眼振に上頚神経節ブロックが著効した例

動眼神経由来の眼振に上頚神経節ブロックが著効した例


  • <症例> 51歳 男性
  • <主訴>眼球がひくひく動き視点が定まらない
  • <現病歴>
  • 1年前から慢性の肩こりのため私の外来に通院していたが半年前より眼球がひくひく動くという動眼筋のfasciculation様症状が出るようになる。1か月前より、毎日数回、数分間起こるようになり、疲れた時は1日に5~6回出現すると訴える。

<現症> 来院時は動眼筋群のfasciculationは起こっておらず未確認 眼球の動きに異常なし 視力低下・視野狭窄などは起こっていない 眼底検査などは行っていない その他の脳神経症状として1週間に数回の耳鳴りを自覚、fasciculationと同時期に出現を自覚している。また、最近になり両サイドの頭痛と顔面痛が出現し、三叉神経痛様の症状を呈している。つまりⅢⅣⅤの脳神経の異常と思われた。 仕事で根をつめて疲れがたまったときに症状が出る。
<治療経過> 頸部交換神経節ブロック(1%キシロカイン2㏄×2)を2度(1か月毎に2度)行う 注射後、動眼筋fasciculationの起こる頻度は3分の1以下になる。頭痛と顔面痛はほぼ皆無となり症状は著しく改善された。現時点で生活に支障のない程度なので2度の治療で終了とした。
<考察> 動眼筋のfasciculationの原因も同時期に三叉神経痛が合併して生じる理由は不明である。しかしながら頸部交換神経節ブロックで著しく改善することを考えると、本症状はⅢⅣⅤ周辺の脳幹部の血行不良が関与していると思われる。 既に私はこれらの症状は脊椎・脊髄不適合症候群が原因と推測し、脳幹部の血行障害が原因と思われる諸症状を治療してきた。 脊椎・脊髄不適合症候群とは、脊椎の不良アライメントが原因で脊髄が尾側に引っ張られ、脳幹に下向きの張力がかかり、この張力が血行不良をもたらし様々な脳神経由来の不定愁訴生じさせる病態である(仮説)。
これまで、脳神経の症状は決め手となる保存療法がなかったため開頭して神経剥離を行ったりする方法しかなかった。私はそれを保存的に治療する方法を編み出したわけだが、もちろん、私が学会発表をしていないのでいまだ一般に認識されていない。 私は交通事故後にむちうち損傷で動眼神経障害や嗅覚障害を生じた患者の症状もまた、この頸部交換神経節ブロックを用いて改善させた実績があるが、この治療法を世界に公表するに至っていない。おそらく信じてもらえないからである。
しかしながらむち打ち後に嗅覚障害、視力障害、軽度動眼神経麻痺が生じることを考えると、ますます脊椎・脊髄不適合症候群の信ぴょう性が増す。しかも、これらの患者は、注射後数分以内に症状が劇的に改善する。まさに瞬間芸なのである。 医師諸君に信じてほしいとは別に思わないが、こうした「これまで原因不明とされ治療方法がなかった症例を救える手段が見つかったこと」に対して興味ある医師諸君はまじめに本文を読んでいただきたい。
死ぬ方がましだと思うほどの三叉神経痛に悩まされている方、顔面神経麻痺などに罹患している方たちに非常に大きな朗報である(手術しなくて治るのだから)。 今後、証拠や実績は今後さらに収集し、医師たちが信じるまで追加報告することを続ける予定である。ごまかしやオカルトではないので、正々堂々データ収集を行うのでその報告を待たれたい。