コレステロール値が高いと不明熱が続く

日本医事新報No.4692「臨床検査値の落とし穴」に「高コルチゾール値を示した副腎機能低下症の1例」があった。主訴は浮遊感、食欲不振、発熱が2週間以上続く。低Na血症を示し、副腎皮質機能低下症を疑われたのだが、コルチゾール値が高くて不思議だなあという話が掲載されていた。


この謎解きは、副腎皮質の機能が低下していてもストレス下には高値になることもあるという「落とし穴に注意」という話であった。しかし、「なぜ、副腎皮質機能低下が起こるのか?」について論ずることができる医師は多分いない。


私は高コレステロール血症があると、たとえ経口薬でコレステロール値を正常化させたとしても、ステロイドの少量負荷で副腎機能、及び下垂体機能低下を招きやすいことを2年前に発見し、そのデータを論文化しているが学会には発表していない。唯一このサイトに掲載してはいるが、世間に広めようとは思っていない。混乱を招くからだ。知らぬが仏という言葉通りである。


コレステロールが高ければ、ストレスを感じた時に自分の副腎皮質からステロイドが分泌され、そのステロイドが強烈に下垂体にネガティブフィードバックをかける。よって下垂体機能が低下し、さらに副腎機能低下が続発する仕組みがある。今のところこの仕組みを知っているのは私だけである。


下垂体機能―副腎機能低下が起こると、体内で起こっている炎症現症の熱処理ができなくなるので、微熱が続くようになる。微熱の根本原因が高コレステロールにあるかもしれないなどというおとぎ話を、今のところ信じる医者は皆無である。


別に、それはそれで構わないが、このサイトを偶然発見し、偶然、この文章を読んだ方には真実を述べておこう。高コレステロールは動脈硬化が怖いだけではないということ。ストレスに耐えられない人体を作ってしまうということを頭の端に入れておいていただければよい。

血圧不安定による失神発作予防に上頚神経節ブロック

2017年治療成績

高血圧では失神しやすい

高血圧を放置していると失神しやすいことを知っている一般人は少ない。血圧が高い人は、血圧が下がった際に脳の血流量が激減しやすいというのが理由である。普段の血圧が130(上)の人が90(上)になっても失神しないが、普段の血圧が180の人が90になれば失神する。


私のかかりつけの患者の中に月に2~3回、血圧の不調で失神してしまうという患者がいる。79歳の女性であるが、彼女は内科医から降圧剤をもらっているが、血圧が低めの時はそれを飲まないように自分勝手に決めている。その理由は、血圧が低い時に降圧剤を飲むと失神してしまうからだそうだ。つい先日も30分間意識消失となり、大学病院に搬送されている。


私は彼女に「血圧を低めに安定させないと、余計に失神するから薬を正しく飲むこと」を勧めているのだが、彼女は失神することを恐れて降圧剤を不定期にしか服用しない。だが、彼女の意見にも一理ある。現在、本態性高血圧の原因は不明であり、原因不明な病態を治療している時点で、降圧剤を体調とは無関係に定期的に飲み続けるのが本当によいのかどうか、実際は内科医にわかるはずがない。医者は神ではないのだから。


彼女は血圧が低い時に降圧剤を飲むと失神するというのだから、その意見は半分は間違っていないだろう。結局彼女のような症例は、「こうすればよい」という王道がない。なぜならば、こうした不安定な血圧の原因は自律神経が関与していることが多いからである。自律神経の不調を治せる医師はおそらくいない(私を除いて)。後に私は彼女の自律神経失調を治療する。これは後述する。


自律神経失調による失神の原理

自律神経失調による失神・意識低下は、高齢者に限ったことではない。小学校の朝礼ではほぼ毎回倒れてしまう児童がいるが、これがまさに自律神経失調症である。血圧がなんらかの理由で低下した場合、本来なら自律神経の作用で血圧を保つようにする。その機能がすみやかに働かないから血圧が低下して脳の血流量が低下して失神する。よって広義の自律神経失調である。血を見て倒れたり、注射されると倒れるのも過敏な血管反射が原因であり、これらも自律神経による防御システムが脆弱であるといえる。失調とまでは言わないが不調である。上頚神経節ブロックはこれらの失調症状にどうやら有効なようである。


