脳梗塞後遺症に革命的な新治療紹介

脳梗塞後遺症患者に上頚神経節ブロックを毎週×9回行ったところ、右片麻痺による右上肢の巧緻性障害が最近2か月間で急激に改善し、右の尖足若が若干改善、左耳の感音性難聴が5割程度回復しました。現在も治療の途中ですが経過を報告します。本論文は1例報告であり、未熟な文章ではありますが、一刻も早く、現在脳梗塞後遺症で悩んでおられる方々に朗報を伝えるために報告させていただきました。現在の続報が文末にあります

症例 76歳女性

現病歴 H23.6 言語障害と右上肢、下肢の麻痺が突然出現。そのまま1日自宅安静で様子をみたが症状が軽快しないため近医を受診。脳梗塞の診断で入院となる(特に処置せず)。退院後はリハビリ通院となり、言語障害はほぼ回復、右上肢は巧緻性が低下しているが杖歩行は可能、右下肢は尖足のため短下肢装具着用という状況まで回復した。また、脳梗塞とは別にH25.3頃から徐々に左耳が聞こえにくくなり、最近ではイヤホーンからの音が全く聞こえなくなる。しかし耳鼻科に行ってもどうせ治らないだろうと自己判断し補聴器を購入、しかし補聴器をつけても左耳の聞こえは悪いという。H25.9右頸部痛、右膝痛を主訴に私の外来を初診。彼女との治療のやりとりがここから開始された。
 

 現症(H25.9時点)

右頸部痛により頸椎の右回旋ほとんど不可、右下肢・大腿から下腿外側にかけての鈍痛・だるさあり、右上肢巧緻性障害あり(野菜の皮むきが不可、包丁が使えない、字が書けない)、言語障害なし
  • 治療:右C6 ルートブロック 右L5ルートブロックを行う
  • 経過1:右頸部回旋時痛は激減し可動域が回復、右下肢鈍痛はVAS10→5 歩行動作が軽くなる
  • この結果を受け、右下肢の鈍痛と重さは脳梗塞由来ではないことが判明→腰部硬膜外ブロックを行う→杖をつかなくても歩行可能となる。
  •  以降、1~2週に1回の頻度でC6,L5ルートブロック、腰部硬膜外ブロックなどを続け、頸椎の可動域が改善、歩行能力が大きく向上(杖不要)した。彼女は私のブロック治療の効果を奇蹟的だと思ったという。なぜならば、これまで他の医師たちに右下肢の機能不全は回復することはないと宣言されていたからだ。ところが私の治療後、右下肢の筋力は一部を除いて左下肢の筋力の8割程度まで回復した(足首を背屈させる筋力は戻らない)からである。彼女はもしかすると難聴も治療してくれるかもしれないという期待を持ち、H26.3左耳がほとんど聞こえないことを私に初めて訴えた(私は整形外科医です)。
 
経過2:私はまだ試験的であるが、上頚神経節ブロックで難聴が治る可能性があることを彼女に説明した(すでに上頚神経節ブロックで耳鳴りやめまいを完治させている実績があるため)。彼女はブロックを受けることを快諾し、この日より週に1回の頻度で上頚神経節ブロックを開始することになる(詳しくは上頚神経節ブロック手技を参)。以下に治療経過を表記する。
1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 8回目 9回目
難聴 音大となる 音が割れる 音清明となる 音が右の半分
皮むき × × ×
千切り × × × × × × ×
尖足 × × ×
 
  • H26.6現在、9回目の上頚神経節ブロックを終えた時点で
  • ほとんど全く聞こえなかった左耳感音性難聴は右耳の半分程度の音量に聞こえる。
  • 野菜の皮むき作業がブロック4回目以降できるようになった。
  • 大根の千切り作業がブロック8回目以降できるようになった。
  • 尖足はブロック4回目以降、わずかに背屈がしやすくなった。

治療結果まとめ

本治療は脳梗塞後遺症を治療するために開始したわけではありません。感音性難聴の治療として始めました。しかしながら治療回数を重ねていくうちに右上肢の巧緻性が急に回復しはじめ、以前は皮むき器が使えなかったのに、それが使えるようになり、さらに包丁が使えるようになり大根の千切りが可能になりました。右足の尖足も「足が背屈しやすくなった(他動)」と言います。これらの急激な変化はブロックを行い始めてからの変化であり、彼女も「ブロックがきっかけで手が使えるようになった」と感じています。よって右片麻痺における巧緻性障害の回復は上頚神経節ブロックの効果と推定しています。感音性難聴の治療を目的として行いましたが、そのおまけとして脳の機能が回復してきたという偶然であり、私も大変驚いています。
感音性難聴は、ブロック回数を重ねる度に症状が改善していますので、ブロックによる効果で間違いないと判断します。ただ、オージオグラムを用いているわけではありませんので客観性に欠けますから、今回の結果は参考とし、今後の研究では最初からデータを収集しながら治療経過を追跡し、MRI画像なども比較しながらエビデンスをとりたいと思います。
 

