑦と⑧は改善された。ふらつくことと血圧の不安定がほとんど起こらなくなった。治療3回で合計4つの奇蹟を起こした。


→普通の医者ならこの辺であきらめる。私はあきらめないから奇蹟を起こす。だが問題は患者があきらめてしまうことである。患者の意志は強くない。奇蹟のためには患者の「あきらめない精神力」も必要になる。しかし、そのためには患者を信じさせなければならない。「この医者の言うとおりにすれば奇蹟は起こる」と信じさせる必要がある。だが、これまでの治療では患者を信じさせる材料があまりない。


そこで⑩右母指の痛みを利用する。すでに三〇記念病院の整形外科医が「治せなかった」疾患であるため、これを治すことができれば彼が私を信じる。よって今回は右母指のCMJに関節内注射を行った。「他の医師が治せなかった症状を一瞬で治すことができる」ことのデモンストレーションである。当然ながら右母指の痛みは軽快する(注射は難しいが)。さて、奇蹟を4つ起こし、膝と腰の痛みも軽くさせているが、患者からはお礼のひとこともない。クールなのか無礼なのかわからないが、気にしても仕方ないので気にせず続ける。

5回目(7/2)

診察:②難聴が改善してきた。つまり耳の聞こえがよくなったと本人からの申告があった。5つ目の奇蹟である。右母指の痛みはかなり軽快したがこれは奇蹟とは呼ばない。他の担当医が指の関節内注射ができないという技術的な問題である。この日は右母指内関節内注射(今回はIPJ)と両膝、上頚神経節ブロックに加え、仙骨硬膜外ブロックを行った(夜間頻尿治療)。

6回目(7/7)

診察:④夜間頻尿が改善された。⑪食欲が回復した。しかし③の無味症のため食事はおいしくない。さて、5回の治療で7つの奇蹟を起こした。⑪の食欲回復は高齢者にとって朗報である。食欲中枢の崩壊によって食欲不振となり、食事をとらなくなり→経管栄養となる高齢者が多いからである。上頚神経節ブロックは食欲中枢由来の食欲不振も改善さえることができると思われる。本人は申告していないが、老人性うつ病にも効果があると思われる。


この6回目の治療は自費で行った。保険では請求できないほどのブロックの量となっているからだ。保険では治療できない。自費での請求は1万円を少し超えた。この結果、彼は私を「お金儲けのために患者を食い物にする医師」と思ったのだろうか、来院しなくなった。つまり信頼関係が破綻したのである。


なみにこの患者は自分で会社を経営して、現在は会長職。そして外来の受付には「うちの者を呼んでくれる?」と迎えの電話を事務員にさせるほど横柄なキャラクターの持ち主であったことが、事務員の話から判明。人格形成に問題があった。どのみち、最後まで治療を続ける根気はなかっただろう。

 

中枢感作の定義

「中枢感作」とは、末梢での組織損傷や炎症の程度が激しくまた長期間続くとそれらが伝達される中枢に機能的な変化が生じ、正常な伝達が中枢で誤って解釈され「痛み」として感じられるようになることSchaible HG らPain 1993より


こうした定義が事実にそぐわない場合、定義自体が多くの医学者を惑わし、臨床現場を混乱に陥れる。この定義が事実とそぐわない点を以下に挙げる


 

  1. 末梢とはどこからどこを指すのかが不明
  2. 原因は末梢にあるとしているが、中枢自体(周囲)が炎症を起こすことの概念が欠落
  3. 原因は炎症が激しいこと、または長期続くことと限定しているがむち打ちなどで一瞬で起こる場合や、悪い姿勢で長時間いることなどによる損傷の概念が欠落
  4. 中枢とはどこを指すのか不明
  5. 中枢に機能的変化が生じとあるが、中枢またはその周囲の器質的変化の概念が欠落
  6. 正常な伝達が「痛み」と感じられるとあるが、痛み以外の不快感、冷感、灼熱感、重さ、だるさ、掻痒感、虫がはいずる感などがあることが語られていない。さらに中枢感作が聴覚・嗅覚・視覚・平衡感覚・自律神経調節の異変にまで及ぶことの概念が欠落

このように中枢感作の定義はかなり視野の狭い偏った考え方をベースに作成されている。


上の1から6をさらに具体的に述べる。

1,末梢とは通常、「神経末端の侵害受容器」のことを指す。しかしながら、末梢=末梢神経と考えるか否かにより定義は錯乱する。例えば、腓骨神経麻痺、手根管症候群、肘部管症候群のように末梢神経の幹部で起こる神経損傷(炎症)は末梢なのか中枢なのか不明のままである。神経幹部で起こる炎症は「侵害受容器」の考え方からすれば中枢になる。しかし末梢=末梢神経、とするならば末梢になる。


また、神経根部の後根神経節は炎症を起こすと極めて激しいアロディニア(異痛症)を発生させたり、交感神経が発芽してシナプスを作り痛み信号の機能的な変化をもたらしたりし、まさに中枢感作と呼べる症状を引き起こすが、末梢=末梢神経とするならば、後根神経節の痛み信号の機能的な変化は定義上中枢感作ではなくなってしまう。


2,3,中枢感作の根本原因は中枢の炎症ではなく、末梢にあると、この定義では述べられているが、脊髄や延髄、脳幹が直接損傷するケース・その周囲の組織(血管など)が損傷する病態生理が、現医学には欠落していることが問題である。


脊椎の奇形や機能・形態・バランスの変形によって脊髄が強い緊張を受ける病態を私は研究している。脊髄・脊椎不適合症候群と名付けたが、この状態では転倒やむち打ちなど、脊椎が過度に屈曲強制された時に、脊髄や神経根が強い張力を受け、ただちに損傷(炎症)する。また、長時間の悪い姿勢でも脊髄や神経根(その周囲組織)が炎症を起こす。こうした中枢側の神経の炎症は中枢性の疼痛過敏・アロディニアなどを発生させる。が、上記の中枢感作の定義ではこの病態を「中枢感作」と言えない。なぜなら中枢(とその周囲)が炎症を起こす概念が欠落しているからである。中枢感作が末梢の損傷が原因で起こるという視野の狭さのために、中枢感作の定義が臨床症状にそぐわない。


4,中枢感作の中枢とはどこを指すのか?これを中枢神経とするのであれば脊髄から脳となる。しかしながら後根神経節は末梢神経でありながら、ここで疼痛増強のシステムが構築されることが判明している。後根神経節での疼痛増強システムを中枢感作と呼ばないのであれば、中枢感作という言葉自体必要ない。


5,中枢(たとえば脊髄後角)に機能的変化が現れ、通常では痛覚を抑制するはずの触覚が痛覚に変換されて脳へ伝えられるシステムなどが日進月歩で発見されているが…、では脊髄の後角が直接損傷を受けた場合に痛みは発生しないのか?ということを考えなければならない。脊髄後角が損傷しても痛みや不快感が発生すると私は確信している。ここに炎症が起これば様々な受容体が出現し、疼痛信号を作り出そうとするに違いない。しかし、上記の定義では中枢感作は機能変化であり器質変化が想定されていない。器質変化から発生する中枢感作の考え方が欠落しているのである。


6,中枢感作を「痛み」と限定していることにこの定義の欠陥がある。人が感じる不快感には冷感、灼熱感、重さ、だるさ、掻痒感、虫がはいずる感など様々なものがあり、通常、これらの不快感は痛みと共に発生する。よって中枢感作の真実は「痛み」だけではない。私は耳鳴りがまさに中枢感作による電気信号の錯誤であると考えている。めまいも同様な考え方ができる。汗をかいたり、ドキドキしたり、顔が火照るのも電気信号の錯誤的な伝わり方であり、広い意味で中枢感作が原因と考えているが、そうした広い視野でものごとを考えていない定義では、臨床上つかいものにならない。


私の中枢感作定義

よって私が中枢感作の定義を自ら作ることにした。

  • 中枢感作とは求心刺激伝道系における
  • 非常事態1)神経細胞とその周囲組織が損傷した場合、
  • 非常事態2)組織損傷や炎症の程度が激しくまた長期間続く場合、にその非常事態を脳に伝えるために新たな錯誤的刺激伝道信号を脳へ送るシステムが構築された状態を言う。その信号は痛み信号とは限らず、五感に不快をもよおす求心信号の全てである。システムが作られる場所は後根神経節、交感神経節、後角、延髄・橋・視床、脳などどこででも起こり得る。症状は痛みとは限らず、下痢・生理痛・めまい・不眠・耳鳴り・冷感・灼熱感・動悸・異臭など様々である。

 


中枢感作の時間差

例:むちうち事故は受傷当日は症状が出ないが、脊椎の過屈曲で脊髄が引き伸ばされ、脊髄後角の根糸接続部などが損傷を受けると、損傷(炎症)部位を中心に中枢感作のシステムが作られる。システム構築には数時間から数日かかると思われる。中枢感作はそのシステムの種類により構築時間がさまざまである。


中枢感作の存在理由

進化学的に苦痛や不快感の強さは決められている。苦痛が強く設定されると、生き物は行動が消極的になり、慎重になり、組織が損傷したら長期間行動不能になる。よって組織には愛護的であるが生存競争で負ける。痛みが弱く設定されると、上記の反対となり、生存競争では勝てるが病気には弱く寿命が短縮する。そうした適応を受け、苦痛の強さは進化学的に遺伝子内に設定される。


当然ながら、生命維持に重要な臓器の損傷では苦痛が強く設定され、生命維持にあまり関与しない臓器の損傷では苦痛が弱く設定される。恐らく地上の脊椎動物にとって神経という臓器は生命維持に最重要であり、よって神経自体または神経周囲組織が損傷を受けた場合には苦痛が強く長引くように設定されていなければならない。それが中枢感作である。


中枢感作は刺激伝道系の不備を脳に警告するためにある

刺激伝道系はあらゆる感覚を脳に伝えるが、感覚を伝える組織である神経自体が損傷を起こせば、その非常事態をどうやって脳に伝えればよいか?という弱点がある。生物はこの弱点を克服する意味で、刺激伝道系の損傷を感知した際に、損傷した刺激伝道系とは別ルートを使って脳に不快感信号を送る。この別ルート構築が中枢感作そのものである。刺激伝道の不備には

  1. 刺激伝道系神経細胞と周囲組織の損傷(炎症)という不備。
  2. 刺激が中断されてしまう絶対的不備
  3. 個体主に休養を促すために強い苦痛信号を脳に送らなければならないのに、少ししか遅れていないという相対的不備

がある。文頭の中枢感作の定義では3しか表現できない。


中枢感作の実例

1、刺激伝道系神経細胞とその周囲組織の損傷(炎症)という不備

転倒・落下、むちうち損傷、寝違え、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱側弯症などにより、脊髄や神経根がその直達および介達および牽引ストレスを受け、神経細胞や周囲の栄養血管が炎症。また、膠原病や糖尿病、薬物、アレルギーなどにより刺激伝道系神経細胞自体が炎症、浮腫、阻血に陥り、それがトリガーとなって中枢感作が構築される。視床、橋、延髄、後根神経節には神経細胞が存在し、これら自体の細胞(または周囲組織)への物理的刺激、阻血、自己抗体からの攻撃、毒物などが中枢感作を構築すると考える。また、神経細胞周囲の栄養血管の損傷がきっかけで阻血→中枢感作が構築される。

