教科書を超えた治療法


 

はじめに

ここでは私が身に付けた教科書を超えた治療法を紹介する。これは自分の医療技術を自慢しようとしているわけではなく、現在の医療で「治療法なし」「手術しなければ治らない」などと言われる疾患でも工夫と努力で治せることを示したものである。いわば現医療で限界とされるものを超えて治療を成功させたものである。努力すれば医療はいくらでも既成概念を覆し、限界を突破できる。信じなければこの話はここで終わる。ここでは症状別に「どのように治療してきたか」を羅列していく。

1)過活動性膀胱

就眠後に2度以上お手洗いに起きるため不眠に悩まされ、昼間もなんとなくトイレに行きたいような膀胱の不快感(頻尿)で落ち着かないという病気。現在の医療では原因不明、根本的治療法なしとされるが中高年以降の高齢者(特に女性)に非常に多い。患者は泌尿器科や産婦人科に行くがベシケアなどの抗コリン薬を処方されるだけで根本治療はないと言われている。
治療法:腰部硬膜外ブロックや仙骨部硬膜外ブロックを行うことで大半の患者が一時的ではなく半永久的に普通に治る(実証データ有)。つまりブロックが根本治療になっている。原因不明と言われているが、硬膜外ブロックでほとんどの患者が根治することから、原因は脊椎疾患であることが明らかである。ただし教科書的に治療の裏付けがなされていない現在、ブロックをするには医者の勇気と信念が必要になる。

2)ED(勃起不全)

原因不明。精神的な要素が強いと言われるが勃起不全の患者の多くが腰疾患を合併していることは偶然ではない。仙骨神経由来の神経根症である可能性が高い。
治療法:プラセンタと腰部(仙骨)硬膜外ブロックで完治させた経験が2例ある。ただし、数回のブロックでは効果が低く、10回程度通院していただいた。治療には根気がいると思われるが、デリケートな疾患だけにそこまで根気を持てる患者側の精神力があるかどうかが課題。なぜなら、まず患者が「硬膜外ブロックでEDが治る」ということを信じないからである。この治療法がマスコミで紹介されれば患者は殺到すると思われる。幸い、誰も信じないので私のところに患者は殺到しないですんでいる。

3)脳梗塞(脳出血)後遺症による片麻痺、歩行困難

脳が由来の歩行困難を治せる薬も技術も世界に存在しない。しかし私はそれを完治とまでは行かないが半分程度改善させるという治療法を身につけた。驚異的な治療法であるがネタをばらせばそんなに難しくはない。
治療法:腰部硬膜外ブロックを行うと脳梗塞(出血)後遺症の患者の歩行困難が驚異的に改善する。劇的に改善する理由は、歩行困難の理由として脳由来のものと腰仙椎由来のものとがほとんどの症例で混在しているからである。片麻痺になるとバランスの悪い歩き方、姿勢となるため腰椎病変はほぼ必発となる。しかしそれを患者も医師も脳が原因と思い込んでいるので腰への治療が成立しない。ところが私はそれを受けるよう説得するのである。脳梗塞の患者にブロックをするという常識外れたことがあなたにはできるか? いや、できない。治療した実績がない限り患者は信用しないだろう。だから治療実績のない普通の医者にできる技ではない。

4)慢性関節リウマチ

自己免疫性疾患で根本的な治療法が存在しない。世界中で国単位で毎年のように診断基準がころころ変わることから診断すら出来ない現医療の混迷さがわかる。現在、恐ろしく強力な免疫抑制剤の経静脈投薬でリウマチを抑える方法が推奨されているが、副作用の恐ろしさが軽視されており、今後世界的な副作用トラブルで問題が浮き彫りになる可能性を秘めている。
治療:リウマチ患者の進行する指の変形、関節の変形などを止めることができない現状があるが、私はそれらに対してしらみつぶしに徹底的にステロイド懸濁液の注射をすることで痛みも変形を食い止めている。指の関節注射は難易度が高く、しかもリウマチの患者は一度に5~6箇所から10か所くらいの多数箇所に注射しなければならない。それを毎週徹底的に何か所でも注射するには医者の強靭な精神力が必要。しかし、これをすれば抗リウマチ薬を強力に使わずとも、関節変形の進行を止め、炎症反応も小さくできる。素晴らしい方法だが恐ろしく手間がかかる。が、患者にとってはかなり幸せな治療法である。なぜなら、指の注射は1回行うと数週間から数か月、痛みと腫れが軽減するからである。

