脊髄緊張性頭痛の存在を発見

はじめに

私は他の医師にかかっても治らない、原因不明、よって心因性と診断された慢性の疼痛患者を専門に診療してきました。その結果として、現時点で不可解な頭痛・ふらつき・呼吸困難感などを訴える患者を4例抱えています。4例の患者には全例に、脳幹の血流量を上げる目的で上頚交感神経節ブロックを行いましたが、その全例で注射後に必ずリバウンドが起こりました。リバウンドとは一時的に症状が悪化する現象です。恐らくリバウンドは一過性に虚血に陥った箇所に血流が再開されることで生じると推測され、これは古典的片頭痛と原理的には同じではないかと考えます。私の抱える4例は一過性の虚血が三叉神経(脳幹)や後頭神経(C2,C3)に生じているのではないかと思われるのです。そして血流が再開したときに頭痛やはきけ、ふらつき、呼吸困難感などが起こるのではないかと思われます。この推測は、偶然にも私が寒い診察室で徹夜し、コートを着たまま診察台の上で仮眠をとった際に、4症例と同様な症状を私が体験したことがきっかけです。頸髄が緊張する姿勢で就眠すると、延髄や脳幹が尾側に引っ張られ、一過性に脳幹や延髄に血行不良が起こるという病態を考えます。難治性の4例は姿勢や寝具、椅子などを改善させていけば治癒する可能性があり、カイロプラクターと共同で研究を進めれば、完治させていける可能性があると考えました。


頭痛と呼吸困難・吐き気を感じた一夜

私は自分の診療所で作業を行い、終電をのがしたため診察台の上で寝ることを試みます。寒いので分厚いコートを着たまま高さ7cmの診察枕で仰向けで寝ます。30分もすると酷い肩こりが起こり目が覚めます。そこで起き上がり、診察台の上で正座して軽く伸びをします。するとうなじに血流が再開したような感覚と同時に拍動性の頭痛がこめかみと後頭部に起こり胸鎖乳突筋が痛くなりました。私は古典的片頭痛の持病があり、血流が再開した時の拍動性の頭痛をよく知っていますので、「この痛みはまさに血流再開の際の痛みだ」とピンときます。


今度は横向きに寝ます。7cmの枕は横向きであると低すぎるので頸椎に負荷がかかります。すると10分程度で再び肩こりが起こります。この肩こりを治すために、横向きのまま伸びをします。すると前回と同様、血流が再開する感覚と同時に拍動性の頭痛が起こります。それでも無理をして横向きのまま寝ることにします。するとその10分後には呼吸困難と吐き気が出現し、息苦しさのために起き上がります。起き上がって軽く運動をすると呼吸困難はすぐにおさまりました。


次にコートを脱ぎ、これを掛布団のようにかけて寝ます。すると肩こりはあまり起こらず(多少は起こるが)数時間寝ることが出来ました。このエピソードはコートを着たまま寝るということが脊椎のカーブを悪化させ、その結果脊髄が引っ張られて一過性に脳幹や延髄が虚血に陥ったためであると推測しました。その後に起こるこめかみと後頭部の頭痛は、血流が再開した時の血管拡張性頭痛と考えます。この推測は「再現性があること」「姿勢をよくすると即座に軽快すること」からある程度信用性があるものと考えます。


めまい・難聴・耳鳴りも脊髄緊張由来である

今回、私はこめかみの痛み、後頭部・胸鎖乳突筋の痛み、呼吸困難、吐き気という症状が現れましたが、脊髄が緊張し脳幹・延髄が虚血状態となり生じる症状は人によってまちまちです。ある人は耳鳴りが起こり、ある人は難聴が起こり、ある人はクラクラします。呼吸困難だけが起こる人もいるでしょう。よって一連の脊髄緊張が原因と思われる症状は一定しません。また、脊椎がもともと変形・ずれ・弯曲などを起こしてしまっている人は、普段の姿勢で(悪い姿勢をとっていなくても)こうした脊髄緊張症状が出る可能性があります。