 2、刺激が中断されてしまう絶対的不備

手根管症候群、肘部管症候群、梨状筋症候群、胸郭出口症候群、腓骨神経麻痺、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど。これらは神経が幹部またはシナプス形成部で圧迫されて刺激伝道が障害されるパターンである。頚部・胸部の脊柱管狭窄症ではシナプス部(後角)が直接圧迫を受け、それよりも末梢では神経の幹部が圧迫を受ける。圧迫と神経虚血は密接な関係があり、ほぼ必ず阻血が起こる。一般的な医学知識で考えると、神経は侵害受容器がない部分を圧迫されても苦痛を感じることはできないはずである。しかし、実際はしびれや冷感、だるさなどの不快感を発生させることから、このような不快感は通常ルートの刺激伝道系からの信号ではない。さらに、これらの不快感が1日中継続するというのであれば、それはもはや中枢感作が構築されていると言わざるを得ない。中枢感作は痛みだけの専売特許ではないことをしっかり認識しておきたい。

 3、刺激伝道系の相対的不備

末梢組織の損傷(炎症)が強すぎると、または長期間継続すると、侵害受容器までもが破壊される。生物は、侵害受容器が破壊された後も苦痛信号を脳に送り続ける必要がある。いや、むしろ、侵害受容器が破壊されることは致命的であるがゆえに、侵害受容器が壊されると強力な苦痛信号が創造されなければならない。これが、強い痛みや、長期間の痛み罹患により中枢感作システムが構築される必然であると考える。反射性交感神経性委縮症・複合性局所疼痛症候群などもこれに該当すると思われ。


中枢感作を理解し難い

上記の3つの中で大多数を占めるのが1と2である。耳鳴り、回転性めまい、過活動性膀胱、原発性月経困難症などは、中枢感作の一つの症状と考えるが、その場合は1や2の中枢感作に起因していると思われる。私は手を水に濡らすとトイレに行きたくなるという患者を2例経験したが、これらは中枢感作によるとしかいいようがない。


しびれ・冷えは中枢感作である

しびれも冷えもだるさも現実にある物理的エネルギーを感知しているわけではない。冷えを感じている人の四肢の温度を計測したところで全く冷えていない。つまり、錯誤的な刺激伝道系のシステムが構築されていることを意味する。こうした錯誤的な刺激伝道系のシステムを中枢感作と呼ばないのであれば、もはや中枢感作という言葉は不要であるとさえ思う。


中枢感作は炎症ではないというお言葉

「中枢感作は炎症ではない」という考え方が中枢感作の定義の一つになっている。この考え方はシステマチックに考えれば当たり前である。だが誤解を招くのでこういう発言はやめるべきだと思う。なぜなら、中枢感作はどこまで行っても炎症を脳に伝えるシステムだからである。この言葉の語源は恐らく「中枢感作の起こっている場所に炎症が起こっているわけではない」と言いたいのだろう。しかし、それは誤りである。中枢感作の起こる場所と炎症の起こる場所が等しいことが多々あるからだ。上で述べた「中枢感作の実例1」はまさに炎症の起こっている場所が中枢感作の場所である例である(推論ではあるが)。


炎症とは古い細胞、傷ついた細胞、不良細胞、弱っている細胞を除去または修復し、健全な細胞に戻す、または新しい細胞に入れ替える工程の全てを指す言葉である。中枢感作は刺激伝道系の炎症を脳に伝えるシステムに過ぎない。つまり大きな意味で炎症反応の一部という見方をするのが臨床医学というものである。


普通ならば炎症反応を脳に伝える役割をするのは刺激伝道系である。しかし、その刺激伝道系自体が損傷してしまった場合に、誰が脳にその炎症情報を脳に伝えるのか?その役割を担うのが中枢感作である。つまり、中枢感作は炎症に対する反応の一部である。よって「中枢感作は炎症ではない」という発言は極めて誤解を生む。


中枢感作を呼び起こすもの

多くの医学者は我々の体質が日々変化を起こしていることを知らない。例えば、大腿骨骨折を起こして巨大な血腫が骨折部にできた場合、例えば動脈塞栓術で巨大な子宮筋腫を壊死させた場合、人間の免疫パターンが変化を起こす。血腫や壊死組織をマクロファージに食してもらうために、マクロファージの活性化が起こらなければならない。活性化したマクロファージは血腫や壊死組織以外の体細胞にも攻撃を仕掛けるため、体細胞の新陳代謝が激しくなる。この結果、体の中のほとんどの細胞のターンオーバーの期間が短縮し、体中の細胞寿命が低下する。


細胞寿命の低下とは、すなわち、体中の細胞の平均年齢が低下することを意味し、細胞の赤ちゃん化が進むことになる。よって体細胞の強度が低下し、傷つきやすいデリケートな体へと体質が変化する。


そうしたデリケートさは当然ながら脊髄にも及ぶ。脊髄の神経細胞はたやすく死んで入れ替わることはないが、神経周囲の結合組織や毛細血管はデリケートになり、普段の生活で慢性の炎症が起こることがあり、中枢感作を構築してしまうことを考える。


つまり、骨折や手術などをきっかけに免疫システムが変化を起こし、中枢感作が青天の霹靂のごとく構築されてしまうことを考えている。こうした考えは文頭の中枢感作の定義では全く言い表すことができない。


脊髄・脊椎不適合症候群による中枢感作

脊髄は脊椎を屈曲させたときに張力を受ける。うまれつき、脊椎のアライメント(並び方)が悪い者は、脊椎を前後屈させた際に、健康な人よりもはるかに大きな張力が脊髄にかかる。特に成長期にはアライメントが不安定なので脊髄や神経根を損傷しやすい。よって成長期に背骨のアライメントが悪い子供はたやすく脊髄や神経根に炎症が起こり、中枢感作を作ってしまう。これが成長痛の原因であることを私は臨床的にほぼつきとめている。


こう述べると中枢感作を勉強している基礎医学者が「中枢感作は炎症ではない」と私に抗議してきたわけだが…臨床を知らない基礎医学博士にほとほと困惑…。


自律神経失調症もまた延髄が張力を受け、自律神経核の神経細胞が炎症、または周囲の血管、結合織の炎症による中枢感作システムの構築と私は結論付けた。よって、自律神経失調症は脊髄脊椎不適合症候群をベースとした中枢感作であると考え、実際に神経ブロック治療を行い、多くの患者を寛解に導いている。


疼痛錯誤と中枢感作

関連痛・軸策反射・根反射など、実際に炎症を起こしている部位と痛みを感じる部位が異なる錯誤や、わずかな刺激を繰り返すことで強い痛みへと変わるwind up現象など、疼痛錯誤は日常的に遭遇する。


しかし、こうした錯誤的疼痛が全員に起こるわけではない。錯誤的疼痛がどのような症例に起こりやすいかを研究した者はいないが、私は恐らく、中枢感作がある者は錯誤的疼痛を訴えやすいという共通点があると推測する。


まとめ

現在言われている中枢感作の定義があいまいであり、臨床症状にそぐわないことを述べた。そして新たに中枢感作の定義を以下のように設定した。

「中枢感作とは求心刺激伝道系における非常事態1)神経細胞とその周囲組織が損傷した場合、非常事態2)組織損傷や炎症の程度が激しくまた長期間続く場合、にその炎症状況を脳に伝えるために新たな錯誤的刺激伝道信号を脳へ送るシステムが構築された状態を言う。その信号は痛み信号とは限らず、五感に不快をもよおす求心信号の全てである。システムが作られる場所は後根神経節、交感神経節、後角、延髄・橋・視床、脳などどこででも起こり得る。症状は痛みとは限らず、下痢・生理痛・めまい・不眠・耳鳴り・冷感・灼熱感・動悸・異臭など様々である。」

 

予防医学の真実

はじめに

病気を未然に防ぐことが予防医学です。各種検診の発達のおかげで病気を初期のうちに加療することが可能となりました。しかしながらいまだに予防医学が未開拓な分野があります。それは痛みとしびれと運動の分野です。おおよそ整形外科の分野の全てが予防医学の未開拓分野と言えます。


運動器分野の予防は高齢化社会にはもっとも必要な課題です。なぜならば高齢者が長く働くことができる状態にならなければ国の経済が破綻してしまうからです。痛くなってしびれて、動けなくなる前に予防医学で悪化させない状態を作り、一生動けるようにメンテナンスし続けることが理想です。しかし、現医学ではその理想にはほど遠いようです。私はこの現状を打開するために神経ブロックを用いた予防医学を提唱します。


予防医学には二つの概念

運動器や感覚器の異常は遺伝的な素因が高いものです。関節の変形は生まれ持った骨格形態が強く影響しますから、普通に暮らしていても変形が進む運命にある人、そしてどれほど激しい運動をしても高齢になっても全く変形しない人が存在します。よって生まれ持った骨格形態から将来の変形や不具合を予想するという予防医学が一つあります。現整形外科学ではこの分野が全く開拓されていません。よって、遺伝的素因と将来起こり得る骨格系の病気を予想して予防する医学研究を私は現在進行形で行っています。が、ここではそれについては触れず、もう一つの予防医学について述べます。もう一つは病初期に治療を開始し、その病気の進行を遅らせるまたは止めるという病初期の予防という概念があります。


病初期の診断学の不備

整形外科学では病気を診断するために様々な徒手テストが開発されています。が、ほとんどの徒手テストは病初期には陰性になるという特徴があります。病初期は痛みもしびれも「あまり強くない」状態ですので負荷をかけてもテストで陽性になりません。


画像診断や血液学的検査では、さらに病初期は所見なしとなるので整形外科領域の疾患は病初期の治療は事実上不可能です。


病気が完成してしまうと徒手テストでも画像診断でも陽性と出ますが、この時期に治療を開始しても遅いのです。骨格や関節に不可逆の変形が起こっているので既に予防医学ではなくなっているからです。


スポーツ選手も予防医学治療ができれば、選手生命もぐんと伸びますが、残念ながら現在のスポーツ整形外科は予防ができるレベルではありません。その理由は診断と治療のジレンマにあります。


診断と治療と予防のジレンマ

痛みなどの症状が出始めた時はどんな検査をしても陽性に出ませんので診断がつけられません。診断がつけられなければ、ブロック治療やステロイド注射などの積極的治療ができませんので病気の進行は止められません。結局診断ができるようになるまで数か月から数年かかり、その頃には病状が進行して保存的治療では不可逆に近い状態となります。よって整形外科では予防医学的診断は不可能です。予防医学では診断がつく前に積極的な治療に踏み切ることが重要ですが、診断がついていないのに積極的に治療が出来ないジレンマがあります。これを打開するためには完治診断が必要になります。


完治診断とは

症状を完治させることでその病気が何であったかを逆算して推測する診断学です。例えば手関節が痛いと訴えている患者を例に挙げます。


手関節が痛い原因として鑑別診断は、関節炎、腱鞘炎、神経根症、TFCCなどいろいろとあります。それに対する完治療法は関節内注射、腱鞘内注射、神経根ブロック、トリガーポイント注射などがあります。このうちどの注射をどこに行った時に完治するかを調べることで原因疾患を逆算します。


病初期は徒手テストでは診断がつかないことが多く、しかも二つの疾患が合併していると徒手テストはお手上げ状態となります。が、完治診断では完治させることができた治療の組み合わせで原因疾患が推測できるわけです。しかも予防医学となっています。


完治診断の弱点

完治診断ではブロック注射などの各種注射がノーミスであることが条件となります。医者が注射ミスをしているから効かなかったという結果では診断になりません。よって、完治診断をするためには、それを行う医師がこれまでに数多くのブロック注射を経験し、ほとんどノーミスで狙った箇所に適量の薬剤を注入できる技術を持っていることが絶対条件になります。


