延髄性呼吸困難症(新概念)

2017年治療成績

はじめに

あらゆる呼吸機能検査、採血検査、心機能検査などで異常がないにもかかわらず呼吸困難感が出現する患者は全国に多数存在すると思われますが、そうした患者は例外なく心因性と診断されることになっています。しかしながら、呼吸困難感が出現する状況として臥床時、高い枕、首の前屈長時間時、長時間座位での仕事時など姿勢が関与していると思われるケースが非常に多いこと、頸部交感神経節ブックで速やかに呼吸困難感が消失する例が多いことから、私はこれらの呼吸困難感の原因を心因性と診断することに極めて強い違和感を覚えています。


こうした呼吸困難感の原因は呼吸調整の受容体→延髄→脳への電気信号伝達の異常であると私は判断しています。つまり、脊椎のアライメント異常が根本に存在し、それが原因となって脊髄が尾側に引っ張られ→延髄・脳幹が緊張→延髄・脳幹の血行不良→舌咽神経・迷走神経・延髄の異常→呼吸困難感の出現、という機序を提唱すると共に、延髄性の呼吸困難感は頸部交感神経節ブロックで軽快させることができることを述べたいと思います。


延髄性呼吸困難感の仕組み

原因不明の呼吸困難感は呼吸調整を行う受容体(酸素・二酸化炭素分圧)からの信号が脳に伝わるまでの経路で間違った修飾を受けることで発生すると思われます。つまり動脈血の酸素分圧が低下(二酸化炭素分圧が上昇)していないにもかかわらず、そうであると脳に誤った信号が伝えられるということです。


この誤作動は生理的に健康な人でも起こります。例えば痛みを感じている時、不安や恐怖を感じた時などに、動脈血の酸素分圧が低下していないにもかかわらず呼吸困難感が発生し、呼吸回数が増えます。このように、健常な人でも精神的に呼吸困難感が起こり得ることから、「原因不明の呼吸困難感=心因性」と判断されるに至っています。


確かに、精神状態が呼吸困難感を作り出すことは理解できますが、これがすなわち、呼吸調整受容体―延髄―脳の経路に異常がないと断言する理由にはなっていません。現医学ではこれらを無理矢理「心因性」と判断しており大変残念に思います。


呼吸の受容体

  1. 頸動脈小体(内・外頸動脈の分岐部に位置)は舌咽神経を介して、大動脈小体(大動脈弓に位置)は迷走神経を介して、延髄の弧束核にPaO2低下とPaCO2上昇を感知(主にO2)した信号を送る。そこから吻側延髄外腹側野の外側旁巨大細胞核(呼吸中枢)に感知した情報が伝えられる。
  2. 延髄腹外側には髄液のph低下(CO2上昇)を感知する中枢受容体があり、ここでは完治した情報を吻側延髄外腹側野の外側旁巨大細胞核(呼吸中枢)に伝える。

 


呼吸困難感は呼吸中枢(外側旁巨大細胞核)に過剰な信号が送られると発症すると思われます。感情とも連動するので交感神経とも密接なつながりがあると思われますが、交感神経から呼吸中枢に至る経路は解明されていません。結論として呼吸困難感は延髄の弧束核、そして外側旁巨大細胞核の虚血や損傷で起こる可能性が高いと私は考えます。延髄の損傷を起こす原因の多くjが脊髄の過伸展であると推測します。


延髄損傷で呼吸困難感が発生する

むちうち損傷で延髄が瞬間的に強く引き伸ばされる、高い枕や側臥位での横枕で延髄に長時間の虚血ストレスがかかる、前傾(前屈)姿勢で長時間作業し延髄にストレスがかかる、頸椎の手術で術中の体位が悪く延髄を長時間過伸展してしまう、延髄の呼吸中枢に微小な血栓ができる、などの延髄損傷がきっかけとなり、過剰な信号がここに入力されることで呼吸困難感が出現すると考えます。


呼吸困難感の随伴症状

延髄が過伸展される場合、呼吸中枢のみが単独で損傷する(虚血状態になる)ことは考えられず、延髄の前後に存在する脳神経核の異常がほぼかならず併発すると思われます。


1、嗅覚異常(においに過敏・においがしない)2、眼精疲労・視野狭窄・かすみ目、3、眼球がひくひく動く、複視、4、三叉神経痛(目の奥、こめかみの痛み)5、味がしない、口がゆがむ、6、めまい、難聴、耳鳴り、7、舌のしびれ、口内の異常、8、肩こり、のどのしめつけ、9、動悸・発汗・頻脈、体温が低い、などです。不眠もほぼ必発と思われます。また、錐体路症状が発生してもおかしくありませんので、上下肢の脱力、首に力が入らないなどを伴っても何の不思議もありません。むしろ、呼吸困難だけが単独で起こる方がめずらしいでしょう。