5)腰椎椎間板ヘルニアを薬で治す

消炎鎮痛剤は鎮痛効果はあるが消炎効果がほとんどない。だから飲み薬では椎間板ヘルニアなどは治らない(神経根の炎症を治せない)のが常識。だが、消炎鎮痛薬を3倍量服用させることでヘルニアによる神経根の炎症を抑える方法がある。
すでに治験されている。だが実行している医師はまだ多くはない。私はすでに10年以上前からボルタレン座薬の定期使用でヘルニア患者を軽快させていたが、上司や薬剤師に「薬の使い方がおかしい」と注意されクビになった経験を持つ。雇われている医師がこういうオーバードーズの治療法をすると解雇される。「長」と名のつく立場にならないとこういう治療法はなかなかできない。また、副作用のチェックは最新の注意が必要である。私は最近はこういうオーバードーズの方法をやっていない。

6)ばね指・デケルバン・手根管症候群

治りもしないのに延々とリハビリに通わせる整形外科医が全国に後を絶たない。そして最後には「手術しないと治りません」と言われるがこれらは適切な治療をすれば切らずとも治る。しかし切らずに治せることを知らない整形外科医が非常に多い。切らずに治すことを教育されていないためである。
治療:ステロイド懸濁液(ケナコルトなど)の注射でほとんど治る。が、ステロイド水溶液であるとまず治らない。多くの整形外科医はステロイドの副作用と作用を熟知していないことが問題点。手への注射は恐ろしく痛い。よって痛くさせない注射法を身につけていないと患者に拒否される→結局手術を選ぶようになる。激痛が走る手部への注射を痛くさせない手法を身につけることは簡単ではない。また、ケナコルトほど効果の高い治療薬はないが、この薬は使い方が難しく外科医たちに忌み嫌われている。無闇に使用すると大学を破門される。

7)肩こり

これを完治させることができる医者はなかなかいない。だからこそマッサージ・鍼灸、カイロ、接骨院などの経営が成り立っている。だが真実を言うとペイン科の医師は頚部硬膜外ブロックや星状神経節ブロックなどで完治させる腕と手法を持つ。肩こりは筋肉痛ではなく神経痛が大半を占めるということを知っているのはペイン科の医者のみである(最近は整形外科医にも知られるようになった)。だがこのブロックは危険すぎるため、肩こり程度に頚部硬膜外ブロックは行われないのが普通だが。
治療:私は頸椎傍神経根ブロックという新しい注射法を完成させ、すでに何百人もの肩こり患者を完治させた実績もデータがある。手法、実績は別口で紹介する。注射はリスクが少なくあまり痛くなく、10秒で終わり効果は絶大。合併症例は現在ゼロ(注射の腕にもよるが)。この治療で治らない肩こり患者は50名に1名(2%)程度。何十年間もいろんな病院に通院しても治らなかった肩こりが治る。全国に普及すれば多くの整骨院・鍼灸の経営が厳しくなるかもしれない。