実際のところ、腱鞘内注射や手指の関節内注射などは、狙った箇所に薬剤を入れるのが非常に難しく、完治診断ができる医師はほとんどいないのが現状です。簡単そうに見える注射程難しいものです。


完治診断の無知

完治診断が可能であることを認識できている識者はほとんどいません。私はすでにあらゆるブロックを多数駆使して、完治に導き、その時の治療の組み合わせから原因疾患を割り出すということができるようになっています。しかし、これを基礎医学者に話すと、「痛みは末梢から脳までの間、どこをブロックしてもとれますよ。先生がハンサムなだけでも痛みは消えることもありますし、痛みを除去したことで原因を割り出すなんてことはできませんよ」と嘲笑されたのを覚えています。


臨床を知らない学者はこのような考えが正しいと信じているので、完治診断ができることを知りません。


確かに、痛みは末梢から脳までのどこ痛覚伝道系をブロックしても多少はとれます。しかし、原因箇所と異なるところをブロックしてもそれは一時的に痛覚信号が遮断されているだけで、原因箇所で炎症が治まっていないので、ブロックの薬効時間が過ぎればすぐに痛みが再発します。こうした当然の原理を知らない学識者が多いのかもしれません。


基礎医学者はブロックの真の意味を知らないようです。ブロックは痛覚を遮断するために行うのではなく、局所の血流を増加させて損傷部位の細胞のターンオーバーを促進させて、新しい細胞に置き換えて修復させることが目的です。よって原因箇所以外をブロックしても意味がありません。完治に導くには的確に原因箇所に治療をヒットさせなければなりません。しかし、そうしたことに無知なのは、その基礎医学者だけではなく、臨床医も完治診断を知らないように思えます。なぜなら、実際に完治させることのできる医師が少なく、完治診断を自分の経験として収得できないからです。


完治診断の例

48歳 男性 2か月前より右手の痺れをと痛みを訴える。他医で頸椎のMRIを撮影され、異常所見なしと言われている。Spurling test(±)、Phalen test(-)、Tinel sign(-)、頸椎単純XPでC5/6に骨棘あり。この所見からこの患者の病名を判断せよ。


このような症例は手の痺れと痛みを訴える患者の半数以上を占めるのが実際の臨床現場です。つまり、症状があっても現医学で診断をつけられない症例が半数以上というのが現実です。手の痺れと痛みを来す疾患は確率で言えばこの時点で1、頚椎症性神経根症、2、手根管症候群、3、末梢神経炎、の可能性が高いでしょう。しかしPhalen、Tinel、共に陰性であり、神経伝道速度を調べたところで恐らく有意な所見は得られないでしょう。


この時点で整形外科医には治療がお手上げとなります。診断名はついていない状態ですから、頸椎に物療を行い、Vit.B12やNSAIDを処方することぐらいしか治療方法がありません。しかしこれは治療ではありません。なぜなら、そういう治療は既にこの症例の患者は前医で受けていて、それで治っていないからです。


本症例の完治診断の実際

私は本症例ではXP所見とSpurling test(±)の所見からC6の神経根症を第1に疑いました。そこでC6に傍神経根ブロックを行いました。しかしその翌週、患者は「全く症状が改善しない」と申告。そこで今度はC6とC7に傍神経根ブロックを行いました。すると「少しは効いた気がする」というあいまいな返事でした。私は自分が行う傍神経根ブロックにミスがないことを認識していますので、「効いた気がする=効いていない=神経根症を否定」とこの時点で除外診断を下すのです。


これは完治診断の逆バージョンであり、治らないのであれば原因は他にありと考えます。そこで2、の手根管症候群を次に疑うのですが、Phalen、Tinel、共に陰性であり、徒手テストでは手根管症候群ではないという診断がついています。つまり徒手テストでは手根管症候群が除外されているわけですから、神経伝道速度を検査するわけにはいきません。さあどうしますか?


私は患者に事情を説明し、手根管内注射を受けてもらうことにしました。その結果、注射を行った瞬間から痺れと痛みは完全に消失しました。その次の週に話を伺うと痺れも痛みも3分の1以下に低下したとのこと。よって手根管症候群と断定し、今度はケナコルト入りの局所麻酔剤を手根管内に注射→完治へと導きました。こうして手根管症候群という確定診断に至りました。


完治診断の考察

画像診断、徒手テスト、神経伝道速度(実施していないが)などは、どれも初期の症状では偽陰性を示します。つまり現在の医学では確定診断が不可能です。しかしながらブロックを駆使し、完治させることで確定診断をつけることができ、予防医学を同時に進めることができます。基礎医学者が述べたように「どこにブロックしても痛みは消える」というようなお伽話はありません。臨床医学はそれほど甘いものではありません。原因箇所に治療がヒットして初めて完治へと導くことができます。


しかしながら、私のような完治診断は、普通の医師には実行不可能です。私は最初に傍神経根ブロックを行っていますが、診断がついていない段階で、リスクが高く侵襲性のある治療を「試しに行う」ことは無理です。2度目のブロックで患者は激怒するでしょう。では、私がなぜ試しに傍神経根ブロックを2度行えたのでしょう?その理由は私のブロック技術は安全性が高く、注射時の痛みがほとんどないからなのです。そしてもちろん、手根管内に行うブロックも安全性が高く、注射時の痛みがほとんどないから試しに行うことができるのです。


予防医学という初期症状の段階では侵襲性の高い治療は御法度です。よって私のような治療が可能なのは1安全かつ2痛くなくかつ3狙った箇所にブロックできるという3拍子が揃う必要があります。この3拍子を揃えられるように日頃から訓練をしていれば完治診断が可能になるのです。


完治が可能であることを誰も認識していない

予防医学は病状が初期の時点で完治に導き、症状が出ないようにすることが目的です。病状が酷くなる前にそれらを抑止できれば、健康な状態のまま継続して生きていけます。しかし、こうした予防医学を広めるには二つの大きな壁があります。その一つ。

  1. 患者は注射により完治することを知らないこと
  2. 症状を改善させると加齢変化が止まることを医師も患者も知らないこと

この二つを広めない限り予防医学は普及しません。しかし完治とは何か?の概念が個人個人で異なるので問題があります。完全に症状が出ないという状態は、生き物には存在しません。どんな超人でも強い外力をかければ必ず損傷します。組織が弱くなっても損傷します。治しても再発させます。再発したことを「完治していない」と受け取ることは正しくありません。治しても再発させたのは患者なのですから。この辺の問題は複雑なので、医学レベルで完治の概念を定義する必要があるでしょう。完治の定義を詳しく知りたい方は「日常損傷病学」をお読みください。私は便宜上(論文で治療成績をデータ化する上で)、「完治とは治療を行わなくても症状がほとんどない状態が4週間以上続く」としています。


さて、患者の多くは「注射は癖になる」という俗説を信じています。癖になる=症状の軽快と増悪を繰り返す、ことですから「注射で完治しない」ことを意味します。つまり世間の俗説では注射で完治しないという噂が広がっています。「注射で完治に導ける」ことを患者が知らないのなら罪はありませんが、実際は医師が知りません。


私はあらゆる関節に注射を行いますが、特に股関節、足関節、手関節、指関節などは驚くほど完治率が高く、一度の注射でも治ってしまう場合が少なくありません。よって注射が癖になるなどということはありません。


こうした「癖になる」俗説は、ほとんどの整形外科医がヒアルロン酸のみを用いた関節内注射をすることが原因の一つになっています。ヒアルロン酸は関節の修復にあまり寄与しません(「変形性膝関節症へのヒアルロン酸注射の効果調査」を参考ください)。よって完治に導くことができません→軽快と増悪を繰り返す→注射が癖になる、となります。


ただし完治に導くための注射方法は簡単ではありません。上記の症例でもわかるように、現医学で診断がつかないものを完治で診断に導くわけですから、あらゆる可能性を考える頭脳と、あらゆるブロックを打つことができる技術、そしてあらゆる面倒なことに首を突っ込む精神力が要求されます。完治に導くためには医学書の知識はほとんど無力です。可能性を試す精神力が必要で、技術力はその後からついてきます。


痛みを治せば加齢変形が止まる

症状を改善させると関節変形が止まることを知っている整形外科医はおそらく一人としていないでしょう。つまり、症状を軽快させると関節が加齢変化を起こしません。


人間のからだは高齢であっても新生児であっても、細胞自体は数か月以内の新しいもので構成されています。よって高齢化に伴う変形とは、組織内に処理できないゴミが蓄積されていくことを意味します。よってゴミをため込まなければ、組織は何歳になっても健全でいられます。


ゴミをためない方法は「痛みを来させない」または「痛みが来たらすぐに改善させる」ことです。この「ゴミをためない方法」は私が臨床医師を長年やってはじめて理解できたことであり、普通に医師をやっていたのでは気づくことはまずないでしょう。「痛みを来ないように治療していれば老化しない」と宣言しているようなものですから、一般的には受け入れがたい理論です。


しかしながら、私はこの「痛みを来ないように治療していれば老化しない(しにくい)」という理論を膝関節の治療で証明しました(「膝関節の消耗と経年変化を止める新治療法」を参)。おそらく世界初の理論であり臨床医はこのことをまだ誰も知らないでしょう。


すなわち、痛み症状を未然に防いでいけば関節変形や経年変化がほとんど起こらないという結論に達したわけです。これが現代社会に予防医学が必要な理由です。


おそらく痛みの期間と経年変化は相関関係があり、長期間痛みを辛抱しているとその間に経年変化が進行すると思われます。ならば痛みが初期のうちにできるだけすみやかに痛みを完治させる必要があります。


この際「痛み止め」は治療ではありません。痛みの原因場所を特定し、その場所の血行障害を改善させてはじめて治療になります。よって経口鎮痛薬は治療になるどころか、痛みをごまかすことで「痛み期間」を延ばすことになり、経年変化を促進させるでしょう。経年変化を予防するためには局所の血管を拡張させるために、表面麻酔剤の注射(ブロック)が必要です。


この概念を広めない限り、運動器領域の予防医学は前に進みません。スポーツ外傷も同様です。選手生命を長引かせたいのであれば、痛みが初期のうちにブロック治療が必須ということです。


しかし、これらがなかなか広まらない理由は、前にも述べたように、予防医学を行うためのブロック技術は、かなり訓練を積んでいなければ不可能であるところにあります。


治療なのか姑息療法なのかを見極める

治療と姑息療法の違いは、姑息療法はあくまで症状のみを減じさせ「自然治癒」を待つだけのこと。これに対して治療とは原因箇所に手を加えて「自然治癒力」を高めることです。傾向治療薬の多くは症状を減らしているだけであり、姑息療法です。これに対してブロックは原因箇所の血行を改善させるという明確な治療目的があります。予防医学を推進するためには「治療」ができなければなりません。


予防医学の限界

話が元に戻るのですが、病初期に「根本治療」を行うためには、原因箇所をつきとめなければなりません。しかし、病初期では原因箇所がわからないばかりか、どんな検査にもひっかかりません。よって原因がわからないのでブロックをするにもどこにブロックをしたらよいのかが不明なので、病初期に根本治療をすることは普通の医師には不可能なのです。これを可能にするのが完治診断です。


再度申し上げますが、完治診断技術を得るにはブロックを 安全に、痛くなく、ミスがない、という3拍子が揃わなければなりません。原因と思われる箇所にしらみつぶしにブロックができなければならないからです。予防医学を推進するということはそうした技術を持つ医師を育てることに等しいわけです。私にそれができるとは思えませんが、前に進む以外に道はないでしょう。