延髄過伸展による症状は現医学では全く不明

延髄が過伸展されて様々な脳神経症状が発症するという発想は現医学では皆無ですから、これらは全て心因性と判断されます。よって患者がどれほど強く症状を医師に訴えたところで、医師の誰も相手にしてくれません(精神科医のみが熱心に話を聞いてくれるでしょう)。そしてうつ病、ヒステリー、不安神経症などといろいろな病名をつけてもらえます。


精神科以外の全ての科で呼吸困難感は「否定的」にとらえられるので、患者は仕事にもつけず、傷病手当金ももらえず、路頭に迷いますので、病名をつけていただける精神科医と依存関係に陥ります。精神科医の処方通りに薬を服薬すれば、各種保証(生活保護など)を受けられるので患者には疾病利得があります。よって精神科病名を受け入れるようになり、患者自身も自己暗示がかかり「呼吸困難は心因性」と刷り込む傾向があることが理解できます。


こうした現状が延髄性の呼吸困難感を医師が誰も研究しない土壌となっていることを激しく遺憾に思います。


延髄性呼吸困難感の治療法

 

頚部交感神経節ブロック

頸部交感神経節(もっとも有名なのは星状神経節ブロック)を行い、延髄の慢性虚血を解除することが最大の効果を発揮すると思われます。私はむちうち患者で呼吸困難感を訴えている患者に本ブロックを行いますと即座に呼吸が楽になるという臨床経験を何度もしていますのでブロックが即効性のあることを実経験しております。


心理カウンセリング

呼吸中枢を刺激してしまう要因として感情(交感神経)があります。よって感情をコントロールすることができれば、ある程度、呼吸中枢への入力信号数を減らすことができます。呼吸苦が出現した際に、自己催眠をかけ、眠くなるように暗示をかけてあらゆる刺激信号を遮断するように修行すれば、それだけでも呼吸苦をやり過ごせるようになるでしょう。また、不安が呼吸苦に連動するので、周囲の不安要素を考えないようにカウンセリングしてもらうことも重要です。ただ、これは原因を治療しているわけではありません。延髄に異常があることは変わらないと思われます。よってカウンセリングに傾き過ぎることは身の破滅を招きます。


寝具やイス、仕事環境を改善する

延髄へのストレスは脊椎を前屈させることで強まります。よって高い枕は絶対に禁忌です。また布団のマットレスに要注意です。薄く平らなものがよいという間違ったうわさが世間に流布していますが、平らな布団は脊椎を数か所で支えることを意味し、宙に浮いている脊椎部分には必ず重力のストレスがかかります。よって平らな薄い布団は禁忌です。理想は脊椎のカーブに沿うようにマットレスが凹凸してくれるものです。脊椎の全体で重力を均等に受けることが重力のストレスを最小限にします。よって寝具の調整は非常に大切です。


また、職場では机が低い位置にあると、長時間前屈を強制させられるので、作業場は高い位置に変えるように工夫します。そしてモニターなども目線の高さに置き、可能な限りした目線にならないようにします。これが呼吸困難予防の最低の環境整備です。呼吸苦が出現した場合は姿勢を変え、可能な限り冤罪の姿勢をとらないようにします。


カイロプラクティク

姿勢矯正も重要で、頸髄・延髄にストレスのかからない脊椎の位置を体に覚えこませる必要があります。それにはカイロプラクターに矯正していただくことが望ましいでしょう。ただし、効果的な治療ほどそのリバウンドには注意しなければなりません。以下にリバウンドの注意点を述べます。


リバウンド

極めて効果的な治療を行い、その治療が原因にヒットした場合、症状は著しく改善するでしょう。私は頸部交感神経節ブロックでその効果が非常に高いことを経験しています。しかし、原因箇所の血流改善を行うことで以下の二種類のリバウンドが起こる可能性があります。


 

  1. 神経細胞が元気を取り戻し、不快な信号をさらに伝えてしまう場合
  2. 一度血流が改善されて、回復に向かうが、薬が切れた頃に再び虚血が出現する場合

1と2は単独で起こるのではなく両方同時にからみあって起こると考えます。つまり、神経細胞が元気になった後に虚血が起こると、その症状は以前よりも強く感じることになるという理屈です。


リバウンドは効果的な治療を受けたほど起こり得る可能性が高く、多くの患者は治療を受けたせいで症状が酷くなったと誤解するでしょう。この時点で患者と医師の信頼関係は崩れ、治療が前に進まなくなります。