8)むちうち症

むちうち症は頸椎のみと考えられているが、脊椎(背骨)の疾患、つまり背中も腰も延髄も脳幹も同時に損傷を受ける。これを早期に完治させることができる医者はいないに等しい。首・肩周囲の筋肉痛、頭痛など病態生理が神経痛であることを知らない医者がいまだに多い(ペイン科の医師は知っている)。だからほとんどの医者は治療のために筋肉にトリガーポイント注射をする。しかし、本当の原因は神経痛であるため、トリガー注射は一時的にしか効かないことが多い(効くこともある)。
治療:頸椎傍神経根ブロック、頸椎の関節ブロックで頭痛、肩こり、頚痛、上肢のしびれや痛みをほとんど根治的に治せる。星状神経節ブロックなどの交感神経節ブロックは延髄や脳幹の症状に効果が抜群である。ただ、むちうち症は患者側に被害者意識が強いため、「注射してまで治そう」とする心がけがない。注射を嫌がる患者を注射で治すには無理がある。よって症状を治せるとわかっていても治療できないことが多い。

9)頸椎椎間板ヘルニア

患者は知らないが頸椎椎間板ヘルニアの手術治療成績はあまりにも悪い。だがそれにもかかわらず全国で「手術好きの脊椎外科医・脳外科医」によって治りもしない手術が数多く行われている。ほとんどはブロックで治るがブロックができる医者の数が少なく、手術をする患者はブロックもしないでいきなり「手術しないと治らない」と諭されて手術となる例が多い。
治療:頚部硬膜外ブロックはペイン科の医者なら普通にできる。だがリスクが高いことは軽視できない。頸椎傍神経根ブロックは安全、迅速、効果絶大な魔法のような注射である。この新しいブロック注射で頸椎椎間板ヘルニアの患者をより安全に軽快へと導くことができる。

10)腰部椎間板ヘルニア

ヘルニア患者の症状のほとんどが切らずとも自然治癒することが知られているが、患者は痛みと治療期間の長さと通院のわずらわしさと職場からの圧力に負けて短絡的に手術を選んでしまう傾向にある。近年、内視鏡によるヘルニア手術ができるのでこの疾患は治療しやすい疾患に変わりつつある。
治療:硬膜外ブロックをいかに無痛で迅速に行えるか?が最重要となる。外来は混むので手技が遅いこと=できない、ことを意味する。治療には何度もあきらめず繰り返しブロックを行う精神力が医者に必要となる。4~5回のブロックですぐに見切りをつけるような医者にはこういう根気のいる治療は向いていない。私は組織を傷つけることを最小限に抑えたほぼ無痛の硬膜外ブロックができる。しかも高齢者の高度変形脊椎にも100%近い成功率である。だから何十回、何百回と連続してブロックしても患者にストレスもリスクも合併症も与えない。ここまでになると患者は手術を選ばず、ブロックを継続してくれる。すると手術なしでもやがては治る。

11)寝たきり患者

一度寝たきりになり、外出は車イスのみという患者を再び歩けるようにできる医者は世界を探してもそうはいない。その理由は恐ろしく単純である。それは車イスで来院した患者を見た医者が治療意欲をゼロにしてしまうという構図である。車イス=治る見込みなし、を意味している。先ほどの脳梗塞後遺症による歩行困難=今の医学では治せない、と思い込むのと同じ原理である。
治療:車イス=絶望・墓場ではない。治療をすれば回復する可能性を秘めているという信念を持って治療に当たること。この信念を持つには強靭なチャレンジ精神が医者に必要になる。無論・他の医者がどうやっても治せなかったから車イスになっている。だが、自分は違う!と思い込むことだ。私は車イス患者をこれまで7名ほど歩けるようにした。だが残念なことに、転倒を機に再び歩行不可となった。2名は完全に歩けるようになったがあとの5名は転倒して再び車イス生活に戻った。転倒までは私にどうしようもない。だがそれでも一時は自分の足で歩けるように回復するのである。

12)腰部脊柱管狭窄症

「歳だから仕方がない」と言われて治療されない疾患の第1位である。その通り、この病気には高齢者になるとほぼ全員がわずらう。手術という方法ももちろんあるが、70歳を超えると成功率の悪さや体力的なものを考慮して、手術を積極的に選ぶ方法は消去される。
治療:しつこいくらいに何十回、何百回と腰部硬膜外ブロックを重ねることで薄皮をはぐように症状が徐々に軽快していく。ただし、高齢者の脊椎へのブロックは極めて難しい。仙骨からのブロックでは効果が低い。よって実際にはこれができる医者はペイン科でかつ硬膜外ブロックに秀でた医者に限られる。一般的な整形外科医には高齢者の高度変形脊椎のブロックは難しい。

