薬物離脱症状

これまで内服していた鎮痛薬・抗うつ薬、向精神薬などを減薬したときに起こる様々な不定愁訴を薬物離脱症状という。その症状は痛み、虚脱、不安感、むずむず、イライラなどとても耐え難い苦しみである。ヘザー・アシュトン博士がベンゾジアゼピン系薬物離脱のマニュアルを作成し離脱の方法を模索しているが、現実は極めて厳しく症状を軽快させることは非常に困難である。漢方薬などで離脱症状を抑えることが唯一の方法であるが、当院では上頚神経節ブロックを用いて根治に向かわせるという極めて稀な治療法を行っている。その治療成績を示す。

全8例(2017年新患7例+2016年からの継続1例)

全治2例 著効5例 無効1例

全ての薬剤を離脱できた例を全治、減薬し症状が軽快した例を著効、とした。

考察

上頚神経節ブロックは薬物離脱症状に対し絶大な効果を発揮した。
8例中無効例が1例で有効率は87.5%と高い。無効例はブロックを6回行ったが症状が全く軽快しなかった例である。
当院ではこのように奇蹟的な治療成果をあげているが、一般的には薬物離脱症状は打つ手がない。よって、薬を一生服用し続けなければならないという悪循環を生む。
薬物離脱は全員に起こることではないだけに、これまで精神科薬の恐ろしさをどれほど医師が主張しようともアシュトン博士も無視され続けてきた。8例中7例の改善は、本当に奇蹟的な治療成績である。薬をやめると激しい倦怠感・その他の症状に襲われるという方は一度は上頚神経節ブロックを試みることをお勧めする。ただし、治療回数は平均15.5回と決して少なくない。薬物から抜け出すことが極めて難しいことがこの治療回数からも理解できる。