医学論文に嘘が多い理由~過活動性膀胱の治療法から

H2016.8.6.のライフハッカー日本版の記事

「尿は無菌は嘘だった!:研究結果」を例にあげ、「医学理論は科学理論でありエビデンスもあり」のはずにもかかわらず論文に嘘が多い理由について考察します。以下に記事の全文を記載します。


尿には、尿素、水分、ナトリウム、カリウムやその他の化学成分が含まれています。無人島やジャングルなどを舞台にしたサバイバル番組を見過ぎた人だけでなく、医師までもがこれまでずっと、尿は無菌だと考えてきました。ところが、尿は体外に排出された時点で無菌状態ではないことがわかったのです。


米国微生物学会の学術誌『Journal of Clinical Microbiology』で発表された研究によると、健康な女性と、過活動膀胱(膀胱が過敏になり自分の意思に関係なく収縮する)を患っている女性の両方から尿サンプルを集めて検査した結果、健康な女性であっても、膀胱と尿に生きた細菌が存在することが確認できたそうです。これまでは、尿サンプルから細菌が検出された場合、医師は何らかの尿路感染症だと判断していました。しかし、「尿は無菌である」という見方が誤りであることが研究で証明されたのはこれが初めてではありません。


尿は無菌という通説が生まれたのは、検査室で実施される通常の検査環境であれば、健康な人間の尿サンプルから「臨床的に有意な」数の細菌コロニーは検出されないだろうという考え方があったからです。細菌が検出されたとしても、皮膚や、滅菌されていないものと接触したせいだとみなされていました。


同じ研究チームがさらに研究を行ない、その結果を米国微生物学会に報告しています。この追跡研究では、84人の女性から尿サンプルを採取し、一般的な検査手法と、より有用なEQUC(Expanded Quantitative Urine Culture)と呼ばれる手法で培養しました。その結果、サンプルの70%以上に細菌が含まれていたのです。ところが、見つかった細菌の90%は、一般的な検査手法であらかじめ「陰性」とされていたもので、従来の手法には限界があることが示されました。


こうした結果からさらに明らかになったのは、過活動膀胱を患う女性の膀胱内に存在する細菌は、健康な女性の膀胱内にある細菌とは異なっており、種類も多様であったことです。


研究チームは、膀胱に存在する細菌は消化器官で見つかる菌とかなり似た働きを持っており、正常な菌バランスの変化が過活動膀胱の発症の背後にあるのではないかとの仮説を立てています。これにより、尿路感染症や失禁といった膀胱疾患の予防や治療に対する医療関係者や研究者の取り組み方が変わると、泌尿器学学会誌『European Urology』に掲載された論文で研究チームの1人が述べています。

Stephanie Lee(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)


この記事の「嘘」が疑わしい部分は赤字にしてあります。


医学論文の多くは1、データ 2、統計学的な事象の関連性 3、因果関係の推測 4、治療への応用 という4部構成になっています。


上記の論文の場合1、健康な女性の尿の検査結果 過活動性膀胱の尿の検査結果、2、健康な女性の70%から細菌が検出された。過活動性膀胱の患者の尿からは菌腫が異なりかつ豊富であった。


という科学的な実験データと結果が示されました。ここまでのエビデンスは全く問題ありません。ところが3の因果関係となると、ここから先は全く非科学的な著者の空想になります。


因果関係は統計学では述べられない

統計学では関連性を述べることができます。関連性は「科学的に裏付けられている」と述べても問題ありません。しかし、因果関係は述べることができません。わかりやすく言うと、AとBは関連があることは間違いないが、「Aの原因がB」だと述べてはいけない、というのが統計学の規則なのです。


例えば、A「雨の日が多い」とB「カビが生えやすい」という事象で、「AとBは関連がある」は科学的に正しいことです。しかし、「カビが原因で雨の日が多くなる」と述べると笑い話になります。カビが雨を降らせる背景となっていると述べる科学者はこの世に一人もいないでしょう。


 

同様に川の流れの真ん中で採取した水に潜む細菌と、川の淀みで採取した水に潜む細菌とでは菌腫も菌の数も異なっていたという実験結果があったとします。この実験結果から「細菌が川の流れをせき止め、細菌が淀みを作った」と考える者はこの世に一人もいないでしょう。


しかし、上記の過活動性膀胱での考察では「正常な菌バランスの変化が過活動膀胱の発症の背後にある」と延べ、細菌が過活動性膀胱の原因であると考察しています。この考察はあまりにも飛躍しすぎていませんか? 川のよどみの例では「細菌が淀みを作る」のではなく「淀んでいるから細菌の菌腫や量が変化する」のだということは一般の人が考えてもわかることです。それを「細菌が過活動性膀胱の原因」とするには、あまりにも奇抜すぎて理解に苦しみます。もちろん、この考察に科学的な根拠はゼロであり、一研究者の無謀な妄想です。しかしながら、この考察を述べる前に、壮大な実験データがあり、まるでその実験データから考察を導き出したかのような言い回しになっています。これが詐欺的なのです。