13)脊椎の手術をしても治らなかった患者、手術後再発の患者の治療

なぜ脊椎の手術が成功しにくいか?治療成績が低いか?その理由は脊椎疾患の病態生理が解明されていないところにある。このことは別口に詳しく述べる。私は「他の脊椎外科医が治せなかった患者」をブロック注射で治療するのを趣味としている。物理的な狭窄のためにブロック治療でも不可能な場合もあるがたいていは手術しなくてもよいレベルに軽快させることができる。また、術後「これ以上は手術できない。打つ手なし」とされている患者でも、ブロックで軽快させることが可能である。
治療:脊椎の術後にブロックをするのは技量が必要になる。硬膜外腔が癒着し、通常の形態をしていないので薬液がどのように移動するかわからないし、そもそも硬膜外腔がない場合もある。手術した箇所の上か下からおそるおそる注射する、神経根ブロックを行うなどの工夫が必要になる。よってブロックに自信のある者しか、脊椎術後の背骨にブロックをする医師はいない。だから術後の疼痛は見捨てられるのだが、そうした患者を救うことは医者の醍醐味でもある。

14)正座ができなくなった変形性膝関節症の患者

現在の医療では、変形のお膝で正座ができなくなった患者を、元通り正座が出来るようにする術はない。人工膝関節を挿入しても正座はできるようにならない。現医療では全くお手上げの状態である。
治療:ステロイド験濁液(ケナコルトなど)を連続して使用すれば、正座ができない患者を正座ができるようにすることができる。ただし、徹底的にステロイドの副作用の知識を勉強する必要がある。50種類くらいあるだろうステロイドの副作用、他の疾患との合併による弊害を気にかけながら使用するには相当苦労する。それができない医者がステロイド験濁液をたやすく使用するものではない。使用するなら責任は重大である。

15)変形性股関節症

股関節が変形し開脚もしにくくなり、歩行時の痛みが強くなってくると、患者は薬では治らないことを悟り手術を受ける決心をする。人工股関節の置換手術をするのだが…熟練した術者に手術をしてもらわないと脱臼したり、股関節がきつくて曲がりにくかったりなどの弊害が出る。熟練した医者は全国にそれほど多くない。
治療:股関節内注射をすれば初期~進行期の股関節はほとんど痛みを感じない股関節になり、しかも変形も進まない(おおげさでも嘘でもない、私は実際に股関節手術を勧められている患者を何十人と治療し医者にかからないですむ状態にしている)。定期的な注射で、多くの患者は手術なしで痛みなしで生活を送れるようになる。ただし股関節内注射は技術的に難しい。実際に股関節内注射をやってみればわかるが、おそらく手術症例が半分以下になるはずである。

16)TFCC損傷

手首の関節の尺側にある三角形の線維軟骨が損傷すると悪質な痛みを引き起こす。悪性というのは「いつまでたっても治らない」ところにある。年中手首が痛くなる病気で握力も腕力も低下して軽作業もできなくなる非常にうっとうしい疾患。現在では治療法は手術か装具装着。
治療:手関節内にステロイド験濁液(ケナコルトなど)を週1で数回すれば初期なら治る。再発もほとんどしない。手の専門家はこのことを知っているのだろうか? おそらく知らない。手関節への注射は少し難易度が高い。同様にケナコルトの使用量と副作用の管理には気を配らなければならない。