リバウンド経験例

私は頸部交感神経節ブロックを自分に注射してリバウンドを研究しています。リバウンドは薬の濃度を上げたり、量を増やしたりした際に起こりやすく、布団に入ってうとうとした頃に突然の呼吸困難が発生し目が覚めます。私の場合30秒程度で収まりますが、人によっては数時間、呼吸困難が出現することもあると患者から報告を受けています。患者はこのようにして起こるリバウンドをブロック注射のせいであると誤解しやすく、現場ではしばしばトラブルが起こります。誤解を解くのは極めて難しいと感じます。


また、実際にはブロック注射が呼吸中枢に悪影響を及ぼしている可能性は0ではないので、私としてはブロックが副作用として呼吸困難を発生させる可能性について常に注意しながら治療法を考えています。

こうしたリバウンドはカイロプラクティクの施術後にも起こる可能性があります。


他の薬剤治療法

血流を改善させる薬を用いるべきです。経口薬ではメリスロン、オパルモン、静脈注射ならリプルやパルクス、そして補助的にプラセンタなどを用いることを提唱します。基本的には延髄の損傷(炎症)が原因と思われますので、炎症を極めて強く抑制できるレミケードなども最後の手段としてありうると思われます(保険適応外です)。

延髄性呼吸困難症(新概念)」への10件のフィードバック

    • 勇気を持って投稿していただきありがとうございます。私は日常に起こる難病(現医学では治せない病気)を研究し、人々を苦しみから解放する努力をしている医師です。難病を治療するのは、普通の診療の何倍もの労力、精神力・時間がかかります。そうした何倍もの労力をかけてでも治療するのは、その治療法を確立するためであり、多くの人を救うためです。しかも世界の誰も行っていない難題に首を突っ込むわけです。よって、実際に難病におかかりの方は、ここにその情報を開示していただき、同じ症状に悩む多くの人達に参考になるものを記載していただきたいのです。私の治療を受けたいという前に、こういう難題に取り組んでいる医師への敬意がなければ、どのみち治療は進みません。あなたは医師に不信感を抱いていると思いますが、むしろ私の方が患者に、より強い不信感を抱いているということをご理解下さい。できればもう一度、ご自身の状況について投稿をお願いします。

  1. 10年以上前、自動車に乗っていてむちうち症になり、その2年後、電車に乗っていて右に首を回しすぎ、ポキンという音がしてから呼吸が苦しくなり、そのご首のポキポキと体がバラバラになる感覚が止まりませんでした。

    その後なんとかかんとか生きてきて、姿勢などで症状が落ちついたので、結婚し出産しました。2ヶ月前出産したのですが、その後首を右に回し授乳していたときから、左腕に力が入りにくくなり、寝て起きると首から下に力が入りにくくなりました。

    首や体の筋肉が勝手にうごき、断裂した感じになります。本当に苦しいです。MRIはまだ受けていませんが、どこが亜脱臼しているのであれば分かりますか。先生の治療だと、軽度の方のみ効くようなのですが。私はもう重度だと思います

    本当に怖くなって、整形外科・神経内科にも受診しましたが、本当に絶望的です。延髄損傷にいたる前に、何とかできないでしょうか。

    • 授乳の姿勢があなたの病気には最悪であることが「脊髄・脊椎不適合症候群」に書かれています。根本原因はおそらく延髄が下に引っ張られてしまうことで起こる「延髄の血行不良」でしょう。授乳時には赤ん坊をかかえ、首を下に向け前傾姿勢をとるため、延髄がひっぱられます。筋肉が勝手に動くのは上位の運動神経の損傷であり、これも延髄付近がひっぱられることが原因で起こっていると思います。亜脱臼という発想は正しいような正しくないような・・・カイロプラクティックに行けば治ることもありますし悪化することもあるでしょう。つまりばくち性が高いです。私の行う上頚神経節ブロックも有効ですが、鍼灸でも代用できるかもしれません。ですが、根本原因が日常生活にあるので、治療をたった数時間行っても、その後の大部分を悪い状態で過ごすため、治療効果が出にくいと思われます。この手の病気に西洋医学は無力ですので、自分で日常生活を工夫していくしか方法がありません。このまま行くと、育児ノイローゼで自殺願望が出現する可能性があります。そのまえに手をうたなければなりません。崖っぷちですので、日常生活をどうすればいいの?と他力本願にはならず、自力で「前傾姿勢をとらない」「寝具を購入する(西川のむあつを推奨)、まくらを項にフィットできる小さなものにする(形を自由に変えられるものがよい)、育児を誰かに協力してもらう・・・などを本気で考えるべきです。私に答えを求めるのではなく、自分で快適になる姿勢や運動、生活を発見しなければなりません。誰かの書いた本や雑誌を真似てはだめです。こたえは自分が見つけるのです。命がけでやってみてください。