二・三人目の失神前駆患者来院

本日、上記の彼女と同様の症状を訴える患者が来院した。私は整形外科医だが、血圧の不調も治療できるので彼女の話をまともに聞く。76歳女性、高血圧の治療のために降圧剤を定期的に服薬しているが、1日に数回、ふわっとして意識が落ちそうになるという。内科医に相談したところ、血圧は安定しているのだから血圧のせいじゃない。そんな病気はないと断言されたそうだ。三人目は82歳女性、ここ数カ月、布団をまたごうとした際や急ぎ足をしようとした際にふらっとして意識を失いそうになると私に訴えた患者がいた。血圧は上が180から120まで最近変動が多いという。降圧剤はのんでいる。それと同時に項から頭にかけて電撃痛が走って眠れないという。


私は、自律神経が不調であると血圧が変動しやすく、急な動きに血圧が耐えきれず、急に下がることがよくあることを説明した。治療の為に派降圧剤は無効で、自律神経の不調を治さなければならないと告げた。しかしながら自律神経はブロックボックスであり、これを治療できる医師はいないことも告げた。そして最後に


「私はブロックの専門家なのですが、自律神経を治療するブロックをすることができる珍しい医者ですが、受けて見ますか?」と話を持ちかけた。彼女は二つ返事でokしてくれた


自律神経による血圧不安定の治療法

私はすでに自律神経失調症を上頚神経節ブロックで治療する方法をほぼ確立している。上記の79歳の女性には毎週1回、上頚神経節ブロックを行い、それ以降失神発作は起こらなくなった。さらに彼女は「頭がすっきりするからブロックしてほしい」と懇願するようになった。頭がすっきりするのは2~3日と短いが、それでもふらっとすることはなくなったというので1週間を通して自律神経は安定していると思われる。


76歳の彼女にも同様に上頚神経節ブロックをしてさしあげた。結果は随時報告する。82歳の女性にも上頚神経節ブロックを行った。その1週後の診察でふらつきが全く起こらなくなったこと、頭痛がなくなったこと、熟睡できるようになったこと、血圧が上が140で安定したことを私に教えてくれた。「今後どうすればよいでしょうか?」と言われたので、「1回のブロックで治ったと思いますから、これ以上は治療しません。もし、再発するようならすぐに言ってください。その時はすぐにブロック注射します」と告げた。


1年に1回、自律神経の不調で激やせする62歳女性

この他にも自律神経失調症の治療を何例かに行っている。1年に1回程度誘因なくめまい、耳鳴り、吐き気、全身倦怠、抑うつ、神経過敏、発汗異常、血圧不安定、が起こり、吐き気のために数カ月食事がまともにできず、10kgやせたと訴える62歳の患者。上頚神経節ブロックを2度行ってすっかり完治した。その翌年、やはり同じような症状が現れたので、今度は早いうちに上頚神経節ブロックを行って、予防した。


最後に 上頚神経節ブロックで血圧不安定を治療でき、自律神経失調症を改善できるということを、信じない者は多いだろう。信じない者は信じる必要はない。信じたい者は治療を受けに来ればよいだけのことである。別にブロックに大きなリスクがあるわけではないのだから、治療を受けてみて判断すればよいだけのことである。私は自分の奇蹟のような治療を皆に知らせたいからこのブログに記載しているわけではない。自律神経失調という難治性の病気に悩んでいる人に、治る可能性という門戸を開いて差し上げているだけのことである。興味ないもの、信じない者に理解してもらう必要はない。

脳梗塞後遺症や認知症治療に上頚神経節ブロックが効果あり

2017年治療成績

<記憶力の向上>

  • 症例:68歳 女性
  • 主訴:耳鳴り、肩こり、腰痛、左坐骨神経痛、意欲減退、記憶障害
  • 現症1:耳鳴り:何匹ものせみがミーンと鳴いていて非常にうるさいというような耳鳴り(8年前から1日中鳴っていて鳴りやむことはない)
  • 現症2:家事がやりたくない、遊びも趣味もしたくない、買い物にもいけない
  • 現症3:記憶障害:買い物に行くと何を買おうとしていたか思い出せない、朝起きるとやるべきことが思い出せない。
  • 治療:上頚神経節ブロックを2013.11.05から週1回の頻度でおよそ8か月、計33回行った
  • 経過:耳鳴りは早朝はゼロになった。昼間は低い雑音がするが集中しないと聞こえない程度まで改善
  • 記憶障害:メモなしでも買い物リストを暗記できる、メモなしで次の日にやることがわかる、スケジュール管理にメモ帳が不要になる、ナンプレ(パズル)が最初は10分かかっていたが現在は4分台となる。
  • 意欲減退:上記のように趣味(パズル・ゲーム・パソコンでの映像編集)ができるようになり、面倒くさくてできなかった家事が楽々できるようになる。
  • 考察:難聴治療を目的に始めたが、明らかに(本人が自覚できる)記憶力が飛躍的に向上したことを考えると、上頚神経節ブロックが記憶障害や認知症に効果があることがわかる。また、意欲を向上させる効果もあることがはっきりした。