脊髄軸異常は難治性

私のように、分厚いコートを着たまま寝るというように物理的に脊椎の軸を変えることで症状が発症する場合、そういうことをやめれば症状は改善します。しかし、もともと軸が歪んできている人の場合、それを治すことはとても難しいことです。よって脊椎軸異常の人は難治性となります。しかし、難治性とは言っても、高齢になれば誰もが椎間板がつぶれて身長が低くなり、脊髄がだぶついてきますので緊張しにくくなります。よって、難治性の人も高齢になると自然治癒すると思われます。


 

カイロプラクターと寝具会社との共同研究は必須

脊椎の軸異常に起因する脊髄緊張は、現医学では全く知られていない病態です。しかし、実際には数多くの脊髄緊張性の症状をお持ちの方がいると思われ、できるだけ早く研究を進めなければなりません。そのためにはカイロプラクターによる脊椎軸の矯正のガイドラインを作っていく必要があるでしょう。そして実際にX線写真を撮りつつ、徒手整復手技で軸がどのように変わるのか?を示していかなければならないでしょう。そして寝具が実は極めて重要であり、寝具開発を共同で行ってくれる寝具会社の方々の協力が必要です。どなたか名乗りを上げていただければ助かるのですが…

脊髄緊張性頭痛の存在を発見」への4件のフィードバック

  1. 数週間前コメントしたカイロプラクターです。
    私より適任の優秀なカイロ師はたくさんいらしゃいますが、
    誰も手を挙げなければ、私が先生にビフォー・アフターのレントゲンをお送りしましょうか?
    協力していただける整形の先生が近くにいらっしゃるので、コピーはいつでも借りれると思いますので。

    • ビフォー・アフターに大変大変興味を持っております。ぜひ研究してみたいです。わたしからも連絡差し上げますが、今は開業準備でどたばたしておりますので、落ち着いたらぜひよろしくお願いします。

  2. はじめまして。地方の整形外科開業医です。
    昨年末、ケナコルトについて調べていたところ、このHPにたどり着きました。

    先生のケナコルトについての詳細な分析や理論、また傍神経ブロックの話など、数多くの内容に感銘を受けてしまいました。
    私のこれまでの整形外科医人生の中で率直に感じた事、疑問に思った事、考えた事がことごとく先生のページに説明してある感じがして・・ 大変驚きました。先生は真実を語っていると思います。

    今回の脊髄緊張についても、自分的な考察では症状を出す病態ではないかと考えておりました。MRIで後弯した頚椎の背に乗るように窮屈そうにしている脊髄をみると、いかにも症状を出しそうですし。
    交通事故では脊髄の緊張が瞬間的に強く生じ、不可逆的損傷となるため、はきけ、めまいなどの不定愁訴となって残存するのではないかと解釈していました。

    自分がクリニックを開業するとき、オーダー枕を作っている寝具屋さんと関わる事がありました。お店にはお客さんの感謝の手紙が沢山届いていました。実際に目を通したのですが、決してやらせではなく、枕は明らかに効果を出していると感じました。寝具は重要という考えに賛成です。

    日々の仕事が忙しくて実現できていませんが、どういう形状の枕で頚椎アライメントがどう変化するかは調べたいと思っていました。研究に参加できればと思います。

    これからも様々な情報交換をして頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。

    • 実は私も4月から開業することになりまして…おかげで研究が進まない可能性が出てきました。しかし、協力者がいれば全体で前に進むことができると考えています。高齢化社会において高齢者用の寝具開発が急務ですので、業者も参入させて寝具開発に取り組むべきと思います。先生のような理解者が一人でも多く出てきて下されば、状況が変わってくると思います。お忙しいとは思いますが、ご協力のほど、よろしくお願いします。後ほどメールさせていただきたいと思います。

A.H にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です