第十七話 開業記念日のドキドキイルカショー

4月初旬は診療所の開業記念日です。この年は1周年記念でした。開業といって思い出すのは、奥様の活躍。奥様は保健所や厚生労働局への手続きから診療所の内装業者への手続きや手配、ビルのオーナーさんとの段取り、電子カルテ関連の院内システムの構築にいたるまで開業コンサルタント以上の仕事を完璧にこなした私がいうのもなんですが、スーパーウーマンです。


それでとてもオタクなところもある奥様。電子カルテのメーカのシステム担当者から「「いや~Aさんはあの時つくづくほんとうにすごかったですよね(開業当時の頃のこと)。院内システムの構築を1人でやってのけたんですから」」「え?!そうなんですか?普通はどうなんですか??」「院内システムは難しいですからね。実はできるようでできないんですよ。途中でできないと我々に泣きついてくるパターンがほとんどで、皆でAさんどうしているかな~できているかな~と心配してましたが、そんな心配まったくいりませんでしたね(笑)全然我々に連絡なくやってのけましたからね。ほんとすごいですよ!」」と絶賛されるほどの腕前なのです。



私が当時勤務医として診察しているときに診ていた地元の患者の診察をとぎれさせることなく診察できたのも、実は奥様のこの活躍のおかげなのです。今では全国から患者が集まる異彩放つ診療所になってしまいましたが、もともとは地元の患者に密着していた勤務医の私の診察を休ませることなく開業して患者を助けるのが当初の診療方針だったのです。


そんな奥様の活躍あって診療所が滞りなく運営できているため、開業記念日は奥様の閃きでイルカショーを見に行きました。品川水族館のイルカショーはプロジェクトマッピングを用いてアーティスティックに演出していて大変凝っています。しかし、平日の夜とあって混雑しておらず、盛大なショーの割りには会場のお客たちはしらけた雰囲気でした。


 


そんなしらけた雰囲気の中、奥様だけは異色でした。「うわあーっ、すごい、すごすぎる。イルカが人間と協力して・・・、なんてジャンプ力!あのジャンプ凄すぎる。尾びれだけで空中に立位するなんて!イルカの芸を見ていたら人間の運動能力なんてちっぽけすぎる。水の中でこんなに躍動があるなんて信じられない。すごい。」の連発で始まる前からも「ドキドキする」と、悲鳴をあげるほど全身で感動しキャッキャしまくり・・・最後には泣いていました。海の生命の力強さに感激していました。


 


イルカショーを見てこれだけ感動している姿を、ショーをしているお姉さんたちに見せてあげたい。そして周りのしらけた雰囲気とあまりにも対照的だった図を見せてあげたい。私は本気で思いました。とまあ、奥様それほど生き物の命に対して感受性が高いのです。奥様はもしかしてイルカと交信できるかも・・・と思ってショーの最中に念じてみたそうですが、イルカたちに変化は見られませんでした。ふふふ、当たり前ですね。



その後売店でイルカのぬいぐるみを買い、イルカにはクーちゃんという名前を付けてしばらく持ち歩くことになります。今回のお話には超自然現象はありません。しかし、後日イルカにまつわる驚く話が起こります。