第七十一話 温かい御守

 前にもお話しましたが、奥様の手から発せられる波動は患部に吸収されると熱を発します。患部以外のところでは熱がやわらぎます。だから波動が熱を出しているのではなく、奥様の手が熱いわけでもなく、熱の原因は患部の細胞が出す波動との共鳴によって生まれているのではないかと私は推測しています。奥様の波動を受けた患者たちは口を揃えて「温かいわねえ」と言います。まあ、考えても理解不能です。

 そして理解不能なことがもう一つ。

奥様は寝ている時に異様なほど暑がるようになったのです。冬だというのに布団を蹴飛ばし、そして汗もかきます。

それがまた超能力の高まりときっちり比例しているように思うのです。日増しに暑がりになっています。

 では寒がりではないかというとそうではなく、外に出るときは私よりも寒がりです。

 どうも奥様が受ける波動と体温(発熱)が関係しているように思えます。

 さて、今日は8千枚護摩の行の翌日です。奥様は診療所に到着して間もなく

「なんだかずっと温かいんだけど。この御守。」

「えっ? どれどれ」と言って私もその御守を触らせてもらいます。

「ん~~確かになんとなく温かい気がするね。でもそれほど温かいとは思わないけど。」

「そう? でもポケットに入れて置いたら股関節のところがずっと発熱してるんだけど。ホカロンみたいに。」

「そうなんだ。で、その御守はいつから熱いの?」

「実は昨日ね、8千枚の護摩焚きの火にこの御守をかざしておいたの。で、今日、ポケットにいれたらずっと温かくて・・・それで時間が経つと温かくなくなるかなあと思ってたらずっと温かいの。」

「へえ~、でその御守はどこで手に入れたの?」

「これはどこにでもある普通の御守。N寺で買った。どうもこの御守から波動が出てるみたい。」N寺は師のお寺です。でも、火にかざす前はこんな発熱はしていなかったと言います。

「それ、ご加持の時に持っているといいね。」

「そうなの。今まではお香を手に塗ってからご加持してたけど、今度からこの御守も身に着けていればもっとうまくいくと思う。」と奥様はうれしそうでした。ただ、私はお守りが熱いとは感じませんでした。

 次の日は診療所が休みです。家で二人で書き物をします。ちなみに私も奥様も書籍を出版していまして、両者共に作家です。書き物は互いにめっぽう速く書けます。

 ふと私はこの「奥様は巫女」の記事を書きながら奥様に言います。

「御守のことだけど、今どこにあるの?」

「バッグの中」

「今も発熱するか試してくれる?」

「いいよ」

ということで奥様はバッグから御守を取り出します。と、そのとたん

「うわあ~すごい。目にしばしば来る。目を開けてられない。」といって目を細めます。

「これ、強い霊を感じた時と同じ。」

「じゃあ、手に持ってみて」

「わあ~、熱い」と言いつつ、奥様の上半身が回旋しはじめます。トランスに入る前段階です。頭まで痛くなったとようです。

「しかも何か来た」と霊がよってきたことを感じます。右手がしびれてくることでわかるようです。まあ、私の母親かもしれませんが。

「すごいね。その御守。よほど強い波動を出してるんだね。」と私は奥様に言います。

「でもほんの数分間火にかざしただけなんだけど。」

「ほんの少しでもこれだけの波動が出るってことは、分身に込められた波動はもっとすごいんだろうね。」

 こうして奥様の周りには次々と強力な波動を持つものが集まってきました。家にはすでにお札があり、奥様は毎朝お札に向かってお唱えしています。

「御守のせいで余計に体が熱くなったのかなあ? だって、今朝も布団はがして汗かいてたもんな。」

「いや、そうじゃなくて、お寺で護摩を焚く時間になると熱くなるの。お札も家にあるし、つながっているからだと思う。」

「そうか、護摩焚きの時間に熱くなるのか・・・」と納得します。確かにお寺の波動と奥様はリンクしていると思うことがこれまでも何度もありました。今後はさらに強まると思います。