考察

1998年慶應義塾大学医学部、岡野らが大人の脳にも再生能力のある神経幹細胞が残っていることを発見しました。よって壊死した脳細胞も再生される可能性があると言えますが、脳梗塞や高齢者の脳の萎縮する原因は脳血管障害による脳細胞の阻血にあるわけで、血流が再開しない限り脳細胞の再生はないと言えるでしょう。問題は脳細胞自身ではなく、血管にあります。萎縮した脳が回復するには局所の血流量が回復する必要がありますが、上頚神経節ブロックはそれを可能にします。上頚神経節は頭蓋内の血管平滑筋を支配しているのでここをブロックすれば頭蓋内の血管が拡張し、血流が増加し、側副血行路にも血液が多く流れるようになるでしょう。よって脳の血流量が低下することによる脳神経細胞の萎縮に関する疾患のほとんどを、上頚神経節ブロックは改善させることができる可能性があります。認知症やパーキンソン症候群、老人性うつ、食欲不振などにも効果が期待されます。

上頚神経節ブロックのリスク

上頚神経節ブロックは血管を拡張させる治療ですからワーファリンなどの抗凝固剤、バファリンなどの血小板抑制剤を服薬している場合、脳出血のリスクが高まると思われます。よって出血傾向の見られる薬を使用中の患者では、本ブロック後半日は安静にしておくなどの脳出血予防策をとっておくべきでしょう。高血圧による脳動脈破裂のリスクは、血管が拡張することにより逆に低下すると思われますが、脳出血の既往がある者ではリアルタイムに出血が起こっていると、本ブロックが出血を助長すると思われるので禁忌となるでしょう。

脳梗塞後の補助療法として

微小脳梗塞は加齢と共に日々起こっています。これがまだらボケの原因になっていますが、本ブロックはそうしたまだらボケに効果が期待できるでしょう。普段から行っていればボケ防止にもなりますし、脳梗塞が完成した後の後療法としても効果が期待できるでしょう。また、微小脳梗塞の結果としてのパーキンソン症候群の治療に効果が期待できますので、今後、その成果を報告していきたいと思っています。

本治療は世界の高齢化社会を救える可能性

本治療は特別な治療法ではなく、上頚神経節を表面麻酔剤でブロックするという比較的簡便な手技で行えます。効果のエビデンスとリスクに対する調査が完成すれば世界に広がり、この高齢化社会に大きく貢献できるでしょう。国家の要人が脳梗塞に陥った場合にも威力を発揮してくれるでしょう。本治療を研究するにあたっては脳外科医の協力が不可欠です。よって本治療法に興味のある脳外科医の先生を募集します。一緒に研究を進めていきたいと思っています。

本論文について

本論文は1例報告というよりも、共同研究者、または共同でなくとも自発的に研究してくださる協力者を募るきっかけとして掲載させていただきました。脳の萎縮の経年変化や治療成果をMRIで追跡するなどを行うとエビデンスを得るためには5年以上を必要とするでしょう。そのきっかけとしての掲載です。

続報1 

2014.07.17 毎週上頚神経節ブロックを行っていますが、症状改善の続報です。右上腕二頭筋の拘縮が最近数週間で改善されました。以前はお箸を右手で口まで持っていくことが困難でしたが、それができるようになりました。さらに、右第3~5足趾が底屈(屈筋群の拘縮と伸筋群の麻痺による)が改善され、足趾が伸びるようになりました。このおかげで歩行が安定し、鶏歩がかなり改善されました。また、左耳の難聴に関しては、右耳の6割5分程度まで改善し、前回(5割)よりも向上しています。

続報2

H26.12.26.現在 治療開始から1年半、自分の名前を漢字できれいに書けるようになりました。さらに呂律が回りやすくなりました。若干、足が背屈できるようになり、装具を外しても尖足になりにくくなりました。左耳の音の聞こえはほぼ右耳と等しくなりました。しかし、左耳は音が割れるので聞き取りにくい状況は今も変わりません。

続報3

左耳の聞こえがよくなったことが逆にストレスになるとのこと。理由は音が割れているからです。割れた音は騒音になり逆に聞こえにくいというので、治療を終了としました。これにて続報は終了となります。H27.1. また、治療を止めても、手足の動きが悪くなるということはないので、本人は満足しているとのことでした。

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