17)足首の繰り返す滑液包炎

正座をすると足首の外側部分がこすれて正座タコのようなものができる。ここの直下にある滑液包に水がたまると何度注射器で抜いてもすぐにたまるということをくり返す。全く打つ手がない。
治療:ステロイド験濁液を滑液包に入れれば、あっという間に滑液が貯留しなくなる。無水アルコールでの癒着促進など不要・無用である。論より証拠! やってみればわかる。全員が治るとは限らないが。

18)子供が訴える様々な成長痛

子供が訴える原因が不可思議な疾患をひっくるめてこういう。治療法なし。写真をとっても異常なし。所見なし。たいていの医者は精神的な問題と思っている。
治療:成長痛をあちこち頻繁に訴える子供の脊椎を調査するとほぼ必ず異常がある(現在論文を作成中)。わたし流の「痛くない注射」で傍神経根ブロックをすると成長痛は完全に止まる(まあ、よほど痛がっている子供にしかしないが…)。多くの整形外科医は子供に神経根症が存在することを全く知らない。子供に各種神経ブロック注射を勧めるのは確かな実績とよほど腕に自信がないとできないだろう。子供自信がブロック注射を拒否する(精神的に未熟なため痛みをともなう治療を選択する意志力がない。さらに多数のヒステリー患者が潜伏している)。これを諭して治療するには医師免許がいくらあっても足りないくらい。無理に勧めると訴えられかねない。が、その崖っぷちに立つ勇気が医者にあるなら治せる。

19)顎関節症

顎が大きく開かないという症状は現在、口腔外科でマウスピースを作って噛ませておくという方法しか治療法がないとされる。
治療:なんのことはない顎関節にステロイド懸濁液と表面麻酔剤を注射すればかなりの確率で治すことができる。多くの医師がその技術を持たないだけ。ただし何十年も慢性化したものは一度では治りにくいかもしれない。繰り返し通院させ注射を受けさせるには、痛くない注射、確実に関節内に入れる腕が必要となる。

20)母指関節症、へバーデン結節

指が変形して痛みが出現すると握力を失い日常生活で大変困るが、根本的な治療法はない。レーザー光線をあてる、温熱療法をしても痛みはその場しか低下しない。
治療:関節内注射をすれば誰でもすぐに完治に近い状態になる。腫れも引く。ほとんど一度の注射でOK(数か月は改善する)。しかし注射が難しく成功しにくいという理由で医者はこれをやらない。また、指の関節内注射は治療に時間と労力と精神力がかなりかかるが、保険点数が他の関節内注射と同じなので医師側のコストパフォーマンスが極めて悪く、治療はボランティアに等しい。だから誰もやろうとしない現状がある。

21)ちょっとした坐骨神経痛:

骨盤より下方にある痛みは坐骨神経痛の仕業であるが、いまだに多くの医師はこれを腰痛の関連痛だと思い込んでいて積極的にブロック治療を行うことはない。また、軽い坐骨神経痛では患者自身がブロックを拒否する。そういった問題があって社会的な理由で完治しない疾患である(経口薬では治りにくい)。
治療:私は独自に傍神経根ブロックという特殊な注射を完成させた。これはブラインドで神経根ブロックを行う注射手技であるが、わざと短めの注射針を使って神経根を直撃させないようにする。こうすることで注射時の激痛を避け、注射後の麻痺を避け、患者の注射への不安を取り除き、ブロックへのハードルを極限まで低下させる。それでも効果は強力なので軽度の坐骨神経痛をその場で治療して即行で帰宅させることができる。数年間、接骨院、マッサージ、鍼灸などで治療しても治らない坐骨神経痛などのうち重症でないものなら、一度の注射でほぼ完治する(約半数)。外来で手軽に行えるので私はこれで多くの患者を治癒させた。手軽に行えることが味噌である。