高齢者大脳能力開発治療紹介

はじめに

高齢になると脳の血管が劣化すると共に脳への血流量が低下し、それに伴い記憶力・思考力・創造力・気力・意欲などが低下します。この状態を神経ブロックを用いて改善させる治療法を紹介します。

治療の原理

脳底動脈や脳幹への動脈を支配している交感神経節(上頚神経節)を表面麻酔剤でブロックし、血管平滑筋を弛緩させて血流量を増やします。魔法でも奇蹟でもなく一定時間血管を拡張させるだけの治療です。現存する脳治療の中でもっとも効果が高くリスクの少ない治療法です。

治療回数

通常1週間に1回しか行いませんので1回の注射の効果は2~3日しか現れませんが、これを重ねることで徐々に脳のシナプスは回復していくと思われます。

副作用

血管を拡張させるので抗凝固薬ワーファリンなどを服薬していると微小な脳出血のリスクが高まると思われますので本治療は行いません。バファリンなどの抗血栓であれば問題がないと思われます。局所麻酔剤にアレルギーのある方は行えません。局麻中毒の症状として注射後数十分間、めまい、悪心、悪寒などが起こることがまれにあります。

効果(実例)

思考力・創造力などを具体的数値で表せませんので、実際にこの治療を行っている方の実例を掲載します。


79歳女性

主訴:月に2~3回失神する 普段でもふらつく(→詳しくはブログ「血圧不安定による失神発作予防に上頚神経節ブロック」) 経過:現在毎週1回上頚神経節ブロックを行う

治療の成果

「ブロック後は3日間、意欲・字を読む能力・接客能力・しゃべる能力が間違いなく上がると言う。先週は水曜日に大勢のお客さんが家に来たが、ブロックのおかげで家事や接客をこなすことができて本当に助かりましたと話してくれた。食欲も完全に回復(以前は1か月間食欲不振で1日におにぎり1個も食べられなかったがそれも改善した)。」


62歳女性

主訴:両耳鳴り(年中大音量のせみの声が24時間なり続けている×6年) 既往歴:下垂体腫瘍で手術を2度行っている。 経過:毎週1回上頚神経節ブロックを行い、すでに40回以上治療を行った。耳鳴りは両耳とも半分程度の音量になったが、まだ鳴りやまない。しかし1日のうち数十分、耳鳴りが鳴りやむようになった。

治療の成果

「ブロック治療後に物事に対する意欲が桁違いに増進したと話してくれた。孫の未編集ビデオが何十本と放置されていたが、パソコンを用いてそれらを全て編集できたとのこと。編集できたのは偶然ではなく、このブロックの効果であると彼女は断言してくれた。耳鳴りが治ってきたのも奇蹟です。」


75歳女性

脳梗塞後遺症で右片麻痺 ブロック9回目で大根の千切りが可能となる(「最新医学トピックス」>「脳梗塞後遺症に革命的な新治療法」参)

治療成果

すでに後遺症として完全に固まっていた右手の巧緻性がブロックで向上したのは偶然ではないでしょう。


信じていただかなくても構いません

本ブロックは脳の血流量を増やすだけの治療であり、特別難しい原理は何一つございません。今後、脳の機能が改善した例、せっかく治療しても改善しなかった例も掲載していきます。私は医師であり自然科学者であり、治療成果を誇張していませんが、世間一般的には信じがたい話でしょうから、無理に信じていただかなくて構いません。興味のある方のみご一報ください。本ブロックを商売にして儲けようとは考えておりません。なるべく多くの医師に治療法を伝授し、高齢化社会を救うことが私の目的です。本治療は病気でない方にも適応できるのでご紹介差し上げました。

 

線維筋痛症の定義

線維筋痛症の定義はないに等しい

病名には定義があるのが当たり前と思われていますが、定義が事実上ない病名が多く存在します。その理由は

  1. 定義が各国、各学会、各年度で異なる。例:慢性関節リウマチ
  2. 病名を定義したはずだがそれが不適切→解釈が変わり続ける。例:線維筋痛症
  3. もともと病名ではなく症状を病名にした。例:腰痛症

 

これらの病名には定義があるように見えて実際はありません。定義がない病名は毎年新しい説で定義らしきものが変化していきますので病名が信用度の低いものとなります。が、定義づけした世界の著名な教授先生たちは自分の名誉にかけて、推論や仮説で病態生理を証明しようとします。そこには真実からかけ離れた矛盾が生じるので医学の最新理論には嘘が発生するという仕組みがあります。科学というものは常に仮説から生まれるため、新説に嘘が発生してしまうことは避け難いものなのです。


学説の中には常に嘘と真実が混在し、矛盾があり、全ての理論が一つにつながることはありません。よって各自が自分に都合のいい学説を信じ、その信念を元に患者を治療するので混乱が発生するという仕組みがあります。


その中で線維筋痛症は現代医学の中でもっとも混乱している病名であると言えます。混乱している病名は医学の中で主流になることはなく、亜流として放置されることがしきたりであり、そのため医学の典型的な教科書には掲載されることはなく、国家試験にも亜流の医学は採用されません。


よって線維筋痛症はその病態生理が解明されているかのようにアメリカ合衆国では紹介されていますが、一般的な医師には信用されておらず、米国線維筋痛症学会での研究論文は日本には普及していません。日本に普及しない理由は線維筋痛症が亜流であり、信用度が低いからであり、日本人が勉強不足だからではないのです。


逆に線維筋痛症をシステマチックに説明しようとすればするほど、その医師は異端児的に見られてしまうのが現状です。ただし、新説には無限の可能性があります。患者はその可能性を求め、治療実績のある医師の元を訪れ診療してもらえばよいことです(ただし、実績にはマスコミが作り上げた嘘が存在します)。


線維筋痛症はドル箱

痛みのシステムがまだまだ現医学では解明に至っていませんから、研究を進めれば進めるほど仮説・推測で理論を構築していかなければなりませんのでますます医学の本流から孤立していきます。しかしながらそこはまたドル箱であり、商業主義に走りたい医療従事者の蜜の山です。医療従事者には医師以外にカイロプラクター、鍼灸師、柔整師、インストラクター、トレーナー、薬剤師など多くの医師免許を持たない者たちが集まってきますから仮説・推論はますます勝手な都合で膨らみあがり、事実と推測の区別がつかなくなります。


こうした理由から線維筋痛症自体が本流の医師たちに支持されないのです。本流の医師たちが治せない線維筋痛症は、治せないからこそ隙間産業となり、そこには多くの企業がひしめきあって利益を吸い取りにやってきます。肩こりや腰痛を商売道具にすれば莫大な利益をもたらすことはみなさんも承知でしょう。街を歩けばどれほど多くのマッサージ店、カイロプラクティック、接骨院があるか…。そこには線維筋痛症が治るという夢がうずまき誇大広告が氾濫しています。


もちろん、そうした誇大広告や推測のおかげで疼痛システムが年々解明されていきます。しかし、それらは知識の断片でしかなく、線維筋痛症を根治させる理論にまで結びついていません。よって断片的知識は本流の医師たちに無視されています。


線維筋痛症を研究することは現時点では商業主義と結びついた亜流であり信用性が低いという立場にあります。結局、線維筋痛症を研究する者と普通の臨床医はなじりあいになる傾向があり、患者と医師もなじりあいになる傾向があります。なぜなら患者にとっては自殺を考えるほど苦しい病気であるのに、医師がそれを認めない、治せないからです。


私はまじめに線維筋痛症を研究し、治療実績を持つ医師ですが、この私でさえ「痛みを研究していると自負している学者たち」から理論的な攻撃を受けています。彼らは自分たちの理論や定義が正しいと信じて疑っていません。新説にはそもそも嘘だらけだというのに…定義に嘘があることに思考が及ばないようです。


治せることが全てに優先される

しかし、医療にとって信用が全てではありません。新しい分野を開拓する際は常に信用性は低いものです。患者にとって重要なことは、病名や信用ではなく、治るか治らないかです。線維筋痛症は現医学で治せないからこそ医師に信用を得られておらず、治せないからこそ商業主義者が集まってよってたかって研究されているという現状を知りましょう。簡単に治せるのならいがみあうこともありません。また、いがみあい意地になった医師は「100%断言できる」などという非科学者的な言い方をしたりするもので、これがさらに信頼性を損ないます。


線維筋痛症の真実を追究したいのであれば、まずこのことを認識しておくべきです。理論で押し問答しても治さなければ意味がないということです。線維筋痛症学会は診断基準を作成して定義を実体化させようとしていますが、あまり意味がありません。診断したとしても線維筋痛症用の特殊な治療法があるわけではないからです。


線維筋痛症はおおよそ神経痛

線維筋痛症はいまや「中枢感作によって起こる」と言われており、そのシステムは脊髄や脳幹、視床下部、大脳に至るまでの疼痛の錯誤(過敏)によると考えられるようになっています。しかし、患者に生じている中枢感作を画像や採血で証明することは現医学では不可能です。さらになぜ中枢感作が起こるのかについても解明されるに至っていません。まだまだ謎だらけです。


私は中枢感作が起こる原因は、脊髄や神経根が、下方に引っ張られることで、神経根、脊髄、延髄、脳幹などに微小な損傷が起こり(または血行不良が起こり)炎症が起こることを想定して治療しています。これを脊髄・脊椎不適合症候群と名付けました。これは脊椎が前屈する際に脊髄が尾側に引っ張られて生じる神経損傷であり、上方は視床下部付近まで牽引ストレスが及びます。この概念は現医学に全く欠落しています。よって中枢感作の本態は脊髄の強い張力による炎症であると私は確信していますが、「中枢感作は炎症ではない」と私に抗議する者が存在し困惑しています。中枢感作は「脊髄が物理的に引っ張られて起こる」という概念が欠落している者から、こうした抗議をいただくわけで、彼らに説明しても無駄だと悟りました(現医学は脊髄の緊張による病気の概念が欠落しています)。彼らは持論に凝り固まっています。そして意地になっていることを知りました。


もちろん、中枢感作が炎症ではなくシステムであると言いたい彼らの気持ちはわかります。ですが、中枢感作は未だ全貌が解明されていないということを真摯に受取れば「中枢感作は炎症ではない」と断言することは真実を歪めます。人の体の不具合は炎症とそれを伝える信号で表現され、中枢感作も炎症がベースとなって起こっているにすぎません。「ここからは炎症でここからが感作システム」と切り離すことができません。一連なのですから。


米国線維筋痛症学会の迷走

まず、多くの臨床医は線維筋痛症を信じていません。中枢感作を理解している医師もほとんどいません。それだけでなく中枢感作の定義自体も迷走していることは前述しました。


臨床医が不信に思っている病名は他にも疼痛関連病に多く存在します。リウマチ筋痛症、線維筋痛症、筋・筋膜性腰痛症などです。これらは病名と病態が一致していません。病名には病因が記されているのが普通です。


例えばリウマチ筋痛症では自己免疫系による炎症が痛みの原因と考えられ、線維筋痛症では筋線維や結合組織の炎症が痛みの原因と考えられ、筋・筋膜性腰痛は筋肉と筋膜の炎症が痛みの原因と考えられて、最初に病名がつけられたという歴史があります。


しかし、それら当初の病因は誤りであり、これらは全て同じ中枢感作(末梢ではなく中枢が痛みを作りだし、痛み過敏状態にしている)の状態を表していると推論されるようになってきました。つまり当初名付けた病名自体が誤りであるわけですが、誤りを改正せず、病気の定義を変えてつじつまが合うようにしてきたという不誠実があります。


