重症ジストニアを腱引きとSCGBのコラボ治療で改善させた例

これは2017年9月3日、伝統カンファレンス療法2017 で発表したものです。



25歳男性、ある日突然何のきっかけもなく呼吸困難と呂律障害が起こります。その4か月後、首が前方に著しく屈曲した状態になりました。近くの内科にかかりますが原因不明で診断名がつきません。両親は現代医学では有効な治療法がないと感じ、「うなだれ首」とインターネットで検索し、私にアプローチしてきました。


この写真は最近(初診から1年経過)撮影したものです。このように首は伸展位をとれるようになりましたが、初診時は屈曲拘縮していました。四肢の動きは歯車様で、リラックスしていてこのような肢位をとります。


当院は原因不明の下垂首を上頚神経節ブロックで改善させている実績40例以上ありますが、本症例は全身の筋拘縮が強いため神経ブロックだけで治療することが不十分であると考え、当初から腱引き師の小口先生と治療を協力する体勢をとることにしました。上記は腱引き師の視点からの所見です。

 


私の所見では、大脳基底核に起こった何らかの障害によるジストニアと診断。さらに障害領域は延髄にまで拡大しており、呼吸時の横隔膜と肋間筋の動きまで拘縮し、症状が進行すれば呼吸不全で死に至る危険が高いと判断しました。治療法としては大脳基底核・延髄への血流促進の目的で頚部交感(上頚)神経節ブロック(以下SCGBと言う)を行いました。


 

治療経過です。黄色が初診からの経過日数、(2)カッコ内の数字はSCGBの累計治療回数、赤字のK数字は腱引きの累計治療回数を表します。初回の治療後から頸椎の屈曲拘縮が緩和され、2回には口が開き、頸椎伸展位が可能となるなど、治療成果が上がっている様子がうかがえます。口が開く・声が出る・呼吸が楽になるなどは、明らかに腱引き施術直後に改善していたため、その効果の高さがうかがえます。


通院2日目後、母親と当院、医療秘書(医療コンシェルジュ)とのやりとり

コンシェルジュ:「ブロック後の様子を気になるときは随時ご報告いただき、会話を重ねてご通院のモチベーションを下げないように試みます。いつでも遠慮なくご連絡ください」

母親:「ありがとうございます。今まで冷たい事が多かった息子の手が今日はとても暖かいのに驚きました。昨日の夜、今までより口が開くようになったと本人が教えてくれました。口が開かず何でも小さく切らないと食べられない状態でしたのでとてもうれしい一歩です。今朝は頭が少し上がっているように感じました。まだ治療2回目ですが少しずつでも変化が見られて驚いています。」


 

コンシェルジュ:「患者ご本人さまの苦しみと寛解の葛藤が多くなっていますね。ですが、奇跡に近いご回復力ですから、必ずもっと良くなると思います!すくなくとも、私や院長や小口先生はそう信じています。患者さまがあきらめないかぎり、私たちは絶対にあきらめません」

母親:「本当にありがとうございます。頻繁に通えず申し訳ありません。イライラが止められず物に当たったり呼吸が乱れて強張ったりしています。ブロックと腱引きの後とても楽になったようで帰りは機嫌良く帰りましたが、それも長くは続かず夜にはまた苦しそうでした。首のサポーターもしない日が続いています。」

症例患者は他覚的に明らかに改善していましたが、両親には改善された治療成果と平行してまだまだ続く体の硬直や呼吸しずらさでメンタル的に限界を感じており、不平を訴えていました。完治への期待が大きすぎたためと思われます。両親は我々の治療力を信じきることができず、年末にかけて治療回数が2週間に1回へとペースダウンし、さらに大学病院(精神科)に精査目的で入院させてしまいました。その間に症状が悪化し、初診時近くにまで症状が戻ってしまいました。大学病院の医療というブランドに依存し過ぎている国民の心の弱さが浮き彫りとなりました。


その後、コンシェルジュ交えて患者と両親を説得し、腱引きとSCGBを再開させ、通院頻度を増加させたところ、症状は改善していきます。

さらに、ブロックと腱引きとの治療成果を見続けていたコンシェルジュからの提案により下半身の拘縮を軽減させることを期待し、2度、腰部硬膜外ブロックを行ったところ、その後の腱引きで眼球が動く、言葉がなめらかに出るなど、今までには認められなかった症状の改善が見られました。