さらなる治療例はこちら


<新たな成果、もう一つの症例>

前回ブログの脳梗塞+難聴の症例を思い出してほしい。難聴治療の目的で上頚神経節ブロックを4回行い、それなりに音が大きく聞こえるようになったという快挙に遭遇したが、その彼女の続編である。詳細はトップページ>最新医学トピックス>脳梗塞後遺症に革命的な新治療、を参考にしてください。


「このブロックは現在難聴治療としてやってますけど、実は脳の血流量を増加させる効果があるんで、脳梗塞にも効果があるかもしれないんですよ。それに認知症や記憶力低下にも効果があると私は思ってるんで、将来はそちらの方でも治療に応用していこうと考えてるんですよ。」

と彼女に話ししながら今回5回目のブロックを行った。すると彼女は私にこう話した。


  • 「先生、実をいうとピーラーが右手で使えるようになったんです。」私は彼女が何を言いたいのかわからなかった。
  • 「皮むきをこう引くことができなかったんですよ」と、ピーラーを使うしぐさをする。
  • 「それができるんです」まだ、彼女が何を言いたいのかわからない。しかし、私はピンときた。
  • 「もしかして、この注射をするようになってから、できるようになったということですか?」
  • 「そうなんですよ、できるようになったんです」
  • 「ええ~~っ」と驚かずにはいられなかった。
  • 「それはすごい」彼女はまさにこの上頚神経節ブロックを行うようになってから、あきらかに右手の巧緻性が上がったと言う。
  • 「でも、先生、字を書こうとすると手が横に滑るんです。これも治ります?」
  • 「治るかどうかは分かりませんが、続ける価値はありそうですね。」

もちろん、私は彼女の話を全て信用しているわけではない。しかし、脳梗塞や認知症にも効果がある可能性が高いとは思っていた。彼女が言うように字を書くときに横滑りしてしまう症状が年内に改善されれば、脳梗塞後遺症の治療として成立する可能性が十分ある。よって今後の報告を待ってもらいたい。


その後さらに2度の上頚神経節ブロックを経て

  • 「字が書けるようになりましたか?」
  • 「いや、まだうまく書けませんが、手はふるえにくくなりました」
  • 「それだけじゃないんです。足が内側に向いていてリハビリの先生には「それは脳から来ているから治らない」って言われてたんですけど、少しずつ足がのびるようになってきたんです」
  • 「それはすごい」

治療5か月目

  • 右手で髪の毛をとかせる(てぐし)ができるようになる。
  • 座位でいると右足が外に開いてしまっていたが、開かなくなった
  • 表情の変化が豊富になった

今後も追加報告していきます

感音性難聴の根本治療に成功

2017年治療成績

感音性難聴の根本治療に成功

<はじめに>

難聴には治る難聴と治せない難聴があり、伝音性難聴は治すことができますが、感音性難聴は現医学ではほとんど治せないとされています。感音性難聴は内耳神経の不具合による難聴ですから、治療には脳幹へのアプローチが必要であり、現医学では治療法なしとされてきました。しかしながら、私が独自に開発した上頚神経節ブロックで脳幹への血流改善療法を行い、難聴が見事に回復した症例を経験したので報告します。 今後高齢化に伴い難聴人口が増加し、要治療人口も激増すると思われますので本治療法を耳鼻咽喉科の先生方にマスターしていっていただきたいと心からそう思っています。