問題はその後です。医学論文では、この後に治療への応用がなされます。この論文を元にです。つまり過活動性膀胱を治療するために、広域抗生剤を用いると言うおろかな治療法へと駒を進めることがわかりきっています。なぜなら、細菌が過活動性膀胱の原因だと仮説をたてているからです。


当然ながらその治療はよい結果を残しません。しかし、データ改ざんを少し行えば、「抗性剤を用いると過活動性膀胱が改善する」というデータが捏造できてしまいます。そして間違った治療が世界に流布します。これを名のある教授が発表すると、全て真実として医学書に掲載されてしまいます。


詐欺的な考察の中にも真実が潜んでいる場合がありますが、こうした論文を読んだ者は、「細菌が過活動性膀胱を起こすことが科学的に証明された」と勘違いするでしょう。


医学論文のほとんどはこのような詐欺的な作りとなっていますので、結局、その真偽は誰にもわかりません。ただただ、権威者が述べた論文は真実として世の中に流布し、名もない研究者が述べた論文は無視されるという法則があるのみです。


過活動性膀胱の原因を探る

私は過活動性膀胱の95%以上を、硬膜外ブロックで完治、または改善させています。泌尿器科の医師たちはそういう経験がありませんから、上記のような論文を書くに至っています。実際に数多くの過活動性膀胱を治している医師から見れば、上記の論文は笑い話であり詐欺的に見えてしまいます。


別に私はここで自分の治療力を述べたいのではなく、医学論文はこのようにして科学の化けの皮をかぶって仮説を立て、仮説が真実化されるのだという仕組みを知ってほしいために例を挙げたにすぎません。


 

正義の投稿

つい最近、私のブログに以下のような投稿がありました。


「悪徳医療撲滅さんより 素人相手に嘘ばかり書くのはどうかな。詐欺商法ですよ。 臨床症状だけでエビデンスのない理論です。」

との書込がありました。


彼の書込は間違いではありません。私の論文は「臨床症状だけでエビデンスのない理論です。」はとても正しいものです。しかし、「他の世界の教授たちが書く論文にエビデンスがある」と考えていることは間違いであることを知らなければなりません。どこまで行っても、因果関係にエビデンスはないのです。統計学からは因果関係を導くことはできないという大原則を無視し、その結果、一般大衆は「教授の論文にはエビデンスがある」と思わされています。


この真実を正しく受け入れない限り、誤診、悪化、無駄、な治療が改善されていきません。特に難病治療にはエビデンスが全くありませんので、エビデンスがないから治療しないでは、患者を救うことはできません。お願いですから医学を妄信的に信じすぎないでください。信じすぎた結果、バカを見るのは国民なのですから。

 

医学論文に嘘が多い理由~過活動性膀胱の治療法から」への4件のフィードバック

  1. 症状と経過
    今年(2016年)夏、東南アジアへ旅行しました。帰国後、おなかを壊し(一緒に行った人も下痢をしました)それが治った後、膀胱炎の症状が出ましたので(若いころ一度罹患したことがあります)家の近所の内科に行きました。膀胱炎と判断され、薬を飲んで治りましたが、その後2週間ぐらいで、また膀胱炎の症状が出て、また同じ内科を受診しました。 
    結果、再度膀胱炎であると診断され、別の薬を飲みしばらく経過を見ました。しかし、また膀胱炎のような症状が出てきたので、今度はきちんと泌尿器科を受診しようと思い、その日夕方診療している少し遠い泌尿器科に行きました。検査の結果、膀胱炎ではなく、過活動膀胱と言われ、一旦は安心しましたが、薬を飲み続けても治る様子がありません。
    そのうちトイレに行きたい症状がぶり返し、辛いので、もしかしてまた膀胱炎になっているのではと疑い(何度でも膀胱炎にかかる人が多いとの話を聞きました)、今度は、家の近くの泌尿器科を受診しましたが、結果は過活動膀胱との判断で、以前と違う薬を処方され、それを飲むこととしました。ところが、一向に改善しません。そのうち、尿道口の痺れが新たに出てきたため、その旨また近所の泌尿器科へ行き、相談をしましたが、そういう例は聞いたことがないとのことで、とりあえず前回と違う薬を処方されました。
    このままでは治らないと思い、よりベテランの泌尿器科の先生をネットで探し、受診しました。その先生は泌尿器科の最後の救い主のような職人気質の方で、普通の泌尿器はすぐ尿検査をするのですが、尿を貯めてきてくださいという診断方針の先生でした。ベテランの先生の見立ては、子宮筋腫があるものの、痺れは排尿障害からきているため、過活動膀胱より違う薬が良いということで、新たな薬を処方されました。しばらくその薬を飲んでいてましたが、尿道口の痺れが治りません。そのうちに右足先つま先の痺れも大変きつくなり(実は3年前から痺れ出していて)、今回の新たな尿道口の痺れと呼応するかのようにびんびんと激しく痺れるようにひびくのです。
    もしかして子宮筋腫が大きくなり膀胱を圧迫し、それが過活動膀胱やその付近の神経を圧迫して、右足先の痺れの原因となっているのではと疑い、新たに婦人科を受診しました。婦人科での検査の結果、子宮筋腫は小さくなっており、そういった可能性は全く無い。治したいなら、神経内科へ行きなさいと勧められました。
    早速近くの神経内科を受診しましたが、可能性として脊椎の一番下の仙骨?や、そこから出ている神経になにか障害があり、尿道口と右足先の痺れになっている可能性があるとのこと。 ただ、MRIなどで検査しないと判断できないと言われ、そういう施設のある大学病院へ紹介状を書いていただきました。ところが、MRIを撮っても抹消伝導検査をしても異常が無いということで、結果的に薬を飲んで痛みを無くすしかないという結論になり、現在薬を飲み始めました。
    痺れは激しくて死にたい気分で、気が狂いそうです。何とか受診していただけるようお願いします。