22)野球肩・野球肘 オスグッド病

スポーツ整形外科医も基本的には安静を指示する以外によい解決策を持たない。損傷していない筋のみを選択的にトレーニングする方法もあるが根治術ではない。いち早く現役復帰したい選手たちにとって、安静という治療法は治療になっていないという現状がある。
治療:児童、思春期や成長期の子供にも積極的にステロイド入りの局所麻酔剤の注射を行う。もちろんごく微量である。オスグッドの部位にも注射を行う。実は驚くほど著効する。しかもほとんど一度で瞬時に完治近くに達する。いち早くスポーツに戻りたい選手には卓越した救いの手となる。児童にステロイドという否定的な意見はあるが、厳重な副作用の知識をもってすれば少量をワンショットで用いるのに問題が起こることはないに等しい。児童だからといってスポーツ外傷をあなどってはいけない。将来プロを目指す児童はスポーツに命をかけている。安静休養だけを治療手段としていては子供たちの夢を支えてあげられない。

23)精神疾患

不安神経症・強迫神経症・うつ・統合失調症など、薬でしか対処できないと考えられ、患者は薬漬けにされるだけである。
実は頸部の交感神経節ブロックで自律神経の動きを改善させてあげると、イライラや不安・うつが改善し、薬をのまなくても済むレベルにまで回復する。この事実はペイン科では理解されているが、一般的には誰も知らないようである。よい治療法が普及するとは限らないのが医療である。

終わりに

私は患者が「どこに行っても治らない」と嘆いている病気の治療法を開発することを趣味として医者をやってきた。治らない病気は医者にとって目の上のたんこぶ。そして忌まわしき疾患である。「治らない」と念仏のように唱える患者は医者にとってやっかいな存在である。私はだからこそ「他の医者が嫌う疾患、嫌う患者」に積極的に関わった。薬を飲めば簡単に治る病気なんて、逆に診る気がうせてしまう。そんな軽い症状なら私にかかる必要がないから他の医者にかかってほしいと本気でそう思う。他の医者が治せないからこそ、その病気を診る価値があるのである。
おそらく、多くの医者は私の治療法に否定的であり、信じられないと言うだろう。しかしそう思うのなら、実際にやってみればいい。私の言うことを信じなくても、目の前の患者が治れば信じざるを得ない。何も特別な治療法はない。ただし、私の治療を実行するのはどれもたやすくない。たやすくないのは技術的な問題だけではない。注射をしようとしても、まず患者に拒否されてしまうからだ。ここのハードルはかなり高い。この疾患に注射をすると何割の患者が1回の注射で完治するのか?といった情報と実績を持っていないと患者は注射を受けない。患者自身が最近は耳年増になっていて、実績がない医者の発言を全く信じないだろう(実績を示しても信じないが…)。
自信のない顔で受け答えしていれば患者は医者の表情を読み取って、注射を受けることを拒否する。だから実績を作ること自体がきわめて難しい。「ま、それで治らなくて困るのは患者のほうである」と捨て置いたのでは治療の腕は上がらない。上がらないから実績を積めない→結局自信を持って勧められない。となるので実際はここに挙げた治療はどれも実行することが難しい。最初の一歩には相当な勇気がいる。
100歩譲って、あなたに注射を安全確実にする高い技術があったとしよう。しかし、患者は注射の時の痛みを「恨み・恐怖・不安」として心に刻む。せっかく病気は治っても注射が激痛を伴うのであれば「やりたくない」と言うのである。だから結局、治療を行えないことになる。ここで必要なことは何度も言うが、痛くない注射!である。手技については別口にお話しする。痛くない注射ができてはじめて治療を拒否されなくなる。すると症例数を重ねることができ、修行を積むことができ、注射の腕前が上がる。
逆に言おう。痛くない注射法をあみださない限り、注射の腕前は普通の医者並でストップする。それは毎日ブロックばかりを行うペイン科の医者にさえ言えることだ。患者は一大決心できる勇気のある者ばかりではない!どんなに痛くしても怒らないほど切羽詰まった患者にだけブロック注射をしようなどと器量の小さいことを考えていると、注射の腕は上がらない。
自分の器量を上げてくれるのは、少し痛ければ泣きわめき、効果がなかったら悪評を立て、失敗したら訴えるぞと言いそうな患者なのだ。彼らは医者を常に崖っぷちにおいやる。崖っぷちだからこそ集中力がアップし、緊張し、注射の腕が上がる。そして副作用にも細心の注意をせざるを得ないから勉強もするようになる。だから私はブラックリストに載るような患者を好んで治療した。今でもそうしている。聞き分けのいい患者よりも、危ない患者・人格障害の患者の方が自分を成長させてくれるのである。
こうした逆風をもろともしない精神が新しい治療技術を作り出す。それは医療の世界だけでなく芸術、美術、ビジネス、政治の世界でも同じことだろう。困難に自ら好んで飛び込んでいく者けが卓越した領域の技量を身につけることができる。とりあえず私が前例を作ったのでこれを読む医者は実行に際して、ハードルが下がったことだろうと思うし、そう願いたい。今は私だけの治療技術だが、一刻も早く、普通にどんな医者でもできる一般的な技となって普及してもらいたい。そのために副作用・安全性などを研究しているのだから。