上頚神経節ブロックの治療実績はこちらをクリック


  • <症例:75歳女性>
  • 現病歴:3年2か月前に脳梗塞で入院。右片麻痺となり言語障害、歩行障害などがありましたが、その時は難聴はありませんでした。1年前から左耳の聞こえが悪いことに気づきましたが脳梗塞のせいだろうとあきらめ、耳鼻科に行くこともしませんでした。10か月前に転倒して右足関節痛で私の外来を初診。右足をひきずっていたが患者は「これも脳梗塞のせい」だと思っていたので治療をしてほしいと私に訴えませんでした。  私は右足のひきずりは腰椎由来である可能性があるのでブロック治療を勧めました。そして腰にブロック治療をすると足の引きずりは80%程度改善されました。患者はこの治療結果に大変驚き、それ以来私を信用するようになりました。2か月前、患者は私に「先生に相談すれば何でも治してくれると思ったのでお話しします」と最近左耳の難聴がひどくなってきたことを初めて私に訴えました。イヤホーンをつけても左耳では音が全く聞こえないという主訴でした。私は、耳鳴りやめまいを上頚神経節ブロックで治した実績を多数重ねていますので「難聴は治る保証はありませんがブロックを受けますか?」と訊ね、「ぜひお願いします」という運びになり、難聴治療を目的として上神経節ブロックを開始しました。

  • <治療>
  • 1回目:上神経節ブロック 1%キシロカイン1cc 左頸部に行う   →イヤホーンから音が聞こえるようになってきたが、音を区別できないという
  • 2回目:同ブロック 1%キシロカイン1cc×2 両頸部に行う  →イヤホーンの音がかなり聞こえるが、音がまだ割れている
  • 3回目:=2回目  →左耳でも音がはっきり聞こえるが右耳と比べると聞き取りにくい
  • 4回目:左耳では音が少々割れて聞こえる
  • 5回目:左耳で音が割れにくくなった
  • 6回目:左耳で少しずつ聞き取れるようになってきた
  • 9回目:左耳の聞こえ具合は右耳の半分にまで回復(治療前はイヤホーンの音がほとんど聞こえなかった)
  • 18回目:左耳の聞こえ具合は右耳の6~7割にまで回復 それ以外に、右足の尖足が改善傾向(短下肢装具なしで家では歩行可となる)、右手で野菜の皮むきと大根の千切りができるようになる。というような脳梗塞後遺症による巧緻性低下が改善した。
  • 20回目:左耳の聞こえ具合は変化なし。しかし、自分の声が強く響くようになる。ただし、自分の声が割れて聞こえる。
  • 22回目:割れて聞こえていた自分の声が、少し割れなくなってきたと感じる。
  • 24回目:音の聞こえに変化なし 改善傾向は感じられないが治療を継続する
  • 28回目:左耳の聞こえが右耳とほぼ同様のボリューム10割にまで改善。しかし、音が割れて聞こえるためかえって不快であると訴える。

  • <結果と今後>  上頚神経節ブロックで脳幹の血流量を上昇させることにより、血行不良に陥り神経壊死に陥った内耳神経を再生させることができることを世界で始めて証明した症例。左耳はイヤホーンの音が全く聞こえない状態であったものが、ボリュームに関しては右と同等になるまで回復させることができました。治療回数は28回。しかしながら、音が割れることにより「会話の内容が聞き取りにくい」状態です。オーディオグラムを行っていないので詳細はわかりませんが、音の識別能を向上させるにはさらに治療を追加していかなければならないでしょう。しかしながら、患者は「音が割れて聞こえることが、聞こえないよりも不快である」と私に訴えました。そして、これ以上治療を続ける根気がないといい始めました。よって、私はこれ以上の治療をしないことにしました。音が聞こえるようになっても、その音が不快であれば聞こえないほうがいいという患者の訴えを尊重することにしました。クリアな音になるまでにあとどの程度治療を続けなければならないかを示すことができない歯がゆさがありました。

  • <難聴と脊髄・脊椎不適合症候群の関係>  私は既に上頚神経節ブロックを用いて嗅覚障害、眼精疲労、眼瞼下垂、三叉神経痛、耳鳴り、めまいなどを根本的に治療した実績を重ねています。そして今回、難聴治療に成功したわけです。  これまでの治療経験から、これらの不定愁訴の根本原因は脳幹の血行不良にあると思われ、多くの血行不良の根本原因は脊髄・脊椎不適合症候群にあると確信するに至っています。  すなわち脊椎の遺伝的な形態異常のため、脊髄が尾側に引っ張られ、脳幹にその牽引力が伝わって血行不良や神経細胞の損傷を起こすという病態です。  難聴には遺伝的要素があると言われていますが、今後は耳鼻科医と提携し、難聴・耳鳴り・めまいと脊椎の形態についての関連性を研究していく予定です。

  • <感音性難聴治療に上頚神経節ブロック>  小児の難聴、高齢者の難聴にかかわらず、今後は感音性難聴の治療に貢献していく予定

症例症例2:67歳女性 奇蹟が起こる!