現在、米国線維筋痛症学会では中枢で起こる刺激伝道系の錯誤システムの全てを「中枢感作」で表現しようと動き始めました。この動きは私個人としては歓迎すべきではありますが無理があります。なぜなら中枢感作は人間の全ての臓器の活動、炎症、新生、成長に関わるので生理痛や下痢から眼精疲労に至るまで、ほぼ全ての症状に関与するからです。つまり線維筋痛症学会は人間における全ての科の病態に口を挟もうとしているわけです。それは間違いではありませんが、当初の線維筋痛という言葉の意味からかけ離れ、現医学では解明しきれないシステムの渦にはまり込んでいっているように思えてなりません。守備範囲が広すぎるのでまとまりがつかなくなります。


線維筋痛症患者の苦悩と怒り

線維筋痛症にはさらなる大きな問題があります。それは患者自身です。私は重度の線維筋痛症の患者を現在も必死に治療していますが、彼らの日常生活における苦痛は想像を絶するほど苦しいものです。実際に、あまりに苦しくて自殺した患者もいます。めまい、耳鳴り、吐き気、失神、不眠、悪寒、戦慄、舌の感覚異常、異味症、呼吸困難、眼精疲労、頭痛、三叉神経痛、呂律が回らない、嚥下困難、発汗異常、顔面紅潮、上下肢の痛み・しびれ・だるさ、腰痛、背部痛などが起こります。私はこれらの症状を多数の神経ブロックを組み合わせて治療しますが、普通の医師にはそういう治療が不可能です。保険制度が許していませんし、種々のブロックが不可能です。よって患者を即座に見放し精神科へと廻します。


その理由は上に挙げた症状です。これだけの症状が一度に合わされば、医師は全くのお手上げ状態ですし、精神が崩壊していると誤解するのも無理はないでしょう。普通の医師には上記のような症状に対応できません。よってこれらの不定愁訴がある患者は苦痛と戦いながらいろいろな医師を渡り歩き、そして最終的に医師たちにおおいなる不信と怒りを持つようになります。それはそうでしょう、自殺を考えるほどつらい症状なのに、「精神異常」のように扱われ、まともに診察してもらえず、薬漬けにされるからです。しかし、患者は全財産をはたいてでも治りたいわけですから、ドル箱として利用されます。


線維筋痛症患者は日本の医師に不信

さて、アメリカ合衆国の線維筋痛症学会ではこうした症状がなぜ起こるのかについて研究しているのですが、前述したように、この学会が発表する論文は内容が漸進的かつ推論が多すぎて臨床現場に応用するには確証がありません。しかしながら彼らは患者を精神病患者扱いすることはありませんので、患者は自尊心を守るために、線維筋痛症学会の理論が正論であり、彼らの理論を学ばない医師たちは医者として不適格であるとみなすようになります。「アメリカでは研究が進んでいるのに日本では精神異常者扱いする」と怒りをあらわにし、日本の臨床医を誹謗中傷するという現象が起こります。これがさらに日本の臨床医の怒りを買い、医師と患者が互いに不信感を持つようになっています。


確かに日本では線維筋痛症=精神異常、と扱う不届きな医師が多いことは認めます。ですが、線維筋痛症を治せないのは米国も日本も大差ありません。上記のような、信じがたい数の症状を訴える患者を治せる医師がいますか? 私はその症状の一つ一つに神経ブロックを行い治療していますが、相当な精神力を使います。


患者は苦悩し勉強する

患者たちはまた、どうして痛いのか?の理由を探し、痛みに関する書物を読み漁り、医師以上に疼痛の知識をお持ちであることも知っています(ただし、定義がしっかりしていない理論を絶対視するという偏見の原因になっています)。それらの知識を医師に向けて攻撃する材料にしています。


一度、線維筋痛症をwiki で検索してみてください。すると、診断できない、治療できない、あらゆる苦痛をまとめて捨てたゴミ箱のようになっていることがすぐにわかります。症状の項目は何十行にも渡り、診断基準も症状ばかりの羅列、そして合併症なのか主症状なのか理解不能な膠原病関連病との混合、そしてそれらを治療できるかのように期待を持たせる疼痛の新薬の名前の羅列。


しかし、気づいてください。そこには根本的な治療法が全く掲載されていないことを。そして原因がはっきりしていないことを。いろんな病態生理が言われ研究もされていますが、それらは断片的でつながっていないことを。なに一つまとまっていないことを。治療する科が一定していないことを。


線維筋痛症学会を過信することなかれ

線維筋痛症は原因が特定できない症状をまとめてそう呼んでいるという状態です。この病名は病態を表しておらず、原因も表していません。つまり実体がありません。実体がなく、枝葉の現症ばかりを研究している線維筋痛症学会を過信すべきではありませんし、線維筋痛症学会での研究が「絶対に正しい」と思わない方が賢明です。日本人はアメリカ合衆国での論文は正しいと思い込む癖がついているようですが、それは真実ではありません。アメリカ人が作った疼痛関連の言葉の定義も的外れなものが多いと感じます。例えば、中枢感作の中枢とはどこを指すのか定義されていません。中枢感作は炎症ではないと定義している者がいますが脊髄が引っ張られて生じる中枢感作の思考が欠落していることなどです。


霧の実態をつかむ

私は線維筋痛症の原因を「脊髄・脊椎不適合症候群」であるとすでに断定しています。脊髄に過度な緊張がかかることで、神経根、脊髄後角、延髄、脳幹、視床などが損傷し、中枢感作が複数個所に起こる病態であると推定して根本治療を行っています(高齢者の線維筋痛症の多くは中枢神経への栄養血管が詰まって起こると推測しています)。


損傷した神経系に強い炎症反応が起こるかどうか、または起こりやすさは、本人の自己免疫の状態が関係しています。自己抗体が活発で細胞のターンオーバーが早い状況では強い炎症反応が起こりやすく、中枢感作が起こりやすいでしょう。リウマチ筋痛症はそうした意味合いからつけられた病名であると推測します。これが線維筋痛症がリウマチ科で診療されている一つの理由です。


私の仮説が正しいかどうかは関知しません。その他の病態があるかどうかも関知しません。線維筋痛症は病態が不明なものをそのようなネーミングで読んでいるわけですから、病態がはっきりすればそれは線維筋痛症という名前ではいられません。例えば「脊髄・脊椎不適合症候群」という新たな名前に変わります。ですから、どちらにしても私は線維筋痛症という霧を治療するつもりは全くありません。線維筋痛症の存在を私は認めません。なぜなら、線維筋痛症と診断がつけられた患者を神経根ブロックで完治させた場合、病名は神経根症であって、線維筋痛症というネーミングはそもそも間違っているのですから。


私は肩こりなどの線維筋痛症様の症状を呈する方々を頸部神経根ブロックでことごとく完治させていますが、ならばこれらは線維筋痛症ではなく頸椎神経根症です。治してしまえば線維筋痛症という病名は消えます。線維筋痛症の定義はそれほどあいまいです。患者にとって重要なことは理論ではなく治せるか治せないかそこだけです。治せる医師の意見を尊重してくださいとしか言えません。


線維筋痛症の治療と戦い

私は現在3名の重症な線維筋痛症様の患者を治療しています。全員が女性です。3名を線維筋痛症としてではなく「脊髄・脊椎不適合諸侯群」として脊髄や神経根、交感神経節にブロック注射を徹底的に行うことで治療しています。軽症の患者は既に治していますので、この3名がいまだに治らず悪戦苦闘しています。


3名とも、他の病院で診療を拒否された治療難民です。20~30の病院を巡っても、まともに治療されてこなかった強者ぞろいです(ペイン科に通院しても効果なしだった患者ばかりです)。


これらの患者には毎回7~8か所に徹底的に神経ブロックを行います。そして彼女たちはブロックの効果が切れてくると再び来院してブロックを懇願します。いまだ完治に導くことができていないので、線維筋痛症というネーミングでも構わないでしょう。1回の治療で1~2週間、苦痛が解除されるので1~2週毎にブロックし、そして日常生活を送れるようにして差し上げています。一人の女性は1週間に2~3回のブロック治療を行い、それで仕事を行い給料をもらい社会生活を営めています。私が治療しなければ彼女はとっくに退職していたでしょう。それほど生活に支障の出る重症度です。


私のブロックがペイン科のブロックよりも効果がある理由は、脊髄・脊椎不適合症候群と診断をつけ、中枢感作が起こっているであろう場所を必ず推定・同定してから的確に何か所かにブロックするからです。無闇にじゅうたん爆撃のようにブロックをしても効果は低いのです。 さらにペイン科でさえ通常は行っていない上頚神経節ブロックを行いますので、まさに中枢(延髄・脳幹)が感作していてもそこに治療が届きます。


さて、このような治療=戦い、である理由は、症状が治ることなく延々と続くからです。正確には治らないのではなく、日常生活で常に脊髄系を損傷させてしまうので繰り返し治療しても、繰り返し悪化させるのです。まさにそれが「脊髄・脊椎不適合」の本態です。脊髄と脊椎が不適合なのでちょっとした姿勢(前傾を長時間)や運動で脊髄系、脳神経系を損傷さてしまうと推測しています。


3人の患者は「なんとかして治療間隔を開けていこう」と努力しながら治療を行っていますが、治療間隔が3週間もあいてしまうと、症状が悪化してふりだしに戻ります。よって私も仕方なく、ブロックを続けています。上記のような症状を持っているので普通のペイン科の医師には手が負えません。よって私が見放せば治療できる医師がいないのです。


線維筋痛症にこもらないでください

線維筋痛症はその病名に実体がありません。実体がないにもかかわらず、診断基準を設けて実体を持たせようとしている米国線維筋痛症学会の姿勢に私は同意しません。

「私の病気は線維筋痛症というものだ」と自分の苦痛に診断名をつけたくなる気持ちは十分に理解できますが、それは一般的な臨床医に認識されている病態ではないということを知っておいた方がよいでしょう。よって、線維筋痛症という名で社会保障制度を受けようとしても認めてもらうことが難しい現状があります。

それを認めてもらうために線維筋痛症学会の医師に診察を依頼することは構わないと思います。友の会に入会するのもよいでしょう。しかし、現時点で線維筋痛症はどこまで行っても実体のない症候群です。実体が判明すればその病名ではいられないのですから。

 

高コレステロールが認知症を進行させる

高コレステロールの話をする前にまずコルチゾールが脳のシナプス形成にどのような役割を担っているかについて述べる。


2012年岩手医大の祖父江らはストレス条件下で増加するコルチゾールがシナプス形成障害を引き起こすメカニズムを分子レベルで解明。その一方でラニッシュラオらは動物実験では重大なストレスを受けている間に、多量のコルチゾルは動物の不安行動を緩和させたことを示す。また、コルチゾールが減ってしまうと海馬の神経細胞は樹状突起をのばすことができずとあり、コルチゾールが枯渇しても記憶障害が起こると言われる(2010年別冊ニュートン「脳と心」)。


結局、コルチゾールは分泌量・分泌期間などによりその役割は変化し一様ではない。コルチゾールは間違いなく脳の機能を保つ役割をしていて、多すぎず、少なすぎず、バランスを保つことが脳機能の正常化に必要であることがわかる。コルチゾールのバランスが崩れることが脳に様々な悪影響を及ぼすと言える。わかりやすく言うと、

  1. 脳が強いストレスを受けた時は瞬間的に多量のコルチゾルが分泌されなければ脳細胞の損傷は免れない。
  2. コルチゾルが長期に渡って分泌されるとシナプス形成が阻害される
  3. コルチゾルが枯渇してしまってもシナプス形成に障害が出る

