認知症の治療成績(2017)

認知症の根本治療として上頚神経節ブロックを行っているのは、おそらく全世界で当院のみであると思われる。認知症の根本原因の一つとして脳血管の障害があり、それに伴うアミロイド沈着がある。上頚神経節ブロックは脳血管を拡張させる治療であるから、血流障害に伴う認知症には特効となると考える。

全6例中

2例は認知症 4例が認知症予防症例

治療成績

  • 症例1 短期記憶MMSE19点→24点以上に数か月で劇的に改善 現在は病識が出現
  • 症例2 点数不詳 短期記憶障害があるが進行せず(月に1回のゆったり治療)
  • 症例3~6 認知症ではないが記銘力低下の改善、意欲の向上、運動神経の向上を全例自覚しているため月に1回の継続治療を行っている。

考察

認知症治療の場合、治療を受ける理由を患者自身が理解できないためブロック注射を行う際に患者の同意を得ることができない。幼児のように抵抗して暴れる患者には施術不可。よって当院の認知症治療はある程度軽症であるか、認識ができなくてもよいのでおとなしい性格であるかのどちらかが要求される。
進行した認知症症例は治療ができないので患者を連れてくる家族に英断が必要である。認知症の経口薬が開発されているが、どれも血流障害という根本原因を治すことができない。残された家族の悲惨な介護生活を想像すると、進行する前にブロック治療に踏み切ることを提案する。認知症治療は認知症だけに効果があるだけでなく、当然ながら記憶力や計算力、言語能力などを向上させることにも効果がある。よって小児の学習障害にも期待できるものである。
当院では症例7として交通事故後の記銘力障害を改善させた例、症例8としてフォークリフトの事故後に物忘れが激しくなった例の改善を経験している。改善度を調べる判定テストを行っていないが、患者本人から記銘力が改善したことを聞いている。
短期記憶MMSE19点→24点以上に数か月で劇的に改善した例は奇蹟的な改善例であり、この成果を世間が認めるか否かが認知症治療の将来の展望に重くのしかかっている。