27歳時に妊娠中に強い耳鳴りと難聴出現。出産を機に増悪。難聴を治療してもらおうと、40年前の当時、鼓膜内ステロイド注射を毎週×2年間続けるが、全く改善せず。以降40歳まで徐々に症状が進行。40歳時にC型肝炎治療のためにインターフェロンで加療するが、その際に両耳の耳鳴りと難聴がさらに悪化したためインターフェロンを中止。しかしこのため補聴器なしでは聞こえないようになる。耳鼻科医に相談するも打つ手なしとのことで治療をあきらめる。

<経過>

  • H26.05.07、初回のブロック後1週間後の診察で「両耳共に音が大きく聞こえるようになった」と彼女は私に告げた。「でも音が割れるんです」とクリアに聞こえないことを訴えた。数回ブロックを行うが、そこから著変なし。
  • このためH26.05.28よりブロックを週に2回行うことにする。H26.06.28現在 少しずつ音量が増加するが音がクリアには聞こえない。
  • ブロック後もあまり変化がないということなので治療5カ月目より上頚神経節ブロックのキシロカインの注射量を1.5~2倍量にする。
  • 治療5カ月と2週目 ブロックの翌日から右顔面が割れるように痛くなる。本人は持病の副鼻腔炎が悪化したと思っていたが、脳外科医にMRIでは異常なし、三叉神経痛であると診断を受けテグレトールを処方される。しかし、これを服薬後めまいと嘔気で3日間寝たきりになる。
  • 私の外来にかかり三叉神経痛を除去目的に上頚神経節ブロックを行う。すると右耳にトラックのエンジン音のような大きな耳鳴りが発現よからぬことが起こったのかと不安になるが、おとなしく寝ていた。
  • 耳鳴りは徐々に消失し、3日目に消えた。すると同時に、三叉神経痛も、数十年来の頭重感も、すっきり治ってしまった。それと同時に両耳の聞こえが急激に上昇。今までテレビのボリュームを30で聞いていたが、それではうるさく聞こえるようになり、今は25で聞いている。
  • 治療6カ月目ではっきりと耳の聞こえがアップしたことを実感、そして頭重感も消え去ったという大きな治療成果が得られた。今後も治療を続けるが、完成された感音性難聴をブロックでここまでしっかりと治療できた例は、おそらく世界初と思われる。
  • 治療7か月目 難聴治療の停滞感が否めない。そして定期通院をさぼる週が出始める。私は週に2回の通院を指示したが来院しない。耳の聞こえは全体的にはよくなったが、補聴器を外せるまでに至っていない。この頃、頭重感が強くなったり弱くなったりを繰り返し、本人は副鼻腔炎が原因であると思い込んでいた。私はこれを三叉神経痛由来と診断したが、本人はそれを信じず、耳鼻科通院を頻回に行った。ある日私が「私がブロックを行った日と頭重感が起こる日の関連を日記につけなさい」と指示。すると本人はようやく、ブロックを行った時に頭重感が消えてなくなり、そこから4~5日経過すると頭重感が起こることに気が付いた。よって私のブロックが頭重感にも効果があることをやっと認識するようになる。そこからは「きちんと週に2回ずつ通います」と誓った(2014.11.21)。
  • 再び難聴が悪化 テレビのボリュームを30から25にしぼっても聞こえるようになっていたが、再び30に戻る(2014.11.末)。自分の声が割れるように聞こえてしまうために聞き取りにくくなったとのこと。こうした変化は治療上の一過性の症状であると考え、治療を続ける。
  • 治療7か月と2週 最近は三叉神経痛の治療を徹底したいという目的で、この2週間は週に2回通院を徹底する。おかげで三叉神経痛の痛みが消え、大変喜んでいる。しかしながら難聴は改善しない。テレビのボリュームは30のままである。しかしながら、三叉神経痛にこれだけ効果があったわけだから、治療は続けたい!という意志は継続する。
  • 治療8ヶ月と2週 改善傾向が全くないので、治療増強。上頚神経節だけでなく中頚神経節にも同時にブロックを行う。その4日後の外来で「テレビのボリュームを22まで下げても聞こえるようになりました」と明らかな改善をみる。しかも、音がクリアに聞こえ、割れないという。ただし自分の声は割れて聞こえる。音がクリアに聞こえるようになったのは大進歩である。