その後は週に1~2回の治療を続け、歩行能力や姿勢は改善されました。しかし、言葉が出にくい、呼吸が苦しいという症状は少し悪化しました。理由はわかりません。


ジストニアは現医学では治療法がありません。しかし、腱引きとSCGBで改善することが示されました。SCGBで患部の動脈血流量を増加させ、腱引きが静脈・リンパ灌流を促したころが最大の改善要因と考えます。


 

うなだれ首(下垂首)ではしばしば胸鎖乳突筋の拘縮が認められます。胸鎖乳突筋が強く拘縮している側の静脈は怒張します(この超音波像は本症例のものではありません)。頸椎周囲の筋群をマッサージし、静脈灌流を促すことはジストニアの治療に極めて有効であると思われます。下垂首の症例は改善すればこの静脈の怒張が改善します。


これが上頚神経節ブロックの手技です。上頚神経節の1横指下方からアプローチし、動脈に沿って薬液を上向させます。以前は直接上頚神経節を狙っていましたが、やや下方からアプローチし、薬液を上向させたほうが効果が高いため、最近ではこのようなアプローチ法をとっています。


SCGBは星状神経節ブロックと類似した手技です。最上部の頚部交感神経節を狙います。


上頚神経節ブロックは現在も改良に改良を重ねていますが、これまでの星状神経節ブロックよりも頭蓋内の血流増加の効果が高いと思われます。


当院で行っている突発性難聴に対するSCGBの治療成績です。青ラインは当院に来る前の治療成績(ステロイド点滴、鼓室内注射、星状神経節ブロック、高気圧酸素など、あらゆる治療を行った結果)。一方赤ラインがSCGBの治療成績です。SCGBがいかに突発性難聴の治療に高い効果を発揮できるかがわかります。


SCGBは認知症治療に絶大な効果があります。頭蓋内の血流量を向上させることができますので脳血管性の認知症には効果があるのは当然です。症例は77歳女性で2016年9月からSCGBを行っていましたが、一旦22点から19点まで低下します。2017年6月からSCGBの手技を改良し、より確実に正確に上頚神経節に薬液が達するようにしたところ、2か月間でいっきに24点まで回復した例です。


SCGBは動脈血流量を劇的に向上させますが、腱引きは静脈・リンパ灌流を促すことができる手技であることが証明されています。これを証明しているのが以下のBrain CTです。


これは45歳脳出血の症例です。外科的にはアプローチが不可能と言われ、点滴で経過観察するしかありませんでした。小口先生はこの症例に腱引きを行い、右のCTのように出血層と脳浮腫を完全に消失させました。これが腱引きで静脈・リンパ灌流を改善させた実績です。現医学の発想からは考えも及ばない手技です。


SCGBと腱引きがコラボレーションを行うことでこれまでノーマンズランドであった頭蓋内の様々な疾患を改善させることができる可能性があります。動脈血流と静脈灌流を促す方法は最強タッグと言っても過言ではないでしょう。


医療コンシェルジュの重要性

腱引きとSCGBのコラボレーションは、医療コンシェルジュの存在なしでは実現不可能でした。当院の医療秘書(医療コンシェルジュ)は小口先生のスケジュール管理を行い、当院に招き、そしてSCGBと腱引きをその日のうちに同時に行えるように手配します。西洋医学と代替医療は、多くは犬猿の仲であり、互いに相手をののしりあうことが多いと言えます。

今回のように極めて難治性の重症疾患を改善させたとしても、その手柄がどちらにあるのか不明ですから公式発表しても互いのメリットがあまりないという状況にあります。そうした思惑が飛び交う中、優秀な治療師同志をコラボレーションさせて治療を統合していくには、どうしても医療秘書(医療コンシェルジュ)という第3者の橋渡しが必要です。

医療秘書(医療コンシェルジュ)はあらゆる医療に精通している必要があり、かつ患者やその家族の心のケアをするカウンセリングや治療内容を説明・説得させる技術も必要となります。

難病に挑むにはこうした医療秘書(医療コンシェルジュ)の存在が必要であり、コンシェルジュの育成も行わなければ、コラボレーション治療はそうたやすくないと思われます。

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