生体脆弱性と遺伝

生体脆弱性と遺伝

日常損傷学の基軸は器質的異常ではありません。これまで病気とはみなされていなかった生体固有の機能・性能が基軸となります。 フェラーリを運転し、時速150kmで走っても全く故障が起こりませんが、軽自動車で同じスピードで長時間走行していると様々な故障が起こります。両者には器質的な異常はありませんが、軽自動車は高速仕様に作られていないため高速で走っていると故障します。
同様に人体の性能にも生まれつき備わっているものが個々にあり、病気の発症に対する閾値が異なります。閾値の最終的な鍵は骨格よりも自己抗体が握っています(この考え方は後で述べます)。 低い性能しか持たない者が普通の人と同じように体育を受けたり、仕事をしたりすると、その日常動作において病気を発症させてしまいます。 しかしながらこの患者のどこをどう検査しても器質的異常は認められないので病気とは扱ってもらえません。
このように、これまで病気とは考えていなかった生体脆弱性を個々に診察・考察し、病気の発症そのものを予防して行こうとする全く新しい試みが日常損傷学です。 例えば潜在性二分脊椎はその臨床的意味が不明でこれまでほとんど研究されてきませんでした。しかしながら二分脊椎をよく観察すると、棘突起の癒合がないだけではなく、左右の下関節突起の大きさや傾きが非対称である場合がほとんどです。 左右非対称の関節では左右に圧力が均等にかからないため、この部分は脆弱となり少ないストレスで損傷しやすいでしょう。
脊椎に関して言えば、移行椎の存在、仙骨後弯異常、椎体の軸異常など様々な先天異常が存在しますが、それらと脆弱性との関連はまだまだ研究されていません。そうした遺伝的要素と損傷閾値との関連を推測し、将来に発症すべき症状を予測し、どういう生活を送れば発症を防止できるのか?今後は研究をしていく必要があります。

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