結果と今後

週に1度の上頚神経節ブロックを行うこと7ヶ月。ある程度聞こえがよくなりましたが、補聴器をはずすところまでは来ていません。この頃から治療に進歩がなく停滞感が漂うようになります。そこで8ヶ月目から週に2回のブロックを行います。しかしそれでも変化がありませんでした。そこで8ヶ月と2週目に上頚神経節+中頚神経節の2箇所×左右=4箇所 のブロックを行います。するとこれまでになかったほどの改善を経験します。今後も結果を報告します(2015.01.20現在)。


その後の経過2

さらに4か月後、停滞期が訪れます。週に2回の上頚神経節ブロックを行っても改善が全く認められなくなりました。相変わらず、音は聞こえるが割れて聞こえにくいと訴えます。音が割れると結局聞き取りにくいため、聞こえない状態で補聴器を強化した方が聞き取りやすいといいます。さらに上頚神経節ブロックの副反応としてたまに不整脈が出るようになり、一旦中止することになりました。中止後は徐々に難聴が進行し、今では補聴器をつけていても大声をださなければ聞き取れない状態になりました。おそらく、ブロックで難聴の進行を止めていたのだと思われ、中止後は自然に難聴が徐々に悪化の経緯をたどっています。

H27.10.現在、難聴治療の患者は6~7名通院されています。ほとんど患者に改善傾向がありますが、テレビのボリュームで例えると、30→22で聞こえる程度の改善です。20以下でクリアに聞こえるようにはなりません。治療には収穫逓減があると思われ、ある一定の改善レベルまで達すると、それ以上はなかなか改善しないようです。

よって、今後は治療は10回から20回とし、ある程度の効果が出ればそこで打ち切るというスタイルにしたほうがよいと思われました。ただし、効果としては間違いなくありますので、難聴の進行防止やある程度の改善のためにこの治療法は優秀であるという結論を導き出しました。


難聴治療に挑戦中

現在、右耳がほぼ全く聞こえないという患者に、患者の協力により毎週ブロックを行い、それを1年以上続けるという治療実験を行っています。この患者は「難聴治療実績で有名な某鍼灸院」に通院し、それで無効だった患者です。ほぼ1年後に成果を報告します。

 

 

人間ドック学会のコレステロール基準がやばい

高コレステロール血症と下垂体・副腎機能低下

2013年現在、おそらく私が世界ではじめて高コレステロール血症と下垂体機能低下症の関連を発見しました。発見は偶然です。ケナコルトというステロイド剤を使用するとどの程度副腎機能が低下してしまうのかを調査中に、偶然にも、「高コレステロール血症の患者ではたとえ治療薬を飲んでいたとしても、普通では副作用が出るはずもないような少量のステロイド使用でも、下垂体・副腎機能低下が起こり、ACTHやコルチゾールが異常低値を示し、長期投与で下垂体・副腎機能低下症が慢性化する可能性がある」ということを発見してしまいました。詳細は「高コレステロール血症と下垂体機能低下症の関連」をご覧ください。


 

人間ドック学会の新基準がやばい

私はとりあえず、2013年現在の基準である総コレステロール220以上と未満のグループ分けで、220以上、または219以下でも高コレステロール血症治療薬服薬中の症例で、ACTHやコルチゾールが低下しやすいことの関連を証明しました。ところが2014年人間ドック学会が発表した新基準では66歳以上の高齢者では280でも正常とします。こうなると総コレステロール値が280あっても正常だから大丈夫という考え方となり、誰もコレステロール摂取量を食事療法で下げようとする人がいなくなります。すると、潜在的な下垂体・副腎機能低下症予備軍が、何千万人と作られてしまうことになります。


 

副腎機能低下症ではストレスに耐えられない

副腎機能が低下しても肉体的には健康に見え症状は出ません。しかし、免疫を調整する副腎皮質ホルモン(体内のステロイドホルモン)が分泌されにくくなるため、小さなストレスでも大きな症状が現れやすくなり、かぜを引いただけでも40度代の熱が出て死に至らしめる可能性が高まるなど、ストレスに対する耐性が激減します。


 

人間ドック学会にけちをつけるつもりではない

私は人間ドック学会の名誉を傷つけるつもりはありません。高コレステロール血症と下垂体・副腎機能低下の関連を発見したのもおそらく私が世界で初めてだと思われますので新基準の発表はやむを得ないことと理解しています。私の発見した新事実は世界に波紋を与えると思いましたので、学会発表をするつもりはありません。いずれ誰かが発見し発表するでしょう。世間を騒がすつもりはありませんので、とりあえず、目立ちにくいように個人的なブログでの発言にとどめておきます。


 

賢明な方は低コレステロール食を!