    • 尿道口と足先の神経支配は同じS1です。つまり、この二つは連動というよりもS1神経根の炎症を意味していると思われます。泌尿器・婦人科・神経内科のどれも不正解であり、強いて言えば優秀な整形外科(脊椎外科)、か優秀なペインクリニック科の医師に相談しなければなりません。笑い話ですが、過活動性膀胱は泌尿器科でも婦人科でもまず治せません。おそらく何科に行っても治せません。しかし、私はブロック注射を駆使して80~90%の患者を治してきました。10~20%の患者はあらゆるブロックを行っても治らないことがありましたので、単純ではないと思われます。しかし、神経由来のものがほとんどであることが、治した経験が豊富である私の治療実績から明らかです。

       しびれの原因はS1由来と思われ、過活動性膀胱はS234が原因と思われ、おそらく仙神経に異常があると思われます。ただし、頸椎へのブロック治療で治る人もいますので、仙椎が全てであるとはいいきれません。まずは仙骨硬膜外ブロックをすることが先決です。

  2.  私も排尿障害と足底異物感に加え下肢灼熱感に苦しんでいます。「まずは仙骨硬膜外ブロックを」に該当する患者かと思われますが、実は一度だけですがそれを試し、無効でした。これを実施してくれたのはL4/5の除圧手術をしてくれた執刀医でペインの専門家ではありませんが、手馴れた様子ではありました。
     無効だった理由が気になってネットで調べ、「これかもしれない」と思ったのは仙骨硬膜外腔の線維化や癒着による詰まりで、注入した薬液が広がらなかった可能性です。エピドラスコピーで掃除した後に造影剤を入れるとそれが広がるようになり、仙骨ブロックも有効になるようです。エピドラスコピーは最終的に「高度先進医療」の指定から外されたようですので、今でも受けられる病院があるかどうかは分かりません。
     このように使えるブロックに制約があるかもしれない私でも先生に診ていただけるでしょうか。 

    • 仙骨部硬膜外ブロックをやってもらったということは幸せなことです。それが効かない=仙骨部硬膜外ブロックが効果なし、と誰もが思います。医師もそう思います。それが真実かどうか?を考えなければなりません。

       真実は「癒着のせい?」かどうかを知るためには、医師にも患者にも屈辱が用意されています。その屈辱を乗り越えられるほどの精神力がある者は、医師にも患者にもまず存在しません。治療には屈辱がたくさん用意されています。

       屈辱その1、あなた自身が仙骨部硬膜外ブロックが成功しにくい骨格や肉付き、破格(奇形)を持っているという屈辱。
       屈辱その2 ブロックを行った医師が(私に言わせれば)まだまだ未熟であるという屈辱。

       医師も患者も互いにこの二つの屈辱を認められないために、「癒着のせい」にされてしまう可能性があります。

       その可能性が何割程度なのか?私にはわかりません。が、この二つの屈辱を乗り越えられるくらい、精神力の強い医師、を私は今まで一度も見たことも出会ったこともないことだけは確かな事実です。

       私が何を言いたいか?はあなたも一度考えてみてください。私があなたを診療することは「どのくらいの価値」なのか?を考えてみてください。

       価値を理解できれば敬意が芽生え、敬意が芽生えれば「治癒確率が向上する」だけです。私は何度も言いますが、あなたに敬意を示されたところで、何も得することはないのですから。敬意が必要なのはあなた自身のためであることを何度も申し上げております。

       なかなか治らないものを治すのには患者自身が精神的に大人にならなければならないという真実につきあたるわけです。

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