第八十六話 気の周波数

 奥様がご加持を始めてようやく4か月が経ちました。4か月と言えば全くのひよっ子です。ですが、開始4か月のひよっ子の治療成績は、医師歴25年の私の治療成績を超えてしまっています。もちろん、私の治療もそれなりに神技なのですが、その神技でも治せない症状を治したり、私よりも治療の効果時間が長いという結果を出します。

 違いがはっきりわかるのが股関節の治療成績です。変形性股関節症の患者様は変形が進行すると痛みと可動域制限のために日常生活が極めて困難になります。今の医学では手術しかこれを救う方法がありません。が、私はそれを股関節内注射によって改善させるという他の医師たちにはできない技を持っています。

 その技術を持ってしても、3週間くらい経つと徐々に痛みが戻ります。

 ところが、奥様がこのような患者様にご加持をしますと、なんと2か月近く痛みが抑制されます。3人の患者に行って3人ともそうなので偶然ではありません。奥様の力を認めるしかないでしょう(※労働量の激しい方の場合は例外もあります)。

しかもそのうちの二人は「注射は結構ですのでご加持だけ」の治療を希望するようになってしまいました。つまり、患者は私の治療よりも奥様のご加持の方が効果が高いと感じているようなのです。

 こんなふうにして、私たちは現医学で治せないものを改善させるができるので、医師や医学部の教授も患者としてたまに来院します。自分の大学にはかからず私たちのところへ来るわけですから、私たちの治療力が現医学レベルを超えていることが密かに認められているように思います。

 そんな中、今日も私たちのところへ九州から医師のT先生が治療を受けに来ました。自律神経失調症に悩んでいます。もちろん現医学では治す方法がありません。

 そこで奥様の出番です。T先生は自律神経失調症のため体温の調節能力が低いのか、冷え症で厚着をしています。奥様のご加持は手のひらで全身を触っていき、気を送るというやり方なので、厚着の患者はどうも苦手だと言います。

奥様の施術後に私は「どうだった?」とたずねると

「体があたたまりにくい」と言います。

あたたまりにくいという表現は一般的な意味での熱ではありません。霊能者が「あたたかさ」を感じるのは「気」です。気を注入しているのに、患者の細胞が「気で満ちて来ない」ことを意味します。

 気が満ちて来ない理由は、患者の体内の気がほ枯渇している、気が何かに遮断されている、気を入れても何者かに奪われている、かのどれかが考えられます。

「Tさんの自律神経失調はてごわいからなあ」と奥様に言い、私はT先生への硬膜外ブロックの準備をします。

 私のブロックは胸部硬膜外ブロックという結構難しい注射なのですが、そのときにシャツを肩の高さまでたぐって上位胸椎間に注射しました。私のブロックの後、再度奥様はご加持にチャレンジします。手ごたえをつかむまでご加持を行うのが奥様のやり方です。

 T先生はご加持の時に

「ご加持っていうから、紙と木で作ったご加持の道具で神社のお払いみたいにすると思っていましたよ」

という笑い話になりました。

「そうしたら、全然そんなのじゃなくて、手を当てていくだけなんですね。手から何か波動が出ているということなんですね。」

とT先生はにこやかにいいます。

「そうですね。波動を入れていく感じです。」と奥様。

「・・・あの~ すみませんが、そのシャツをめくってもらえますか?」

「あ、これですか?このシャツ、ヒートテックなんです。あ!もしかしたらこれって邪魔ですか??」とT先生。

「うん、なんか・・・そうなんです。なんか気になりまして。」

という話になって、奥様が肌に直に手を当ててご加持をし始めました。すると

「うわあ~さっきと全然違う。いきなり通りが良くなった」と奥様が驚きます。

これは大発見です。奥様のご加持で出力されている波動はヒートテックで遮断されるというのであれば、はおそらく赤外線の周波数に近い波動だろうと推測されるからです。

藁科研究室HPより

「前、言ってたよね。波動の周波数のこと。赤外線がどうのこうのって。」と帰りの車の中で奥様が私に訊ねます。

「言ってたよ。波動の周波数は電磁波よりも高く赤外線よりも低いくらいの周波数帯だってことだよね。」

「そうそう。だからヒートテックだとご加持の気が通らないかも」

「なるほど、そうかもしれないね。これは勉強になったなあ」

「セーターとかちょっとふくよかな人はどうかな~・・・。あっ、でも太っている人でもボッ!って着火したみたいに気が回る人もいたっけ。Uさんがそうだった。」

「あの太ったALSの人ね。」

「そうそう」

 奥様から出る波動?気?の正体は未だに不明ですが、なぜヒートテックが気を通しにくいのか?は今のところ全くわかりません。ヒートテックに用いられているレーヨンという素材は水を吸収して乾きにくいという性質があるそうです。すると、その「水」が気を通しにくい(吸収してしまう)とも考えられます。

 そう言えば、奥様は「汗かきの人には気が通らない」と言っていたのを思い出しました。

 奥様の出す波動により、パソコンの画面がおかしくなったり、クレジットカードが破損したり、電燈がついたりきえたり、車のシートが勝手に動いたり・・・そして実際に熱く感じることなどから推測すると、やはり電磁波や赤外線周辺の周波数の波動なのかもしれません。

 奥様から出ている波動の周波数は未知ですが、近赤外線、赤外線、遠赤外線などが混合されて出ているのではないかと私は推測します。さらに、現代の科学では未発見の波動も出ているかもしれません。

 ヒートテックで「気が入りにくかった」という事実は、そうした奥様の手から出る波動の謎を解く鍵になりそうです。

奥様はまだ4か月目のヒーラーなのに、恐ろしい速さで治療技術が向上しています。私はすでに医師25年目にして追い抜かれています(苦笑い)。

 ところで、お札を熱く感じると奥様は言いますが、私がお札に触っても熱く感じません。だから、お札からは私にはわからないけれど奥様にはわかる波動が出ていると推測されます。しかし、木のお札からどのようにしてエネルギーが発せられるのか? 私が少しくらい考えてもわかりそうにありません。

 だからこのような話は全てオカルトなのか?と思われがちですが実はそうでもないのです。実際に世界の科学者たちが量子力学を用いてその答えを出そうと研究しています。近い将来、ここで議論した内容の原理が科学的にわかるかもしれません。みなさんが考えている以上に科学は進んでいます。ただし、それが一般大衆にまで伝わっていません。

 ご加持でさえも科学的に解明しようとする動きがあるということを付け加えておきます。