コレステロールは高齢者には血液のゴミ、人体内のゴミとなり、摂取すること自体が健康を害します。コレステロールは体内に蓄積される一方で出ていかないからです。しかも多くのホルモンはコレステロールから作られるので、もととなるコレステロールが多すぎると、ホルモンの生産に抑制がかかると思われます。ただし、症状にはあらわれず、免疫力の低下やストレスに対して死亡しやすくなるという目に見えない害を与えるのみと思われますので、本人も周囲も医師も健康の害は気づかれません。賢明な方はコレステロール新基準を信用せず、食事療法でコレステロール値を200未満に保つことを強くおすすめします。詳細をお知りになりたい方は上記の論文を参考ください。

腰痛は医者には治せない

2017年治療成績


最先端の科学では「肩こりは中枢感作で生じる」ということが当たり前の知識となりつつあります。なりつつあるというのは、まだ医師の間ではほとんど知られていないということを意味しています。


肩の凝りは神経が炎症を起こしているサインとして筋肉を凝った状態にさせているということです。その根本原因は神経にあります。神経が原因なら、完治させるためには神経ブロックをすることが最良であることがわかります。


私は神経根ブロックをブラインドで数十秒で行えるという特殊な技術を習得していますので、実際に肩こりの患者様に即座にブロックをして差し上げ、何十年と治らなかった肩こりをいとも簡単に根本治療するということを朝めし前に行っています。


さて、腰のこりもまた同様に神経の炎症(中枢感作)が原因であることが非常に多いと思われますが、そうであるなら腰の凝りを治すためには筋肉をマッサージしてもトリガーポイント注射をしても無駄で、神経ブロックが著効するということになります。


この考え方の正当性は、すでに私は腰の凝りを硬膜外ブロックで完治させることで証明しています。トリガーポイント注射や物療では治らない腰痛の患者様を硬膜外ブロックをたった1回行うだけで本当に完治させてしまえるからです。ちなみに私の中で「完治とは症状が3割未満になった状態が4週間以上続く」と定義しています。腰のこりが中枢感作が原因であるのなら、それを根本的に治療するには神経ブロックが最善です。


しかしながら硬膜外ブロックなどの神経ブロックはその手技自体が「痛い・危険」であると本末転倒となります。痛みを治すのに、さらに痛くて危険なブロックをするというのでは誰もそんな治療を受けないでしょう。ですから、もしも腰の凝りに硬膜外ブロックをするとすれば、「痛くなく、安全にできる高等なブロック技術」を習得していないと患者様にしてさしいあげることが不可能だということがわかります。


例えば私は硬膜外ブロックを行う際に25G針という世界でもっとも細いカテラン針を用いますが、この針を使用できるほどの技術のある医師は国内を探してもほとんどいません。よって結局、他の医師たちにとって「腰の凝りに硬膜外ブロック」という治療は常識外れとなりますから、「腰痛は医者には治せない」という結論に達するわけです。


また、腰痛の多くが腰髄・神経根の中枢感作が原因で起こるという認識さえも、国内の医師たちにはない至高です。だから腰痛を硬膜外ブロックで治すという発想にはなりません。おそらく多くの医師たちは「たかが腰痛を硬膜外ブロックで治すのは常識外れ」と考えています。しかし事実は違います。「腰痛の多くは硬膜外ブロックでしか治せない」が真実なのです。なぜなら腰痛もまた中枢感作から起こるからです。


私の中枢感作の概念は疼痛学で使用している中枢感作の定義からかけ離れるというご指摘がありました。よって今後、私は中枢感作という言葉を用いず、刺激伝道系の感作という言い方をすることにします。

また、肩の凝りが神経の炎症から来るという考え方も正しくないというご指摘を受けました。ここでは正誤について論争はしません。何が正しいかの真実はどんな教授にもわからないことなのですから。ただし、実際に根治させる治療があるのだから、根治する理由を考える基礎医学をもっと発展させていっていただいたほうが、肩が凝る原理を研究していっこうに治せないでいる医学よりも建設的であると思います。