脳にとってコルチゾルはバランスよく有事に適宜分泌されることが大変重要であるといえる。適宜分泌されなければ、その度に脳細胞が障害を受けることになるだろう。


人はストレスを受けると不安や焦り、イライラなどによりコルチゾールが多量に分泌され、脳の過剰な反応を抑えようとするが、その反面、ストレスが長期化し、コルチゾールが分泌され続けると、脳のシナプス形成まで停滞しうつになる。


それを過ぎると、ストレス後症候群(PTSD)ではコルチゾールの慢性的な減少が起こり、これが正常な脳の機能を阻害し、記憶障害などを引き起こすと推測されている。慢性的な、コルチゾールの減少は認知症を進行させるようである。


さて、問題となるのは慢性的なコルチゾール減少は誰もがなるというわけではなく、ある条件下で起こるところにある。その条件が高コレステロールである。


ここでは敢えて高コレステロール血症という言葉を用いなかった。なぜならば、最近では薬の発達で、コレステロールを必要以上に摂取しても、そのコレステロールを血液内に移動させないことができる。よっていくらコレステロールを過剰に摂取しても血中コレステロール値は正常であるというのが通常になりつつあるからだ。私の言う「高コレステロール」とは血中コレステロールが高いことを指すのではなく、過剰に摂取し、過剰に蓄積されている人のことを示す(血中コレステロールが高いとは限らない)。


コルチゾールの枯渇は、そうした「高コレステロール状態」の人に起こりやすいということを私は2013年に偶然発見した。発見のきっかけはコルチゾールを体内に投与したときの副作用を調査だった。


通常では副作用がでないはずのごく少量のコルチゾールを投与し、その1~2週以降の血中のコルチゾールとACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を測定したのだが…。こく少量のコルチゾールしか投与していないのにコルチゾールが激減する症例が少なからず存在し、その90%が「高コレステロール状態」だったのだ。


つまり、必要以上にコレステロールを摂取している人は、外部からコルチゾールを投与するとコルチゾールが急激に低下しやすい(副腎皮質や下垂体の機能が低下する)ことが判明したのである(「高コレステロール血症と下垂体機能低下症の関連調査」を参)。


ではコルチゾールを投与しなければいいではないかという話になりそうだがそうではない。私が投与しているコルチゾールはごく低用量であり、普通に体内で生成される分泌量よりも少ない。つまり、私の投与したコルチゾールよりも大量のコルチゾールが緊急時(ストレスを受けた時)には体内から分泌される。だから普通の人でも「高コレステロール状態」にある人はストレスを長期間受けているとコルチゾールが正しく分泌されない体になってしまうというところに重大な問題点がある。


私の研究からわかったことは、どうやら、高コレステロール状態にある人の場合、わずかなコルチゾールが分泌されただけであっても視床下部や下垂体に強烈なネガティブフィードバックがかかってしまう。これが慢性化すると下垂体や副腎皮質が委縮してしまいコルチゾールの枯渇が起こる。


話を最初に戻すが、コルチゾールはそもそも脳のシナプス形成に必需品である。バランスよく分泌されることが脳のシナプス形成に重要である。高コレステロール状態ではそのバランスが崩れ脳のシナプス形成障害が起こり、認知症を進行させることが考えられる。


コルチゾールの増加が引き金となって認知症が進行する危険性があるわけだが、問題はどういう時にコルチゾールが増加するかである。もっとも暴露機会が多いのは感染症、特にインフルエンザである。


感染症を患った際には炎症を抑えるために副腎皮質からコルチゾールが多量に分泌される。しかし、その際に高コレステロール状態であると、視床下部や下垂体にネガティブフィードバックが強烈にかかり、下垂体機能低下・副腎皮質機能低下が続発する可能性が極めて高い。感染が長期化すると下垂体-副腎機能低下は3カ月近く長引く。その間、認知症や記憶障害が進行する可能性が高い。


こうした自己コルチゾールに対する過剰なネガティブフィードバックを起こさせないためには高コレステロール状態を改善する以外にない。つまり、高コレステロール治療薬を服薬しても無駄で、コレステロールの摂食制限をする以外に方法はない。


高コレステロール血症の人口は2200万人とも言われ、摂食制限をしなければならない人口割合は莫大である。これらの人口に対する高コレステロール治療薬の売り上げは莫大であり、私がこうした内容を公表することは世界を揺るがす社会問題にも発展しかねない。よって学会発表ではなく、ブログでのつぶやきとして公表する。ことが重大なだけに事実確認はもう少し慎重であるべきだからである。

 

コレステロール値が高いと不明熱が続く

日本医事新報No.4692「臨床検査値の落とし穴」に「高コルチゾール値を示した副腎機能低下症の1例」があった。主訴は浮遊感、食欲不振、発熱が2週間以上続く。低Na血症を示し、副腎皮質機能低下症を疑われたのだが、コルチゾール値が高くて不思議だなあという話が掲載されていた。


この謎解きは、副腎皮質の機能が低下していてもストレス下には高値になることもあるという「落とし穴に注意」という話であった。しかし、「なぜ、副腎皮質機能低下が起こるのか?」について論ずることができる医師は多分いない。


私は高コレステロール血症があると、たとえ経口薬でコレステロール値を正常化させたとしても、ステロイドの少量負荷で副腎機能、及び下垂体機能低下を招きやすいことを2年前に発見し、そのデータを論文化しているが学会には発表していない。唯一このサイトに掲載してはいるが、世間に広めようとは思っていない。混乱を招くからだ。知らぬが仏という言葉通りである。


コレステロールが高ければ、ストレスを感じた時に自分の副腎皮質からステロイドが分泌され、そのステロイドが強烈に下垂体にネガティブフィードバックをかける。よって下垂体機能が低下し、さらに副腎機能低下が続発する仕組みがある。今のところこの仕組みを知っているのは私だけである。


下垂体機能―副腎機能低下が起こると、体内で起こっている炎症現症の熱処理ができなくなるので、微熱が続くようになる。微熱の根本原因が高コレステロールにあるかもしれないなどというおとぎ話を、今のところ信じる医者は皆無である。


別に、それはそれで構わないが、このサイトを偶然発見し、偶然、この文章を読んだ方には真実を述べておこう。高コレステロールは動脈硬化が怖いだけではないということ。ストレスに耐えられない人体を作ってしまうということを頭の端に入れておいていただければよい。

血圧不安定による失神発作予防に上頚神経節ブロック

高血圧では失神しやすい

高血圧を放置していると失神しやすいことを知っている一般人は少ない。血圧が高い人は、血圧が下がった際に脳の血流量が激減しやすいというのが理由である。普段の血圧が130(上)の人が90(上)になっても失神しないが、普段の血圧が180の人が90になれば失神する。


私のかかりつけの患者の中に月に2~3回、血圧の不調で失神してしまうという患者がいる。79歳の女性であるが、彼女は内科医から降圧剤をもらっているが、血圧が低めの時はそれを飲まないように自分勝手に決めている。その理由は、血圧が低い時に降圧剤を飲むと失神してしまうからだそうだ。つい先日も30分間意識消失となり、大学病院に搬送されている。


私は彼女に「血圧を低めに安定させないと、余計に失神するから薬を正しく飲むこと」を勧めているのだが、彼女は失神することを恐れて降圧剤を不定期にしか服用しない。だが、彼女の意見にも一理ある。現在、本態性高血圧の原因は不明であり、原因不明な病態を治療している時点で、降圧剤を体調とは無関係に定期的に飲み続けるのが本当によいのかどうか、実際は内科医にわかるはずがない。医者は神ではないのだから。


彼女は血圧が低い時に降圧剤を飲むと失神するというのだから、その意見は半分は間違っていないだろう。結局彼女のような症例は、「こうすればよい」という王道がない。なぜならば、こうした不安定な血圧の原因は自律神経が関与していることが多いからである。自律神経の不調を治せる医師はおそらくいない(私を除いて)。後に私は彼女の自律神経失調を治療する。これは後述する。


自律神経失調による失神の原理

自律神経失調による失神・意識低下は、高齢者に限ったことではない。小学校の朝礼ではほぼ毎回倒れてしまう児童がいるが、これがまさに自律神経失調症である。血圧がなんらかの理由で低下した場合、本来なら自律神経の作用で血圧を保つようにする。その機能がすみやかに働かないから血圧が低下して脳の血流量が低下して失神する。よって広義の自律神経失調である。血を見て倒れたり、注射されると倒れるのも過敏な血管反射が原因であり、これらも自律神経による防御システムが脆弱であるといえる。失調とまでは言わないが不調である。上頚神経節ブロックはこれらの失調症状にどうやら有効なようである。


二・三人目の失神前駆患者来院

本日、上記の彼女と同様の症状を訴える患者が来院した。私は整形外科医だが、血圧の不調も治療できるので彼女の話をまともに聞く。76歳女性、高血圧の治療のために降圧剤を定期的に服薬しているが、1日に数回、ふわっとして意識が落ちそうになるという。内科医に相談したところ、血圧は安定しているのだから血圧のせいじゃない。そんな病気はないと断言されたそうだ。三人目は82歳女性、ここ数カ月、布団をまたごうとした際や急ぎ足をしようとした際にふらっとして意識を失いそうになると私に訴えた患者がいた。血圧は上が180から120まで最近変動が多いという。降圧剤はのんでいる。それと同時に項から頭にかけて電撃痛が走って眠れないという。


私は、自律神経が不調であると血圧が変動しやすく、急な動きに血圧が耐えきれず、急に下がることがよくあることを説明した。治療の為に派降圧剤は無効で、自律神経の不調を治さなければならないと告げた。しかしながら自律神経はブロックボックスであり、これを治療できる医師はいないことも告げた。そして最後に


「私はブロックの専門家なのですが、自律神経を治療するブロックをすることができる珍しい医者ですが、受けて見ますか?」と話を持ちかけた。彼女は二つ返事でokしてくれた


自律神経による血圧不安定の治療法

私はすでに自律神経失調症を上頚神経節ブロックで治療する方法をほぼ確立している。上記の79歳の女性には毎週1回、上頚神経節ブロックを行い、それ以降失神発作は起こらなくなった。さらに彼女は「頭がすっきりするからブロックしてほしい」と懇願するようになった。頭がすっきりするのは2~3日と短いが、それでもふらっとすることはなくなったというので1週間を通して自律神経は安定していると思われる。


76歳の彼女にも同様に上頚神経節ブロックをしてさしあげた。結果は随時報告する。82歳の女性にも上頚神経節ブロックを行った。その1週後の診察でふらつきが全く起こらなくなったこと、頭痛がなくなったこと、熟睡できるようになったこと、血圧が上が140で安定したことを私に教えてくれた。「今後どうすればよいでしょうか?」と言われたので、「1回のブロックで治ったと思いますから、これ以上は治療しません。もし、再発するようならすぐに言ってください。その時はすぐにブロック注射します」と告げた。


1年に1回、自律神経の不調で激やせする62歳女性

この他にも自律神経失調症の治療を何例かに行っている。1年に1回程度誘因なくめまい、耳鳴り、吐き気、全身倦怠、抑うつ、神経過敏、発汗異常、血圧不安定、が起こり、吐き気のために数カ月食事がまともにできず、10kgやせたと訴える62歳の患者。上頚神経節ブロックを2度行ってすっかり完治した。その翌年、やはり同じような症状が現れたので、今度は早いうちに上頚神経節ブロックを行って、予防した。


 