教科書を超えた治療法」への8件のフィードバック

  1. 私の市の所の県立病院は初診は紹介状が無いと診察しませんそすぐ開業医に紹介状を出すので遠い県立病院に紹介状だされ入院なんて事もしょっちゅうですなので脳梗塞になった時も診察してもらえるかわからないし何かか分からないしで受診が遅れましたいろいろな情報聞くといーなーこっちの市にも来ないかなと思う

    • 腕の立つ医師が近くにいることと、その医師を利用することは別次元の話です。私の開業している町の人々は私のことを「注射がうまい医師」くらいにしか知らず、どんな病気のときにどのように私を利用できるのかを知りませんし、全国から患者が来ていることさえ知りません。よって、近所の方々は近くに腕の立つ医師がいても、私を利用できません。日本では、医師が自分勝手に自分の腕を宣伝してはいけない法律がありますので、利用するのは難しいということです。厚生労働省は表向き、医師の腕は全国均一。治療の腕も全国均一という共産主義医療をつらぬきたいという確固たる意志がありますので、医師の腕に差があることを表には出してはいけないことにしています。よってよい医師を探したいのなら、自分の目や耳で労力を惜しまずいろいろと調べる以外にないわけです。そして、目的がはっきりすれば、お金にいとめをつけず、時間をかけてでもよい医師の下に出向くしかありません。医師の腕が均一なんて、真っ赤な嘘ですから。私の近所に住む方々は、目の前にいる私を利用できないのです。結局済んでいる距離なんて関係がないということです。

      • ありがとうございます私は全身性エリテマトーデスの持病もあり県立内だけでもいろいろと診察に時間が掛かりその態度が私が悪いみたいで新しく症状が出て回されて行った科は迷惑そうで前の主治医には押し付けて行くからと言われたのでこの病気で生きてる事が辛かったですそれにプラスで脳梗塞です片側麻痺最悪です岩手県沿岸ですすぐ内陸に紹介です

        • 脳梗塞もSLEも現医学の枠の外ですから医師にいやがられるのは当たり前です。どちらも現医学では治せないのですから、喜んで治療しようとする医師などいるはずがありません。岩手県でも東京都でも同じです。しかし、全国には現医学では治らない疾患だけを治そうとする治療師がいるものです。私は医師ですがその一人です。そして、希少な治療師は希少なだけに予約もなかなかとれませんし、お金も相当かかります。そういう治療師を追っかけるか、いさぎよくあきらめるか?しかありません。治療師を追っかけて、財産を使い果たし、結局治らない者もいます。ないものをねだると高くつきます。しかし、脳梗塞をも軽減させようとする治療師もいるんですよ。実際に。私もその一人ですが・・・。住んでいる場所なんか関係ありません。なぜなら、希少な治療師は希少なだけに、あなたの近所に住んでいる確率は常に低いわけですから。