      • 詳しくありがとうございます。

        おっしゃることがとても良くわかります。姿勢の改善は有効ですが、私にとっては対処療法に感じました。

        それよりも気になる症状は、以下です。

        筋肉が勝手に動くのは上位の運動神経の損傷であり、これも延髄付近がひっぱられることが原因で起こっていると思います。亜脱臼という発想は正しいような正しくないような>>

        とても納得できます。上位の運動神経の損傷というのは、一般的な医療で理解されないのでしょうか。治療法はないのでしょうか。

        一番怖いのは、ポキポキがもう気泡がないのか、軟部組織がこれ以上ないくらい損傷している感覚です。妊娠中はなんとか大丈夫でした。

        西洋医学ではどうにもならないとのことですが、首の固定をするしか方法はないような気がします。リスクはありますが。それでなければ、この勝手に首が動くことによってそのうちに麻痺、または死に至るのではないかと思っています。

        • 治療法はあります。上頚神経節ブロックです。ただし、効果が上がるか?はあなたが対症療法とばかにしている日常生活や生活指導にかかっています。この意味がわからないようなら、そもそも治療は成功する確率が低いものとなります。首の不随意運動にどれほど効果が出るかは不明ですが、残されている治療法は上頚神経節ブロック、頚部硬膜外ブロック以外にはないと思います。これらのブロックは延髄や脳に行く血流を増やすものです。このような私の話しを信じるか、信じないか?はどうでもよいことです。結局のところ、自分を信じられるか?にかかっているだけです。この意味がわかりにくいようでしたらこちらをお読みください。難病にトライするには、治そうとする己の意志の強さと、他力本願にならない「自分を信じる力」が必要になります。

  2. 75才になった男です。この2、3年体力が弱り、次の2点で苦しんでいます。
    ①1年ほど前から呼吸困難感がある。X線CTや肺機能検査では肺気腫ではないが、その軽度のものかもわからないという診断を受けています。しかし、この程度でそのような症状は普通起きないとのこと。気管支拡張剤を吸入していましたが、ほとんど改善せず現在は休止。
    ②目まい、ふらつき。10年来のものですが、脳幹部の血流不全が原因ではないかということです。メリスロンやアデホス顆粒を服用していますが、ほとんど効果なし。最近は軽減するのに時間がかかります。記事を見て、どちらも脳幹部の血流不全ではないかと思っております。
    先生の上頚神経節ブロックを受けてみたいと思いますが、岡山なので1週間ごとの通院は実際問題無理です。

    • 奈良県に上頚神経節ブロックができる医師がおりますので紹介差し上げます。

  3. 私の妻はこの8月初頭に歯科矯正器具装着後その日から、酷い呼吸困難発作に怯えています。四六時中ですが、特に就寝時には自身でコントロールできないので本当にひどい睡魔に襲われるまで眠れず、2-3時間後には酷い呼吸困難感で起きてしまうといった状態です。従って不眠の日も多いです。
    鼻から喉の完全閉塞感があり、耳鼻科、呼吸科、内科等の先生方に診て頂きましたがやはりよくわからず、心理面の原因を可能性としてご提示いただきました。
    今や本人の体力も限界に達しており診察いただける医師の方がいらっしゃるのかお教えいただきたく存じます。(長野県に居住しております。)
    また、外傷性とすれば、器具を装着した2週間後にはこれが原因かと気づき外していただいたのですが、外した瞬間解放されたと感じたと同時に、次の瞬間にはまた同じ圧力を感じ始めそれが続いており、まだ外傷を受け続けているのかということも疑問に思っております。
    何卒ご指導の程、宜しくお願い致します。
    このサイトに出会えたことを妻共々大変うれしく思っております。

    • 歯科矯正器具が直接原因ではないとしても、何かの引き金をひいてしまったと思います。それは今の医学・今の科学で解明できない領域の事件ですので、病院で診断を仰ぐことは間違っています。私たちは西洋医学をしっかり学び、研究した上で、心霊や波動などのオカルトの領域も含めて治療をしようとしています。その理由は、西洋医学の技術だけでは解決できない病気の数々を専門的に診療しているからです。呪いのたぐいまで研究しております。

       さて、そのような医師が私以外に存在するかという話ですが、私はまだ弟子を持っておりませんので長野県に運よく私のような医師がいるかといえば、残念ながら紹介できる者はおりません。お金は多少、かかることを覚悟の上、優秀な代替治療師たちの治療も受け、かつ私の治療を受ける以外に良い方法はないと思います。優秀な代替治療師は私が紹介します。こちらは東京ですが、万難を排して治療計画を立てることをお勧めします。

       治るのか?と質問したいと思いますが、治る治らないよりも、可能性に賭けるのであれば、私のところに来る以外にないと思います。様々な分野の優秀な治療師を紹介できるからです。

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