最後に 上頚神経節ブロックで血圧不安定を治療でき、自律神経失調症を改善できるということを、信じない者は多いだろう。信じない者は信じる必要はない。信じたい者は治療を受けに来ればよいだけのことである。別にブロックに大きなリスクがあるわけではないのだから、治療を受けてみて判断すればよいだけのことである。私は自分の奇蹟のような治療を皆に知らせたいからこのブログに記載しているわけではない。自律神経失調という難治性の病気に悩んでいる人に、治る可能性という門戸を開いて差し上げているだけのことである。興味ないもの、信じない者に理解してもらう必要はない。

脳梗塞後遺症や認知症治療に上頚神経節ブロックが効果あり

<記憶力の向上>

  • 症例:68歳 女性
  • 主訴:耳鳴り、肩こり、腰痛、左坐骨神経痛、意欲減退、記憶障害
  • 現症1:耳鳴り:何匹ものせみがミーンと鳴いていて非常にうるさいというような耳鳴り(8年前から1日中鳴っていて鳴りやむことはない)
  • 現症2:家事がやりたくない、遊びも趣味もしたくない、買い物にもいけない
  • 現症3:記憶障害:買い物に行くと何を買おうとしていたか思い出せない、朝起きるとやるべきことが思い出せない。
  • 治療:上頚神経節ブロックを2013.11.05から週1回の頻度でおよそ8か月、計33回行った
  • 経過:耳鳴りは早朝はゼロになった。昼間は低い雑音がするが集中しないと聞こえない程度まで改善
  • 記憶障害:メモなしでも買い物リストを暗記できる、メモなしで次の日にやることがわかる、スケジュール管理にメモ帳が不要になる、ナンプレ(パズル)が最初は10分かかっていたが現在は4分台となる。
  • 意欲減退:上記のように趣味(パズル・ゲーム・パソコンでの映像編集)ができるようになり、面倒くさくてできなかった家事が楽々できるようになる。
  • 考察:難聴治療を目的に始めたが、明らかに(本人が自覚できる)記憶力が飛躍的に向上したことを考えると、上頚神経節ブロックが記憶障害や認知症に効果があることがわかる。また、意欲を向上させる効果もあることがはっきりした。


<新たな成果、もう一つの症例>

前回ブログの脳梗塞+難聴の症例を思い出してほしい。難聴治療の目的で上頚神経節ブロックを4回行い、それなりに音が大きく聞こえるようになったという快挙に遭遇したが、その彼女の続編である。詳細はトップページ>最新医学トピックス>脳梗塞後遺症に革命的な新治療、を参考にしてください。


「このブロックは現在難聴治療としてやってますけど、実は脳の血流量を増加させる効果があるんで、脳梗塞にも効果があるかもしれないんですよ。それに認知症や記憶力低下にも効果があると私は思ってるんで、将来はそちらの方でも治療に応用していこうと考えてるんですよ。」

と彼女に話ししながら今回5回目のブロックを行った。すると彼女は私にこう話した。


 

  • 「先生、実をいうとピーラーが右手で使えるようになったんです。」私は彼女が何を言いたいのかわからなかった。
  • 「皮むきをこう引くことができなかったんですよ」と、ピーラーを使うしぐさをする。
  • 「それができるんです」まだ、彼女が何を言いたいのかわからない。しかし、私はピンときた。
  • 「もしかして、この注射をするようになってから、できるようになったということですか?」
  • 「そうなんですよ、できるようになったんです」
  • 「ええ~~っ」と驚かずにはいられなかった。
  • 「それはすごい」彼女はまさにこの上頚神経節ブロックを行うようになってから、あきらかに右手の巧緻性が上がったと言う。
  • 「でも、先生、字を書こうとすると手が横に滑るんです。これも治ります?」
  • 「治るかどうかは分かりませんが、続ける価値はありそうですね。」

 

もちろん、私は彼女の話を全て信用しているわけではない。しかし、脳梗塞や認知症にも効果がある可能性が高いとは思っていた。彼女が言うように字を書くときに横滑りしてしまう症状が年内に改善されれば、脳梗塞後遺症の治療として成立する可能性が十分ある。よって今後の報告を待ってもらいたい。


その後さらに2度の上頚神経節ブロックを経て

  • 「字が書けるようになりましたか?」
  • 「いや、まだうまく書けませんが、手はふるえにくくなりました」
  • 「それだけじゃないんです。足が内側に向いていてリハビリの先生には「それは脳から来ているから治らない」って言われてたんですけど、少しずつ足がのびるようになってきたんです」
  • 「それはすごい」

治療5か月目

  • 右手で髪の毛をとかせる(てぐし)ができるようになる。
  • 座位でいると右足が外に開いてしまっていたが、開かなくなった
  • 表情の変化が豊富になった

今後も追加報告していきます

感音性難聴の根本治療に成功

感音性難聴の根本治療に成功

<はじめに>

難聴には治る難聴と治せない難聴があり、伝音性難聴は治すことができますが、感音性難聴は現医学ではほとんど治せないとされています。感音性難聴は内耳神経の不具合による難聴ですから、治療には脳幹へのアプローチが必要であり、現医学では治療法なしとされてきました。しかしながら、私が独自に開発した上頚神経節ブロックで脳幹への血流改善療法を行い、難聴が見事に回復した症例を経験したので報告します。 今後高齢化に伴い難聴人口が増加し、要治療人口も激増すると思われますので本治療法を耳鼻咽喉科の先生方にマスターしていっていただきたいと心からそう思っています。


上頚神経節ブロックの治療実績はこちらをクリック


  • <症例:75歳女性>
  • 現病歴:3年2か月前に脳梗塞で入院。右片麻痺となり言語障害、歩行障害などがありましたが、その時は難聴はありませんでした。1年前から左耳の聞こえが悪いことに気づきましたが脳梗塞のせいだろうとあきらめ、耳鼻科に行くこともしませんでした。10か月前に転倒して右足関節痛で私の外来を初診。右足をひきずっていたが患者は「これも脳梗塞のせい」だと思っていたので治療をしてほしいと私に訴えませんでした。  私は右足のひきずりは腰椎由来である可能性があるのでブロック治療を勧めました。そして腰にブロック治療をすると足の引きずりは80%程度改善されました。患者はこの治療結果に大変驚き、それ以来私を信用するようになりました。2か月前、患者は私に「先生に相談すれば何でも治してくれると思ったのでお話しします」と最近左耳の難聴がひどくなってきたことを初めて私に訴えました。イヤホーンをつけても左耳では音が全く聞こえないという主訴でした。私は、耳鳴りやめまいを上頚神経節ブロックで治した実績を多数重ねていますので「難聴は治る保証はありませんがブロックを受けますか?」と訊ね、「ぜひお願いします」という運びになり、難聴治療を目的として上神経節ブロックを開始しました。

  • <治療>
  • 1回目:上神経節ブロック 1%キシロカイン1cc 左頸部に行う   →イヤホーンから音が聞こえるようになってきたが、音を区別できないという
  • 2回目:同ブロック 1%キシロカイン1cc×2 両頸部に行う  →イヤホーンの音がかなり聞こえるが、音がまだ割れている
  • 3回目:=2回目  →左耳でも音がはっきり聞こえるが右耳と比べると聞き取りにくい
  • 4回目:左耳では音が少々割れて聞こえる
  • 5回目:左耳で音が割れにくくなった
  • 6回目:左耳で少しずつ聞き取れるようになってきた
  • 9回目:左耳の聞こえ具合は右耳の半分にまで回復(治療前はイヤホーンの音がほとんど聞こえなかった)
  • 18回目:左耳の聞こえ具合は右耳の6~7割にまで回復 それ以外に、右足の尖足が改善傾向(短下肢装具なしで家では歩行可となる)、右手で野菜の皮むきと大根の千切りができるようになる。というような脳梗塞後遺症による巧緻性低下が改善した。
  • 20回目:左耳の聞こえ具合は変化なし。しかし、自分の声が強く響くようになる。ただし、自分の声が割れて聞こえる。
  • 22回目:割れて聞こえていた自分の声が、少し割れなくなってきたと感じる。
  • 24回目:音の聞こえに変化なし 改善傾向は感じられないが治療を継続する
  • 28回目:左耳の聞こえが右耳とほぼ同様のボリューム10割にまで改善。しかし、音が割れて聞こえるためかえって不快であると訴える。

  • <結果と今後>  上頚神経節ブロックで脳幹の血流量を上昇させることにより、血行不良に陥り神経壊死に陥った内耳神経を再生させることができることを世界で始めて証明した症例。左耳はイヤホーンの音が全く聞こえない状態であったものが、ボリュームに関しては右と同等になるまで回復させることができました。治療回数は28回。しかしながら、音が割れることにより「会話の内容が聞き取りにくい」状態です。オーディオグラムを行っていないので詳細はわかりませんが、音の識別能を向上させるにはさらに治療を追加していかなければならないでしょう。しかしながら、患者は「音が割れて聞こえることが、聞こえないよりも不快である」と私に訴えました。そして、これ以上治療を続ける根気がないといい始めました。よって、私はこれ以上の治療をしないことにしました。音が聞こえるようになっても、その音が不快であれば聞こえないほうがいいという患者の訴えを尊重することにしました。クリアな音になるまでにあとどの程度治療を続けなければならないかを示すことができない歯がゆさがありました。

  • <難聴と脊髄・脊椎不適合症候群の関係>  私は既に上頚神経節ブロックを用いて嗅覚障害、眼精疲労、眼瞼下垂、三叉神経痛、耳鳴り、めまいなどを根本的に治療した実績を重ねています。そして今回、難聴治療に成功したわけです。  これまでの治療経験から、これらの不定愁訴の根本原因は脳幹の血行不良にあると思われ、多くの血行不良の根本原因は脊髄・脊椎不適合症候群にあると確信するに至っています。  すなわち脊椎の遺伝的な形態異常のため、脊髄が尾側に引っ張られ、脳幹にその牽引力が伝わって血行不良や神経細胞の損傷を起こすという病態です。  難聴には遺伝的要素があると言われていますが、今後は耳鼻科医と提携し、難聴・耳鳴り・めまいと脊椎の形態についての関連性を研究していく予定です。

  • <感音性難聴治療に上頚神経節ブロック>  小児の難聴、高齢者の難聴にかかわらず、今後は感音性難聴の治療に貢献していく予定

症例症例2:67歳女性 奇蹟が起こる!