           前にも述べましたが、住んでいる場所が近くても、そういう治療師を信じ切ることができないために、治療を受けることは難しいものです。距離が問題ではなく、治療を受けるか受けないかは?あなたの問題です。

  2. 始めてコメントさせていただきます。
    47歳になりますが、20歳の頃から肩こりと頭痛に悩まされ、脳神経外科、内科、外科、接骨院等掛かりましたが、ストレートネックによる肩こりからくる頭痛と言われ、痛み止めを飲んでしのいでいます。半年ほど前から手の指先がしびれるような感覚があり主治医(内科)の先生に相談したところ肩こりから来ていると、肩こりのお薬を頂きましたが、軽くはならず、痺れの範囲が広がってきています。現在、左右共手の中指、薬指、小指と人差し指の半分くらいがしびれています。右手はたまにさすような痛みがあります。普段の生活では動かしてもいたくはありませんが、朝は痛くてしばらくはうまく握れません。
    この1ヶ月で急に範囲が広くなったため、不安です。
    よろしくお願い致します。

  3. 昨年、突然発症した両手と上肢の痺れ、疼痛での御相談です。

    突然の激痛で物を掴む事もままならず、痺れの専門医を受診。
    利き手の右は、手根管症候群だろうと神経伝導検査でgrade3との結果。

    左上肢、左側の首から指先にかけての激痛に関しては、手根管症候群程の検査結果ではないがいずれなるとの説明。
    左上肢の激痛が耐え難く、更に検査も依頼しましたが検査して頂けず、ただの肩懲りか肘部官症候群との日本外科○○学会指導医、元理事、元教授。

    投薬もなく、聞いてみた所、
    「まだオペする程じゃない、外科医だから、投薬は仕事じゃない!」と耳を疑う診療拒否。
    論文では、検査結果より臨床、患者の主訴を聞かなければならないと唱えてたのに相反。

    投薬もして頂けず、痛みが半年以上経った現在も特に左手から左首にかけて疼痛があります。

    オペ以外の患者は診ない医師の為、他の痺れ専門医、脊髄外科学会理事指導医を受診。MRI2回撮影。
    短期間ですが、リリカ、セレコックスで経過変わらず。
    3回目のMRIを造影剤撮影しましたが、異常なしとの結果でペインクリニックへの加療を指示されました。

    発症の引きがねになったかは不明ですが、リュープリン医薬品添付文書に手根管の副作用発症情報もあり、ネット上でリュープリン投与後に発症した方の情報も数件ありました。
    リュープリン投与は、終了しています。現在、その疾患や疾患に関する疼痛も有りません。

    上肢痛は、ペインクリニックを自分で探して欲しいとの事で、他の医師が避ける難病治療に感銘受け、受診希望したくの御連絡です。

    • 原因不明の症状に立ち向かう時、必要なのは「悟り」です。日本トップの権威にかかって治らない症状は、基本的に外科であろうと内科であろうとペインクリニックの医師であろうと治せないものです。実際に私の診療所には「どこの医者にかかっても治らない」人達ばかりが来院します。医師免許を持つ者には基本的に治せない病気があります。それは医学の範囲外にある病気です。医学は最近急速に発展した学問であり、大変底の浅い学問です。科学がどえほど発展しようとも、痛みはその科学がとても到達できないレベルの複雑さの中に存在するからです。まずそのことを悟らなければ恐らく治療は前に進みません。

       一般的な痛みの原因は椎間孔、胸郭出口、肘部管、手根管のどこかにあるものです。それら全てにブロックを行い、改善するならば話はとても簡単ですので、「悟り」は不要です。しかし、私の元へは、それらで治らない摩訶不思議な症状をお持ちの方が多く来院されます。その時は「悟り」が必要になります。悟りが不要であることを私は望んでいます。

       私がこのように、意味不明な文章を書くのは、治療には信頼関係が必要な場合があるからです。医学の知識外の症状である場合は、治療に信頼が必要になります。もちろんそうでないことを願っていますが。

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