27歳時に妊娠中に強い耳鳴りと難聴出現。出産を機に増悪。難聴を治療してもらおうと、40年前の当時、鼓膜内ステロイド注射を毎週×2年間続けるが、全く改善せず。以降40歳まで徐々に症状が進行。40歳時にC型肝炎治療のためにインターフェロンで加療するが、その際に両耳の耳鳴りと難聴がさらに悪化したためインターフェロンを中止。しかしこのため補聴器なしでは聞こえないようになる。耳鼻科医に相談するも打つ手なしとのことで治療をあきらめる。

<経過>

  • H26.05.07、初回のブロック後1週間後の診察で「両耳共に音が大きく聞こえるようになった」と彼女は私に告げた。「でも音が割れるんです」とクリアに聞こえないことを訴えた。数回ブロックを行うが、そこから著変なし。
  • このためH26.05.28よりブロックを週に2回行うことにする。H26.06.28現在 少しずつ音量が増加するが音がクリアには聞こえない。
  • ブロック後もあまり変化がないということなので治療5カ月目より上頚神経節ブロックのキシロカインの注射量を1.5~2倍量にする。
  • 治療5カ月と2週目 ブロックの翌日から右顔面が割れるように痛くなる。本人は持病の副鼻腔炎が悪化したと思っていたが、脳外科医にMRIでは異常なし、三叉神経痛であると診断を受けテグレトールを処方される。しかし、これを服薬後めまいと嘔気で3日間寝たきりになる。
  • 私の外来にかかり三叉神経痛を除去目的に上頚神経節ブロックを行う。すると右耳にトラックのエンジン音のような大きな耳鳴りが発現よからぬことが起こったのかと不安になるが、おとなしく寝ていた。
  • 耳鳴りは徐々に消失し、3日目に消えた。すると同時に、三叉神経痛も、数十年来の頭重感も、すっきり治ってしまった。それと同時に両耳の聞こえが急激に上昇。今までテレビのボリュームを30で聞いていたが、それではうるさく聞こえるようになり、今は25で聞いている。
  • 治療6カ月目ではっきりと耳の聞こえがアップしたことを実感、そして頭重感も消え去ったという大きな治療成果が得られた。今後も治療を続けるが、完成された感音性難聴をブロックでここまでしっかりと治療できた例は、おそらく世界初と思われる。
  • 治療7か月目 難聴治療の停滞感が否めない。そして定期通院をさぼる週が出始める。私は週に2回の通院を指示したが来院しない。耳の聞こえは全体的にはよくなったが、補聴器を外せるまでに至っていない。この頃、頭重感が強くなったり弱くなったりを繰り返し、本人は副鼻腔炎が原因であると思い込んでいた。私はこれを三叉神経痛由来と診断したが、本人はそれを信じず、耳鼻科通院を頻回に行った。ある日私が「私がブロックを行った日と頭重感が起こる日の関連を日記につけなさい」と指示。すると本人はようやく、ブロックを行った時に頭重感が消えてなくなり、そこから4~5日経過すると頭重感が起こることに気が付いた。よって私のブロックが頭重感にも効果があることをやっと認識するようになる。そこからは「きちんと週に2回ずつ通います」と誓った(2014.11.21)。
  • 再び難聴が悪化 テレビのボリュームを30から25にしぼっても聞こえるようになっていたが、再び30に戻る(2014.11.末)。自分の声が割れるように聞こえてしまうために聞き取りにくくなったとのこと。こうした変化は治療上の一過性の症状であると考え、治療を続ける。
  • 治療7か月と2週 最近は三叉神経痛の治療を徹底したいという目的で、この2週間は週に2回通院を徹底する。おかげで三叉神経痛の痛みが消え、大変喜んでいる。しかしながら難聴は改善しない。テレビのボリュームは30のままである。しかしながら、三叉神経痛にこれだけ効果があったわけだから、治療は続けたい!という意志は継続する。
  • 治療8ヶ月と2週 改善傾向が全くないので、治療増強。上頚神経節だけでなく中頚神経節にも同時にブロックを行う。その4日後の外来で「テレビのボリュームを22まで下げても聞こえるようになりました」と明らかな改善をみる。しかも、音がクリアに聞こえ、割れないという。ただし自分の声は割れて聞こえる。音がクリアに聞こえるようになったのは大進歩である。

結果と今後

週に1度の上頚神経節ブロックを行うこと7ヶ月。ある程度聞こえがよくなりましたが、補聴器をはずすところまでは来ていません。この頃から治療に進歩がなく停滞感が漂うようになります。そこで8ヶ月目から週に2回のブロックを行います。しかしそれでも変化がありませんでした。そこで8ヶ月と2週目に上頚神経節+中頚神経節の2箇所×左右=4箇所 のブロックを行います。するとこれまでになかったほどの改善を経験します。今後も結果を報告します(2015.01.20現在)。


その後の経過2

さらに4か月後、停滞期が訪れます。週に2回の上頚神経節ブロックを行っても改善が全く認められなくなりました。相変わらず、音は聞こえるが割れて聞こえにくいと訴えます。音が割れると結局聞き取りにくいため、聞こえない状態で補聴器を強化した方が聞き取りやすいといいます。さらに上頚神経節ブロックの副反応としてたまに不整脈が出るようになり、一旦中止することになりました。中止後は徐々に難聴が進行し、今では補聴器をつけていても大声をださなければ聞き取れない状態になりました。おそらく、ブロックで難聴の進行を止めていたのだと思われ、中止後は自然に難聴が徐々に悪化の経緯をたどっています。

H27.10.現在、難聴治療の患者は6~7名通院されています。ほとんど患者に改善傾向がありますが、テレビのボリュームで例えると、30→22で聞こえる程度の改善です。20以下でクリアに聞こえるようにはなりません。治療には収穫逓減があると思われ、ある一定の改善レベルまで達すると、それ以上はなかなか改善しないようです。

よって、今後は治療は10回から20回とし、ある程度の効果が出ればそこで打ち切るというスタイルにしたほうがよいと思われました。ただし、効果としては間違いなくありますので、難聴の進行防止やある程度の改善のためにこの治療法は優秀であるという結論を導き出しました。


難聴治療に挑戦中

現在、右耳がほぼ全く聞こえないという患者に、患者の協力により毎週ブロックを行い、それを1年以上続けるという治療実験を行っています。この患者は「難聴治療実績で有名な某鍼灸院」に通院し、それで無効だった患者です。ほぼ1年後に成果を報告します。

 

 

人間ドック学会のコレステロール基準がやばい

高コレステロール血症と下垂体・副腎機能低下

2013年現在、おそらく私が世界ではじめて高コレステロール血症と下垂体機能低下症の関連を発見しました。発見は偶然です。ケナコルトというステロイド剤を使用するとどの程度副腎機能が低下してしまうのかを調査中に、偶然にも、「高コレステロール血症の患者ではたとえ治療薬を飲んでいたとしても、普通では副作用が出るはずもないような少量のステロイド使用でも、下垂体・副腎機能低下が起こり、ACTHやコルチゾールが異常低値を示し、長期投与で下垂体・副腎機能低下症が慢性化する可能性がある」ということを発見してしまいました。詳細は「高コレステロール血症と下垂体機能低下症の関連」をご覧ください。


 

人間ドック学会の新基準がやばい

私はとりあえず、2013年現在の基準である総コレステロール220以上と未満のグループ分けで、220以上、または219以下でも高コレステロール血症治療薬服薬中の症例で、ACTHやコルチゾールが低下しやすいことの関連を証明しました。ところが2014年人間ドック学会が発表した新基準では66歳以上の高齢者では280でも正常とします。こうなると総コレステロール値が280あっても正常だから大丈夫という考え方となり、誰もコレステロール摂取量を食事療法で下げようとする人がいなくなります。すると、潜在的な下垂体・副腎機能低下症予備軍が、何千万人と作られてしまうことになります。


 

副腎機能低下症ではストレスに耐えられない

副腎機能が低下しても肉体的には健康に見え症状は出ません。しかし、免疫を調整する副腎皮質ホルモン(体内のステロイドホルモン)が分泌されにくくなるため、小さなストレスでも大きな症状が現れやすくなり、かぜを引いただけでも40度代の熱が出て死に至らしめる可能性が高まるなど、ストレスに対する耐性が激減します。


 

人間ドック学会にけちをつけるつもりではない

私は人間ドック学会の名誉を傷つけるつもりはありません。高コレステロール血症と下垂体・副腎機能低下の関連を発見したのもおそらく私が世界で初めてだと思われますので新基準の発表はやむを得ないことと理解しています。私の発見した新事実は世界に波紋を与えると思いましたので、学会発表をするつもりはありません。いずれ誰かが発見し発表するでしょう。世間を騒がすつもりはありませんので、とりあえず、目立ちにくいように個人的なブログでの発言にとどめておきます。


 

賢明な方は低コレステロール食を!

コレステロールは高齢者には血液のゴミ、人体内のゴミとなり、摂取すること自体が健康を害します。コレステロールは体内に蓄積される一方で出ていかないからです。しかも多くのホルモンはコレステロールから作られるので、もととなるコレステロールが多すぎると、ホルモンの生産に抑制がかかると思われます。ただし、症状にはあらわれず、免疫力の低下やストレスに対して死亡しやすくなるという目に見えない害を与えるのみと思われますので、本人も周囲も医師も健康の害は気づかれません。賢明な方はコレステロール新基準を信用せず、食事療法でコレステロール値を200未満に保つことを強くおすすめします。詳細をお知りになりたい方は上記の論文を参考ください。

腰痛は医者には治せない

最先端の科学では「肩こりは中枢感作で生じる」ということが当たり前の知識となりつつあります。なりつつあるというのは、まだ医師の間ではほとんど知られていないということを意味しています。


肩の凝りは神経が炎症を起こしているサインとして筋肉を凝った状態にさせているということです。その根本原因は神経にあります。神経が原因なら、完治させるためには神経ブロックをすることが最良であることがわかります。


私は神経根ブロックをブラインドで数十秒で行えるという特殊な技術を習得していますので、実際に肩こりの患者様に即座にブロックをして差し上げ、何十年と治らなかった肩こりをいとも簡単に根本治療するということを朝めし前に行っています。


さて、腰のこりもまた同様に神経の炎症(中枢感作)が原因であることが非常に多いと思われますが、そうであるなら腰の凝りを治すためには筋肉をマッサージしてもトリガーポイント注射をしても無駄で、神経ブロックが著効するということになります。


この考え方の正当性は、すでに私は腰の凝りを硬膜外ブロックで完治させることで証明しています。トリガーポイント注射や物療では治らない腰痛の患者様を硬膜外ブロックをたった1回行うだけで本当に完治させてしまえるからです。ちなみに私の中で「完治とは症状が3割未満になった状態が4週間以上続く」と定義しています。腰のこりが中枢感作が原因であるのなら、それを根本的に治療するには神経ブロックが最善です。


しかしながら硬膜外ブロックなどの神経ブロックはその手技自体が「痛い・危険」であると本末転倒となります。痛みを治すのに、さらに痛くて危険なブロックをするというのでは誰もそんな治療を受けないでしょう。ですから、もしも腰の凝りに硬膜外ブロックをするとすれば、「痛くなく、安全にできる高等なブロック技術」を習得していないと患者様にしてさしいあげることが不可能だということがわかります。


例えば私は硬膜外ブロックを行う際に25G針という世界でもっとも細いカテラン針を用いますが、この針を使用できるほどの技術のある医師は国内を探してもほとんどいません。よって結局、他の医師たちにとって「腰の凝りに硬膜外ブロック」という治療は常識外れとなりますから、「腰痛は医者には治せない」という結論に達するわけです。


また、腰痛の多くが腰髄・神経根の中枢感作が原因で起こるという認識さえも、国内の医師たちにはない至高です。だから腰痛を硬膜外ブロックで治すという発想にはなりません。おそらく多くの医師たちは「たかが腰痛を硬膜外ブロックで治すのは常識外れ」と考えています。しかし事実は違います。「腰痛の多くは硬膜外ブロックでしか治せない」が真実なのです。なぜなら腰痛もまた中枢感作から起こるからです。


私の中枢感作の概念は疼痛学で使用している中枢感作の定義からかけ離れるというご指摘がありました。よって今後、私は中枢感作という言葉を用いず、刺激伝道系の感作という言い方をすることにします。

また、肩の凝りが神経の炎症から来るという考え方も正しくないというご指摘を受けました。ここでは正誤について論争はしません。何が正しいかの真実はどんな教授にもわからないことなのですから。ただし、実際に根治させる治療があるのだから、根治する理由を考える基礎医学をもっと発展させていっていただいたほうが、肩が凝る原理を研究していっこうに治せないでいる医学よりも建設的であると思います。